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たまに食べるとめちゃくちゃうまい!
しかし飽きる。

それが筆者にとってのおかゆです。病気のときに限らず、「おかゆが食べたい!」と意気込んで作ったときですら飽きてしまう。

これ、最後までおいしく食べ続けることはできないんでしょうか?

今回は、おかゆをおいしく食べ倒すアレンジアイデアを、料理のプロや料理好きに徹底調査。まずはおかゆに詳しい人、ごはん同盟のしらいのりこさんにアレンジのコツを教えてもらいました。

しらいのりこさんのイメージ

しらいのりこさん
お米料理研究家。炊飯系フードユニット「ごはん同盟」として、実家が米農家の夫とともに活動中。ごはんのおいしさを広めるべく、テレビ、雑誌、webなどの各種媒体、ワークショップ、料理教室などを通じて情報を発信中。リアルな作りやすさがありながら、食いしん坊のハートをつかむレシピに定評がある。
https://linktr.ee/shirainoriko

■ 目次

▼しらいさんインタビュー
└おかゆ、プロはどう食べてる?
└おかゆが飽きる原因は?
└おかゆアレンジのコツ
└【まとめ】しらいさんおすすめのアレンジ最強フォーメーション!

▼おすすめ食材
しらいさんがセレクト!おかゆのアレンジ食材5選
編集部が調査!おかゆのアレンジ食材18選
└【中華風】おかゆアレンジ食材7選
└【韓国風】おかゆアレンジ食材4選
└【インドネシア風】おかゆアレンジ食材5選

おかゆを飽きずに楽しむ方法とは。プロはどう食べてる?

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――おかゆってどうしても食べ飽きます。最後までおいしく楽しむ方法はあるんでしょうか?

しらいさん(以下敬称略):私はぜんぜん飽きませんよ。むしろごちそうですね!

――その、飽きない秘密が知りたいです。むしろごちそうというのは…?

しらい:ふだんおかゆを食べるときは、トッピングをかなりたくさん用意して、バイキング状態にしてやるんですよ。

――バイキング状態!!

しらい:具材は5~6種類。まずは蒸し鶏などのタンパク質を用意して、パクチーや万能ねぎなどの薬味も準備。ザーサイやピータン、フライドオニオンやフライドガーリックなどのアクセント食材も欠かせません。

――すごい!どんどん増えていきますね。

しらい:そうなんです。そして、食べながら“味変”していくのがまた楽しい。まず好きなものをトッピングして食べ始めますよね、ある程度食べ進めたらX0醤や腐乳などの調味料を追加して、どんどん味を変化させていきます。そうするとすごくおいしいオリジナルの味ができるんです。

――わ~それは楽しそうです!

しらい:すごく楽しいですよ! おかゆの楽しみって、そこかなと思います。

おかゆが飽きる原因は「トッピングは1種類」という思い込み

――しらいさんの食べ方を聞いて、トッピングは1種類だけと思い込んでいたことに気がつきました。たくさんのせればいいんだ!

しらい:1つしか選べないとなると、ちょっとげんなりしますよね……。そもそも、日本人にとっておかゆのイメージがあまりよくない。病気のときに食べるものと思われがちです。

でも、おかゆはおいしくてバラエティに富んでいて、ごちそうとして成り立つと思っています。人に出しても喜ばれますしね!

写真提供:しらいのりこ

――おかゆがおもてなしになるのですか?

しらい:バイキング形式のおかゆはイベントで何度も提供したことがあります。この写真(上記)のときはかなり凝った内容でした。春だったのでたけのこを揚げてのせていますね。揚げ野菜をおかゆにのせると本当においしいので、おすすめです。

ここまで凝らなくても、和食のトッピングなら漬物を何種類が用意するだけでも滋味あふれておいしいと思います。とにかく、1種類でやらないほうがいいですね。

「オリジナルスープ」を作るつもりで、アレンジするのがコツ

おかゆを混ぜているイメージImage: GettyImages

――ほかに、おかゆをおいしくする食べ方のアイデアはありますか?

しらい:香りのある油はかなりおすすめですね。ごま油やねぎ油、青唐辛子オイルなど。アクセントになるしコクも出て、どんどん食べられますよ。あと、パクチーなどの香味野菜をのせたり、レモンやライムをかけたりすると、味わいがぐっと底上げされます。

――なるほど、それは普通の白米ではできないアイデアですね。おかゆだからこそ。

しらい:そうそう。ごはんにお供を1品のせるっていうイメージではなく、オリジナルのおいしいスープを作っていくと考えるといいかもしれません。

【まとめ】これが、しらいさんおすすめのアレンジ最強フォーメーション!

しらいさんのお話をまとめると、次の5つがおかゆをおいしくする要素。

全部揃える必要はありませんが、2種類以上を組み合わせるのが重要ポイントです。ちなみに「刺身」というのは、熱々のおかゆに切り身をのせて、半生状態で食べるのがおいしいんだそう。

そして、ふつうの白米との違いとして知っておくといいアレンジのポイントは以下で4つでした。

・油が合う(香りがある油をかけても、揚げ物でも)
・パクチーなどの香味野菜が合う
・レモン・ライムなどの柑橘類が合う
・XO醤や腐乳などの味変アイテムを準備するといい

次にご紹介するアレンジ食材とも合わせて、ぜひお試しを!


【おすすめ食材】しらいさんがセレクト!おかゆのアレンジ食材5選

和風・中華・アジア系のいずれのおかゆにもピッタリ合う、汎用性の高いアイテム。おうちにある食材にプラスするだけで、おいしさを底上げしてくれる手堅い5選です。

①極細ちりめんじゃこ(大平水産)

「ちりめんじゃこの中でも細かいタイプなので、おかゆになじみやすいです。加えることで、ぐっと味わいが深くなります。和風、中華どちらにも合いますよ」
※商品は取扱期間が限られるため、現在品切れ中

②梅なめたけ(久世福商店)

「梅味は他のトッピングとけんかしないので、持っておくとかなり便利。おかゆのともに酸味の要素が入ると飽きずにずっと食べられますよ」

③XO醬(石渡商店)

「“味変”用の調味料としておすすめです。気仙沼産のホタテや金華ハム、エビの卵などの贅沢な材料から作られるスペシャルなXO醤。うまみがすごいので一気にリッチな味わいに」

④柿の種入り食べるラー油(丸七食品)

「こちらも中華にも和風にもピッタリの調味料。柿の種のガリッとした食感、うまみの強いラー油でおかゆが一気にごちそうになりますよ」

⑤山椒香味油(つの食品)

「おかゆにひとたらしするだけで、山椒の鮮烈な香り、油のコクが深い味わいにしてくれます。熱々のおかゆに白身魚のお刺身をのせて食べる刺身がゆに特によく合います」

【おすすめ食材】編集部が調査!おかゆにあうアレンジ食材18選

ここからは、編集部が調査したアレンジ食材をご紹介。しらいさんもおすすめの中華風食材から、現地在住ライターおすすめの食材などアジア系のアレンジ食材までご紹介!

変わった食材もありますが、いずれもオンラインで購入可能。いろいろ組み合わせて楽しんでみてください。

【中華風】おかゆアレンジ食材7選

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しらいさんも日常的によく食べるという中華がゆ。定番トッピングをご紹介。

日本の中華がゆ専門店では下記のトッピングとは別に、蒸し鶏やレバー、モツ、エビやイカなどの魚介がメイン食材としてのっている場合が多いよう。

「米粒を潰さないように水から炊く日本のおかゆに対し、鶏や貝柱などのスープでとろとろに炊くのが中華がゆの特徴です」(しらいさん)。自宅で作れない場合に便利なレトルトもピックアップ。

おすすめ食材①油条(ヨウティヤオ)

中華がゆのトッピングとして最初に思い浮かぶ定番。おかゆにコクが加わり一気に本格的な雰囲気に。

おすすめ食材②フライドオニオン

小さなアクセント食材ですが、あると無いとではおいしさが格段に違います。作るのは手間ですが市販品なら手軽。

おすすめ食材③フライドガーリック

食材②のフライドオニオンと同様の役割。おかゆに限らず、サラダやステーキのトッピングなどにも使えます。

おすすめ食材④ピータン

生の卵を加える場合もあるようですが、ピータンのほうがよりコクが出ます。ストックもしておけるので便利。

おすすめ食材⑤ザーサイ

食感と塩気で味のアクセントになる漬物類。王道のザーサイ以外に、高菜炒めを出す専門店もあるようです。

おすすめ食材⑥ねぎ油

香りとコクを加える役割。1本持っておくと、ラーメンや炒めものなどの仕上げなどにも使えて便利。

おすすめ食材⑦レトルト中華がゆ

スープで炊いてあるタイプのおかゆ。すでにうまみがあるので、何食か食べ続けるときはバリエーションとして準備しておくと食べ飽きにくいかもしれません。

【韓国風】おかゆアレンジ食材4選

韓国風のおかゆのイメージImage: shutterstock

韓国でもおかゆは定番メニュー。現地在住歴17年のライターのジャヨンミさんに、おかゆ事情と本場のおすすめトッピングを教えてもらいました。

「体調がすぐれず、消化の良い食べ物を欲するときに食べます。おかゆの専門店があるので、軽い食事にもよく利用されていますし、胃腸が動きにくい朝の食事にもよく食べられていますよ」(ジャヨンミさん、以下略)

※さらに詳しいおかゆの話はこちら

おすすめ食材①韓国製のごま油

「日本のごま油と違い、色が濃くごまの風味も高いので、香りが加わるだけで食欲もそそられます」

おすすめ食材②キムジャバン(ふりかけ海苔)

「ごま油と一緒にキムジャバンや韓国海苔を細かくしたものをトッピングにすると、香ばしさ+栄養プラスでおいしいです」

おすすめ食材③ツナ缶

「韓国では玉ねぎ、にんじんのみじん切りと一緒にツナも混ぜてお米と一緒に煮込んたおかゆもポピュラーです。本当は一緒に炊いて欲しいのですが、出来上がったおかゆにトッピングとしてのせても韓国気分は味わえると思います」

おすすめ④サムゲタン(レトルト)

トッピングではありませんが、日本ではレトルトの参鶏湯がよく販売されているので活用するのも手です。米入りなのでそのまま食べてもいいですし、スープを利用してご飯と一緒に煮込んで韓国風おかゆを楽しんでも」

*おすすめ【番外編】長ねぎ

「市販の商品ではありませんが、外せないトッピング。みじん切りにしてのせます。上に挙げたごま油やいりごま、その他具材と一緒に組み合わせるとおいしいです」

【編集部のおすすめ】韓国風のレトルトかゆ

▼韓国のおかゆの特徴

「白がゆより、野菜やきのこ、肉、魚介などを具材に加えるスタイルのおかゆが多いです。

定番は野菜のおかゆ、味付けした牛ひき肉を加えたおかゆ、アワビのおかゆなども人気。お米を使わないおかゆとしては、小豆がゆ、カボチャがゆなどがあり、これらはぜんざいに似たスタイルです」

▼日本のおかゆとの違い

「基本的な作り方は、洗って水を切ったお米をごま油で炒め水を加え、別途予め火を加えた具材と合わせて炊き上げるスタイル。ごま油を使ったり、お米にもち米を混ぜて作るケースもあるのが日本との大きな違いですね。

ご飯の他に小麦系の麺(素麺やうどんなど)などと一緒に、魚のアラや身を煮込むスタイルの”オジュク”と呼ばれるおかゆも。また、予め炊いておいたごはんを使う作り方もあります。形状はお米の粒が少し残る程度です」

【インドネシア風】おかゆアレンジ食材5選

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中国・韓国に比べるとやや変わり種の印象もありますが、インドネシアでもおかゆは定番メニュー。インドネシア滞在経験のある編集・ライターの鮫島沙織さんに、現地事情とおすすめトッピングを教えてもらいました。

「おかゆは朝ご飯の定番メニューの一つという感じで、通勤・通学前に屋台や食堂に寄って食べるのがポピュラー。ホテルの朝食ビュッフェにもよくありますし、朝マックにもあるんですよ」(鮫島さん、以下略)
https://mcdonalds.co.id/menu/bubur-ayam-mcd

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「ダシから炊く鶏がゆが定番で、トッピングは蒸し鶏、フライドオニオンやナッツ、揚げせんべいなどかなり多く、ソースがかかる場合があるのも特徴です」

※さらに詳しいおかゆの話はこちら

おすすめ食材①フライドオニオン(エシャロット)

「味と食感のアクセントに。量はお好みですが、小さじ1~大さじ1くらいかかっていることが多いです。 普通の玉ねぎを使ったフライドオニオンでもいいのですが、インドネシアやタイでよく使われるエシャロットを揚げたタイプのほうがより本場の雰囲気に近づけます」

おすすめ食材②揚げせんべい

「味と食感のアクセントに。おかゆの水分でしんなりする前に食べるのがおすすめです。えびの風味でおいしいです。 硬くて小さな板状のチップを揚げると、大きくふくらんでせんべいになりますが、脂質が気になる人は数枚ずつ電子レンジで加熱すると、揚げなくてもちゃんとせんべいになり、ちょっとヘルシーに食べられます」

おすすめ食材③ピーナッツ(薄皮をむいて揚げる。多めの油で炒めてもOK)

「これも食感のアクセントに。フライドオニオンと同じく、量は小さじ1~大さじ1くらい。揚げるか、多めの油でカリカリになるまで炒めます。無塩がいちばんおすすめですが、有塩でもバターピーナッツでも大丈夫です」

おすすめ食材④ケチャップマニス

「味の調整に。ケチャップマニスはインドネシアの醤油的存在で、甘くてコクがあります。小さじ1くらいから試してみてください。ナシゴレンやミーゴレン、肉野菜炒め等にも使えます!」

おすすめ食材⑤サンバル

「辛みの調整に。サンバルはインドネシアのチリソースで、国民的調味料。食卓に必ずあるといっても過言ではありません。紹介している商品は激辛ではありませんが、小さじ1/2くらいくらいから試してみてください。他の料理にも、タバスコやシラチャーソースと同じ感覚で使えます」

▼インドネシアのおかゆの特徴

「インドネシアで一番ポピュラーなおかゆは、鶏がゆ(bubur ayam/ブブール・アヤム)だと思います。 ベースは中国のおかゆに似ていますが、トッピングがかなり多くてソースがかかる場合があるのが特徴です」

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鮫島さんがまとめてくださった特徴がこちら

注目ポイント 特徴
テクスチャ ・お米多めでドロドロ、重め
だし ・鶏がらスープのだし
・サラムリーフ(インドネシアのベイリーフ)、レモングラスなども入れます
味付け ・だしと塩程度で、そんなに濃くない
・サンバル(チリソース)やケチャップマニス(濃くて甘い醤油)で各自が味を調整しながら食べる
定番トッピング ・細く割いた茹で鶏、ゆで卵、フライドオニオン
・フライドピーナッツかフライド大豆
・セロリの葉やねぎ
・揚げパン、揚げせんべい
ソース ・玉ねぎ、ニンニク、ターメリック、ショウガ、コリアンダー(粒)、
キャンドルナッツなどをペースト状にして加熱したもの

「屋台で食べる以外にも、お湯をかけて食べるインスタントのおかゆもあるので、私は夜に軽く食べたいときなどに利用していました」

▼おやつタイプのおかゆも人気

「ほかには、緑豆かゆ(bubur kacang hijau/ブブール・カチャン・ヒジョー)というおかゆもあります。 こちらはおかゆと呼ばれていますが、緑豆(ムング豆)でできたスープ多めのぜんざいのような感じで、甘いです。朝食としてもおやつとしても人気です。屋台などで購入できます」

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構成:佐々木智恵美

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