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こちらは「かいサポ(お買いものサポーターチーム)」が編集・執筆した記事です。

コーヒーを淹れるための道具を揃えていると、「これも必要?」と気になるのがコーヒースケール(ドリップスケール)抽出時間やコーヒーの抽出液の量を量るためのもので、見た目はキッチンスケールとよく似ています。

今回は、選び方とおすすめのモデルを、カフェ店主の梁川健人さんに教えてもらいました。

コーヒースケールは、おいしいコーヒーを安定して淹れるために、初心者を含めた全ての人にぜひ揃えて欲しい道具です。

計測したいのは、「重さ(豆と水分)」、「(抽出)時間」の2つ。なので、実はキッチンスケールとスマートフォンのタイマーでも代用できます。でも、2つの機能を兼ね備えたコーヒースケールなら、表示が見やすく断然淹れやすいですよ。

梁川健人(やながわ・けんと)さんのイメージ

梁川健人(やながわ・けんと)さん
カフェ「喫茶 八蔵」店主。スペシャルティコーヒーの専門店に勤務。コーヒーのドリップや焙煎補助などの業務を経験した後、出張喫茶としてさまざまなイベントでコーヒーを提供し、人気に。百貨店への期間限定出店なども行う。2018年にオープンした「喫茶 八蔵」では、産地や農園までこだわったスペシャルティコーヒーを丁寧にドリップ。その味わいを求め、地元はもちろん遠方からも多くの人が訪れる。

喫茶 八蔵(HP)
https://www.hachikura.net/

喫茶 八蔵(Instagram)
https://www.instagram.com/hachikura2015/

コーヒースケール(ドリップスケール)はなぜ必要?

梁川さんはお店でも自宅でも、コーヒーを淹れるときは必ずコーヒースケールを使っているそう。

コーヒースケールはコーヒーを淹れる際の必須アイテム。ないとだめ、というくらい大切な道具です

どうしてコーヒースケールが必須アイテムなのでしょうか。

プロが必ず使う理由は1つ。味が均一化できる

コーヒースケールは味の均一化を図るために必要、と梁川さん。

コーヒースケールを使って管理できるのは、コーヒー粉の量、抽出時間、抽出量です。これらの条件をできるだけ揃えることで、味が一定になり、いつ淹れても安定しておいしいコーヒーを淹れることができます。

条件が異なるとコーヒー豆の味わいをうまく抽出できず味が薄くなったり、雑味が多いコーヒーになったりしてしまいます。

ドリップがラクになることも、メリットのひとつ

味が安定することに加え、ドリップがラクになるというメリットも。

コーヒースケールはキッチン用のスケールとスマートフォンのタイマーを組み合わせて代用しても問題ありません。でも、コーヒースケールなら画面に全て表示されているので、確認するのが断然楽ですね。

スマートフォンのタイマーやキッチンタイマーを使う場合は、スタートボタンを押すタイミングを毎回揃えることが大切です。コーヒーの粉にお湯を落とす直前に、タイマーのスタートボタンを押しましょう。

同じタイミングで時間を計ることで、『昨日より少し抽出時間を短くしてみよう』など、日々の微調整がしやすくなりますよ。

コーヒースケールの使い方。準備~抽出完了までフル活用

コーヒースケールの使い方は次の通り。

①豆の重さを量る

豆の重さを量ったのち、ミルで粉にする。粉で購入した場合は、粉の状態で計量する。

②サーバー・ドリッパー・粉をセットし、スケールの重量をゼロに設定

ドリッパーを持ち上げた状態でゼロにする(抽出液だけの重さを量るため)。

③お湯を注ぎ始めたら、時間の計測スタート

④スケールで時間・抽出量を確認しながらドリップする

コーヒースケールを使わずに淹れる場合、自分の感覚に頼ることになりますが、感覚だけでは絶対にずれが生じてしまいます。そのため、いつも同じ味を引き出せるように、ガイドラインとしてドリップスケールを使うのがおすすめです。


コーヒースケールの選び方。サイズ・電源・デザインの3つをチェック!

プロがおすすめするのは、コンパクトな充電式

コーヒースケールは、重さと時間の計測さえできればあとの要素は好みですが、梁川さんのおすすめはコンパクトな充電式

コンパクトなスケールは取り回しが良いので使いやすく、収納も場所を取りません。充電式のほうが電池式よりもランニングコストが低いのでおすすめです。

そして、デザイン性も大切。自分の気持ちが上がる道具を使ってコーヒーを淹れることを楽しむのが一番いいと思います。

付属機能はなくてもOK。好みで選ぶ

コーヒースケールには、重さと時間の計測の他にもさまざまな機能が装備されているタイプもありますが、それってどこまで必要なんでしょうか?

▼付属機能の例

自動カウント機能 ドリップを始めたらカウントアップタイマーが自動で開始し、時間を計測する
自動風袋引き機能 ドリッパー等を置いた後、自動で0gになる
流量/流速の計測機能 お湯のドリップ量やドリップの速さをリアルタイムで計測する
アプリ連携 抽出レシピの記録や共有、お手本の注ぎ方との差を確認するなどの機能をもつアプリと連携する
0.01g単位の計量 高精細な計量ができる

重さと時間の計測機能は必須ですが、そのほかは、完全に好みの世界ですね。個人的には、自分でボタンを押すほうが間違いなく確実に操作できるので、自動カウント機能や自動風袋引き機能は使っていません

自動機能は何かの拍子にカウントが始まったり、いつの間にかカウントが止まっていたり、意図せず風袋が引かれてしまったりすることがあり、確実性に欠ける印象です。

アプリ連携機能は、豆の量や抽出時間、抽出量などを記録できるので、毎回記録を取って自分のドリップを詳細に分析したい、突き詰めて研究したいというマニア向けの機能です。

また、計量できる単位については、0.1gや0.01g単位の計量は必要なく、1g単位で計れれば十分とのことでした。

プロが推す商品は2つだけ。TIME MOREとハリオ

多くのコーヒースケールのなかで、プロに愛用者が多いのはTIME MOREかハリオの主に2つなんだそう。TIME MOREの方が少し高価で充電式、ハリオは安価で試しやすいものの、電池式です。

梁川さんが愛用するのはTIME MOREのスケール

梁川さんがカフェでも自宅でも使っているのは、コンパクトで充電もできるTIME MOREのBLACK MIRROR basic+です。

シンプルでコンパクト、デザインもいいし充電式で便利です。表示画面の見やすさと、ボタンを押すと『ピッ』と音がするので、押し忘れを防ぐことができる点が気に入っています(音はミュートにすることも可能)。

シリコンカバーを外すとフラットになるので掃除しやすい点もお気に入りだそう。初心者から上級者まで幅広くおすすめできるとのことでした。

安く始めたい人、初心者におすすめなのはハリオ


ハリオはコーヒー道具の定番ブランドなので入手しやすく、安心感があるので初めての一台にぴったり。スリムで取り回しがよいのも、使いやすくていいですね。

手に取りやすい価格ながら計量、時間計測、風袋引きなどハンドドリップに十分な機能を備えているので、中級~上級者になっても長く使えますよ。

ハリオのV60コーヒースケールは電池式のため、充電式がいい人はTIMEMOREのBLACK MIRROR basic+を選びましょう。

【使用レビュー①】TIME MOREで初心者がドリップしてみた

ハンドドリップ初心者の筆者が、梁川さんが愛用するTIMEMOREのBLACK MIRROR basic+ を使って実際にコーヒーを淹れてみました。結果はいかに……?

【結果】操作は簡単、劇的においしくなった!

梁川さんに教えてもらった、抽出時間(3分)と抽出量(160ml)を目指してドリップ(※)。3分はオーバーしたものの、スケールをチェックしながらのドリップはそこまで難しくなく、何度か使えばマスターできそうです。

淹れたコーヒーの味は……明らかにおいしい!いつも淹れているより豊かな風味が感じられます。 普段は量も時間も適当なので、コーヒー豆のポテンシャルを引き出せていなかったのかも……スケールを使う意味を実感しました!

※抽出時間と抽出量は豆の焙煎度合と杯数によって変動します

【使用レビュー②】ガイド付きスケールとは? ハイスペック商品の実力を検証!

コーヒースケールには、ドリッパーにお湯を注ぐタイミングとお湯の量を指示してくれる、ガイド付きのハイスペックな商品があります。ガイドに従うだけでおいしく淹れられたら、かなり便利。実際の使用感はどうなんでしょうか? 筆者と梁川さんで一緒に試してみました。

【試した商品】ブリューイスタのレシオスケール BWRRS1

今回は、ハイスペックな商品群の中でも比較的購入しやすい1万~2万円の価格帯からブリューイスタのレシオスケール BWRRS1をセレクト。

いくつかの機能がありますが、ドリップをガイドしてくれるのは「レシオ機能」と呼ばれるものです。

(下記写真)Target(緑の部分)に表示されるバーは「湯を注ぐ量1回」を示します。バーが1本表示されたら、それに従って1回湯を注ぎます。自分のアクションはActual(赤い部分)に示されるので、両方のペースが合うように注いでいく、というルールです。

簡単な仕組みではありますが、事前に抽出比率(コーヒーの粉の量と、湯の量の比率)を設定しなければいけない点だけがちょっと手間。

初期設定は1:17に設定されていて、1:10~1:20までの間で好きな比率を選ぶことができます。濃いめのコーヒーが好きなら1:10に近い値を、薄めのコーヒーが好きなら1:20に近い値を選びます。

今回のレビュー時は梁川さんが普段淹れている仕上がりに近い1:11に設定。さらに、風袋引きやタイマーの作動を自動で行う「オートモード」も併用してドリップしてみました。

▼レビュー動画はこちら

※上記商品は現在欠品中ですが、同様のガイド付き商品には以下のものがあります

【結果】味はプロのお墨付き!初心者にこそおすすめかも

機能を理解するまでは「もしかして使いにくい?」と一瞬不安になりましたが、説明書を読んで、実際にドリップしてみれば、問題なく使えるようになります。

このスケールの特徴であるレシオ機能は、ドリップに慣れない初心者にこそおすすめ。どのくらいの量のお湯を、どのタイミングで、どんなペースで落とせばよいか、ディスプレイに表示される目盛りを見れば一目でわかります。

ハンドドリップ初心者の筆者がオートモードで淹れたコーヒーは、梁川さんにも「いいじゃないですか!」と高評価でした。


タイプ別のコーヒースケールのおすすめ7選

この記事で紹介したモデル以外にも、Amazonと楽天にはコーヒースケールが数多くあります。その中から、購入しやすそうなものを編集部がピックアップしました。

【1000円台】計量ができるキッチンスケール

予算を抑えたい人に。キッチンスケールで豆の重さやコーヒーの抽出量を量り、キッチンタイマーやスマホのタイマーで抽出時間を計りましょう

キッチンスケールは、1g単位で、2kgまで計量できるものがおすすめ。1kgではあまり余裕がありません。信頼できるメーカーのものを3点紹介します。

コンパクトサイズで場所を取らない
ブラックでスタイリッシュな雰囲気
大画面で数字が見やすい

【シンプル機能】計量+時間計測ができるスケール

コーヒースケールひとつで計量と時間計測のどちらもやりたいという人におすすめのモデル。ボタンの配置や充電式・乾電池式などの違いがあるので、好みのものを選びましょう。

コンパクトサイズの充電式スケール
3kgまで計れる電池式スケール
ml、ozでも計測できる電池式スケール

【高機能】いろいろな付属機能があるスケール

ハンドドリップを極めたい人におすすめの高機能なスケール。高価ですが、注いだお湯の総量とコーヒーの抽出量を別々に計測できたり、注水の速度(流速)の計測やアプリへの記録などができたりと、おいしいコーヒーの淹れ方を探究できます。

注いだお湯の量とコーヒーの抽出量を別々に計測できる

写真:岡崎健志、構成:佐々木智恵美

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