1台あると何役にもなるマルチクッカー。忙しくて料理に時間がかけられない人や、レシピや献立選びに迷う人、一人暮らしでなるべくスペースを有効活用して調理したい人などにおすすめの便利な調理家電です。
マルチクッカーはその種類も機能も実にさまざま。それだけに、どれを選べばよいのか難しいと感じる方も多いかもしれません。
そこで調理家電のプロ、倉本さんにマルチクッカーの選び方とおすすめ商品を教えてもらいました。自分にぴったりの1台を見つけて、料理も自分時間ももっと充実させてみませんか。
倉本 春さん
白物家電やIoT家電、ガジェットなどのレビューをはじめとした最新情報を執筆し、雑誌、WEBなどで活躍。元ドッグカフェオーナー兼シェフという経歴から調理家電の使いこなしや犬用ガジェットなどの記事も多数執筆。AI搭載家電などの最新技術をわかりやすく解説する記事にも定評がある。
おすすめマルチクッカー11選
マルチクッカーってどんなもの?
料理が苦手な人におすすめ
料理好き、こだわり派の人におすすめ
ほったらかし調理ができるもの
コンパクトなもの
自分に合ったマルチクッカーの選び方
必要な容量で選ぶ
必要な機能に合わせて選ぶ
帰宅後すぐに食べたい人は予約機能付きを
蓋が外れるか、外れないか
おすすめマルチクッカー11選
マルチクッカーってどんなもの?

「マルチクッカーとは、基本的には電気で動く、複数の加熱調理ができる鍋のことです。それぞれの製品によって、どういった調理が可能かという点で大きく差があります。
基本的にどの製品も「煮る」ことはできますが、例えば圧力調理ができるか、無水調理ができるか、低温調理ができるのかといったことから、煮るといっても一定温度で煮続けるだけなのか、保温ができるのか、あたためられる温度の幅はどのくらいなのか、などといった細かな部分は製品によって様々です。
最近では「焼く」機能がついたマルチクッカーも登場しているので、肉を焼いてから煮るといった調理もマルチクッカー1台で完結できたり、製品によってはパンが焼けるものもあったります。」
料理が苦手な人におすすめ
あまり料理が得意でないという人にもおすすめの、自動調理メニューがあるものや、扱いやすいマルチクッカーを紹介します。
ティファール クックフォーミー CY8748JP
全250種類のレシピが内蔵された電気圧力鍋。作りたいレシピと人数を選択すると、材料や分量、調理手順を画面の表示で教えてくれます。圧力調理をはじめ、炒め、煮込み、蒸し、炊飯調理、保温、再加熱調理ができて料理の幅を広げてくれる一台です。
シロカ おうちシェフPRO SP-2DP251
圧力調理から無水調理、低温調理、スロー調理、発酵など1台10役の電気圧力鍋。生食材を腐らせずに長時間予約できる賢い予約機能があるので、外出前に食材をセットをしておくと、帰宅後すぐにできたての料理を食卓に出すことができます。大きく見やすいLEDディスプレイ付き。
「『蒸気ふた』がついていて、蒸気が勢いよく噴き出すのを防いでくれます。圧力鍋は蒸気が怖くて使いたくない、やけどしそうで怖いという人にもおすすめです。」
A-Stage Re・De Pot
密封構造で高温調理ができる2リットルの電気圧力鍋。スープや煮込み、炊飯などが可能で白米は浸水不要で4合が約25分で炊きあがります。ワンタッチで自動調理ができる8種類のオートモードもあります。
「炊飯がおいしくできるので炊飯器とマルチクッカーの2つを置く場所がないという人にもおすすめです。」
料理好き、こだわり派の人におすすめ
ある程度料理の基本がわかっていて、自分でいろいろと試してみたいという方におすすめのマルチクッカーです。
バーミキュラ ライスポット
炊飯のための鋳物ホーロー鍋と、自動で火加減を調整する熱源がセットになった炊飯器。炊飯だけでなく、無水調理やロースト、炒め調理、低温調理、発酵などができる調理機能もついています。5合炊きできるもののほかに、3合炊きのライスポットミニもあります。
「鋳物ホーロー鍋の有名メーカー、バーミキュラのご飯がとてもおいしく炊けるマルチクッカー。バーミキュラのホーローがそのままIHと組み合わさったもので、炊飯モードのほかに、炒め調理や無水調理、煮込み、低温調理もできます。
内鍋のバーミキュラのホーロー鍋と外側のIHの本体部分はそれぞれ単独でも使えます。別の鍋を使ったときにも温度設定とタイマー機能が使えるのでとても便利ですよ。」
TATUNG 大同電鍋 Mサイズ
加熱された水蒸気で食材をしっとり調理してくれる台湾の代表的な調理家電。水を注いでスイッチを押すと火加減不要で炊く、蒸す、煮る、温めるといった調理ができます。6合炊きのできるMサイズのほかに10合炊きのできるLサイズもあります。
「台湾のどの家庭にもあると言われている定番調理家電。内鍋と外鍋(本体)があって、鍋の中に水を入れると水がすべて蒸発するまで加熱してくれるという製品です。昭和の炊飯器のようなレトロなデザインで、炊く、蒸す、煮る、温めるができるマルチクッカー。蒸気で包み込むようにして温めてくれるので、例えばお肉を蒸したときなど、やわらかく、味がしみこむような仕上がりになります。
料理の基本がわかっていて、料理が得意だという人には使い勝手がよい一台なのではないでしょうか。」
ほったらかし調理ができるもの
Image: Amazon.co.jp
かき混ぜ機能がついたものや、予約調理機能がついたものなど、ほったらかし調理をかなえてくれるマルチクッカーです。
シャープ ヘルシオ ホットクック KN-HW24G
加熱の進み具合に合わせて適切なかき混ぜをしてくれる自動かき混ぜ機能がついたマルチクッカー。煮物や蒸し物以外にも、低温調理や泡立て機能なども搭載されています。最大15時間の予約調理付きなので、外出前にセットしておくと帰宅後すぐにあたたかい料理を食べることができます。
シロカ おうちシェフPRO
*重複のため商品紹介省略
アイリスオーヤマ 電気圧力鍋 3L ヘルシープラス
自動メニューが108種類あり、その中の52種類が低カロリーや塩分控えめ、低糖質などのヘルシーレシピになっている電気圧力鍋。カレーや豚角煮、おでんなど予約調理機能がついているので、食材をセットしておくと好きな時間にあたたかい料理が楽しめます。
「自動調理メニューが100以上あるのが特長のコスパのよい製品。料理が苦手な人にもおすすめです。」
コンパクトなもの
大きさもまちまちのマルチクッカーの中で、置き場所に困らないコンパクトなタイプを紹介します。
シャープ ヘルシオ ホットクック KN-HW10G
1~2人向けのコンパクトなタイプ。付属の蒸しトレイを使うと下の段でメイン、上の段でサブと2段同時に調理することができます。自動メニューは70種類。材料を入れると自動でかき混ぜや火加減を調整してくれます。満水容量は2リットル、調理容量は1リットル。
「筒形のコンパクトサイズ。一人用に向いています。下の段で炊飯をしながら、上の段でおかずを作ることもできます。」
アイリスオーヤマ 電気圧力鍋 2.2L PC-MA2
圧力調理、無水調理、煮込み、蒸し、低温調理など、1台何役にもなる電気圧力鍋。6種類の自動調理メニューがあり、白米やカレー、おでんなどの予約調理が可能です。満水容量は2.2リットル。高さを抑えたデザインなので、グリル鍋として食卓に出しても。
「自動調理メニューが6種類ある、コスパのよい機種です。」
イデアインターナショナル ブルーノ マルチ圧力クッカー
5種類の基本メニューがワンタッチで作れる電気圧力鍋。保温、あたため機能がついているので、いつでもあたたかい料理が食べられます。加圧時間を設定できる「マニュアルモード」や約80℃でじっくりと煮込む「スロー調理モード」もあります。
「シンプルに必要な機能(炊飯、煮込み、スロー調理など)が搭載された一台。中にじっくり味を通しつつ、やわらかく長く加熱するスロー調理ができたり、温めなおしモードがついていたりするのでマルチクッカーを試してみたい人にもおすすめです。」
ティファール ラクラ・クッカー コンパクト圧力調理鍋 CY3511JPA
圧力調理、蒸す、煮る、炒める、無水調理、低温調理、発酵の7つの調理モードに加え、玄米・白米の2種類の炊飯モード、3つのレシピモードがついた電気圧力鍋。球状の鍋が食材に均一に火入れをしてくれます。
「『クックフォーミー』よりも手動機能が充実しているマルチクッカー。通常のもののほかに『ラクラ・クッカー プラス』もあるのですが、プラスはパンも焼けます。比較的コンパクトなので小さいものがよい人にもおすすめの一台。」
自分に合ったマルチクッカーの選び方
必要な容量で選ぶ
「最初に決めるべきなのは必要容量です。人によって食べる量が違うので一概には言えませんが、基本的に満水容量が2リットルから2.5リットルくらいの小型のものは1~2人用といわれています。
一番普及しているサイズは満水容量が3リットルから4リットルくらい。炊飯時には5合炊きくらいになるので、だいたい炊飯器と同じくらいのサイズ感です。カレーを作ったら、5皿程度作れるので3人から4人用にちょうどよいのではないでしょうか。
大きなものになると4.5~6リットルくらいの容量(満水容量)があります。5~7人家族や、食べ盛りのお子さんのいる家庭などにおすすめです。容量があるので作り置きもできますし、カレーであれば10皿程度作れる大きさがあります。
容量が増えるほとマルチクッカーの本体も大きくなるため、置くためのスペースも必要になります。あらかじめどのくらいの大きさなのかサイズも調べておくようにしましょう。」
必要な機能に合わせて選ぶ
Image: GettyImages
「炒める機能が必要なのか、煮られればいいのか、圧力機能で時短調理がしたいのか、あるいは炊飯を週一でまとめ炊きするからご飯のおいしく炊けるものがよいのかなど、どういった機能が欲しいかをはっきりさせておきましょう。
マルチクッカーは圧力調理ができるものがほとんどですが、圧力調理ができるものには、気圧が高いものと低いものがあります。圧力値が高いほうが時短にはなりますが、カボチャの煮物などやわらかいものは荷崩れしやすくなることも。
製品によっては圧力が切り替えられるものもありますが、どこまでこだわるかにもよるので、圧力機能が必要な人は圧力の切り替えの有無を検討材料にしてもよいでしょう。」
帰宅後すぐに食べたい人は予約機能付きを

「朝に食材をセットして帰宅したらすぐに食べたいという人は、おかずなどが予約調理できるものを選ぶと便利です。最近では肉や魚といった腐りやすいものも、予約した段階で腐らない温度まで上げて、設定時間までに加熱調理する機能がついた製品が登場しています。
予約機能があっても炊飯しかできなかったり、予約機能のついていないものも意外と多いので求める機能があるか確認することをおすすめします。」
蓋が外れるか、外れないか

「マルチクッカーのなかには、蓋が完全に分離するタイプと、炊飯器のように完全には外れないタイプがあります。
完全に蓋が開くタイプであればそのまま食卓に出せたり、卓上で保温しつつ家族の分を取り分けたりすることもできます。
蓋の置き場所に困るという人は、蓋と本体が一体になったものがよいかもしれません。ライフスタイルに合わせて選ぶようにしましょう。」
ますます進化を続けるマルチクッカー
倉本さんによると、昔は圧力機能がついているというのがマルチクッカーのセールスポイントだったのが、最近ではどこまで気圧が上がるかといったことが明記されるようになったり、減圧が自動でできるものも出てきたりしているとのこと。
自動調理機能のメニューもこの5年くらいの間に増え、スマートフォンでメニューが調べられたり、液晶画面にメニュー名が表示されて選びやすくなったりと、マルチクッカーはますます進化し続けているようです。
より使いやすくなって、私たちの生活を豊かにしてくれるマルチクッカーをぜひ試してみませんか。
TopImage: Amazon.co.jp