料理監修:渡辺あきこ 撮影:合田昌弘
仕事で大失敗して落ち込んでいたとき、レストランのランチで出されたお味噌汁に救われたことがあります。
スーッと体に染み込んで、泣きたくなるほどおいしかった、あの味。「煮干しだし」だったことはわかるのですが、自分ではなかなか再現できませんでした。
それが『調理科学でもっとおいしく定番料理(2)』(朝日新聞出版)のレシピで、ついに思い出の味と巡り会えたんです。
内臓は「背側」から割くとポロリと取れる

(『調理科学でもっとおいしく定番料理(2)』43ページより)
自分でつくると、なんとなく雑味が気になっていた煮干しだし(いりこだし)のお味噌汁。本書を読んで、恥ずかしながら「煮干しの内臓のとり方」がまちがっていたことに気がつきました。
頭をとったら、魚の背側の端に内側から両親指の爪の先を差し込んで割くと簡単。内臓もポロリと取れる。
(『調理科学でもっとおいしく定番料理(2)』43ページより)
煮干しの頭をきれいにとると、背側の先端が手前よりもツンと尖ります。そこに爪を入れるようにして左右に開くと、きれいにパカッと割れて、黒曜石のような内臓の部分がポロッと取れるんです。
今までは頭をむしって、脇腹からなんとなく内臓をとって……という感じだったのですが、正しくやると簡単なうえに、快感。
2人前1回分の15g(15~16匹ぐらい)もあっという間です。
きれいに下処理した煮干しでとっただしは、本書の表現の通り「コクがあるのにすっきりした味わい」。
煮干だしは鰹節&昆布とくらべるとワイルドだな~と思っていたのですが、自分の適当な処理のせいだったのね、と反省しました。
「一晩、水出し」でまろやかな味に

(『調理科学でもっとおいしく定番料理(2)』42ページより)
次に、煮出すときの時間の目安ですが、本書のおすすめは以下の通り。
煮干しのうま味や香りの成分は水に漬けることで溶け出し、加熱で複雑さを増します。
30分漬けて7~8分煮出すのを標準とすれば、漬け時間を6時間に延ばして煮出すのを省く方法もあり、比べるとまろやかに感じます。
(『調理科学でもっとおいしく定番料理(2)』42ページより)
両方試してみたところ、前の晩から漬けておいた煮干しだしのお味噌汁が、あの店の味に一番近い気がしました。老夫婦がお二人で切り盛りしていて、最初は「なぜビストロでお味噌汁?」と思ったけれど、みるみる疲れがとれてびっくりしたっけ。
煮干しだしの使い方は、ほかにもうどん、おでん、根菜類と相性がいいのでけんちん汁、ゴボウや里芋などの煮物にも。
煮干しだしは韓国の家庭の定番なので、キムチチゲにもぴったりとのこと。寒くなるこの先、心も体もほっこりさせたいときの料理に、いろいろと役立ってくれそうです。
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イケアの逸品であの黒いハンガーの使い勝手がぐーーんとアップしたんだ