おいしいコーヒーを淹れるのに必須アイテム、コーヒーミル。電動と手動がありますが、手動のミルは、ゴリゴリと挽く音や香りなど、コーヒーを淹れるプロセスを楽しめるのが魅力。
「手動ミルは、挽き立てのコーヒーを飲めるのが魅力。どんなに安いモデルで挽いたとしても、粉で買ってきたものより圧倒的に美味しいです。
高価格帯のモデルほどスムーズに挽きやすいのですが、手動で挽くのが面倒になり使わなくなることもあるので、まずは2,000円程度のモデルから選ぶのがおすすめ。デザインや、普段飲む量に合わせて容量にも注目してみてください」
今回は、手動ミルの選び方をバリスタグランプリ受賞バリスタの松本卓巳さんが解説。また、松本さんのアドバイスのもと、編集部おすすめの手動ミルを「リーズナブル」「高級」とタイプ別にピックアップしました。
松本卓巳さん
2013年よりフリーランスのバリスタ 「Alba」 として活動。2018年JBA-日本バリスタ協会主催のバリスタグランプリで優勝。東京スイーツ&カフェ専門学校、国際製菓専門学校でドリンク・バリスタ講師を務める。イタリアのMARCAFE社の日本で唯一の公認バリスタに就任。日本バリスタ協会(JBA)認定バリスタ 、イタリア国際カフェテイスティング協会(IIAC)認定エスプレッソ。
▼おすすめ商品紹介▼
【バリスタおすすめNO.1】手動コーヒーミル
【人気商品から厳選】手動コーヒーミルおすすめ7選
【リーズナブル】おすすめ手動コーヒーミル
【高級】おすすめ手動コーヒーミル
▼コラム▼
手動ミルのお手入れ方法
手動コーヒーミルとは?使い方

手動コーヒーミルは、コーヒーの豆をカットして粉状にするアイテム。「ハンドミル」「手挽きミル」とも呼ばれます。使い方は簡単で好みの挽き具合に設定して、豆を入れてハンドルを回すだけ。
手動コーヒーミルのメリット
【手動コーヒーミルの魅力】
1.挽き立てのコーヒーを飲める
2.淹れる時間を楽しめる
3.おしゃれなデザインが豊富
4.コンパクトで持ち運び・収納がしやすい
手動コーヒーミルは、レトロでおしゃれなデザインが豊富。置くだけでインテリアにもなります。コンパクトで持ち運びがしやすく、電源不要なのでアウトドアでも使いやすいです。
「手動ミルは、挽き立てのコーヒーを淹れられるのがいちばんの魅力。コーヒーは粉の状態になった瞬間から劣化するスピードが急激に早くなります。どんなに安いミルで挽いたとしても、粉の状態で保存した豆を使うよりは、挽き立ての豆で淹れるほうが圧倒的においしいです。
また、ハンドルをゴリゴリと回す感覚や豆を挽いているときの香りなどの、雰囲気を楽しめるのが醍醐味。休日など時間に余裕があるときに、1杯1杯丁寧にゆっくりコーヒーを淹れるのは贅沢な時間の使い方です」
電動コーヒーミルとの違い

コーヒーミルの種類には「手動コーヒーミル」の他に「電動コーヒーミル」があります。手動と電動の向いている用途を松本さんに教えてもらいました。
「手動ミルは、挽くのに時間が2~3分ほどかかり、ミルを回す手が疲れます。時間がある休日などに、淹れる時間を楽しむ用途向き。
電動ミルは、豆を入れてボタンを押すだけで自動で豆を挽けます。手が疲れることもなく、早ければ数秒で豆挽きが完了。ラクにスピーディーに挽けるので、日常使いに向いています。忙しい朝や、毎日コーヒーを淹れたい人にはおすすめ。
また、電動ミルは一度に10杯分以上など大量に豆を挽けるのも特長です。手動ミルは2杯程度までしか挽けないものがほとんど。手動ミルで3杯以上挽けるものもありますが、3杯ともなると時間と手間も大分かかるので、一度に3杯以上の豆を挽きたい人は電動ミルがおすすめ」
▼電動コーヒーミルのメリット・選び方・おすすめ商品は以下の記事でご紹介
手動コーヒーミルの選び方
ここからは、手動コーヒーミルの選び方のポイントを5つに絞って解説。
1.価格
2.デザイン
3.種類
4.容量
5.粗さ調節
価格
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手動コーヒーミルの価格帯は安いモデルで2~3,000円程度、高価なモデルで5万円前後のものもあります。
「手動ミルは、価格=性能と捉えてよいでしょう。高価なモデルほど回しやすく挽くときの抵抗が少なく、少ない力で挽ける傾向があります。回しにくいものは、使うのがストレスになり使わなくなることも。スムーズに挽けるモデルは、長い間使い続けやすいでしょう。
また、1万円以上の高価なモデルは挽いたときの粒の大きさの揃い方がキレイで、おいしいコーヒーを淹れやすいです。
ただ、手動ミルは挽くのが面倒になり使わなくなることも多いアイテムです。高価なモデルは長く使いやすいとはいえ、買って使わなくなるのはもったいないです。初心者は2~3,000円程度の安いモデルから試してみるのがおすすめ」
【コラム】挽いた豆の粒の大きさが揃っていたほうがよい理由
「コーヒーは、粒が小さいほど早く成分が抽出されて、粒が大きいとゆっくり成分が抽出されます。粒の大きさが不揃いだと、適切に抽出することができません。豆本来の味わいを引き出すには、粒の大きさが揃っていることが重要なのです」
デザイン

「手動ミルを選ぶ時はデザインも非常に重要。好みのデザインのミルを使うと、気分が乗ってコーヒーを淹れる時間をより楽しめるようになるでしょう。
私は、ドリッパーとサーバーと同じメーカーのミルを選んでデザインを統一することもありますね。
手動ミルは、インテリアにもなるアイテムで、棚の上に置いて見せる収納もできますよ」
種類
Image: Amazon.co.jp
手動ミルを大きく分けると「持ち運び型」「据え置き型」の2種類。利便性やデザインを考慮してどちらにするかを決めましょう。
・持ち運び型
「持ち運び型は、筒状でしっかり掴んで回しやすいのが特長。挽いた粉をフィルターに移しやすく、お手入れのしやすいモデルも多いです。利便性重視の人におすすめ。
コンパクトで持ち運びがしやすいので、アウトドア用にも向いています。ハンドルを折りたためるタイプは、バッグにも収納しやすくキャンプのときにもぴったり」
▼ハンドルを折りたためるタイプ

・据え置き型
据え置き型は、土台が付いており、卓上に置いて使うタイプ。アンティーク調のデザインが豊富で、おしゃれなインテリアアイテムとしても使えます。
「据え置き型は、デザイン重視の人から人気。持ち運び型に比べると、挽くときに抑えつける必要がありスムーズに挽きにくいです。
また、手動ミルは分解しやすいモデルほどお手入れが簡単ですが、据え置き型の多くが本体と刃が分解できず、細かい部分にブラシが入りにくく掃除が難しいです。
蓋がないモデルは、挽いているときに豆がはじけて溢れたり、使わないときにホコリが中にたまったりしますよ」
▼蓋がないモデル
Image: Shutterstock
容量
コーヒー1杯あたりに必要な容量は10~15gほど。手動ミルの容量は20g程度のモデルが多く、なかには30g以上のモデルもありますよ。
「容量が足らずに2回に分けて挽く必要があると面倒。普段どのくらいの量を飲むかに合わせて容量に注目しましょう。
淹れるコーヒーによって1杯あたりの適正な豆の分量が異なります。最近のコーヒーは1杯あたり12~15g程度が適正な分量であることが多いです。
昔からある商品は1杯あたり10gで計算されていることが多いので、2杯挽けると謳われているものでも、1杯程度しか挽けないことがあるので注意が必要」
粗さ調節

手動ミルは調節ネジを回すことで、豆の粗さを調節することが可能。粒が細かくなるほど苦味が出やすくなり、粒が粗くなるほどすっきりとした味になりやすいです。
製品によって調整できる段階は異なります。少ないもので10段階程度、幅が広いものは60段階程度調整できるものも。
「コーヒーに詳しくない初心者は、段階が少ないほうがシンプルで使いやすいです。
細かく味を調整したい上級者は、なるべく段階が多いモデルがおすすめ。高価格帯のモデルほど調整できる挽き目の幅が広いモデルが多いです。
また、エスプレッソが淹れられるほど細かく挽けるモデルは非常に少ないです」
バリスタおすすめNO.1の手動ミル
ここではバリスタグランプリ受賞バリスタの松本さんのおすすめNO.1商品を「リーズナブル」「高級」からそれぞれ選んでいただきました。
リーズナブルおすすめNO.1:ハリオ セラミック スリム MSS-1TB
価格が安く、使いやすい

「あまり高いものを買っても使わなくなったらもったいないので、最初の一台は、安いミルを選ぶとよいです。ハリオのセラミックスリムは非常に価格が安いのでおすすめ。安いなかでは、十分使いやすいですよ」
容量は24gで約2杯分のコーヒーが淹れられます。粉を溜める部分が透明なので挽いた粉の量も確認しやすいのも特長。ハンドルを本体に引っ掛けて、コンパクトに収納できますよ。
高級おすすめNO.1:Comandante(コマンダンテ) C40 MK4 ニトロブレード
最高峰の手動ミル!挽きやすさ重視の人におすすめ

「いくらでも出せるならコマンダンテ一択。挽きやすさは圧倒的ですね。デザインもとってもかっこいいです。エスプレッソを抽出できるほど細かくできる数少ないミルのひとつ」
鋭い刃の「ニトロブレード」を採用。最小限の力でスムーズに挽きやすいです。粒も均一に揃いやすいので、コーヒーの味にこだわる人にもおすすめ。洗練されたおしゃれなデザインで所有感も満たされますよ。容量は40gで一度にたくさん挽きやすいです。
手動コーヒーミルおすすめ7選
おすすめの手動コーヒーミルを人気商品から厳選してご紹介。松本さんにお聞きした選び方のポイントや、Amazon・楽天などの人気通販サイトのランキングや口コミを参考に選出。
【リーズナブル】おすすめ手動コーヒーミル
ポーレックス2 コーヒーミル
容量が大きく、持ち運びも簡単

ロングセラーのポーレックスのミルのリニューアルモデル。ハンドルの取り外しもできるので、持ち運びがしやすいです。アウトドア用にもおすすめの一品。
容量が大きく、一度に約30g(約2~3人分)を挽くことができるのも魅力。分解や組み立ても簡単で、お手入れがしやすいです。セラミック製なので金属臭が苦手な人にも向いています。商品重量は270g。
キャプテンスタッグ 18-8ステンレス ハンディー コーヒーミル S(セラミック刃)
容量は少なめで、非常にコンパクト

アウトドアの人気ブランド「キャプテンスタッグ」が手掛ける手動ミル。価格が安く、外出先で使いやすいのが魅力の一台。素材に「18-8ステンレス」採用で、耐久性が高く壊れにくいです。
容量は17gと小さめですが、重量が219gと非常に軽量。サイズも小さく、ハンドルの取り外しも可能ですよ。キャンプにもっていく荷物をすこしでも軽くしたい人におすすめ。
TIMEMORE(タイムモア) コーヒーグラインダー C2
1万円以下で買える、高性能なモデル

ある程度予算を抑えつつ、挽きやすく使い勝手のよいモデルがほしい人にはおすすめ。高硬度の刃を採用で、挽き目も均一になりやすいです。
ダイヤモンド・パターン加工が本体表面に施されており、滑りにくく少ない力で回しやすいです。直径52mmで手の小さい人でも握りやすいですよ。挽き目は約36段階調整可能。容量は20g。
TIMEMOREはおしゃれなデザインが特長のコーヒー器具メーカー。他のアイテムと一緒に揃えて統一感をもたせるのもおすすめ。
カリタ コーヒーミル 手挽き KH-3AM #42188
おしゃれ&価格が安い据え置き型

コーヒー機器の超定番メーカー「カリタ」が手掛ける手動ミル。
据え置きのなかでも、とくに価格が安いのが魅力。アンティーク調のデザインは置くだけでおしゃれなインテリアになりますよ。
蓋がついていないので豆が飛び出ることもありますが、投入口が広いので豆は入れやすいです。容量約35gで一度に3杯分を挽くことも可能。
メリタ コーヒーミル クラシック MJ-0503
格式の高いクラシックスタイルのデザインを好む人向き

華やかさや優雅さが感じられる「クラシックスタイル」のレトロなデザインが魅力です。落ち着いた木目のデザインがおしゃれ。価格は安いですが、高級感があります。
コンパクトなサイズ感なので、置き場所にも困らないですよ。使いやすさよりも、デザイン重視の人におすすめ。蓋はついていないタイプ。
【高級】おすすめ手動コーヒーミル
1Zpresso コーヒーグラインダー Zpro
挽き目調節がしやすいのが魅力

高性能な金属ペアリングを採用することで、挽くときに刃がブレるのを抑えます。粒の揃い方がキレイで、雑味の少ないクリアな味わいのコーヒーが楽しめますよ。刃の切れ味も鋭く、挽きさすさも優秀。
挽き目調節が簡単なのが特長。一般的な手動ミルのように分解する必要がなく、上部のダイヤルを回すだけで調整ができます。60段階調整可能。可愛らしく高級感のあるデザインも魅力です。
プジョー コーヒーミル ノスタルジー 841-1
エスプレッソも挽ける、据え置きタイプ

据え置き型の高級手動ミル。「プジョー」は1810年から続くフランスのブランドで、ヨーロッパでは手動ミルの代名詞として普及しています。
「ノスタルジー」はドーム型の形状がおしゃれ。強靭なつくりの金属製の螺旋刃は、豆を均一にカットしやすいです。エスプレッソ用の豆を挽けるのも魅力。容量は26g(約2杯分)を挽けますよ。
手動ミルのお手入れ方法

「手動ミルの基本的なお手入れ方法は、分解して刃に付着した粉を取ること。つまようじやブラシでなぞれば簡単に取れます。
水洗いできるモデルもありますが、つまようじで粉は簡単に取れますし、コーヒーは湿気が苦手なので僕は水を使わないです。もし水洗いするなら、しっかり水滴を拭き取る必要があります。
お手入れの頻度は、毎日使うなら月1回ほど、週末しか使わないなら2~3か月に1回ほどで十分」