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キャットタワーは上下運動が大好きな猫の運動不足解消に役立つだけでなく、高いところが好きな猫のリラックスできる場所にもなるので、ぜひ準備してあげたいアイテムのひとつ。

とはいえ、キャットタワーを置くためにはある程度のスペースが必要ですし、安くはない買い物なので失敗したくないですよね。

キャットタワーを選ぶときは猫にぴったりのものであることはもちろん、大きさやデザインなど、インテリアに合うかどうかも重視したいもの。

猫が使いやすくておしゃれなキャットタワーはどんなものなのか、さまざまな猫グッズをプロデュースしてきたCat’s ISSUE太田メグさんと理想のキャットタワーを考えます。

太田メグさんのイメージ

太田メグさん
SUNDAY ISSUE代表、Cat’s ISSUEディレクター。2010年にアートラウンジ「SUNDAY ISSUE」をオープン。多くの企画展・イベントを行う。現在はネコ好きクリエイターと共に、ネコへの「偏愛」を発信するプロジェクト「Cat’s ISSUE」で、ポップアプストアでの商品販売やネコに関する企画・プロデュースに携わり、利益の一部で猫の保護活動を支援している。
愛猫コムタンと家族の日々の記録をインスタグラムにて発信中。
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猫グッズ選びや猫グッズ制作で心がけていること

愛猫コムタンと暮らしている太田さん。猫のための道具を選んだり、猫グッズを制作する際はどのようなことを心掛けているのでしょうか。

人間と猫とを分けて考えない

「コムタンが使っているソファーは人間用のソファーをそのまま犬や猫用のサイズにしたものなのですが、子供用のソファーとしても使えるサイズなので、息子が小さい頃はよく一緒に並んで座っていました。

このソファーのように、猫のものを買うときには猫用のものを探すというより、アンティークのお店やフリーマーケット、蚤の市といったおもしろいものが見つかりそうな場所で『子供用だけどこれは猫にいいかも』とか『赤ちゃん用だけど猫にどうかな』といった感じで、人間のものと猫のものとをあえて分けずに探すようにしています。」

猫にとっても人にとっても心地よい食事台

猫のためのテーブル「Cat’s Table Kit」(現在は販売終了)はCat’s ISSUEと広松木工のコラボレーションで作られたもの。

「この猫用テーブルの脚の部分は、実際に広松木工さんで作られているスツールの脚の形に似せて作りました。

猫のためのものを作るとき、猫が使いやすく負担にならない高さなど、実用的な部分は測ったり調べたりしますが、デザイン面では人間が使う家具の中からデザインを抽出するなど、生活の中で違和感のないものにすることを心掛けています。

よくある猫用の食事台は決まったお皿が備え付けられているものが多いのですが、テーブルのようなものであれば洗いやすいし、いろいろなお皿が使えて楽しいと思って、あえてこういった作りにしました。縁に高さを出しているので、お皿を並べても落ちにくいんです。

粒の大きなキャットフードを食べるとき、液状のものを食べるとき、息子の作った器でチュールを食べるときなど、食べ物によって器を使い分けて、テーブルに並べています。」

キャットタワーの上手な選び方とかいサポ編集部セレクト9選

運動不足やストレス解消に役立つだけでなく、リラックスできる場所でもあり、爪とぎもできるなど、一台で何役にもなるキャットタワー。たくさんの種類がありますが、どこを見て選べばよいのでしょうか。

安全性を重視して選ぶ

据え置きタイプ
Image: Amazon.co.jp
突っ張りタイプ
Image: Amazon.co.jp

キャットタワーには据え置きタイプのものと、天井に突っ張り棒で固定する突っ張りタイプのものがあります。

据え置きタイプのものは全体の高さが低めに作られていて、部屋にそのまま置けるので、設置が簡単であるという点がメリットです。デメリットとしては、幅を取るものが多いこと、しっかりと固定されていないため、猫の体重によってはぐらつく場合があることです。

突っ張りタイプはしっかりと固定するため倒れにくく、縦に高さがあるため、スリムな作りのものが多いという特徴があります。一方で正しく取り付けるために手間がかかるという面も。

それぞれに耐荷重があるので、多頭飼いの場合は合計の重量に耐えられるかという面にも注意が必要です。

「家を改装するときにキャットタワーを取り付けることも検討したのですが、年齢もあるのか、コムタンはあまり高いところに飛び移らないようになり……。体も大きいですし、足腰の負担も心配なのでキャットタワーは使っていないのですが、使うとなったらやっぱり気になるのは安全面。

猫は高いところが好きでよく飛び乗ったりするので、一番上に登ってもグラグラ揺れにくい、安定性のあるものがよいですね。」

滑り止めがついているタイプ

キャットタワー全体に猫が滑りにくい素材が使われているものや、猫が上り下りをする部分に滑り止めがついているもの・付けられるものは足元が滑らず安心です。

PETEPELA(ぺテぺラ)キャットタワー 木製 滑り止めマット付き

強力なマジックテープで付けられた滑り止めマット付き。クッションは取り外して洗うことも可能です。

Image: Amazon.co.jp

ottostyle.jp キャットタワー TOTEM ナチュラル

高さが調整できる棚板に、滑り止め付きの棚板マットがセットになっています。マットは取り外して洗えるので、清潔に保てます。

Image: Amazon.co.jp

突っ張り棒で固定できるタイプ

天井に突っ張り棒で固定できるタイプは安定性が高く、多頭飼いなどにも安心です。組み立てや取り付けに必要な道具や人数は事前に確認しておきましょう。設置した後も緩みや歪みがないかなど、定期的なチェックが必要です。

ボンビアルコン キャットポール

天井の高さ220cm~265cmまで調整可能な突っ張りタイプのキャットタワー。省スペースで設置が可能です。

Image: Amazon.co.jp

オッポ (OPPO) キャットフォレスト

ステップの高さや向きが変えられる突っ張りタイプのキャットタワー。天井の高さは約223~約270cmまで調整可能です。

Image: Amazon.co.jp

上下運動ができるものを選ぶ

Image: Amazon.co.jp

猫は登ったり降りたりジャンプしたりすることを好みます。猫の運動不足解消や肥満予防のために、登れるところが複数あるものなど、しっかりと上下運動できるものを選びましょう。

ただし、子猫やシニア猫の場合は極端に高いものを使うと落下の可能性もあるため、猫の体力に合った高さのものを選ぶことも大切です。

年齢に合ったものを選ぶ

Image: Amazon.co.jp

「猫は家族の一員になると、20年以上一緒ということもあるくらい長いお付き合いになりますが、その中で猫も歳をとったり病気をしたりといろいろと変化があると思います。

元気なときは高いところにぴょんぴょんジャンプしていても、シニア猫になるとあまり高いところに上がらなくなるので、そのときどきに合わせて買い替えたり、キャットタワー自体の形を変えたりできるものがあるといいですね。

シニア猫と若い猫を飼っている方は、若い猫用にキャットタワーを買う場合もあると思いますが、シニア猫が上の方に登ってしまうと危険なので、高すぎないものを選ぶという配慮も必要かもしれません。」

シニア猫向けのタイプ

高いところが好きな猫も歳をとると足腰や関節が衰えてしまいます。シニア猫には段差が低いものや、全体の高さが低めのキャットタワーを選びましょう。

PAWZ Road キャットタワー 爪とぎポール コンパクト

高さ83.5㎝と高すぎないサボテン型のキャットタワー。張り材には高級起毛素材が使われています。

Image: Amazon.co.jp

PEPPY(ペピィ) ローステップタワー

シニア猫にも登りやすい段差や幅にこだわったキャットタワー。表面には滑りにくいワッフル状の生地が採用されています。

Image: Amazon.co.jp

上から見渡せるものを選ぶ

Image: Amazon.co.jp

「猫って人間の目が届かないところから人間を眺めていたいという欲求があるので、キャットタワーの一番上にいることも多いと思うのですが、猫の好きなところに居場所を作ってあげられるものもよさそうですね。

とくに突っ張りタイプは倒れないように取り付けられて、高い場所に登れるので、若くて元気で高いところが好きな猫を飼われている方によいのではないでしょうか。」

上に居場所のあるタイプ

猫は高いところから下を見下ろす習性があるので、上部に十分なスペースがあるものを選ぶことで、キャットタワーが猫が落ち着ける居場所になるでしょう。

キャティーマン Nekoリビング キャティ―ポール

高さや配置を自由に変えられるポールタイプのキャットタワー。それぞれのステップには滑り止めも付いています。

Image: Amazon.co.jp

パーツを付け替えられるものを選ぶ

Image: Amazon.co.jp

「キャットタワーは部屋の中でも結構なスペースをとるので、爪とぎの部分などがボロボロになった場合、そのまま置いておくのは少し抵抗があります。

爪とぎのパーツなど、ボロボロになったところを部分的に交換できるものであれば見た目にもきれいですし、清潔さも保てるのでいいですね。」

爪とぎ部分が取り替えられるタイプ

柱の部分などに爪とぎ用のパーツが使われているものは、猫が繰り返し爪とぎをすることでボロボロになってしまいます。爪とぎ部分が取り外せて交換できるものであれば、いつでもきれいに保つことができます。

KARIMOKU CAT TREE

カリモク家具が作るキャットタワー。爪とぎ用綿縄パーツは別売されているので、パーツを取り換えることも可能です。

Image: Amazon.co.jp

キャティーマン モダンルームスクラッチ ラージ

置き型タイプのキャットタワー。麻紐巻きとカーペット巻きの柱はそれぞれ別売もされているので、ボロボロになったら交換することも可能です。

Image: Amazon.co.jp

<替えのポール>

長く使えるものか、割り切って使えるものを

「できれば長く使えるものを、という気持ちはありますが、猫が小さいうちは爪を頻繁に研いだり運動量が多かったりするので、その時期は消耗品と割り切ってキャットタワーを選ぶのもひとつの方法かもしれません。

2、3年経って、ある程度行動が読めるようになったタイミングで長く使えるものに買い換えると失敗が少ないかもしれませんね。」

便利なサブスクリプションサービスも

月々の利用料を支払うことで、お試しでキャットタワーが使えるサービスもあります。猫が気に入ってくれるか不安という方はこういったサービスを試してみてはいかがでしょうか。

THI THI PET レンタル

https://www.thithipet.com/?mode=f2

サブスクライフ

https://subsclife.com/list/ca-102403

「いいものを選びたいと思う一方、猫は好みが激しいのでせっかく買ったのに全然使ってくれないという可能性も。

猫が気に入ったらそのまま買えますし、お試しができるシステムはすごくいいと思います。」

太田さんが考える理想のキャットタワー

もし理想の猫ベッドが作れるとしたら、どんな猫ベッドを作りますか?

「家具として壁についているものが理想です。それでいて例えばパーツを付け替えられたり、段数や幅を調整できたり、メンテナンスできたりするような長く使えるものを作りたいですね。

そうすると5年おきくらいに見直して、猫が歳をとって上の方に上がらなくなったら一番上のパーツを外すとか、上の方を歩けなくなったら、そこを本棚にするとか、若い猫が来たらその猫に合うものに変えるといったこともできるので。

子供の成長に伴って生活スタイルや家の中が変わっていくように、猫が使うものにも変化が必要だと考えているので、長期的なことをイメージして作りたいです。

もうひとつ、まだ実現はしていませんが、キャットタワーのように運動できるものとして、螺旋階段を作りたいと思って構想を練っていたことがあります。

螺旋階段だと猫が移動する距離のわりにスペースを取らないですし、猫も上から様子を見られるので楽しいのではないかなと。

いつか理想のキャットタワーをCat’s ISSUEで実現したいと思っています。」

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