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北米で数年前から流行し、注目を集めている飲料、ハードセルツァーを知っていますか? アルコール入りの飲料を意味する「ハード」と炭酸水を意味する「セルツァー」という言葉の通り、ハードセルツァーはアルコール入りの炭酸水です。

スッキリとした味わいが魅力で食事のお供にもぴったりのハードセルツァーですが、これまで日本で売られていた缶チューハイなどとどう違うのでしょうか。

あえてアルコール飲料を飲まない・または少量しか飲まないという「ソバーキュリアス」というライフスタイルが欧米や、日本でも広がりつつありますが、ハードセルツァーはこの流れに乗るものなのでしょうか。

ハードセルツァーやおすすめの商品について、缶チューハイ研究家のストロングおじさんに教えてもらいました。

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監修 ストロングおじさんさん
年間千本以上の缶チューハイを飲む、缶チューハイ研究家。開栓してすぐ飲める缶・瓶入りのチューハイやハイボールRTD(Ready to Drink)を日々研究し、新製品レビューや製品開発・プロモーション企画などの支援を手がける。得意のパワポを活かし、さまざまなRTDを分かりやすく伝えている。
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ストロングおじさん

日本で買える!おすすめハードセルツァー5選

アメリカで売られていたものが日本でも輸入・販売されるようになったものや、日本の飲料メーカーが独自に開発したものなど、ストロングおじさんに今買えるおすすめのハードセルツァーを教えてもらいました。

日本で売られているハードセルツァーには、本場アメリカのものに近い、低糖質・低カロリー薄味のストイックなものと、日本のチューハイに近い、比較的果実感や甘さがあるものの大きくわけて2通りあります。

ストイック系

ハードセルツァーの原点に近い、低糖質または糖質ゼロで果実感も控えめなもの。日本のチューハイに慣れた人にとってはかなりストイックに感じると思います。

ニュートラ ライム 355mL

Image: Amazon.co.jp

クラフトウォッカを使用したライムが香る糖質ゼロ・無糖のハードセルツァー。ライムのほかにレモン、グレープフルーツ風味もあります。アルコール度数は5%。

バドワイザーやコロナビールを扱う世界一のビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベブが販売しているハードセルツァー。ハードセルツァーはアルコール度数が低いものが多いのですが、これは5%なのでわりと飲みごたえがあり、かつ果実感もすっきりしているので、ハードセルツァーでありながら辛口チューハイのような感覚でも飲めます。

海外のハードセルツァーはベリー等の甘めの果実を使用したフレーバーが人気のようですが、こちらは柑橘系なので柑橘系のチューハイに馴染みのある日本の方にも飲みやすいのではないでしょうか。今回紹介する商品のなかで最も推しているハードセルツァーです。

アサヒVIVA レモン 355mL

Image: Amazon.co.jp

シンプルでスッキリとした味わいのハードセルツァー。アルコール度数は3%。レモン風味の他にグレープフルーツ風味もあります。

アサヒビールの商品で、味わいはすっきり系。アルコール度数が3%で果実感も抑え気味で全体的に控えめな印象です。

チューハイライク系

アサヒ フルーツァー レモンライム 355mL

Image: Amazon.co.jp

人工甘味料を使っておらず、果汁由来の自然な味わいが特徴の1本。レモン&ライムの他にグレープフルーツ風味もあります。アルコール度数は4%。

ハードセルツァーのわりには比較的甘さと果実感があります。果汁や糖類の添加もやや多めです。一般的なチューハイに比べるとあっさり系ではありますが、ハードセルツァーのなかではどちらかというとチューハイに近い感じです。日本ではこれが一番売れているようです。

中庸系

基本的には糖質控えめのスッキリ系ですが、フレーバーにピーチやベリーなどを使っていて、甘い香りのあるものです。ストイック系とチューハイライク系の中間に位置するカテゴリーです。

スミノフ セルツァー ホワイトピーチ 250mL

Image: Amazon.co.jp

ウォッカをベースとしたハードセルツァー。ホワイトピーチがやさしく香る、ほどよい甘さのスッキリした味わいの1本です。アルコール度数は4%。

甘い香りがする桃のフレーバーが使われていますが糖類の添加は少なめなので、気分だけ味わいたいときなどによいかもしれません。個人的には柑橘系のものの方が好みです。

コナ アイランドセルツァー トロピカルパンチ 355mL

Image: 楽天

パイナップルやチェリー、グレープなどの甘くトロピカルな香りが特徴の無糖ハードセルツァー。アルコール度数は5%。

飲んだ瞬間は、トロピカルフルーツの華やかな香りが広がってきますが、後味は驚くほどドライでスッキリしてます

ハードセルツァーってどんなものなの?

Image: GettyImages

チューハイとどう違う?

チューハイに近い飲料ですが、チューハイのように果実感がしっかりしたものというよりは、フレーバー炭酸水のようなほのかな香りづけをした製品が多いのが特徴です。

低カロリー、低糖質が魅力

ハードセルツァーの大きな特徴として、低カロリー低糖質低アルコール度数薄味という点が挙げられます。
ハードセルツァーのベースのお酒には、元々はサトウキビ由来のグルテンフリーの醸造酒が使われていたようですが、今ではウォッカベースのものもハードセルツァーとして売られています。日本の缶チューハイが必ずしも焼酎ベースでつくられていないように、厳密に定義されているものではないと思われます。

ハードセルツァーの楽しみ方

Image: GettyImages

ハードセルツァーは基本的に甘さ控えめですっきりしているので、どんな食事にも合わせやすいです。

ただ、ベリーやピーチなどの甘い果実系のフレーバーのものは香りにやや癖があるので、繊細な味わいのものと合わせるのには向かないでしょう。

日本のハードセルツァー市場の現状は

ハードセルツァーは日本の大手メーカーからも発売されているので、スーパーやコンビニで見かけたことがあるという方も多いかもしれません。

実際に日本でも親しまれるようになってきたのでしょうか。

実は、発売されたものの、販売中止となってしまったハードセルツァーがいくつかあるなど、日本におけるハードセルツァー市場は必ずしも盛り上がっているわけではありません。

普段あまりアルコール飲料を飲まない人がアルコール飲料を飲むときは、例えば「ほろよい」のように、アルコール度数は低くても、味や甘さがしっかりついた満足感の高いチューハイなどを飲むことが多いです。一方、アルコール飲料を普段から飲む人は、ある程度しっかりアルコール度数があるものや、果実感がしっかりしたものなど、お酒感や飲みごたえを求めることが多いです。そのため、ハードセルツァーはそのいずれの人の選択肢からも外れてしまっているのかもしれません。

もともと北米では日本における缶チューハイやハイボールのようなものが一般的ではないので、ハードセルツァーは新しいアルコール飲料の選択肢として若者を中心に注目されたようですが、日本には缶チューハイやハイボール、カクテル類などRTD(Ready to Drink=開栓してすぐに飲めるアルコール飲料)の選択肢が豊富にあり、なおかつ低カロリー・低糖質をうたったものもたくさんあるため、ハードセルツァーでなくてはいけないということがないという点が日本でのハードセルツァー市場が盛り上がりに欠ける原因かもしれません。

ぜひ今のうちにお試しを!

Image: GettyImages

缶チューハイとは違う、ということをあらかじめ知った上で、さっぱりとしたフレーバー炭酸水でアルコールが入ったものを飲みたい! という選択肢に応えてくれるハードセルツァーはある意味貴重な存在です。

缶入りアルコール飲料のバラエティが豊富で、季節ごとの商品入れ替わりも激しい日本でハードセルツァーが飲めるのはいつまでなのか……海外で流行っているものを取り入れてみたい人や、新しいアルコール飲料を試してみたいという方は、店頭に並んでいるうちに、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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