新鮮でおいしい磨きたてのごはんがおうちで食べられる家庭用精米機。最近では、リーズナブルな商品やコンパクトなものも登場し、以前よりもぐっと導入しやすくなっています。
今回は精米機のメリット・デメリットから選ぶときのポイントなどを家電プロレビュアーの石井和美さんに教えてもらいました。
「精米機は、大きく分けると、お手入れが簡単な『かくはん式』か、より本格的にお米を磨ける『圧力式』のふたつに分かれます。自分に合ったほうを選んでから、サイズや機能を見ていくといいでしょう」
石井さんのアドバイスのもと、編集部おすすめの精米機もピックアップしました。
石井和美さん
家電プロレビュアー。白物家電や日用品などを中心に製品レビューを得意としています。レビュー歴15年以上。茨城県守谷市に家電をレビューするための一戸建てタイプ「家電ラボ」を開設、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電のテストも行っています。
▼選び方解説▼
精米機って?メリットとデメリットは?
精米機にできること
精米機の仕組み:かくはん式・圧力式の違いって?
選ぶときのチェックポイント
人気メーカーの特徴
高いもの・安いものの違いは?
▼おすすめ商品▼
厳選!おすすめ精米機ランキング12
1:リーズナブル
2:コンパクト
3:お手入れがラク
4:静か
5:美味しい(本格的)
6:大容量
精米機って?メリットとデメリットは?
玄米をおうちで白米にすることができる精米機。まずは、石井さんにそのメリットとデメリットを教えてもらいました。
精米機のメリット

新鮮でおいしいお米が食べられる
磨きたてのごはんって、すごく美味しいんですよ。スーパーなどで売っている白米は、精米してから時間が経っているので、どうしても風味が落ちてしまっているんです。
美味しいごはんを炊くために炊飯器にお金をかけるのもいいですが、代わりに精米機を一台買うのもおすすめです。
炊く量だけ精米できる
地方にはコイン精米機がありますが、一度に10キロなどの大量のお米を磨かなければならないので持ち運びも大変。家庭用精米機なら、3合や5合など、好きな量だけそのつど精米できるのがメリットです。
精米機のデメリット
音がうるさい
特にかくはん式は、ミキサーでジュースを作るときのような音がします。量にもよりますが、5~10分間はずっと音が鳴り続けるので、気になる方はいるかもしれません。
お手入れが面倒
精米で生じる米ぬかは虫が湧きやすいので毎回お手入れしなければなりませんが、湿っていて器にくっつきやすいので、取り除くのに手間がかかります。使うたびに洗わなければならないので、面倒に感じてしまう人もいるでしょう。
精米機にできること
精米機は、玄米を白米にする以外にもさまざまな使い方ができます。
玄米のつき具合を調整できる

精米機は、7分づき(ぬか層の約70%を取り除いたもの)や3分づき(約30%を取り除いたもの)など、玄米のつき具合を調整できます。
ビタミンや食物繊維が豊富な玄米は、健康のためにはぜひ取り入れたいもの。一方、クセが強かったり、硬くて食べづらかったりして挫折してしまうことも多いんです。
精米機なら、5分づきや3分づきなどとつき具合を調整できるので、より食べやすい状態で、ヘルシーなごはんを食べることができます。
古くなったお米を美味しくする
精米機は、時間が経って表面が酸化・乾燥してしまったお米を磨いて美味しい状態に戻すことができます。『白米磨き』などのモードが選べるものなら、古くなった表面の部分だけをきれいに取り除いてくれますよ。
精米機の仕組み:かくはん式・圧力式の違いって?
精米機は、大きく分けてかくはん式と圧力式の2タイプ。中の構造によってさらに細かく分けられることもありますが、主にこの2つを理解しておけばOKです。
かくはん式:お手入れがしやすい初心者向け

かくはん式は、中の羽が回転して、お米同士を摩擦させて精米します。
かくはん式の何よりの魅力は、お手入れがしやすいところ。部品を取り外してサッと洗えるものが多いので、毎日使うような方にはおすすめです。
ただ、音が大きいのもかくはん式の特徴。また、激しく擦り合わせるので、米粒が欠けたり割れたりしてしまうことがあります。ただ、ここ最近のかくはん式は欠けや割れが起こらないように工夫されてきています。
▼かくはん式が進化した「対流式」
このかくはん式をベースに、さらにバージョンアップしたのが対流式(かくはん対流式)。
対流式には、お米の量に合わせて回転数を調整するインバーターが入っています。時間をうまく制御して、お米に余計な力をかけずに精米できるので、一般的なかくはん式よりお米が欠けにくくなります。
圧力式:美味しく磨ける本格派

圧力式は、シューターと呼ばれる回転軸をお米が移動する際に圧力がかかり、その摩擦によってお米を磨くタイプです。
お米屋さんやコイン精米などで使われている方式で、本格的な精米ができます。お米の破損もかくはん式と比べると少ないです。
ただ、構造が複雑なので、お手入れは手間がかかるものが多いです。また、温度が上がりやすく、お米が熱によって劣化しやすいというデメリットもあります。
▼圧力式が進化した「圧力循環式」

圧力式をさらにバージョンアップさせたのが圧力循環式。
一度に圧力をかけず、玄米全体を循環させながら少しずつ圧力を加えていくため、温度の上昇を抑えられるので、お米が傷みにくいのがこちら。値段は高めになりますが、こだわり派の人はこのタイプを選ぶことが多いですね。
選ぶときのチェックポイント
かくはん式・圧力式のどちらが自分に合っているかがわかったら、そのほかのチェックポイントを見ながら商品を選んでいきましょう。注目したいのは次の3つ。
①全体のサイズ
②お手入れのしやすさ
③搭載されている機能
①全体のサイズ

精米機は、何合磨けるかという容量だけではなく、全体のサイズ感も重要です。というのも精米機は、写真では小さく見えるのに、実物は想像より大きかったということが結構あるアイテム。きちんと寸法を見て、置きたい場所に入るか確認してください。
②お手入れのしやすさ

使うたびにお手入れをしなくてはならないので、お手入れが面倒だと、使わなくなってしまう恐れがあります。メーカーの公式サイトに商品の取扱説明書のPDFが置いてあるので、購入前にお手入れがどれくらい必要なのかをぜひ確認してみましょう。
③搭載されている機能

古くなった白米を美味しく磨ける『白米磨き』の機能や、お米の磨き具合を10段階など細かく指定できる機能、お米の品種によって磨き方を変えられる機能など、商品によってさまざまな機能があります。
自分が精米機をどんな風に使いたいか考えて、ぴったりの機能が備えられた商品を選んでみてください。
人気メーカーの特徴
炊飯器に力を入れている家電メーカーが手がける精米機。家電プロレビュアーである石井さんに、人気メーカーの特徴を教えてもらいました。
アイリスオーヤマ
アイリスオーヤマは農業ビジネスに精力的に取り組んでおり、お米のことをよく理解している会社。機能が豊富で質の高いものを安く作っているというのが評価できるポイントです。
象印
象印は、家庭用で唯一、圧力循環式の精米機を出しているところ。本格的な精米がしたい人は象印を選ぶというのが定番になっています。
タイガー
タイガーは、『DCモーター』という特別なモーターを取り入れているのが特徴。回転数を3段階で調整できるので、かくはん式でもお米の負担を減らすことができます。
ツインバード
新潟県のメーカーで品質が安定しているのに、リーズナブルで手に入れやすいので、初心者には手に取りやすい商品が多いです。精米のスピードが早いのも、手軽に使えるポイントだと思います。
高いもの・安いものの違いは?

安いものは1万円前後で購入できますが、高いものは7万円以上するなど、価格に幅がある精米機。高いものと安いものにはどんな違いがあるのでしょうか?
構造や使われている部品などによって価格が変わります。例えば圧力循環式は、圧力をかけながら循環をさせなければならないので、構造がとても複雑。また、タイガーのようにモーターなどの部品にこだわっているメーカーは、どうしてもその分の値段が上がります。
厳選!おすすめ精米機ランキング12
ここからは、石井さんに聞いた選び方をもとに、編集部がおすすめ精米機を厳選。コンパクト、静か、美味しく炊ける本格派など、タイプ別にご紹介します。
1:リーズナブル
アイリスオーヤマ/家庭用精米機 銘柄純白づき(RCI-B5-W)
40種類のお米に合わせて磨き方を変えられる

石井さんもご自宅で使っているというイチオシ商品。
お米の種類によって磨き方を選べます。手軽なのに機能も多くて、大満足のアイテムです。ボタンは多いですがわかりやすく、高機能なわりにシンプルで使いやすいので、初心者の方でも簡単に使えると思います。
タイプ:かくはん式
容量:5合
商品サイズ(cm):幅21×奥行き30.8×高さ22.6
ツインバード/コンパクト精米器 精米御膳(MR-E520W)
安価でも品質は安定

比較的コンパクトで、置き場所に困らない一品。
ツインバードは品質がしっかりしているので、リーズナブルでも安心して使えます。機能はシンプルで、容量も4合までなので、安いものから使ってみたいという人にぴったりだと思います。
タイプ:かくはん式
容量:4合
商品サイズ(cm):幅19.5×奥行き26.5×高さ23.5
2:コンパクト
エムケー精工/小型精米機ライスロン(63-1250-20)
必要な量だけサッと磨ける

最大2合の精米ができるコンパクトタイプですが、分づきの度合いが選べたり、古い白米のリフレッシュができたりと、機能も充実。
炊く分だけ磨きたいという人には最適。お手入れも簡単なので、毎回使うのも苦にならないと思います。
タイプ:かくはん式
容量:2合
商品サイズ(cm):幅13.5×奥行き17.5×高さ32
3:お手入れがラク
サタケ/マジックミル キッチン用精米機(RSKM300)
お手入れ超簡単! シンプルな一台

業務用の精米機を多く手がけるサタケによるシンプルな精米機。
お米を入れるところを取り外せるので、お手入れはすごくしやすい。その分、機能はかなりシンプルで限られています。
タイプ:かくはん式
容量:5合
商品サイズ(cm):幅17.7×奥行き28.7×高さ23.9
エムケー精工/家庭用精米機 新鮮風味づき(SM-500W)
遠心分離でぬかがくっつきにくい

遠心分離によってぬかを精米バスケットの外に飛ばすため、ぬかがくっつきにくいのが特長。
マイコンによって、量に合わせて回転数が制御できる対流式。通常のかくはん式より機能が一段上ですが、値段はそんなに高くないのもいいところ。機能はそこまで多くないですが、お米を欠けさせることなく精米したい方にはおすすめです。
タイプ:かくはん式(対流式)
容量:5合
商品サイズ(cm):幅24×奥行き31×高さ25
ツインバード/コンパクト精米器 精米御膳(MR-E751W)
パーツをすべて外して洗える

ぬかボックス、精米かご、かくはん棒、ふたをすべて着脱できるため、お手入れが簡単。
ダイヤル式なので直感的に操作ができるアイテム。蓋が透明で、上から精米されるところを見られるのもポイントだと思います。
タイプ:かくはん式
容量:5合
商品サイズ(cm):幅20×奥行き31×高さ25
タイガー/精米機 変速かくはん式(RSF-A100R)
洗いやすく、持ち運びや収納も便利

ふた、ぬかボックス、精米かご、精米はねを分解できるため、洗いやすいのが魅力。取手やコードリールがついていて、持ち運びや収納にも便利です。
DCモーターを使っていて、回転数を3段階から選ぶことができます。玄米をやわらかく炊ける『やわらか玄米コース』など、ユニークな機能もそろっています。
タイプ:かくはん式(変速かくはん式)
容量:5合
商品サイズ(cm):幅22.7×奥行き30.1×高さ23.6
4:静か
タイワ精機/家庭用精米機 MAIKO(PL-03)
ハイスピードで静かに精米

圧力式で本格的な精米ができるタイプ。音が静かなのはもちろん、磨き具合を15段階も選べたり、1カップ約50秒というハイスピードで精米できたりと、高機能がそろっています。
私のように普段から精米している人が思わず欲しくなってしまうアイテム。糠が取りやすい構造になっていて、とても使いやすいことがわかります。圧力式としてはお手入れもしやすいほうではないでしょうか。
タイプ:圧力式
容量:6合
商品サイズ(cm):幅23×奥行き37.5×高さ45
山本電気/家庭用精米機 Shin Bisen(YE-RC17A-WH)
蓋付きで音を減少

炊飯器のような構造で、静かに精米できる一台。精米モードも14段階と多機能です。
蓋をしっかりと閉めることで、かくはん式ながらも音を抑えています。液晶パネルのおかげで操作もしやすく、毎日使うアイテムとして使いやすさを追求しているのがわかります。
タイプ:かくはん式
容量:5合
商品サイズ(cm):幅20×奥行き30.7×高さ23.5
5:美味しい(本格的)
象印/家庭用無洗米精米機(BT-AG05-WA)
おうちで本格的な精米ができる人気商品

家庭用精米機の中でも、唯一の圧力循環式。
本格的で美味しく精米できるのはもちろん、音も比較的静かな人気商品。圧力循環式にしては小さめのタイプとはいえ、奥行が40センチと少し大きめなので、収納できるかきちんとチェックしてください。
タイプ:圧力循環式
容量:5合
商品サイズ(cm):幅15.5×奥行き40.5×高さ38
山善/精米機 つきたて米の達人(YRP-51(W))
コンパクトな家庭用圧力式精米機

家庭用の圧力式精米機の中でもコンパクトに設計されたアイテム。ダイヤル式で、シンプルに操作が可能です。
山善は歴史のある老舗メーカーで、クオリティは信頼できます。奥行きが小さめなのも導入しやすいポイントではないでしょうか。
タイプ:圧力式
容量:8合
商品サイズ(cm):幅16×奥行き32.4×高さ34.4
6:大容量
象印/精米機 つきたて風味(BR-WA10-WA)
たくさんのお米を一度に精米したいご家庭に

10合という大容量を精米できる圧力式精米機で、たくさんのお米を一度に磨きたい人におすすめです。
圧力式という本格派でありながら、精米の度合いも15段階に調整可能。大家族の方や、食べ盛りのお子さんがいるご家庭にはおすすめです。
タイプ:圧力式
容量:10合
商品サイズ(cm):幅21×奥行き43.5×高さ40
【編集部レビュー】山善の精米機を4年間使ってみた感想
家庭用の精米機を4年ほど愛用している編集部Kです。商品は記事中でも紹介されていたこちら↓
選んだ理由や、実際に使ってみた感想をご紹介します!
【選んだ理由】料理のプロにおすすめされて購入
知人の料理家さんに勧められて、生まれて初めて購入した精米機です。
「えっ?精米機使ってないの?」(おいしいごはんが食べたいなら使って当然)
というつっこみを受け、料理家さんが使っているものと全く同じ商品をその場でポチリました。
【メリット】とにかく米がうまい!
メリットは次の3つ。
◉とにかく米がうまい!
◉分づき米が自由に選べる
◉買うと高い新鮮な糠(ぬか)が出る
家庭用精米機の最大のメリットは、やっぱり米がめちゃくちゃ美味しいということです! スーパーで買う白米との違いは想像以上。ベストな鮮度で食べられるメリットはすごく感じてます。
基本7分づきで酢飯のときだけ白米で精米。精米具合が自由に選べるのもメリットですね。
家でぬか漬けを作っているので、新鮮なぬかが取れるのも私にはメリット。有機栽培米を食べているんですが、有機栽培のぬかってなかなか売ってないし、買うとすごく高い! タダで入手できてラッキーです。
【デメリット】特に感じていない…
商品レビューを見ると音がうるさいとか、途中で精米が止まるというコメントもあったんですが、特に問題は感じていません。
確かにテレビが聞こえないくらいの大きい音はしますが短い時間ですし、近隣に迷惑になるほどでもないので、問題ありません。精米が止まったことも一度もないです!
掃除が手間とも言われますが、ほとんど掃除せずに使っています。古い糠が米についたとしても、その後で研ぐので気にしていませんね。