ごはんの保存に役立つおひつ。

昔ながらの木製や、陶器・セラミックなどたくさんの種類がありますが、選ぶ際はまず最初に「使う目的」を絞ることが大事なんだそう。

「ひとことにおひつと言っても、材質によって機能は大きく異なります。美味しくごはんを保管したいなら木製、電子レンジで温め直すなら陶器・セラミック製を選びましょう。それぞれのメリット・デメリットも踏まえてセレクトするといいですね」

そう教えてくれたのは、人気炊飯ユニット「ごはん同盟」のシライジュンイチさん。今回の記事では、シライさんにおひつの選び方とおすすめアイテムを教えてもらいました!

シライ ジュンイチさんのイメージ

シライ ジュンイチ
炊飯系フードユニット「ごはん同盟」の企画担当。料理研究家の妻・しらいのりことともに、日夜、ごはんをおいしくいただく方法を探求し、その成果を多くのごはん好きの人々と共有するために活動中。実家は新潟の米農家。好きなごはんのおともは、海苔と筋子。
Twitter:@hair5mm

おひつとは。なんのため?いつ使う?

もともと、土鍋や羽釜で炊いたごはんを保存するための道具として使われていたおひつ。かつては木製が主流でしたが、今は陶器やセラミックなども登場しています。

おひつを使う目的は3つ

おひつを使う目的は主に以下の3つ。ですが、全てをクリアできるおひつはありません。木製と陶器・セラミックで特性が異なるため、目的に合った材質を選ぶ必要があります。

  1. ごはんを保存する
  2. ごはんの美味しさを保つ
  3. 温め直しをする

ごはんを美味しくするなら木製、温め直すなら陶器・セラミック

ごはんの水分を調整し、美味しく保ってくれるというポイントでは、木製のほうが効果が高いんです。陶器・セラミックは、木製よりどうしても効果が低くなってしまいますが、電子レンジで温め直せるといったメリットがあります。

使うタイミングは2パターン。食べる分だけ入れるか、余った分を保存する

使うタイミングも、材質によって違ってきます。

木製は、ごはんを美味しくするために、食べる分だけ入れたり、炊飯器などからよそった後に、残った分を保管しておくのにぴったり。

陶器・セラミックは、常温で少し保存しておきたい時や、電子レンジで温め直したい場合に便利です。

ごはんは、冷蔵庫よりも冷凍庫で保存するほうが推奨されています。冷蔵庫の温度帯は、でんぷんが変化しやすく、硬くなり、粉っぽさが出てしまうためです。

冷凍庫がいっぱいで保管できない時や、数時間後にすぐ食べる時などは、陶器・セラミックのおひつで一時的に常温保存をしておくと、電子レンジで簡単に温め直して美味しいごはんを食べることができます。

おひつのメリット・デメリット

木製と陶器・セラミックのおひつには、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。

木製のメリット

ふっくら美味しいごはんができる

木製のおひつは、木がお米の余計な水分を吸い取ってくれるうえ、時間が立つと、木が吸い取った水分がお米に戻ることで、ふっくらと美味しい状態を保ってくれます。

例えば、やわらかく炊きすぎたときでも、木のおひつに入れるとちょうどいい食感になるんですよ。

黄ばみを防ぐ

炊飯器で保温すると、ごはんの表面が黄色くなってしまうことがあります。これは、炊飯器の中にこもった水蒸気に含まれるでんぷんが原因。蓋にくっついた水蒸気が冷えて水滴として落ちると、ごはんの上に残ったでんぷんが黄色く変化してしまうんです。

木のおひつであれば、木が水分を吸いとってくれるので、ごはんが黄ばむことはほとんどありません。

冷めても美味しい

おひつに入れたごはんは、時間が経つとどうしても冷めてしまいますが、木製の場合は、美味しい状態で冷めていきます。水分を保ってふっくらしたまま、さらに甘味を感じやすくなるので、お米の美味しさがわかりやすくなりますよ。

木製のデメリット

お手入れが大変

木製のおひつは、自然乾燥させなければならないので、乾かすのに時間がかかります。生乾きの状態で使ってしまうと、カビなどの原因にもなるので要注意。毎日使おうとすると、洗って乾かすサイクルが手間だと感じるかもしれません。

やや高価

陶器・セラミックに比べると、木のおひつはお値段が張ります。しかも、一生ものというわけではなく、使っているうちにどうしても消耗してきてしまうので、木がへたってきたり、タガが緩んできたりしたら、買い換える必要があります。

陶器・セラミックのメリット

コンパクトで場所を選ばない
Image: 楽天

サイズの小さい陶器・セラミックのおひつは、木製のおひつに比べて場所を選ばないというメリットがあります。冷蔵庫での保管を推奨している商品もあります。

電子レンジで温められる
Image: 楽天

陶器・セラミックは、電子レンジ対応の商品もそろっています。冷めてきたごはんをそのままレンジで温め直すことができます。

お手入れがラク

木製に比べて、ごはんがこびりつかないので、洗いやすいのもポイントです。食洗機や乾燥機に対応している商品もあります。

陶器・セラミックのデメリット

保湿効果は低め

材質によっては、多孔質で保湿性に優れたものもありますが、木製に比べると全体的に保湿効果は低めです。

サイズの目安は「入れたい量+一合」

おひつのサイズは、入れたい量よりも一合ほどゆとりがあるといいのだそう。

「おひついっぱいに詰めてしまうとごはんが潰れてしまったり、蓋にくっついてしまったりするので、少しは余裕を持たせてあげたほうがいいです。

3合炊く人でも、食べる分だけをおひつに詰める人もいれば、食べる分は茶碗によそって、余ったごはんを入れる人もいると思うので、入れる量に合わせてサイズを選んでみてください」

木製のおひつの選び方・おすすめ商品

まずは、木製のおひつを選ぶときのポイントと、シライさんおすすめの商品を見ていきましょう。

【選び方】材質は匂いのない”さわら”が最もおすすめ

写真の商品は東屋/おひつ 二合

おひつの素材には、主に、さわら、スギ、ヒノキなどが用いられますが、シライさんのおすすめは香りが控えめなさわらです。

スギとヒノキは、木の香りが強く、ごはんに香りが移ってしまうこともあるので、好みが分かれるところです。さわらはほぼ無臭なので、ごはんににおいがつく心配はありません。

▼さわら製のおすすめ商品

東屋/おひつ 二合

箍(たが・金属の輪の部分)が細めで、形もスマートな東屋のおひつは、カジュアルな食卓にも馴染むデザイン。

茶碗と比較しても大差ないサイズ。片手に乗る大きさなので、「木製のおひつは大きくて扱いにくい?」と気になる方にもおすすめです。

こちらも、さわら製のおすすめ

【選び方】ファーストおひつは手頃な価格のものを

Image: Amazon.co.jp

おひつはあくまでも消耗品。扱い方に慣れていないうちは、比較的リーズナブルなおひつから使ってみましょう。

最初はちょっと値段のお手頃なものから始めて、自分の生活スタイルに合うかどうかを確かめて、慣れてきたら値段の張るものを選んだほうがいいと思います。

すぐ駄目になってしまうことはほとんどないですが、木がへたったり、汚れがついたりするのはどうしても避けられないので、初めから高価なものを使うとショックが大きいかもしれません。

圧倒的に安価な商品というのはありませんが、比較的お手頃価格のものがこちらです。

▼お手頃価格のおすすめ商品

【選び方】曲げわっぱ弁当箱をおひつに使うのもおすすめ

Image: 楽天

スギやヒノキなどの薄い木板を曲げて作る曲げわっぱ。専用のおひつではなく、曲げわっぱのお弁当箱をおひつ代わりに使うこともできます。

曲げわっぱのお弁当箱は、木製おひつと同じ効果をもたらしてくれます。専用のおひつを買うほどではないかな、という人におすすめのチョイスです。

▼曲げわっぱのおすすめ商品

【注意】木製のおひつは「無塗装」を選んで!

木製のおひつを選ぶときは、何も塗装されていない「無塗装」を選ぶこと。素材にウレタンなどと書かれている商品は塗装されている商品ですが、木がごはんの水分を吸えなくなってしまうので、本来の効果を得られなくなってしまいます。

陶器・セラミックのおひつの選び方・おすすめ商品

電子レンジ対応や、見た目にこだわったもの、一人暮らし用の小さめサイズなど、陶器・セラミックの中からおすすめのアイテムを紹介します。

【選び方】電子レンジ対応が便利

Image: Amazon.co.jp

電子レンジで温めなおせるタイプがあるのが陶器・セラミックのいいところ。しゃもじですくいやすい丸底になっていることもポイントです。

▼レンジOKのおすすめ商品

【選び方】見た目にもこだわりたいなら、焼き物産地の陶器がおすすめ

Image: Amazon.co.jp

食卓に置いて絵になる伝統的な焼き物。伊賀焼は、多孔質で高い保湿効果が期待できます。萬古焼や波佐見焼は、洗いやすいところがおすすめです。

(写真は萬古焼の商品)

▼焼き物産地のおすすめ商品

【選び方】一人暮らしには小さめサイズが便利

Image: 楽天

ひとり暮らしや、炊飯器に残ったごはんを少しだけ保存しておきたいときに役立つ小さめサイズ。一膳サイズはそのまま茶碗代わりになります。

▼小さめサイズのおすすめ商品

*番外編*こんなタイプも!変わり種なおひつ2選

日々道具/TEMA おひつご飯鍋 1.5合

そのまま火にかけて炊飯できる!
Image: 楽天

「土鍋とおひつを兼用。ガス火にかけてごはんを炊いて、そのままおひつとして保存することができます」

IWANO/おひつ 2合

「蒸す・焼く・煮る」ができる万能容器
Image: 楽天

直火やオーブンにかけて蒸したり、焼いたりといった調理ができる容器で、ごはんを炊くこともできます。おひつは保管に場所を取るので、買うか迷っている人は、いろいろな用途に使えるこんなアイテムもいいかもしれません。

木製おひつの基本の使い方・お手入れ方法

使うのに少しコツがいる木製おひつ。シライさんに、基本的な使い方やお手入れ方法を教えてもらいました。

【使う前】最初は米の研ぎ汁や酢でアク抜きを

使う前に、木のにおいを抑えるためにアク抜きをおこないます。おすすめは、水を張ったおひつに酢を入れて1〜2時間ほど置く方法。米の研ぎ汁を使うやり方もあるようです。

また、『ごはんを入れる前に水で濡らす』という説明がときどきありますが、これをやると木がごはんの水分を吸ってくれなくなってしまいます。濡らしすぎず、硬く絞ったふきんで表面を拭き取るくらいでOKです。

【使い方】美味しく保つためには詰め込み過ぎない

蓋にくっつくほど詰め込まず、空間を作ることを意識して入れてください。ごはんを詰め込みすぎると、ごはんと蓋のあいだに空間ができず、お米の水分をうまく吸い取ってくれなくなってしまいます。

【洗い方】洗剤は使わずたわしで洗う

木製のおひつは、洗剤を使わず、ぬるま湯を使ってたわしで洗うと木をいためません。洗剤を使うと木に染み込んでしまうことがあり、スポンジも、素材によっては木を傷つけてしまうことがあります。

黒ずみなどの汚れが目立ってきたら、洗剤ではなくクレンザーを使ってください。ちなみに、陶器・セラミックは普通の中性洗剤でOKです。

【お手入れ】日陰でよく乾燥させる

乾かすときは、直射日光が当たらない日陰で自然乾燥させること。日光に当てると、木が日焼けしてしまったり、変形してしまったりします。完全に乾かさないとカビが生えてしまうので注意しましょう。

また、使っているうちに木の水分が減ってくると、縮んで箍(たが)が緩んだり、隙間ができてしまうことがあります。1カ月に1回くらいは、水を張って木に水分を戻してあげてください。

写真:岡崎健志

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