市販されている数多くのしゃもじ。どれも同じように見えますが、プロによると使いやすさには大きな差があるんだそう。
「使いやすいしゃもじとは、ごはんの美味しさを損なわずによそえるしゃもじのこと。米の粒を潰さずにすくい上げやすいことが大切です。そのために必要な条件は、ごはんがくっつかず、自立すること。さらに、米離れがよく、握りやすいことも大事ですね」
今回は、「ごはん同盟」が愛用するイチオシアイテムのほか、立つ、木製、人気ブランドなど気になるカテゴリ別におすすめのしゃもじをご紹介。
かいサポ編集部による100均しゃもじのレビューもお届けします!
シライ ジュンイチさん
炊飯系フードユニット「ごはん同盟」の企画担当。料理研究家の妻・しらいのりことともに、日夜、ごはんをおいしくいただく方法を探求し、その成果を多くのごはん好きの人々と共有するために活動中。実家は新潟の米農家。好きなごはんのおともは、海苔と筋子。
Twitter:@hair5mm
【レビュー】
ダイソー/セリアのしゃもじって使いやすい?
【タイプ別のおすすめ】
-人気ブランド(ル・クルーゼ、ストウブなど)
-「立つ」タイプ
-木製・竹製
-変わり種(糖質制限や土鍋用など)
プロのおすすめNO.1は『マーナ/極しゃもじ プレミアム』
くっつかず潰れない、パーフェクトな一本
通常サイズと小の2サイズがあります
いろいろなしゃもじを使ってきたシライさんが、「これがベスト!」と太鼓判を押すのがマーナの「極しゃもじ プレミアム」。
使いやすいしゃもじの条件である、①くっつかない②米離れがいい③自立する④握りやすいの4ポイントを押さえた一本です。
①くっつかない
「エンボス加工されて凹凸があるものでも、素材によってくっつかなさが違います。くっつかない素材としては、樹脂製のしゃもじがダントツです。この商品は、ごはんが圧倒的なまでにくっつきません」
他商品に比べ、マーナ極しゃもじは凹凸に突起がより立体的なのが特徴です。
②米離れがいい
「茶碗の中に、ごはんが自分の重さでスッと落ちてくれるので、お米を潰さずによそうことができます」
何度よそっても一粒もくっつかないのが驚き。つるりと滑るように茶碗に入ります。
「先端が薄く、ごはんに差し込んだときに、米粒の隙間に入り込むのも、お米を潰さない理由。しゃもじ全体がスプーンのようにへこんでいるのも、すくいやすいポイントです」
ごはんが潰れやすい炊飯釜や鍋の縁の部分にも入り込み、米が鍋肌からするっと剥がれます。
③自立する
「持ち手に突起がついているので、寝かせて置いても先端がテーブルから浮きます。立ちはしないですが、お米が他のところにくっついてしまうことはありません」
④握りやすい
「立つタイプは持ち手が太くて握りづらいのが難点。これは丸みがあり手のひらにフィットするので、力を入れすぎずによそうことができます」
持ち手は丸みがありながら、厚さがないので手のひらに無理なく収まりやすいです。
2番目におすすめ。『貝印/盛り詰めミニしゃもじ』
小さめサイズでくっつきにくいタイプがあると盛りやすい

シライさんいわく、普通サイズのしゃもじに加えて、小さなしゃもじをひとつ持っておくと便利なのだとか。
「ごはんを美味しく食べるためには、米粒を潰さずによそえることが大切。大きいしゃもじでよそうとどうしても潰れてしまう部分が出てくるので、小さなしゃもじで数回に分けてよそうと、きれいで美味しく盛り付けることができます。
貝印のこのしゃもじは、面に角がついているので、米粒を整えながら、さらにきれいに盛り付けできます。手巻き寿司にもおすすめです」
小さめしゃもじを選ぶなら、こちらもおすすめ
▼マーナ/極 の「小」サイズ
「イチオシの『極しゃもじ』のミニサイズ版。小さいですが、通常サイズと同じ要素がすべてそろっています」
▼お弁当箱にごはんを詰めるのに活躍!
「おにぎらずだけでなく、お弁当箱にごはんをきれいに詰めるのに重宝します。面の一部が細くなっているので、細かい操作がしやすいです」
【レビュー】ダイソー/セリアのしゃもじって使いやすい?
しゃもじは100均でも購入できるため、使い心地が気になっている人が多いよう。シライさんのおすすめではありませんが、実際使いやすいのかどうかレビューしてみました。
▼レビューした商品はこちら
ダイソーでもセリアでも、しゃもじの取り扱いはバラエティ豊か。その中から今回試したのは以下3本。
左から2つがダイソー、1袋に2本(!)入っている昔ながらの立たないタイプと、先端が薄くなっている立つタイプ。セリアはどこにでも置けるタイプです。
【結果】ダイソーの立つタイプは優秀。残り2つはごはんが潰れる…
ダイソーの立つタイプは、マーナ・極 しゃもじプレミアムのように先端が薄く、ごはんを潰さずに混ぜられました。
表面のエンボスにも米粒がつかずツルっとはがれます。持ち手のにぎりやすさ、取りまわしやすさは形状が洗練されたマーナ・極 プレミアムにかないませんが、想像以上にくっつかず驚き!
ダイソーの2本入り、セリアの立つタイプはどちらも厚みがあるので、しゃもじが入った場所のごはんが潰れました。表面には米粒はくっつきにくかったです。
持ち手の形状はかなりシンプルなので、握りやすさや取りまわしやすさは、記事中で紹介したシライさんおすすめの商品の方が工夫が感じられました。
【タイプ別のおすすめ】ル・クルーゼ、ストウブなど人気ブランドのしゃもじ4選

ストウブやル・クルーゼなどの人気ブランドがプロデュースしたしゃもじは、鍋などのほかのツールとそろえて使うことで、キッチンをおしゃれにしてくれます。
「『鍋炊きごはんといえば土鍋』と思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ストウブのような鉄鍋も蓄熱性が高く、土鍋に近い炊き上がりになります。
ル・クルーゼはホーロー加工がされているので、みずみずしさのあるごはんになりやすいですね。食べたいごはんのイメージに合わせて鍋を選ぶのもおすすめです」
ストウブ/シリコンしゃもじ
鍋の内側を傷つけないシリコン製

「シリコン素材で、鍋や炊飯器の内釜を傷つけません。持ち手はアカシアの木を使っていて、手に優しくなじみます」
ストウブの鍋でごはんを炊いて一緒に使うと、しゃもじの重みがちょうど良く、先端の形が鍋の形状にもフィットしやすいです。ごはんもつっつきにくく、使いやすい印象。
ル・クルーゼ/メープルウッド・ライススクープ
ル・クルーゼが作る木製しゃもじ

「おしゃれなホーロー鍋で有名なル・クルーゼには、天然素材を使った木製のキッチンツールもあります。メープルの木を使ったぬくもりのあるデザインで、洗いやすいのもポイントです」
ティファール/インジニオ スタンディングしゃもじ
ティファールの赤と黒がスタイリッシュ

「ティファールらしい赤と黒を貴重としたデザイン。エンボス加工されて、立たせて使うことができるなど、機能性も高いです」
ツヴィリング/プロ しゃもじ
金属とシリコンを組み合わせたおしゃれなしゃもじ

「持ち手がステンレスで先端がシリコン製。金属製のしゃもじはかっこいいですが、鍋や釜を傷つけてしまう心配があるので、持ち手のみが金属のこのアイテムなら安心です」
スパチュラのような感覚で使えるしゃもじ。キッチンをスタイリッシュにまとめたい方にはおすすめですが、他のしゃもじに比べるとかなり重さがあるので注意。
【タイプ別のおすすめ】人気の「立つ」タイプのしゃもじ5選

お米がテーブルなどにくっつかないことで人気の「立つ」しゃもじ。だるまのように揺らしても倒れないタイプや、吊り下げられるもの、炊飯器にくっつくものまでバラエティ豊かなラインナップがそろっています。
①曙産業/スイングしゃもじ
絶対に倒れないスイングタイプ

「重りが入っているので、ゆらゆら揺れて、絶対に倒れないタイプです。カラバリが7色と多いので、好みの一本を選べます」
②パール金属/ENJOY KITCHEN スイング しゃもじ
倒れない&すくいやすい

「こちらもスイングして絶対に倒れないタイプ。面の中央部がスプーンのようにへこんでいるので、すくいやすいのも魅力です。持ち手が太いので、手が小さな人にはやや持ちづらいかもしれません」
③マーナ/立つしゃもじ プレミアムクリア
「極しゃもじ」の立つバージョン

「『極しゃもじ』と同じスペックで、持ち手だけ立つように仕様が変わっています。寝かせて置きたいか、立たせたいか、好みで選ぶといいでしょう」
④山崎実業/立って置ける しゃもじ
立つ、寝かせる、吊り下げる、すべて可能


「立つのはもちろん、寝かせても先端が浮くようになっていて、フックに引っ掛けて吊り下げることもできます。いろいろなやり方で自立させられるので、とても衛生的です」
⑤ウエルスジャパン/炊飯器にくっつくしゃもじ
炊飯器にくっつけて保管もラクラク

「立たせることもできますし、吸盤がついているので、炊飯器にくっつけることもできます。炊飯器と一緒に保管しておけるのも便利です」
【タイプ別のおすすめ】ビジュアル重視。木製・竹製のしゃもじ2選
伝統的な木製・竹製のしゃもじは、土鍋でごはんを炊くときや、おひつを使うシーンにぴったり。
「木製と竹製の違いは、しゃもじの大きさに現れます。竹は細くて節もあるので、あまり大きくできませんが、木製は大きな商品もそろっています。
ただ、どちらも樹脂製に比べるとくっつきやすい。しゃもじをしっかりと水で濡らすといいですが、それでも基本的にはくっつくものだという割り切りが必要です」
①【木製】宮島工芸製作所/丸柄丸杓子
古き良き木製しゃもじ

「広島で伝統の技を守り続ける工房の、昔ながらのしゃもじ。持ち手がにぎりやすく、面の部分が薄く作られています。木のしゃもじといえばこの形! という王道アイテムです」
②【竹製】工房アイザワ/竹杓子
天然ものの竹製しゃもじ

「新潟県燕市の老舗メーカーによる竹製しゃもじ。古くから生活用品に使われてきた天然物の孟宗竹を使った安心の一本です」
【タイプ別のおすすめ】糖質制限や土鍋用など、変わり種しゃもじ3選

よそうだけで糖質の量がわかるしゃもじや、土鍋用、大家族用など、用途に合わせてさまざまなしゃもじが登場。ちょっと変わったアイテムから、シライさん注目の3本を教えてもらいました。
ドリテック/デジタルしゃもじスケールプラス
ダイエットにおすすめの糖質制限しゃもじ

「ごはんをよそうだけで、重量、カロリー、炭水化物量が測れます。ダイエットでごはんのカロリーや糖質が気になる人に便利なアイテムです」
マーナ/土鍋しゃもじ
土鍋の形に合わせて作られた逸品

「土鍋の底の形に合わせたフォルムで、温かみのある風合いに仕上げています。お米がくっつきにくい樹脂製ですが、土鍋に合わせても雰囲気が崩れません」
曙産業/おひつしゃもじ
たくさんごはんを炊くご家庭にぴったり

「普段、大きな釜で5合以上のごはんを炊くような人には、柄が長いしゃもじがおすすめ。普通のしゃもじだと、持ち手がごはんに潜り込んでしまって熱い思いをするし、混ぜたりよそったりするのにも力が要るからです」
【豆知識】ごはんが美味しくなるしゃもじの使い方/買い替えのサイン
ごはんを美味しく食べるためには、一度に盛らずに、3~4回に分けて、空気を含ませながら盛るのがポイント。
「いっぺんにドンと盛ってしまいがちですが、ぐっと我慢して、数回に分けるだけで、粒立ちのよい美味しいごはんが食べられます」
また、しゃもじの使用期限はありませんが、表面がザラザラ・ギザギザしてきたら、買い換えどきのサイン。
「エンボスのでこぼこの部分や、木製の場合は表面の部分が、使っているうちに毛羽だってザラザラしてくることがあります。雑菌や汚れが溜まりやすくなるので、買い換えるのがおすすめです」
写真:岡崎健志、構成:佐々木智恵美