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コーヒー豆を粉状にするための器具、コーヒーミル。粉でコーヒーを買うよりは、安い製品でもミルで自宅で挽いたほうが各段においしく飲めますよ。コーヒーミルは電動・手動に分けられます。選ぶときにはまず、両者の特徴を理解することが大切。

電動は短時間で楽に豆を挽けるので、日常的にコーヒーを淹れたい人におすすめ。手動は豆を挽いているときに香りや音を楽しめるので、コーヒーを淹れる時間をゆっくり楽しみたい人に向いています。

今回は、コーヒーミルの選び方をバリスタグランプリ受賞バリスタの松本さんが解説。初心者向けにわかりやすく説明します。また、松本さんにお聞きした選び方のポイントを参考におすすめコーヒーミルを「電動」「手動」に分けて厳選してご紹介します。

松本卓巳さんのイメージ

松本卓巳さん
2013年よりフリーランスのバリスタ 「Alba」 として活動。2018年JBA-日本バリスタ協会主催のバリスタグランプリで優勝。東京スイーツ&カフェ専門学校、国際製菓専門学校でドリンク・バリスタ講師を務める。イタリアのMARCAFE社の日本で唯一の公認バリスタに就任。日本バリスタ協会(JBA)認定バリスタ 、イタリア国際カフェテイスティング協会(IIAC)認定エスプレッソ。

コーヒーミルのメリット・魅力

Image: GettyImages

コーヒーミルのメリットは、何よりコーヒーが美味しく淹れられること。美味しいコーヒーにとって豆の鮮度はかなり重要。挽きたてなら豆が酸化する前のいい状態で味わうことができます。また、コーヒーの香り成分が最も放出されるのが挽くタイミング。いい香りを堪能できることもメリットの1つです。

「コーヒーは酸素が苦手で、粉にした瞬間から空気中の酸素に触れる面積が広くなり、びっくりするほど早くコーヒーの状態は悪くなるんです。そのため、豆は飲む直前に挽かないと、コーヒー本来の特徴をだせません

コーヒー好きのなかには、道具にこだわりをもつ人も多くいます。お気に入りのミルを使ってコーヒーを淹れると満足感を得られるでしょう」

コーヒーミルの選び方

ここからは、ミルの選び方をポイントを絞って解説。注目したいのは次の5つのポイントです。

  • 種類
  • 性能
  • 挽き目調整の段階
  • 挽き目の調整方法
  • 持ち運びやすさ

「選び方の項目はいろいろありますが、最初の1台を選ぶなら低価格モデルから見た目が好みのものを選ぶのがおすすめ。高価な商品は価格によってスペックに差が出ますが、低価格帯ならそれほど差はありません」

種類(電動・手動)

電動コーヒーミルの種類は電動・手動に分けられます。

・電動

電動式はスイッチひとつを押すだけで数秒程度で豆を挽けます。短時間で楽に豆を挽けるのが特長。一度に10杯分以上挽けるモデルも多いです。

「電動式は挽くのが早くて楽なので、忙しい朝の時間帯にも使いやすいです。日常的に使うのであれば電動式が向いています。手動は手間がかかるため、買ってみたものの使わなくなる場合も多いので、初心者は電動からはじめるのがおすすめ

・手動

手動式は、ハンドルを回転させて豆を挽きます。アンティーク調のおしゃれなデザインも豊富。挽いているときにコーヒーの豊かな香りやゴリゴリと豆を挽く音を楽しめますよ。電源不要で使えるので、キャンプなどのアウトドア用にも向いています。

「手動式は挽くときに腕が疲れたり時間がかかったりするので、コーヒーを淹れる時間をゆっくり楽しむ使い方に向いています。挽ける量も2杯分くらいまでのものが大半で、一度に大量に挽きたい人には不向き。

手動式は、筒状のものと土台が四角い形状のものがあります。筒状のものは、しっかり掴めて回せるので挽きやすいですよ。土台が四角いものはデザインがおしゃれですが、押さえつけてハンドルを回す必要があり、挽きにくさを感じることも。

高価なものほどスムーズに挽けて、ストレスなく使いやすいです。ただ、いきなり高価なものを買って使わなくなったらもったいないので、最初は2,000〜3,000円程度の製品を買うのがおすすめ

▼上:筒状の手動ミル、下:土台が四角い手動ミル
Image: GettyImages
Image: GettyImages 

【コラム】コーヒーメーカーと一体型のミルは忙しい人におすすめ

コーヒーメーカーと一体型になっている電動ミルがあります。ミル挽きやコーヒーの抽出が、ボタン操作でカンタンにできますよ。

「ミル付きのコーヒーメーカーは、自動で抽出もやってくれるので、時間がないときにも便利。挽きたてを飲みたいけど挽く時間がない人にはおすすめです。ブレの少ない平均的な味をだしやすいですが、自分好みに味を細かく調節しにくいのがデメリット」

性能

性能で注目すべきは「豆を均一に挽けるかどうか」です。高性能なモデルは、挽いた粒の大きさのそろい方がキレイ。挽きムラがあるとコーヒー本来の香りや旨味をうまく抽出することができません。手動・電動ともに高価なモデルほど挽きムラが少ない傾向にあります。

「電動式の豆の挽き方の方式には、プロペラ式・臼式・カット式があります。プロペラ式は安価ですが、挽きムラが多い傾向にあるのがデメリット。臼式やコニカル式は高価ですが、挽きムラが少なく、おいしいコーヒーを淹れやすいです」

【コラム】粒の大きさがそろっていることが大切な理由

コーヒーは豆に合った抽出方法(温度や時間など)で淹れることで本来の味を引き出すことができます。適切な抽出方法は豆の種類だけでなく、粒の大きさによっても異なります。細かい粒と大きい粒が混じっていると、適切に抽出することができません。そのため、コーヒー本来の味を引き出すためには、粒が揃っていることが重要なのです。

挽き目調整の段階

コーヒーは、挽いた豆の粒の細かさによって味が変わります。粒が小さくなる(細挽き)ほどどっしりとした味わいになり、粒が大きくなる(粗挽き)ほどさっぱりとした味わいになる傾向が。

製品によって挽き目調整できる段階は異なります。段階の幅が広いものほど自分好みの味にしやすいですよ。

「高価なモデルほど調整できる挽き目の幅は広がります。手動は、挽き目の段階を非常に細かく調整しやすいです。

電動・手動ともにエスプレッソマシーンで使えるぐらい細かく挽ける製品は非常に少ないので、エスプレッソ用に豆を挽きたい場合は専用ミルの購入を検討しましょう」

挽き目の調整方法

挽き目の調整方法は製品ごとに異なります。手動式は粗さ調節ネジを回して、挽き目調整をするのが主なモデル。電動式は、ボタンを押す時間の長さで調整するタイプとダイヤルを回して調整するタイプがあります。

手動式の挽き目調整は感覚も必要とするので、慣れていない人は好みの挽き目に調整するのが難しいです。なかには、挽き目調整の際に分解する必要がある製品もあるので手間がかかります。ただ、粗さ調節を非常に細かく調節できるので、好みの味を追求したい上級者には向いています

電動式のボタンを押す時間で調節するタイプは安価。挽く時間の目安は『粗挽き3秒・細挽き10秒』などと本体に記載していますが、豆の種類によって正確な挽き時間は厳密には異なるので、狙った挽き加減に調整することが難しいです。

電動式のダイヤルで調節するタイプは高価ですが、カンタンに調整しやすいので初心者におすすめ

持ち運びやすさ

アウトドア用なら持ち運びやすさは重要。手動式は電源不要で使えて、軽量なモデルも多いのでキャンプ用に向いています。電動式でも、充電して使えるコードレスのモデルはアウトドアでも使いやすいですよ。

「製品によっては折りたたんでコンパクトになるタイプもあります。キャンプに持っていって使うなら、雰囲気を楽しむのも大切だと思うので、デザインも重視して選んだほうがよいでしょう」

▼ハンドルが折りたためる手動式の例

Image: Amazon.co.jp

バリスタおすすめNO.1コーヒーミル【電動・手動】

ここではバリスタ松本さんに特におすすめの商品を2つ紹介。外さないブランドや実際に愛用していた商品を伝授。迷う人はこれを選べば間違いなし!

電動:デロンギ コーン式コーヒーグラインダー KG366J

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「家庭用で迷ったらデロンギの製品から選ぶのがおすすめ。世界的にシェアを獲得しているメーカーで、大量の製品を作っているので価格が安く抑えられています。挽き目調整のしやすさや豆を挽く性能は全体的に優秀。種類が豊富で好みに合わせた製品を選びやすいです」

手動:ハリオ コーヒーミル セラミック スリム MSS-1TB

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「ハリオのプラスチック製のコーヒーミルは僕も使っていました。価格は安いですが初心者が使うには十分な性能です。

プラスチック製なので、初心者にも扱いやすいでしょう。木製のデザインの製品はおしゃれですが、湿度で膨らんで挽いた粉を取り出すときに硬くて開かなくなるときもあります」

コーヒーミル初心者向けのおすすめ12選【電動・手動】

ここからは初心者でも購入しやすいおすすめコーヒーミルを電動・手動に分けてご紹介します。松本さんにお聞きした選び方のポイントや、Amazon・楽天の人気ランキングなどを参考に厳選しました。

電動コーヒーミルおすすめ6選

メリタ 電動コーヒーミル ブラック ECG62-1B

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定番人気の電動ミル!シンプル&リーズナブル

コーヒー専業ブランド「メリタ」のプロペラ式の電動コーヒーミル。シンプルな設計で安いのが特長。電動コーヒーミルを試しに使ってみたい人にもおすすめの一台。

巻き取り式コードリール採用で、電源コードを本体に収納できます。サイズもコンパクトで、場所を取りにくいのが魅力。豆の細かさは挽く時間の長さで調整します。

ラッセルホブス コーヒーミル 電動 7660JP

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粉をこぼさずに移しやすい&短時間で挽ける

イギリスの代表的な調理家電ブランド「ラッセルホブス」の電動コーヒーミル。取り外し可能なボウルの中で粉を挽くので、フィルターに粉を移しやすいのが特長。

150Wのハイパワーで、最大7〜8杯を10秒で挽くことも可能。スタイリッシュなシルバーカラーで、インテリアにもなるおしゃれなデザインも魅力です。挽き目の細かさは、スイッチを押す時間の長さで調整します。

メリタ パーフェクトタッチⅡ CG-5B

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お手頃価格で、ダイヤル調整可能

粗さ調整ダイヤルを回すだけでカンタンに挽き目調整ができるのが魅力。粗挽きから細挽きまで5段階の調整が可能です。

「杯数ダイヤル」搭載で、ダイヤルを調整することで、入れる杯数に合わせた豆の量を挽けます。一度に最大12杯分まで挽くことが可能。

幅11.3cm×奥行15.cmとサイズもコンパクト。臼式の刃なので挽きムラを抑えてカットできます。

ユニーク oceanrich 自動コーヒーミル G2 UQ-ORG2BL

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充電式・臼式の電動ミル

USB充電式で、コードレスで使える電動コーヒーミル。電源不要で使えるので、アウトドアシーンでの活躍にも期待できます。

粒度の調整もダイヤルでできるのもうれしいポイント。挽き具合は5段階調整可能。フロントパネルで充電残量はひとめで確認できます。

臼式の刃なので粒のばらつきが少なくカットしやすい仕様です。

デロンギ デディカ コーン式コーヒーグラインダー KG521J-M

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18段階調整可能。コーン式で豆の粒そろいがキレイ

イタリアの老舗家電ブランド「デロンギ」の最高級コーヒーミル。豆の均一性にこだわられている一台。コーン式でコーヒー本来の香りを引き出しやすいです。

レバーを回すだけで、カンタンに挽き目調整ができます。好みに合わせて18段階から選べますよ。エスプレッソにも対応していますよ。

杯数ダイヤルを回して、豆を挽く量を決められます。多めに入れておけば必要な分だけ挽いてくれるので、豆を計る必要がなくて楽。1度に最大14杯分挽けます。

cores コーングラインダー シルバー C330

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手頃な価格で買える、ワンランク上の電動ミル

コニカル式で風味を失わずに豆を挽きやすいです。挽きムラが少ないワンランク上の性能ですが、手に取りやすい価格なのはうれしいポイント。

極細挽き〜粗挽きまで無段階で調整可能。微調整することで、自分好みの味にしやすいですよ。円柱形でスッキリとしたデザインなので、置き場所を確保しやすいのも魅力。

分解しやすくお手入れがしやすいのも特長です。

手動コーヒーミルおすすめ6選

ハリオ コーヒーミル セラミック スリム MSS-1TB

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携帯性が優秀で、リーズナブルな一台

コーヒー器具の超定番ブランド「HARIO(ハリオ)」が手掛ける、価格が安く初心者におすすめの手動ミル。本体重量は400gでハンドルの取り外しが可能。携帯性に優れるので、アウトドア用にもおすすめです。

スケルトンの粉受けはメモリ付き。挽いた粉の量をひとめで確認できます。分解しやすいので洗いやすさも◎。

カリタ コーヒーミル 手挽き KH-3AM #42188

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インテリアになるおしゃれな手動コーヒーミル

国産老舗コーヒー機器総合メーカー「カリタ」の手動コーヒーミル。

こちらは、レトロなフォルムでとってもおしゃれな一台。コーヒーを入れる時間を素敵に演出してくれますよ。デザインや雰囲気を重視したい人におすすめ。

豆の投入口は広く設計されているので、コーヒー豆を入れやすいです。切れ味が長持ちする「硬質鋳鉄製臼歯」採用で、刃は耐久性に優れます。

キャプテンスタッグ 18-8ステンレスハンディーコーヒーミルS(セラミック刃) UW-3501

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人気アウトドアブランドの持ち運びしやすい一品

国産アウトドアブランド「キャプテンスタッグ」の手動式コーヒーミル。重量219gと軽量なので、キャンプ用にもぴったり。

金属臭がない「セラミック刃」採用で、コーヒー本来の風味を楽しみやすいです。ネジを回転させることで粗さ調節が可能です。

本体の素材には18-8ステンレス採用で、耐久性が高く、錆びにくいので衛生的に使えます。握りやすく、力が伝わりやすいような設計がされており、使いやすいですよ。

下村企販 珈琲考具 コーヒーミル 43673

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豆の分量調節が楽!使いやすさに定評あり

新潟に本社を置き、キッチン用品を多く手掛ける「下村企販」。便利で使いやすい製品を多く販売しています。

半透明の容器には「浅煎り・深煎り」「1cup・2cup」の2種類のメモリ付き。最適な豆の分量をカンタンに入れやすい仕様なので、メジャースプーンで計量する必要がありません。

プラスチック製で軽量です。刃部分は分解が可能で、お手入れがしやすい仕様。

TIMEMOREタイムモア 栗子C2 コーヒーミル アルミ調節ツマミ

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コスパ抜群!粒度の均一性が高い

「高硬度の刃」採用で、均一に豆を挽きやすいのが特長。ダイヤルを合わせることで、36段階粒度の調節が可能で、フレンチプレスやエスプレッソにも対応しています。

ダイヤモンド・パターン加工で、滑りにくくスムーズに挽きやすいです。取っ手が太く、カンタンに回しやすいですよ。アルミボディの重厚で高級感のあるデザインも魅力。

お手頃価格ですが、高級ミルのような性能を感じられる一台。コスパ重視の人にもおすすめ。

Comandante(コマンダンテ) C40 MK3 ニトロブレード コーヒーグラインダー

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高級品!切れ味抜群で粒揃いがキレイ

プロからも支持が高い、高級手動コーヒーミル「Comandante」。独自の「ニトロブレード」採用で、均一性が高く粒そろいがキレイ。粗挽きから細挽きまで、正確に挽き分けがしやすいです。

ハンドルも力を入れずに回しやすく、さらに豆を挽くスピードも早いです。高価ですが、おいしいコーヒーを飲みたい人にはおすすめ。

Q&A|上手に挽くコツ・挽いた豆の保存方法

Q.手動ミルでムラなく挽くコツは?

A「急いで挽かずに一定の速度で回すと、挽きムラがでにくいです。ミルは重力で下に落ちた豆を挽く仕組みなので、重さが伝わるようにミルは固定して置く必要があります。ミルを持ち上げたり、挽くときに上下したりすると、設定した挽き目通りに挽きにくいですよ」

Q.挽いた豆の保存方法は?

A.「おいしく飲むなら直前に挽くのがベストですが、朝に挽く時間がないときは前日の夜に挽いておくのもひとつの手。挽いた豆はジップロックなどの密封できる食料保存袋に入れて冷蔵庫に保管してくとよいでしょう」

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