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真空パックに入れた食品をお湯の中に入れ、お湯の温度をキープして調理する低温調理器。一台あると、ローストビーフや鶏ハムといった温度調整が難しい料理もしっとりとジューシーに仕上げてくれるので、家庭料理の幅を広げてくれます。

低温調理人気の高まりとともに、低温調理器はますます種類が豊富になっているので、どれを選べばよいのか迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか。

まずは手軽に始めたいという方から、せっかく買うのであれば機能にこだわりたいという方まで、キッチン家電のプロ、キッチンまわり評論家さわけんさんにぴったりの商品を教えてもらいました。

選び方のポイントや、低温調理器を使ったレシピ、食中毒を避けるために気をつけたいことについても紹介します。

さわけんさんのイメージ

さわけんさん
科学する料理研究家。キッチンまわり評論家。科学的に料理を考えて、狙った通りの料理をつくるレシピの達人。辻調理師専門学校で11年間、西洋料理を教える。モノ比較雑誌「LDK」「MONOQLO」「家電批評」の編集者が頼る識者で調理器具・家電、食品類を日本一比較している。「あさイチ」(NHK)・「ZIP!」(日本テレビ) ・「ラヴィット!」(TBS)などTV出演多数!
さわけんズ.com
プロフィール

低温調理器の基本の使い方

1. 鍋などの容器に水を入れ、低温調理器を取り付ける。

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2. 食材を袋に入れて空気を抜いて密閉する。

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3. 材料が入った袋を沈め、料理に合わせて温度と時間を設定する。

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※実際の調理はそれぞれのメーカーの説明に従って行ってください。

手軽に始めたい人におすすめの低温調理器4選

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とりあえず低温調理器を使ってみたいという人や、コスパ重視の人におすすめの低温調理器を紹介します。

最初に日本に入ってきた低温調理器は大きめで、使用するには寸胴鍋が必要でした。あまりに大きなものは家庭では使いづらいので、いろいろと改良され、最近ではより使いやすいサイズ感のものが増えてきています。(さわけんさん)

サンコー マスタースロークッカーS

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ヒーター部分が短く、水の深さが7cm以上あれば使えるので、底の浅い鍋も使用できます。タッチパネルとホイールで温度や加熱時間を簡単に設定できるので操作も簡単。

定格消費電力 850W
本体サイズ 82 × 90 × 320mm
重量 800g
電源ケーブルの長さ 1.25m

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サイズが小さく、浅めの鍋にも取り付けられることと、水温センサーと実際の温度のブレが少ないのでおすすめです。ゴツゴツしたクリップが様々な鍋を挟みやすいのも◎。

ワット数はそれほど高くありませんが、攪拌力が高いのでムラのない調理が期待できるでしょう。(さわけんさん)

モダンデコ サンライズ 低温調理器 Soiree

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デジタル表示のタッチパネルを搭載したモデル。クリップの挟み込む部分の長さが約8cmあり、鍋のふちに本体をしっかりと固定します。約1kgと軽量ながら1000Wのハイパワーを実現しました。

定格消費電力 1000W
本体サイズ 80 × 310mm
重量 約1kg
電源ケーブルの長さ 約1.2m

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シンプルでパワフルな低温調理器。本体が小さめで使いやすいところも◎。

攪拌バネがプラスチックなのが少し気になりますが、とりあえず使う分には問題ないでしょう。(さわけんさん)

アイリスオーヤマ 低温調理器

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1000Wのハイパワーで加熱する低温調理器。斜めになったタッチパネルで操作も簡単。クリップ式なのでワンタッチで鍋に固定することができます。わかりやすいレシピブック(全8メニュー)付き。

定格消費電力 1000W
本体サイズ 90 × 130 × 400mm
重量 約1.4kg
電源ケーブルの長さ 約1.0m

値段が手頃で攪拌する力も強く、食材を入れて下がった水温を回復させる温度復帰も早いおすすめのモデルです。

先端のカバーがビス留めされていて、簡単には抜けない構造になっているので、材料の袋が破れてしまうなど、しっかり洗う必要がある場面では少し面倒に感じるかもしれません。

サイズが大きめではありますが、安くて性能がよいので、とりあえず始めたいという方におすすめです。(さわけんさん)

こちらは鍋の深さ10cmから対応可能で、クリップ部分がギザギザになった新しい機種も発売されています。

ハイスマイル 低温調理器 IPX7防水 小型サイズ

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コンパクトでありながらハイパワーを実現したモデル。片手でも着脱できるクリップで鍋への取り付けも簡単です。特殊な3D流路設計で均一に水を循環させることで、均等な加熱と静音化を実現。操作は25度の傾斜がついた見やすい大画面タッチパネルで行います。

定格消費電力 1100W
本体サイズ 54 × 54 × 333mm
重量 800g
電源ケーブルの長さ 約1.9m

1100Wと非常にハイパワーな機種。お値段は安くはありませんが、サイズが小さめでパワーもあるので、サラダチキンなどを一気に仕込みたいというかたには良いのではないでしょうか。(さわけんさん)

こだわり派におすすめの低温調理器2選

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せっかく買うのであれば、ちょっとこだわったものを選びたい!という方におすすめの、機能面にこだわった低温調理器を紹介します。

ボニーク 2.0

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1000Wとハイパワーでありながら、それまでのシリーズ機種に比べて本体を約36%小型化したモデル。本体の取り付けは磁石がつく素材であればそのまま自立可能。クリップを使用して鍋に取り付けることもできます。

オリジナルアプリに連動して、WiFi接続で外出先から操作をすることも可能に。グッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュなデザインは外観にこだわりたい方にもおすすめ。

定格消費電力 1000W
本体サイズ 55 × 100 × 310mm
重量 1kg
電源ケーブルの長さ 1.5m

スマートフォンに連動させることができるので、タイマー管理や温度調整など各種設定がしやすいところが便利です。

本体の先端には磁石がついていて、ステンレスなどの鍋の真ん中に設置することができます。鍋の中心に置くことで、満遍なく水流を起こし、温度ムラの少ない仕上がりが期待できます。メーカーの公式サイトも必見。(さわけんさん)

カイハウス aio ザ・スーヴィッドマシーン 低温調理器

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1000Wのハイパワーな低温調理器。真空包装できる専用シーラーと専用袋(Mサイズ10枚、Lサイズ10枚)がついているので、材料を簡単に真空パックすることができます。専用の収納スタンドで、立てたままの収納が可能に。購入者特典として、専用サイトで12人のシェフが考案した63のオリジナルレシピが見られます。

定格消費電力 1000W
本体サイズ 190 × 77 × 310mm
重量 約2kg
電源ケーブルの長さ 約1.4m

少し割高と感じるかもしれませんが、簡単に真空パックにできるシーラーと専用の袋がついてきます。ハイパワーで温度表示の誤差が少ないところもおすすめポイントです。(さわけんさん)

低温調理器の上手な選び方

ワット数で選ぶ

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低温調理器の機能で特に重要なのはお湯を温める力とお湯を回す力の2つ。

お湯を温めるのに必要な力はワット数でわかります。一度にたくさんの量を調理したい場合はパワフルな機種を選ぶとよいでしょう

最近のスタンダードなものは850W程度から、パワフルなものは1000Wや1100Wのものもあります。ものすごくパワフルなものが欲しいという人でなければ、基本的には800~850W程度あれば十分でしょう。(さわけんさん)

操作のしやすさで選ぶ

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低温調理器で設定が必要になるのは温度と加熱時間です。

操作は慣れればだいたいどの機種も問題ないと思いますが、ボタンが一つしかないような、シンプルすぎるものは設定のたびに何度もボタンを押すことになるため、不便に感じることも

タッチパネルはしっかり反応すれば便利ですが、なかには反応がかんばしくないものもあるため、ボタンやジョグダイヤルなど、物理的な動きがあるものをおすすめします。(さわけんさん)

使用できる容器や本体のサイズで選ぶ

機種によって、使用できる鍋の大きさや深さはまちまち。手持ちの鍋や容器が使えるかという点も選ぶ際の目安になります。

低温調理器は意外と大きなものが多いので、買ってから置き場所に困らないようにサイズや収納場所を事前に確認しておきましょう。

耐熱温度に問題がなければ、容器として必ずしも鍋を使う必要はありませんが、発泡スチロールを使うとじんわりとお湯が滲み出てくることもあるので、発泡スチロールを容器として使うのは避けましょう。(さわけんさん)

おすすめ低温調理レシピ

キッチンまわり評論家さわけんさん提案の低温調理器でできるトンテキ丸まま新玉ねぎの温サラダりんごのコンポートのレシピを紹介します。

トンテキ

Photo:さわけんさん

豚肉は低温調理で火を通すので、最後にソースと絡めるだけでできあがりです。1cmの肉であれば、63℃で5分加熱すると中心温度は60℃を超えますが、衛生上の理由で継続加熱をします。

新鮮な肉(買いたてのお肉)を使い、低温で調理したらそのまま置いておかず、すぐに食べることが重要です。(さわけんさん)

〈材料〉

・豚肩ロース(とんかつ用) 2枚(240g)
・塩 小さじ1/3(2g)
・黒こしょう 適量
*トンテキのタレ
・おろし生姜 小さじ1/4
・おろしニンニク 小さじ1/4
・醤油 小さじ1
・中濃ソース 大さじ1
・みりん 大さじ1
・片栗粉 小さじ1/6

肉を加熱したときに袋にたまった水分は捨てないようにしましょう。ソースとして使います。(さわけんさん)

〈作り方〉

(調理前)  Photo:さわけんさん
(調理前)  Photo:さわけんさん
  1. 低温調理サーキュレーターを63℃にセットする。
  2. 豚肉に塩と黒こしょうをふり、袋に入れて湯温が63℃になったら15分加熱する。
  3. タレを合わせておく。
  4. 15分経ったら袋から肉を取り出す。袋に残った汁と合わせたタレをフライパンに入れ、混ぜながら煮詰めて濃度が出てきたら肉を加え、タレにからめて完成! お皿に盛り付ける。
丸まま新玉ねぎの温サラダ

Photo:さわけんさん

低温調理サーキュレーターは煮込み料理も作れます。じっくり煮込んだ玉ねぎは煮崩れなしで柔らかです。(さわけんさん)

<材料>

・玉ねぎ 1個
・水 100mL
・鶏ガラスープの素 小さじ1/2
・塩 三本指で2つまみ
・こしょう 少々
・お好みのドレッシング 適量

〈作り方〉

(調理前)  Photo:さわけんさん
(調理後)  Photo:さわけんさん
  1. 低温調理サーキュレーターを90℃にセットする。
  2. ドレッシング以外の材料を袋に入れて90℃で40分加熱する。
  3. 袋から取り出し、お好みで切って盛り付け、ドレッシングをかける。

サラダチキンと合わせるのもおすすめです。取り出した玉ねぎを半分に切ってフライパンで焼くと、肉料理の付け合わせにもなります。(さわけんさん)

りんごのコンポート

Photo:さわけんさん

90度で加熱するので、縮みの少ないシャッキリした食感のコンポートができます。半分に切ったりんごであれば20分でできあがります。(さわけんさん)

〈材料〉

・りんご 1個
・アイスクリーム お好みで
*レモンシロップ
・水 100mL
・白ワイン 10mL
・砂糖 50g
・レモン汁 15mL

〈作り方〉

(調理前) Photo:さわけんさん
(調理後) Photo:さわけんさん
  1. レモンシロップの材料を電子レンジで使用可能な容器に入れ、600Wの電子レンジで2分ほど加熱して溶かす。
  2. 低温調理サーキュレーターを90℃にセットする。
  3. りんごと1で作ったシロップを袋に入れ、90℃で30分加熱したら取り出して冷ます。
  4. りんごを盛り付けてアイスクリームを添える。

食中毒対策もしっかりと!

低温調理器を使用するときに気をつけたいのが食中毒。食中毒を防ぐためには材料の適切な加熱で食中毒の原因となる細菌やウイルス、寄生虫などを死滅させる必要があります。

芯温計があると安心

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市販の肉を調理するときは、食中毒防止の観点から材料の「中心部」が目標とする温度でどれだけの時間保たれたかということが重要になります。

しかしながら材料の厚みや、冷蔵庫から出したばかりなのか、室温に戻しているのかといった材料の状態などによって、中心部が目標温度に達する時間は微妙に変わってきます。

本当の意味での低温調理をするためには、材料の中心の温度を測る必要があります。中心温度が実際に何度で、それを何分間キープしたかわからないと安全かどうかが判断できないのです。

材料の中心温度は食品用の芯温計で測ることができます。芯温計を材料の中心に挿し、温度を設定するとその温度に到達したときにアラームで知らせてくれます。そこから必要な時間をセットし、低温調理器でその温度がキープできるようにすると安全で失敗のない低温調理が可能になります。

芯音計はアマゾンなどで2,000円程度から購入できるので、安全に調理したいという人は芯温計の購入をおすすめします。(さわけんさん)

食中毒の原因菌をなるべく増やさない

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食中毒を防ぐためには、原因となる菌をなるべくつけないようにする必要があります。肉に菌がたくさん付着していると増えるのも早いため、調理の前に元々ついている菌を減らしておきましょう。

水道水で肉などを水洗いしてしまうと、汚染された水が周りに散らばってしまうため、冷たい水を入れたボウルなどの容器に静かに肉を入れ、素手以外で(手袋などをつけて)取り出し、肉の水分を切ってパックの中に入れるようにしてください。 十分なスペースがない場合はペーパータオルで拭くだけでもよいでしょう。

60度以上に加熱することで、大体の食中毒の原因菌は減っていく傾向にあります。肉など生のまま食べられないものは、必ず60度以上の加熱温度に設定するようにしてください。(さわけんさん)

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