猫を飼うときに欠かせないのが猫トイレの設置と日々のお手入れ。猫用のトイレはたくさんの種類があるので、どれを選んだらよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
猫用トイレにはどのようなタイプがあって、猫や飼い主が快適に過ごすために、何に注意して選べばよいのか、猫専門病院の院長で獣医師の山本宗伸先生に伺いました。
初めて猫トイレを買う方や買い替えを検討している方に、かいサポライターおすすめの猫トイレも紹介します。
〈監修〉山本宗伸さん
Tokyo Cat Specialists院長、獣医師
日本大学獣医学科外科学研究室卒。子どもの頃に子猫を保護したことをきっかけに獣医学の道に進むことを決める。都内の猫専門病院で副院長を務めたのち渡米。ニューヨークの猫専門病院Manhattan Cat Specialistsで研修を積み、帰国後に猫専門病院Tokyo Cat Specialistsを開院。国際猫医学会(ISFM)、日本猫医学会(JSFM)所属。自身も3匹の猫を飼う愛猫家。
https://tokyocatspecialists.jp/clinic/
猫トイレの種類
– 尿の処理方法の違い
– 形状の違い
– その他の高機能タイプも登場
猫トイレの選び方
– 猫の年齢や性格に合わせて選ぶ
– 猫の大きさに合わせて選ぶ
– 手入れのしやすさで選ぶ
おすすめタイプ別・猫トイレ14選
– 形状別おすすめトイレ
– 大型猫におすすめ
– 子猫・初心者におすすめ
猫トイレに関するQ&A
– 猫がストレスなく使えるトイレ環境を目指しましょう
猫トイレの種類
Image:Shutterstock
猫用のトイレには、尿の処理方法が違うものと、トイレの形状自体が違うものがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
尿の処理方法の違い
ノーマルタイプ(固まる猫砂用トイレ)
いわゆる昔からある一般的な猫用トイレで、トレイや箱状の容器の中に猫の尿で固まる猫砂を入れて使います。
メリットとしては、安価であること、シンプルな作りであるゆえに壊れづらく、掃除や丸洗いなどのお手入れがしやすいという点です。
次に紹介するシステムトイレと比べると、その都度尿の処理が必要になる点がデメリットと言えるでしょう。
システムトイレ
システムトイレとは、猫砂を敷く部分がすのこ状になっていて、その下に吸水シートを置いて使うタイプのトイレです。猫が尿をすると、砂(チップ)の間を通り抜けて、下の吸水シートに水分が吸収されるような仕組みになっています。
猫の排尿のあとに毎回処理をする必要がなく、メリットとしては、掃除の回数が少なくて済むという点があります。
デメリットとしては、構造がノーマルタイプのトイレよりも複雑なので、トイレ自体を洗うのに少し手間がかかること、使用できる猫砂が「システムトイレ用」のみになるという点です。消耗品として猫砂の他に吸水シートの購入も必要になります。
猫はきれい好きなので、おしっこの水分の塊があるだけでそのトイレを避けるという研究データもあります。システムトイレはトイレをきれいな状態に保てる点ではよいでしょう
形状の違い
オープンタイプ

開放的な作りのトイレ。猫が入りやすいところや、掃除がしやすいことが利点です。一方で、猫が砂を掻いたときに砂が飛び散りやすい点には注意が必要です。
ハーフカバータイプ

オープンタイプのものに一部囲いや壁が付いたタイプ。オープンタイプのものに比べて砂が飛び散りにくいというメリットがあります。
オープンタイプのものに比べて全体として大きかったり、パーツが増えたりするため、掃除の際に少し洗いづらさがあるかもしれません。
ドームタイプ

屋根が付いているものや、入り口以外は覆われているタイプ。砂を掻いたときに飛び散りが少ないのが利点です。
他のタイプに比べて、外にもれるにおいは少なくてすみますが、清潔に保てなければ、中ににおいがたまりやすく、猫が嫌がる原因になることもあります。
他のタイプに比べて大掛かりなものが多いため、洗うときに手間に感じてしまうかもしれません。
その他の高機能タイプも登場

猫が用を足したあと、それを察知して自動的に処理をしてくれる全自動タイプのトイレは、毎回の掃除の手間がかからないため、忙しく不在にしがちな方がトイレを清潔に保つにはよいでしょう。
高価格帯のものが多く、独特の音がするものもあるので、猫によっては気に入らなかったり、使うのを嫌がったりする場合もあります。
首輪をつけることで個体識別をして、猫の体重や、尿の量、回数などをアプリと連動して管理できるものもあります。細かく健康管理をしたい場合などによいでしょう。
猫トイレの選び方
猫の年齢や性格に合わせて選ぶ
– 子猫の場合
Image: GetyImages
最初はおしっこの量やにおいの強さがわからないので、システムトイレではなく、子猫用の少し小さめのノーマルタイプのトイレを選ぶことをおすすめします。
だいたい1歳くらいで猫の体格は決まってくるので、そのときに体格に合ったものや、生活のペースにあった使いやすいものに買い替えるのもよいでしょう。
– 高齢の猫の場合
Image: GetyImages
高齢になると、関節が弱くなり、ヨタヨタと歩く猫も多いので、砂飛びを防ぐような壁が高いトイレは入りづらく、猫がトイレを我慢する原因になることもあります。
高齢の猫には、なるべく負担にならないような、入り口が低くて入りやすいタイプのトイレを置いてあげるようにしましょう。
– 猫の好みも考慮して
猫に屋根のついたトイレと、ついていないトイレを選ばせた研究があるのですが、トイレを清潔に保っているかぎり、猫の個体差はあるものの全体として好みに大きな差はありませんでした。
周りが囲まれていることでプライバシーが守られて落ち着くと感じる猫もいますし、囲まれていることで狭く感じ、嫌がる猫もいるため、形状の好みは猫によるという部分もあります。
猫の大きさに合わせて選ぶ
Image: GetyImages
猫のトイレの理想的な大きさは、猫の体長(頭から尻尾の付け根まで)の1.5倍の長さがあるものと言われています。
ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンといった大型の猫の場合は、一般的なサイズのトイレだと窮屈になってしまうことも。事前にサイズを確認し、なるべく広いトイレを準備してあげるようにしてください。
手入れのしやすさで選ぶ
Image: GetyImages
猫の便の頻度は1日に1-2回から2日に1回程度、尿の頻度は1日2-5回、多くの猫は3、4回程度と言われています。
トイレを清潔に保つためにも、ノーマルタイプのトイレ、システムトイレに限らず、1か月に1度は猫砂をすべて取り替え、丸洗いできるものは水洗いするようにしましょう。
排泄物の処理がしやすいかどうか、洗いやすいかどうかということのほかにも、一人暮らしで家を空けることが多い人は尿の処理が少なくて済むシステムトイレを選ぶなど、飼い主の生活パターンもトイレを選ぶときに考慮しておきましょう。
おすすめタイプ別・猫トイレ14選
かいサポライターがおすすめする猫トイレをご紹介します。
形状別おすすめトイレ
– オープン型、ハーフドーム型
アイリスオーヤマ ネコのトイレ ベーシックタイプ

広々サイズの固まる猫砂用トイレ。銀イオンを配合しているため、においの元となる菌の発生をおさえます。掃除に欠かせないスコップ付きで、本体に取り付けることができます。
サイズ | 約55.7×約45.2×約16.0cm |
重量 | 約0.9kg |
材質 | ポリプロピレン |
色 | ブラウン、ホワイト |
付属品 | スコップ |
固まる猫砂用トイレ |
ライオン 獣医師開発 ニオイをとる砂専用 猫トイレ

獣医師が開発に携わり、動物行動学に基づいたサイズ設計がなされた固まる猫砂専用の猫トイレ。砂が飛び散りにくい深さがありつつ、子猫やシニア猫が入りやすい低めの入り口になっています。
つなぎ目がなく、丸洗いしやすいのも◎。容器は猫砂の減りがわかりやすい半透明のタイプです。
サイズ | 57.5×38×20cm |
重量 | 約1kg |
色 | – |
付属品 | スコップ |
固まる猫砂用トイレ |
ボンビアルコン しつけるトイレ

ケージ内に収まりやすいコンパクトなサイズの固まる猫砂用トイレ。フレーム部分は持ち運び時に取っ手になります。折りたたみ式の専用スコップ付き。
サイズ | 51×38×14.5cm |
重量 | 0.6kg |
色 | ブラウン、アイボリー、ピスタチオグリーン |
付属品 | スコップ |
固まる猫砂用トイレ |
花王 ニャンとも清潔トイレ シンプルタイプ

ケージにも入れやすい、シンプルな設計のシステムトイレ。トレーの上部を反転させると出入り口の高さを変えることができます。猫の尿をチェックしたいときはトイレシートを外しておくことで液体のままトレーに尿をためることができます。スコップと脱臭・抗菌チップ、脱臭・抗菌シート(いずれも約1か月分)付き。
サイズ | 約48cm×38cm×14cm(入口高さ 約 10cm) |
重量 | 3.8kg |
色 | ライトベージュ |
付属品 | スコップ、脱臭・抗菌チップ、脱臭・抗菌シート |
システムトイレ |
– ドーム型
アイリス 掃除のしやすい猫トイレ

砂の飛び散りを防ぎ、においが広がりにくいフルカバータイプの固まる猫砂用トイレ。前面のフードカバーがフルオープンタイプなので、奥まで掃除しやすく、固まった砂を搔き出しやすいデザインになっています。出入り口についたすのこ状の砂落としマットは肉球の間に挟まった砂を落ちやすくしてくれます。
サイズ | 40×53×42cm(入口サイズ 下辺約20×上辺約16×高さ約19.4cm) |
重量 | 2kg |
色 | ブラウン、ホワイト |
付属品 | スコップ |
固まる猫砂用トイレ |
ユニ・チャーム デオトイレ フード付き

消臭・抗菌サンドと消臭シートを使用するシステムトイレ、デオトイレシリーズのフード付きタイプ。トイレ本体にウンチ専用スコップ、約1か月分の猫砂とシートが付属しています。
サイズ | 約40.5cm×約54cm×約43cm |
重量 | – |
色 | ナチュラルアイボリー、ダークグレー |
付属品 | スコップ、消臭・抗菌サンド、消臭・抗菌シート |
システムトイレ |
モデコ フリップリターボックス

ニューヨーク、ブルックリンを拠点とするインテリアブランドの固まる猫砂用トイレ。繰り返し洗って使えるライナー(インナー袋)がついているので、トイレ掃除がしやすいのもうれしい。天板はマグネットを内蔵しているので、開け閉めしやすく、手軽にお手入れできます。
サイズ | 40×52×42.5cm |
重量 | 3.2kg |
色 | ホワイト、グレー |
付属品 | スコップ、ライナー |
固まる猫砂用トイレ |
アイリス 上から猫トイレ

猫が上から入るタイプの固まる猫砂用トイレ。蓋付きなのでにおいがもれにくく、砂の飛び散りも防ぎます。凹凸のある蓋は、猫の肉球に挟まった猫砂を落ちやすくしてくれます。蓋が外れるので掃除がしやすいのも◎。内側にも外側にもかけられるスコップ付き。
サイズ | 約41×約53×約37cm(入口サイズ 約23×約26.5cm) |
重量 | 約2.39kg |
色 | ホワイト、オレンジ、グレー、ブラック、アイボリー、ネイビー |
付属品 | スコップ |
固まる猫砂用トイレ |
大型猫におすすめ
OFT メガトレー

業界最大級の固まる猫砂用トイレ。トイレ内での方向転換もしやすく、大型猫も広々と使えます。入り口から奥に行くにつれて壁が高くなっているので、砂の飛び散りを防いでくれます。肉球にはさまった猫砂を落とす、穴のあいたステップ付き。砂をまるごと入れ替えるのに便利な専用ライナーが1枚付属しています。
サイズ | 約48×約65×約28.5cm(入口部分の高さ 15.5cm) |
重量 | 約1.3kg |
色 | ブルーベリー、グレー、ブラック |
付属品 | 専用ライナー1枚 |
固まる猫砂用トイレ |
コーナンオリジナル キャットトイレ スクエアワイド BR

大きな猫も安心して使える固まる猫砂用トイレ。ハーフカバー付きなので、砂の飛び散りを防ぎます。上蓋の取り外しが簡単なので、お手入れしやすいのもうれしい。
サイズ | 約62×46×23cm |
重量 | – |
色 | ブラウン、ピンク |
付属品 | スコップ |
固まる猫砂用トイレ |
ユニ・チャーム デオトイレ 快適ワイド

大型の猫や、肥満気味の猫が快適に使えるシステムトイレ。トイレが広いのでゆったりと排泄することができます。高い壁がトイレ周辺への砂の飛び出しを抑えます。トイレ本体の他に、ウンチ専用スコップ、猫砂とシート(それぞれ約1か月分)が付属しています。
サイズ | 約47×約70×約35cm |
重量 | – |
色 | ナチュラルアイボリー |
付属品 | スコップ、消臭・抗菌サンド、消臭・抗菌シート |
システムトイレ |
子猫・初心者におすすめ
リッチェル バンビーノ キャットトイレ

子猫やシニア猫が出入りしやすい低めの入り口の猫トイレ。トイレの上枠を反転すると入り口が高くなり、砂が飛び散りにくくなるので、飼い始めから成長に合わせて長く使えます。付属品のスコップは本体の内側・外側どちらでも収納できる仕様になっています。
サイズ | 48×29.5×17.5cm |
重量 | – |
色 | ライトブラウン、ライトピンク |
付属品 | スコップ |
固まる猫砂用トイレ |
ユニ・チャーム デオトイレ 子猫用

子猫から5kgの成猫用のシステムトイレ。入り口を低くしてあるので、子猫が出入りしやすくなっています。トイレ本体にウンチ専用スコップ、約1か月分の猫砂とシートが付属しています。ケージにすっきり入る、コンパクトなつくりの猫の形のトイレです。
サイズ | 約16×約33×約43cm(入り口高さ 約12cm) |
重量 | – |
色 | ナチュラルアイボリー&イエロー、ツートンピンク、ツートンブラウン |
付属品 | スコップ、消臭・抗菌サンド、消臭・抗菌シート |
システムトイレ |
花王 ニャンとも清潔トイレセット すいすいコンパクト

子猫や小型の猫など、3.5kg以下の猫用のシステムトイレ。入り口が低いので、子猫にも出入りがしやすく、トレーの上部を反転させると入り口を高くすることもできます。トイレ本体にスコップと約1か月分の猫砂、シートがセットになっているので届いた日から使えます。ケージにも入れやすいコンパクトなサイズ。
サイズ | 約40×30×14cm (入口高さ 約 7.5cm ※14cmにも変えられます) |
重量 | – |
色 | アイボリー&ペールオレンジ |
付属品 | スコップ、脱臭・抗菌チップ、脱臭・抗菌シート |
システムトイレ |
猫トイレに関するQ&A
Image: GetyImages
Q. トイレはいくつ必要?
A.
猫は他の猫の排泄物があるトイレを嫌がることがあります。多頭飼いの場合、広いトイレで対応するよりは、トイレの数で対応するようにしてください。基本的には猫1頭の場合は2つ、2頭の場合は3つと、猫の頭数プラス1つを目安に用意するのが理想的です。
Q. トイレはどこに置くのがよい?
A.
猫がご飯を食べたり、寝たりして1日の75%程度を過ごす場所をコアスペースと言います。猫を飼っていくうちにコアスペースは決まってくるので、ひとつは猫がアクセスしやすいコアスペースの近くに置くようにしてください。
もうひとつは、人の出入りが少なかったり、他の猫とすれ違ったりしないような、廊下の隅などの静かな場所に置くのがよいでしょう。人間のトイレの近くに置く方も多いようです。
逆に避けたほうがよいのは洗濯機の隣や玄関など、騒がしかったり、急に音がしたりする場所です。猫がびっくりしてしまうのでそのような場所に置くことは避けましょう。
猫がストレスなく使えるトイレ環境を目指しましょう

排泄物は言葉を話さない猫からの大切なメッセージでもあります。おしっこの色や量の変化に病気のサインが現れることもあるため、普段からトイレを清潔に保っておくことが大切です。
また、嗅覚が優位な猫にとって、トイレは排泄するだけの場所ではなく、マーキングやお互いを認識するための手段としても大事なものです。猫と人間がお互いに心地よく過ごすためにも、トイレ環境の整備につとめましょう。