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2022年は半導体不足や物流コスト上昇の影響で、食品や日用品などさまざまな商品が値上がりしています。家電製品も例外ではなく、冷蔵庫や洗濯機などの製品も値上がり・品薄の対象に。家電製品の買い替えを検討している人は、今後の状況が気になるところでしょう。

家電プロレビュアーの石井さんは「最低でも3か月〜半年はこの状況が続くでしょう。在庫が切れる可能性があるので、買い替え予定の家電製品がある場合は、なるべく早く買うのがおすすめ」と語ります。

今回は、石井さんに買い替えのベストなタイミング、家電の値上げ・品薄がいつまで続くかを解説いただきました。お得に買う方法や、電気代の値上がりにともなう省エネ家電の必要性についても説明しています。

石井和美さんのイメージ

家電プロレビュアー
石井和美さん

白物家電や日用品などを中心に製品レビューを得意としています。レビュー歴15年以上。茨城県守谷市に家電をレビューするための一戸建てタイプ「家電ラボ」を開設、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電のテストも行っています。

家電の値上げ・品薄はいつまで続く? 原因は?

Image: Shutterstock

「値上げ・品薄がいつまで続くかの正確な予想は困難ですが、3か月〜半年は続くといえるでしょう。

昨年から半導体不足でモノが作れない状況になり、値段がじわじわと上がっていきました。さらにコロナ禍の影響で、家の中で使う家電の需要が高まり、値上げや品薄に拍車がかかりました。

重ねて、ウクライナ危機の影響で、原油価格とともに原材料の価格も上昇。燃料の価格が上がったことで、物流コストも高くなりました。最近は、上海のロックダウンで物流が止まり、品薄がさらに顕著になっていますね。

以前のような状況に回復する見通しが立たないため、値上げはしばらく続くと予想しています」

値上げしている家電は?

「家電の種類を問わず、全体的に値上げしていますね。冷蔵庫や洗濯機などの品薄が顕著な家電はとくに値上げしています。

iPhoneは、これまでに発売されたモデルの価格は据え置きですが、今後リリースされるモデルの価格は上がると予想されています。パソコンやプロジェクター、オーディオ機器も大きく影響を受けていますね。

半導体の影響が少ないアイロンやミキサー、ケトルなどの小物家電はそこまで値上げしていない傾向にあります。ただ、安くはなっていないです。家電は発売してからある程度期間が経つと値下がりしますが、例年に比べると値下がりの幅も緩やかになっています。また、小物家電でも一部高級路線の製品は値上げしていますね」

▼値上げした商品例(値上げが公式に発表されているメーカーを参考に)

メーカー 価格改定実施日 値上げした商品が含まれるカテゴリ
ソニー 2022年4月1日 サウンドバー、ホームシアターシステム、ブルーレイディスク/DVDプレーヤー、デジタル一眼カメラ、デジタルビデオカメラ、ヘッドホン、ポータブルオーディオプレーヤー、ラジオ、AVアクセサリー など
バルミューダ 2022年4月1日 スチームトースター、オーブンレンジ、炊飯器、空気清浄機、サーキュレーター、加湿器、太陽光LEDデスクライト、ワイヤレススピーカー など

※値上げした具体的な製品に関しては公式HPなどでご確認ください。

買い替えのベストなタイミングは?

「買い替える予定の家電があるなら、すぐにでも買い替えたほうがよいです。

先延ばしにしたら在庫がなくなっている可能性があります。例年であれば、家電はボーナス時期や決算時期のセールで安くなりますが、半導体不足が続く現状ではセールでも大幅に下がることは期待できないでしょう。

とくに早く買い替えたほうがよいのがエアコン。今も品薄で買いにくい状況ですが、7月になると工事する人手も足りなくなり、さらに品薄になる可能性も。夏場の暑い時期にエアコンが使えない状況は避けたほうがよいです」

お得に買う方法は?

今後も値上げは続くと予想されますが、少しでもお得に買いたい人はどうすればよいのでしょうか……?

型落ちモデルから選ぶ

「最新モデルにこだわらないのであれば、型落ちで買うのがおすすめ。家電の種類にもよりますが、ひとつ前のモデルであれば、性能や機能は大きくは変わりません。

現在は、新製品が発売されたときの価格も高く設定されている傾向にあります。型落ちモデルは発売当時の値段も割安なのでお得に買いやすいです」

基本的にネットで買う。まとめ買いなら量販店を検討

「実店舗がないネットのお店は、人件費や場所代がかからない分、割安で買える傾向にあります。

ただ、エアコンなど工事が必要になる家電は、業者の手配などの手間がかかることも……。

店舗のほうが設置作業などに関するサポートは充実しています。家電に対する知識がある人なら、ネットのほうがお得に買えますね。

基本的にはネットが安いですが、量販店でまとめ買いをすると値引きしてもらえることもあります。冷蔵庫や洗濯機などをまとめて買うものがある場合は、量販店での購入も視野に入れるとよいでしょう」

「東京ゼロエミポイント」を活用

東京ゼロエミポイント(家庭のゼロエミッション行動推進事業)は、都内在住の方を対象とした事業。「住宅に設置済みのエアコン、冷蔵庫、給湯器を、省エネルギー性能の高い新品の対象家電等に買い替えた方」を対象に「東京ゼロエミポイント」が付与されます。事業は2023年3月31日まで実施予定。

「東京ゼロエミポイントを活用すれば、ポイント数に応じた商品券やLED割引券を獲得できます。書類を揃える作業が苦でなければ、活用するのがおすすめ」

▼東京ゼロエミポイント獲得の詳しい条件などは以下でご確認ください。
https://www.zero-emi-points.jp/about/

PB(プライベートブランド)商品を検討する

「PB(プライベートブランド)」は、メーカーではなく卸売業者や小売業者が自社で商品企画や製造、販売を行うブランドのことです。ビックカメラやヤマダ電機、ニトリやドン・キホーテなど、多くの業者がPBの家電を販売しています。

「PB商品は、宣伝費やつくるコストが抑えられているため、価格が安い傾向にあります。商品は、家電メーカーと協力してつくられている場合が多く、商品の質も申し分ないです。

メーカーのつくった商品のように、最新の技術が搭載されているものは少ないですが、シンプルで使い勝手がよいリーズナブルな商品が多い傾向にあります。高性能・高機能な製品を求めない人にはおすすめ。

デザインが統一されているのも魅力です。まとめて買うとインテリアに統一感が生まれますよ」

省エネ家電に切り替えたほうがいい?

Image: Shutterstock

値上げの影響は、電気代にも及んでいます。電気代を安くするために、エネルギーの消費量を抑えて使える「省エネ家電」に切り替えたほうがよいのでしょうか。

「我が家の場合は、二人の子どもが別の部屋でエアコンを使うので、月の電気代が高額になりがち。そのため、ピーク時には月の電気代が7万円もかかるので、省エネ家電への切り替えを進めています。

ただ、省エネ家電には高度な技術が搭載されているので本体価格が高価になりやすいです。省エネ家電といっても、節約できる金額は高くても数千円ほど。金額面だけをみれば必ずしも切り替えたほうがお得とはいえません。節約できる電気代と本体価格とのバランスを考慮して購入を検討するとよいでしょう。

ただ、15年ほど前の昔の家電を使っているなら、電気代が高くなるので買い替えるのがおすすめ。2011年の震災をきっかけに、各メーカーが省エネに力を入れて電気代が下がるような家電を開発してきました。古い家電を使っているなら省エネ家電でなくてもよいので、最近の家電に買い替えれば、電気代は安く抑えられますよ」

今後も値上がりや品薄が続くと予想されるため、ほしい家電はできるだけすぐに買い替えたほうがよいでしょう。家電の選び方は、以下の記事で紹介しているので、こちらも合わせてチェックしてみてくださいね。

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