住宅事情でピアノを置くことが難しい方や、手軽に好きな場所でピアノを楽しみたい方におすすめなのが、音を気にせずに弾ける電子ピアノ。
脚が付いている据え置きタイプや、簡単に場所を移動できる卓上タイプを始めとし、鍵盤の素材や音色の違い、さらには少ない機能でシンプルなデザインなものから弾かないときにも生活に役立つ機能が搭載されているものまで……。ひとことで電子ピアノと言っても、種類はさまざま!
長く使うものですし、何を基準に選んだらいいかも判断が難しいところですよね。
今回はピアニスト・ピアノ講師である僕が、電子ピアノとアコースティックピアノの違いや、電子ピアノを選ぶときに気をつけたいポイント、目的別にピックアップしたおすすめの機種などをご紹介します。
門岡 明弥(カドオカハルヒサ)
ピアニスト・ピアノ講師、編集者・ライター。洗足学園音楽大学大学院修了、同大学ピアノ伴奏員。ROOMIE編集部に在籍し、洗足学園音楽大学公式note「SENZOKU.net」にて講師を務める。メディア出演はBS-TBS「由紀さおりの素敵な音楽館」、BSテレビ東京「歌ものまね下剋上バトル!」など。現在、ユニバーサルミュージック「uDiscoverクラシック」にて連載執筆中。
Twitter:@hal_119
電子ピアノ、どこに注目して選ぶ?
据え置き型か、卓上タイプか
鍵盤内部における材質の違い
実は鍵盤表面の加工もポイント
スピーカー数もチェック
初心者から上級者まで、価格帯別おすすめ電子ピアノ11選
初心者におすすめの電子ピアノ4選(約40,000~70,000円)
中級者におすすめの電子ピアノ4選(約80,000~120,000円)
上級者におすすめの電子ピアノ3選(約180,000~250,000円)
電子ピアノとアコースティックピアノの違いって?

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電子ピアノとは、アコースティックピアノ(グランドピアノ・アップライトピアノ)に代わるものとして生まれた電子鍵盤楽器です。
機種にもよりますが、最近の電子ピアノはアコースティックピアノの音色・打鍵感・構造が高いクオリティで再現されているため、大きな音を鳴らせない環境下でも効率よく練習することができます。
発音方法と寿命の違い
では、そもそも電子ピアノとアコースティックピアノの違いは何なのか? まず、大きな違いとして音の出る仕組みが挙げられます。
アコースティックピアノは指先で鍵盤を押すことでハンマーが動き、中に張ってある弦を叩きます。叩かれた弦の振動が音となって響き、響板と呼ばれる木の板や叩いた弦以外の弦、フレームなどに伝わり、楽器全体が複雑に共鳴することで独特の響きを生み出します。
そのため、鍵盤を押すスピードや鍵盤から指を離すスピードはもちろん、体重の掛け方や鍵盤に触れる指の形によっても、音の表情が豊かに変化するのです。
また、生の楽器なので、ピアノ1台1台に個性が存在します。ランニングコストはかかってしまいますが、年に1~2回の調律や必要に応じた整備を定期的に行うことで半永久的に使用できる点も、アコースティックピアノの特徴です。
一方で電子ピアノは指先で鍵盤を押し、その情報をセンサーで感知。その動きを元にスピーカーから発音する仕組みです。
電子ピアノの音源には、アコースティックピアノからあらかじめ録音した音を再生する「サンプリング音源」と、デジタル技術で演算してリアルタイムで音を生み出していく「モデリング音源」の2種類があります。
「モデリング音源」はアコースティックピアノの発音の仕組みを計算して音を作り出すため、録音された音をそのまま発音する「サンプリング音源」とは、弾き方による音の表情の違い・響きの違いといった部分で差が出てきます。可能な限りアコースティックピアノに近い表現を求めるなら、「モデリング音源」のタイプを選ぶとよいでしょう。
電子ピアノはいくら楽器といえど電化製品でもあるため、個体差はありません。電気部品の劣化などにより、約10~15年ほどで寿命を迎えてしまうことが多いのですが、一部の機種を除いて、定期的な調律・整備がほとんど必要ない点も◎。電気代以外にはランニングコストがかかりません。
電子ピアノのメリット・デメリット

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メリット
電子ピアノはアコースティックピアノよりも軽量・コンパクトかつ、ヘッドホンにも対応しているタイプが多いため、置く場所を選ばずに演奏が楽しめます。
加えて、アコースティックピアノにはない音の変更機能・レッスン機能・アプリとの連動機能などを使ってピアノ演奏を楽しめるため、アイデア次第で楽しみ方の幅が広がっていく点も電子楽器ならではの魅力だと感じます。
アコースティックピアノと比べて気軽に始められるため、「すぐに飽きてしまったらどうしよう……」と思う方も、最初の一歩として踏み出しやすいところもポイントです。
デメリット
デメリットとして、アコースティックピアノとは根本的に構造が異なるため、「ピアノとしての性能」に関してはアコースティックピアノに敵わないという点が挙げられます。
楽器から自分の体に伝わる振動や、空間に音が響き、だんだん溶けていく感覚。そして、打鍵のスピードや体重の掛け方ひとつで変わってくる表現の自由さ。さらにアコースティックピアノはその日の気候によっても音が変わるため、まるで生きてるように感じられることもあります。そんな生楽器特有の“楽器と対話する感覚”は電子ピアノでは得られないでしょう。
しかし、各メーカーの開発努力もあり、ここ最近の電子ピアノはアコースティックピアノと電子ピアノのハイブリッドと呼べるようなモデルも続々登場しています。表現力やタッチなどを始め、これまで以上に多くのモデルがアコースティックピアノに近づいてきているため、アコースティックピアノが家に置けないからといって、悲観することはありません。
キーボードと電子ピアノは用途が異なる
キーボードと電子ピアノは、電子鍵盤楽器である点では非常に似た楽器だと言えるかもしれません。
しかし、電子ピアノはアコースティックピアノの演奏が再現できるように作られているのに対して、キーボードは鍵盤楽器を手軽に楽しむための楽器だと言えます。ピアノ演奏の上達や、ピアノの弾き心地を楽しむことを目的とするのであれば、電子ピアノの方が適しているでしょう。
まず異なるのは、構造や鍵盤数。電子ピアノがアコースティックピアノと同じ88鍵であるのに対して、キーボードは鍵盤の長さや幅が短いものが多く、鍵盤数も32~61鍵と少ないタイプがほとんどです。
他の楽器と一緒に演奏したり、音域の狭い曲を演奏したりする分には特に問題ありませんが、本格的なピアノ曲に挑戦するときには音域が足りず、演奏できる曲が制限されることも……。
次に、鍵盤のタッチも大きく異なるポイント。アコースティックピアノのように直接弦を叩いて演奏できるわけではありませんが、電子ピアノの中にはハンマーが搭載されているタイプも多く販売されています。
また、鍵盤のタッチには適度な重さがあり、弾いたときに確かな手応えや反発を感じることができるため、アコースティックピアノに近い打鍵感を得られることも電子ピアノの特徴です。
一方でキーボードは鍵盤のタッチがオルガンのように軽く、触っただけで簡単に音が出るような作りになっているため、アコースティックピアノの代わりとして演奏するには不向きだと言えるでしょう。
キーボードはピアノ演奏のためだけに作られているわけではなく、オルガンやストリングス、管楽器の音まで、さまざまな楽器音が必要なタイミングで主に活躍してくれます。鍵盤が軽いと本体重量もずいぶん軽くなるため、背負って持ち運べるくらい身軽であることもキーボードの特徴です。
バンド活動時に幅広い音色での演奏を楽しむ際には、電子ピアノよりもキーボードの方がオススメ。同じ電子鍵盤楽器といえど、電子ピアノとキーボードではまるで用途が異なるのです。
電子ピアノ、どこに注目して選ぶ?
据え置き型か、卓上タイプか

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電子ピアノには、基本的に「据え置き型」と「卓上タイプ」の2種類が存在しています。中には「折りたたみタイプ」も販売されていますが、キーボードのように鍵盤が軽く、簡易的な作りとなっているため、ピアノ練習には向きません。
一般的なモデルは「据え置き型」で作られており、鍵盤・脚・ペダルなどが一体となっています。安定感があってグラつきにくい・スピーカーを多数搭載できることでアコースティックピアノに近い音の響きを体験できる・インテリア性が高く、部屋になじみやすいなどのメリットがあります。
機能面がアコースティックピアノに近づけば近づくほど価格も上がってきますが、本格的にピアノの上達を目指すのであれば「据え置き型」が断然オススメ。中にはグランドピアノ型の電子ピアノもあるくらいです!(50~100万円ほどかかってしまいますが……)
デメリットは、移動を想定してデザインされていないため、手軽に持ち運ぶことができないところ。
「卓上タイプ」は演奏する鍵盤本体のみが独立した作りとなっており、スタンドは別売りとなっています。メリットは持ち運びがとにかく楽であること。ケースに入れて外に持ち出すこともできますし、部屋が狭く感じるときは一時的にしまっておくことも可能。「据え置き型」と比べて価格帯がリーズナブルなので、趣味としても気軽に始めやすいでしょう。
「卓上タイプ」のデメリットは、スタンドを別に用意する必要があることや、デザインの都合で搭載されるスピーカーの数やサイズに制約がある点。位置を動かしたり、外に持ち運ぶ可能性があれば「卓上タイプ」を選んでおくといいでしょう。
鍵盤内部における材質の違い

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鍵盤の材質は、大きく樹脂製と木製に分かれます。
樹脂製鍵盤は耐久性が高く、軽いタッチの鍵盤が多い傾向にあります。タッチが軽いため打鍵そのものの負担は少ないのですが、クッション性が少なく打鍵時の振動が直接伝わってしまうため、長時間の練習は指や手首に負荷がかかってしまってしまう恐れがあります。
アコースティックピアノと弾き心地が大きく異なるため、樹脂製鍵盤に慣れてしまうと、本物のピアノを弾くときに繊細な演奏表現ができなくなってしまう場合もあり、上達を目指す方は注意が必要です。
20万円を超える電子ピアノに搭載されているのが、木製鍵盤。タッチにはほどよい重さがあり、連打性にも優れるため、よりアコースティックピアノに近い弾き心地が再現されています。
樹脂製鍵盤は鍵盤が戻ってくるときにバネが跳ね返ってくるような感覚がありますが、木製鍵盤は鍵盤自体に重さがあり、ハンマーと鍵盤それぞれの重さで動くシーソー構造となっています。これはグランドピアノで用いられている鍵盤と同じ仕組みで、弾いた瞬間に鍵盤が戻ってくるため、テンポの速い曲でも不自由なく練習できるのです。
ちなみに、木製と樹脂製を組み合わせた「ハイブリッド鍵盤」を搭載したモデルもあります。こちらは本格的なタッチを実現しつつも耐久性を備えた作りとなっています。
実は鍵盤表面の加工もポイント
ここまでが鍵盤内部における材質のお話でしたが、実は鍵盤表面にも象牙調・黒檀調仕上げと呼ばれる加工が施されている場合があります。
これまでピアノには白鍵に象牙、黒鍵に黒檀が使用されていました。しかし、現在は象牙を使用できず、黒檀も非常に高価な材質であるため、それらに近い素材を用いた「象牙調仕上げ・黒檀調仕上げ」と呼ばれる加工が施されるようになったのです。
表面がプラスチック仕上げになっているものと比べると適度にざらつきがあり、ほどよく汗を吸収してくれます。手汗をかいてしまっても滑りにくく、特に黒鍵を多く使う曲を演奏する場合に助けられることが多いかもしれません。
プラスチックの表面とは肌触りがまるで異なるので、機能性・価格帯が似通ったモデルで迷っているのであれば、その中でも象牙調仕上げ・黒檀調仕上げの鍵盤が搭載されている機種を選ぶのがオススメです。
スピーカー数もチェック
アコースティックピアノの場合は楽器全体が共鳴し、あらゆる方向から音が聴こえてきますが、電子ピアノが音を発するのはスピーカーからのみ。アコースティックピアノのように音を立体的に捉えて繊細な響きを演奏者自身が感じるためには、スピーカーの質や数も重要なポイントです。
スピーカー数は、スタンダードモデルで2機、ワンランク上のモデルでは4機、6機と増えていきます。スピーカー同士で低音・中音・高音の役割分担をさせたり、配置や角度を工夫することで、アコースティックピアノの響きに近づけているのです。スピーカー数が少ないと、小さな音で練習したときに変化がわかりづらくなってしまうため、できればスピーカーは4機搭載されているものがオススメ。
アコースティックピアノで弾くことはなさそうだし、基本的にはヘッドホンだけで練習するという方は、スピーカー数にはそこまでこだわらず、むしろ高性能なヘッドホンを購入することに尽力した方がよいでしょう。
初心者から上級者まで、価格帯別おすすめ電子ピアノ11選
楽器には初心者用という考え方はなく、どんな方でも表現力の高いもので演奏するのが理想的ではあります。しかし、本格的な演奏表現の追求よりも、手軽にピアノ演奏を楽しむことを目的とする方が数十万円の電子ピアノを購入するのは、気が引けるかもしれません。
今回は手軽にピアノ演奏を楽しみたい人はもちろん、本格的な上達を目指す人まで、それぞれに合ったおすすめの電子ピアノをピックアップしてみました。
初心者におすすめの電子ピアノ4選(約40,000~70,000円)
「練習時間があまり確保できないし、本格的に取り組むよりも手軽にピアノの楽しさを味わえたらいい!」と思う方に向けて、できるだけシンプルで価格を抑えた88鍵電子ピアノをピックアップしました。
①KORG LP-180
据え置きタイプを手軽に買うならコレ!

サイズ | 136.5×27.4×78.1cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 23.3kg |
スピーカー数 | 2 |
設置タイプ | 据え置き |
シンセサイザーやキーボードを数多く生み出しているメーカー・KORG(コルグ)。「LP-180」はベーシックな部分のみを押さえた5万円で買える電子ピアノです。
繊細なタッチなどは緻密に反映されませんが、アコースティックピアノ特有の低音部では重く高音部では軽くなるタッチを再現。据え置きタイプのためスタンドを別で買わなくていい点も◎。
「なんでもいいけどとりあえずピアノを始めたい!」と思う方にオススメの1台です。
②PLAYTECH PDP300-WH
「おうちレッスン用」ピアノとしても活躍

サイズ | 130.6×13.3×35.3cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 15.2kg |
スピーカー数 | 2 |
設置タイプ | 卓上 |
卓上タイプではありますが、象牙調ハンマーアクション鍵盤を搭載しており、汗をかいても滑りにくく、値段の割に快適な弾き心地が特徴の電子ピアノ。ヘッドフォン端子が2つ搭載されているため、深夜に2人同時に演奏することも可能です。
加えて、鍵盤を2つの領域に分けてそれぞれ同じ音域で演奏することもできるため、子どものいる家庭ではおうちレッスンにも最適。音色数は90種類で、デモ演奏音源も多数収録されているため、5万円以下の「おうちレッスン用ピアノ」としてオススメ。
③YAMAHA P-45 B
省スペースかつ費用も抑えるなら

サイズ | 132.6×15.4×29.5cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 11.5kg |
スピーカー数 | 2 |
設置タイプ | 卓上 |
YAMAHA製のコンパクトサイズな電子ピアノ。奥行きが30cm未満なので、部屋にスペースがなくても圧迫感は少なめ。
鍵盤の重さが低音部では重く、高音部では軽くなるように、音域によって弾きごたえを段階的に変化させ、自然なタッチ感が実現されています。
ざっくり言うと、①で紹介した「LP-180」の卓上タイプ版と思っていただけるとわかりやすいかもしれません。
④CASIO Privia PX-S1100
世界最小サイズ! 弾かないときも生活を豊かにしてくれる1台

サイズ | 132.2×10.2×23.2cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 11.2kg |
スピーカー数 | 2 |
設置タイプ | 卓上 |
グランドピアノの機能性をコンパクトに追求したCASIOの88鍵電子ピアノ。ハンマーの自重によるアクション機構が搭載されているにも関わらず、奥行きは23.2cmと世界最小サイズ!(※ハンマーアクション付き88鍵盤・スピーカー内蔵デジタルピアノの奥行サイズにおいて2021年7月現在、CASIO調べ)
白鍵は象牙調、黒鍵は黒檀調となっており、指を離す際の鍵盤の動きをもとに消音するタイミングをデジタル制御してくれる「キーオフレスポンス」機能が搭載されている点も◎。これによって、樹脂鍵盤でありつつもグランドピアノに近い連打性が再現されています。
先に紹介した3機種より1~2万円ほど金額が上がりますが、約6万円でこれだけの機能性なので、むしろコスパは高め。
デザインもかわいく、本体のスピーカーをBluetoothスピーカーとして使うこともできるため、ピアノを弾いていないときも生活を豊かにしてくれる1台だと思います。
中級者におすすめの電子ピアノ4選(約80,000~120,000円)
「ピアノを弾いたことはあるし、楽譜の読み方も分かるから、趣味としてピアノを定期的に弾きたいな〜」と思う方に向けて、コストを抑えつつも機能性が充実した電子ピアノをご紹介します。
①CASIO Privia PX-870BN
スピーカーを4機搭載したPriviaのフラッグシップモデル

サイズ | 139.3×80.1×29.9cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 34.3kg |
スピーカー数 | 4 |
設置タイプ | 据え置き |
天板にスリットを設けることで、本体内の反射音が効率よく抜ける音響構造を実現した、Priviaのフラッグシップモデルです。象牙調・黒檀調鍵盤で弾きやすいことはもちろん、弦の共鳴音を追求することでグランドピアノならではの響きまで再現。低価格帯の電子ピアノと比較すると、演奏中の音の聴こえ方は1段階変わってきます。
また、スピーカーも4機搭載されているため、ヘッドホンを使わず演奏した際に、楽器全体が響く感覚をイメージしやすいところも◎。音も機能もある程度充実していながらも、奥行きが30cm未満とコンパクトなので、置きやすさも兼ね備えているモデルです。
②YAMAHA YDP-S34 ARIUS
ヘッドホン着用時も、スピーカーで音を鳴らしたいときも快適に弾ける

サイズ | 135.4×79.2×29.6cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 35.9kg |
スピーカー数 | 2 |
設置タイプ | 据え置き |
小さい音量で弾いても心地いい演奏感が得られる「インテリジェント・アコースティック・コントロール(IAC)」が搭載されている点や、ヘッドフォン着用時でも、ピアノ本体から音が鳴っているような自然な聴き心地で演奏ができる「ステレオフォニックオプティマイザー」機能が搭載されていることはポイント。
ヘッドホンを使いたいとき、スピーカーで音を鳴らしたいとき、どちらでも快適に練習できる電子ピアノです。
③KAWAI CN29
搭載されているレッスン曲は200曲。しっかりめな練習に

サイズ | 136×86×40.5cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 43kg |
スピーカー数 | 2 |
設置タイプ | 据え置き |
鍵盤は白鍵のみ象牙調。バイエルからショパンのワルツまで、搭載されているレッスン曲は200曲と、レッスン機能が特徴的です。
右手、左手だけを個別に再生することや、曲の一部分だけを繰り返し再生することなどもできるため、子どもから大人まで自宅で本格的に練習してみたいと思う方にも◎。
④Roland F701
多彩な機能も直感的に操作できるパネルが魅力

サイズ | 136×78.1 ×34.5cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 36kg |
スピーカー数 | 2 |
設置タイプ | 据え置き |
美しくやさしい音からダイナミックで迫力のある音まで、豊かな表現力を持つ「スーパーナチュラル・ピアノ音源」と、指先の繊細なタッチ・コントロールを可能にする「PHA-4スタンダード鍵盤」が搭載された電子ピアノ。
「F701」の操作パネルには、日本語表示のディスプレイや、アイコン表示のボタンが配置されており、多彩な機能も直感的に操作することができます。電子ピアノは簡易的なボタンしかついていない機種も多いので、操作がわかりやすいだけで毎日使うハードルはちょっとだけ下がるものです。また、鍵盤は白鍵のみ象牙調となっています。
上級者におすすめの電子ピアノ3選(約180,000~250,000円)
「ピアニストが弾くような難しい曲にもチャレンジして、ピアノの上達を目指したい!」と思う方に向けて、比較的リーズナブルでありつつも、初〜中級者向けの機種よりもさらにアコースティックピアノに近づいたものをピックアップしてみました。
予算25万円以上の場合は以下の3機種を基準として、さらにそれぞれの機種の上位モデルと比べてみることをオススメします。
①KAWAI CA49
黒鍵まで木製! コストを抑えつつ鍵盤にもこだわるなら

サイズ | 136×91.5×46cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 58kg |
スピーカー数 | 4 |
設置タイプ | 据え置き |
CAシリーズは木製鍵盤を搭載し、 グランドピアノの弾き心地を再現したKAWAIのフラッグシップモデル。その中でも「CA49」は最もリーズナブルな木製鍵盤機種となります。KAWAIの電子ピアノは白鍵のみならず黒鍵まで木製になっていることがポイントです。
専用BOX付き中低音スピーカーと、高音専用スピーカーが左右それぞれに配置されていることで、グランドピアノを弾いたときのような音の聴こえ方に近いことも特徴的。
もう1つ上位の機種である「CA59」との違いは、主に音源・スピーカー性能・レッスン曲数です。ヘッドホンを使わずに練習する時間が長いようであれば、さらに5~6万円ほど上乗せして「CA59」を購入するのもアリだと思います。価格を抑えつつ、木製鍵盤の電子ピアノを手に入れたい人にオススメ。
②YAMAHA Clavinova(クラビノーバ) CLP-745
コンサートグランドピアノの音色が収録。グランドピアノと似たデザインも◎

サイズ | 146.1×92.7×45.9cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 60kg |
スピーカー数 | 4 |
設置タイプ | 据え置き |
木製鍵盤を搭載し、2ウェイスピーカーのクリアで厚みのあるサウンドが特徴的な機種。ベーゼンドルファー社のフラッグシップモデル・インペリアルに加え、ヤマハ最高峰のコンサートグランドピアノ・CFXの音色が収録されていることもポイント。
ひとつ下の機種である「CLP735」との主な違いは、木製鍵盤であること・スピーカー数が2つから4つに増えていること・Bluetooth機能の搭載など。弾き心地や音の聴こえ方はもちろん、ピアノを弾かないときは豪華なスピーカーとして音楽鑑賞を楽しめる点も含め、「CLP735」とはずいぶん大きな違いがあります。
座ったときの視界や、空間の感覚がグランドピアノと似ているため、練習はクラビノーバ、本番はグランドピアノを弾くような場面でも、視界に大きな違和感を感じることなく演奏に集中できる点も魅力です。
③Roland LX705
ポップスやジャズの曲を内蔵し、オーケストラの伴奏と練習できる機能も

サイズ | 138.3×103.8×46.8cm |
鍵盤数 | 88 |
重量 | 58kg |
スピーカー数 | 4 |
設置タイプ | 据え置き |
LX700シリーズは新開発のハイブリッド構造鍵盤(木材×樹脂センターフレーム)を搭載し、グランドピアノの音色・響きまでも再現したRoland製電子ピアノのフラッグシップモデル。「LX705」はその中でも一番手頃な機種ですが、思わず本物のアコースティックピアノと勘違いしてしまうようなスタイリッシュなデザインも魅力的。(グランドピアノより、アップライトピアノっぽい見た目ではありますが!)
また、ピアノ本体には、クラシック、ポップス、ジャズなどの多彩なジャンルの曲を内蔵し、オーケストラの伴奏と一緒に演奏できる曲も多数収録されています。ピアノ協奏曲の練習もできるため、音大生・ピアニストの自宅練習用ピアノとしても活躍してくれますよ。
付属品はあったら嬉しいけど、吟味する必要アリ

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商品によってはピアノ椅子や専用スタンド、ヘッドホンなどが付属している場合がありますが、「何も考えなくても付属品がついていれば何でもOK!」というわけではなく、ピアノ椅子や脚台は演奏者に合ったものを選びましょう。
特に電子ピアノに付属しているピアノ椅子は、軽量で作りが簡易的なものも多め。安定感が損なわれると演奏上達の妨げになってしまうため、最低でも重さが10kg前後で高さ調節の自由度が高いピアノ椅子を選ぶことをオススメします。
大人だけが演奏する場合、脚台は必要ありませんが、身長130cm未満のお子さんなどの場合、無段階で高さ調節できる脚台を別途購入しましょう。ピアノ椅子に座ると足が付かなくなる場合は、アシストスツールと呼ばれるコンパクトな補助台を別途購入してください。ピアノを弾くうえで椅子の高さや演奏姿勢はとても重要なので、ピアノ椅子と脚台はじっくり検討する必要アリです。
卓上タイプの電子ピアノを購入する場合は、付属しているスタンドを買っておくと設置に失敗することはありません。ヘッドホンに関しては、使用頻度や何を求めるかによって合う商品が変わってくるため、まずは付属品のヘッドホンを使って、物足りない部分が明確になってから考える形でもいいと思います。
ヘッドホンを装着して練習していたとしても、打鍵時のカタカタ音や振動は意外と発生してしまうもの。遮音マットが付属しているものを買っておくと下の階の振動対策としても安心です! 付属していないものは別途買えばいいだけなので、実際に購入するときは付属品に縛られず、純粋に欲しいと感じる電子ピアノを選んでみてくださいね。