暖かい日が増え、これからの季節はキャンプやフェスなどのアウトドアイベントが盛り上がる時期。アウトドアシーンで活躍するアイテムはたくさんあるけれど、キャンプで寝泊まりするならば、テントや寝袋のほかに欠かすことのできないアイテムが「キャンプマット」です。
テントと寝袋の間に敷くキャンプマットを使用することで、キャンプ時の寝心地が改善され、しっかりとした睡眠を取ることで翌日のパフォーマンスも大きく変わってくることも。
そこで今回は、アウトドアブランドで長年PRを担当し、自身も大のアウトドア好きという市之瀬亮さんにおすすめのキャンプマットをお伺いしました。キャンプマットの役割や選ぶ時のポイントなども紹介します。
市之瀬亮さん
アウトドアブランドのプレスを経て、音楽フェスに特化したWEBメディア”フェスティバルライフ(https://www.festival-life.com)”に所属。普段からBBQやキャンプ、音楽フェスなど外遊びが大好き。自宅は埼玉県・飯能の山奥でベーグル屋を営んでおり、一児の父。
1.キャンプマットとは?
キャンプマットを使用するメリット・デメリット
3.キャンプマットの選び方
サイズで選ぶ
R値(熱対抗値)で選ぶ
キャンプのシーンや目的で選ぶ
携行しやすさで選ぶ
値段で選ぶ
1. キャンプマットとは?

「スリーピングマット」や「テントマット」と呼ばれるマットで、キャンプで寝る際に、寝袋の下に敷いて地中からの熱や冷気を遮ったり、地表の石や枝などの凹凸から緩衝する役割を持つもの。布団でいうところの敷布団のようなイメージで、キャンプをする時には、テントや寝袋同様、欠かせないアイテムのひとつです。
キャンプマットを使用するメリット・デメリット
キャンプマットを使うとどんな利点があるのか?逆に注意点はあるのか?市之瀬さんにメリットとデメリットを伺いました。
<メリット>
寝心地がよくなる
キャンプマットを敷かずに、テントのインナーシートの上に寝袋を敷いて寝る場合、硬い地面や地表の石・枝などの上にそのまま寝転がるのと同じ状態になるため、寝心地が悪くなります。キャンプマットを敷くことで、凹凸のある地面からの緩衝材のような役割をしてくれるので、寝袋の下が平らになり、寝心地がよくなります。
冷たい地面から体を守ってくれる
春や秋冬の地面の温度はとても冷たく、地中からの冷気が直に伝わり、分厚い寝袋でも冷え冷えに。キャンプマットがあることで、地面の冷気から体を守ってくれます。
比較的手頃な値段で購入できる
アウトドアアイテムなので、価格の高いものもありますが、低価格で使いやすいものもたくさんあるので、初めて購入する人や、これからキャンプやアウトドアを始める人には購入しやすいアイテムです。
簡単に使える
難しい組み立てなどの必要がなく、基本的には広げて寝床に敷くだけなので、気に入ったものがあれば気軽に購入できます。
軽い
軽量なものも豊富に展開されていて、持ち運びの際の重さを気にする人でも購入しやすいアイテムです。
<デメリット>
かさばる
折り畳み式のものが多いので、意外とかさばってしまうものもあります。
パンクや破損で使えなくなるものもある
空気を入れて使うタイプのものは、穴が空いてパンクをしたり、破れたりしてしまうと使えないこともあるので注意が必要です。
2. キャンプマットの種類
さまざまな種類があるキャンプマット。ここではそれぞれのマットの解説とおすすめの使用シーンを紹介します。
ウレタンマット

発泡素材で作られたマットの総称で、安価なものも豊富にあります。最大のメリットは壊れにくいことで、多少穴が開いたり破けたりしても、使い続けることができます。丈夫な分、かさばるものが多く、車の荷室のスペースを取ってしまいがち。また、ほかの種類のマットに比べ薄いものが多く、マットを敷いても地面の凹凸を感じやすいというデメリットがあります。
<おすすめ使用シーン>
キャンプフェス、登山キャンプ、オートキャンプ
軽量で丈夫なため、キャンプフェスや登山キャンプなどに向いているでしょう。また、荷運びを気にしない、オートキャンプにもおすすめです。
エアマット

空気を入れて膨らませるタイプのマット。クッション性に優れていて寝心地がよく、空気を抜くとコンパクトに収納できます。ただ、穴が開いてパンクしてしまうと使いものにならなくなるので要注意です。
<おすすめ使用シーン>
バックパックのキャンプ、ツーリングキャンプ
空気を抜けばコンパクトに収納できるので、バックパックだけを持参するキャンプや、バイク、自転車などのツーリングキャンプにおすすめです。
インフレーターマット

バルブを開けると空気が入り、内側のクッション材(ウレタンやスポンジ)が膨らむ自動膨張式と呼ばれるマット。厚みがあるため、地面の凹凸を感じることなく、寝心地のよいタイプです。クッション材がある分、エアーマットと比較しても断熱性に優れ、快適な睡眠を得ることができます。
一方、クッション材が入っているために、重さがあり、かさばるというデメリットも。また、ほかのマットよりも価格が高めです。
<おすすめ使用シーン>
ファミリーキャンプ、冬キャンプ、車中泊
サイズが大きいものもあるので、ファミリーキャンプにおすすめです。また、分厚いタイプは、冬キャンプや車中泊にいいと思います。
銀マット

非常用や防災用として販売されている、安価なタイプのマット。
銀マットは、必要最低限の機能しか備えていないため、キャンプで快適に過ごすなら「ウレタンマット」「エアマット」「インフレーターマット」の3種類をおすすめします。
3.キャンプマットの選び方のポイント
キャンプマットを選ぶときには、どんなところを気にしながら選ぶといいのか。選び方のポイントを伺いました。
サイズで選ぶ
体型やテントのサイズ、使用人数に合わせてテントマットを選びましょう。
<目安/一人用>
長さ | 180cm以上 |
横幅 | 56~60cm |
基本的に自分の体よりもひと回り大きなものを選べば、寝返りもうてるので快適な睡眠を得ることができます。また、お子さんがいる場合は、ダブルサイズ、セミダブルサイズなどの横幅100cm以上の大きいサイズのものを選ぶと一緒に寝ることができます。
R値(熱対抗値)で選ぶ
断熱力の高さを表すR値(熱対抗値)。R値の数値が高くなるほど、断熱効果が高くなり、キャンプをする季節や環境によって、目安となるR値が異なります。
R1 | 夏 |
R2 | 春、夏、秋 |
R4 | オールシーズン |
R6 | 極寒仕様 |
サマーシーズンでも、少し寒い場所でキャンプをする場合には、「R2」以上のものを、最低気温が±0℃くらいのキャンプの場合は、「R4」周辺のものを使用するとよいでしょう。
キャンプのシーンや目的で選ぶ
それぞれのキャンプや荷物をどのように運ぶかなど、それぞれのシーンや目的に合わせてキャンプマットを選ぶという方法もあります。
ウレタンマット | エアマット | インフレーターマット |
---|---|---|
軽量で携行性がよいので、 荷物を少なくしたい人向け |
ペットボトルサイズなどのコンパクトになるものも あり、持ち運びを気にする人向け |
かさばっても問題ない場合や 寝心地を優先したい人向け |
ソロキャンプ、登山キャンプ、 フェスキャンプ、オートキャンプ |
ソロキャンプ、ツーリングキャンプ、 バックパックキャンプ、登山キャンプ、フェスキャンプ |
オートキャンプ、ファミリーキャンプ、 冬キャンプ、車中泊 |
携行しやすさで選ぶ
個人的には携行しやすさも重視するポイントです。丸めるタイプは意外と邪魔になりやすく、膨らませるタイプは、セットアップや収納が大変なものもあり、後々穴が開いて使えなくなることもあります。そのため、コスパや携行性を考慮しても折り畳むタイプが便利です。コットの上に敷いたり、断熱材の上に敷いて使ったりもしています。
値段で選ぶ
キャンプマットを選ぶ時には、値段も気にしておきたいポイントです。僕の場合、「THERMAREST(サーマレスト)のZライトソル」のレギュラーサイズの価格を基準にしながら判断しています。
4 .種類別おすすめキャンプマット
ここではキャンプマットの種類別に、市之瀬さんがおすすめするアイテムを紹介していただきます。
ウレタンマット
THERMAREST(サーマレスト) リッジレスト ソーライト

ロール収納式のクローズドセルマットレスアルミ蒸着効果で、体から出る熱を反射させ、表面にある凹凸に熱を閉じ込めて保温性を高めてくれます。極寒期以外の初春~初冬まで対応。
クローズドセルタイプのマットとして歴史のある伝統的なブランドなので、信頼性も抜群。表面にはアルミ蒸着加工が施されており、体から出る熱を反射し、表面の凹凸に閉じ込めてくれます。軽量ながら断熱性、耐久性も高く、キャンプから登山まで幅広く活用できます。
CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ)EVAフォームマット

優れた保温性とクッション性のあるウレタンマットは、地面の凹凸や冷気から体を守ってくれます。折りたためば、クッションマットや枕としても使用可能な優秀アイテム。
コスパがよく、安心して使える「キャプテンスタッグ」のウレタンマット。表面が波形になっていて、凸部に暖かい空気の層ができるため、保温性に優れ、冷気をシャットアウト。大きめのダブルサイズもあります。
エアマット
NEMO(ニーモ)テンサー レギュラー マミー

超軽量・小さな収納サイズのスリーピングパッド。内部の隔壁に伸縮性の低いトラス構造を採用したブランドオリジナルのスペースフレームバッフルで、安定した寝心地に。

超軽量かつ極小になる収納サイズのエアマットは、静かで快適な寝心地を実現。指一本で硬さの微調整が簡単にできるバルブがあるので、便利でお手軽にセットアップ可能です。
EXPED(エクスペド) エアーマット HL

驚くほどの軽量・コンパクトのエアマットは、吸気と排気ができるコンボフラットバルブを備え、簡単にセットアップや収納が可能。滑り止め付き。
超軽量、超コンパクトのサマーシーズン向けエアマット。マットの表面には滑り止めのコーティングが施されています。独自の形状で、限られたスペースでも複数枚並べることが可能です。
インフレーターマット
snow peak(スノーピーク) インフレーター キャンピングマット2.5w

人気アウトドアブランド「スノーピーク」のインフレーターマット。高いクッション性により、やさしい寝心地を叶えてくれます。付属の収納ケースのバルブを使って簡単にエアを注入することができます。
寝返りをうってもマットから落ちにくい、ワイドモデルのマット。高いクッション性を保持しているので、快適な寝心地を楽しめます。時間のかかるエア注入は、付属の収納ケースを使って絞るように入れることができ、セッティングも簡単。厚さ6.2cmのマットなので、ゆっくり眠ることができます。
Coleman(コールマン)キャンパーインフレーターマットハイピーク

アウトドアブランド「コールマン」のインフレーターマットは、厚さ10cmの自動膨張式マットで、自宅のベッドで寝ているかのような快適な眠りを提供してくれます。付属の収納ケースを使って空気の注入が可能です。
通年で使える仕様で、極厚フォームで10cmの厚みのあるマットレス。地面の凹凸を感じることなく、まるで自宅のベッドで寝ているかのようにぐっすり眠れます。
5. キーワード別おすすめキャンプマット
ここでは、市之瀬さんにキーワード別でおすすめのアイテムをセレクトしていただきました。目的や用途に合わせて、購入の際の参考にしてみてください。
軽量
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)イーサーライトXTマット

「シートゥサミット」でも最軽量、最厚、もっとも静かなフルサイズのエアスプリングセルマット。10cmの厚みがあるため、横向きに寝ても体が底付きすることなく快適に眠ることができます。
390gという超軽量で、登山用のマットでありながら、10cmの厚さによりふかふかな寝心地を実現してくれる最高のエアマット。軽さ、快適さ、暖かさを確実に保ってくれ、厚みがあるので横向きに寝ても問題なく眠ることができます。就寝中に枕の位置をしっかりキープするピローロックシステムもあり、充実した睡眠を得られます。
厚手
Coleman(コールマン)コンフォートエアーマットレス

「コールマン」のエアマットレスは、軽量、コンパクトで使いやすいタイプ。ダブルロックバルブ仕様で、セットアップも楽ちん。丸めて収納できるので、持ち運びも便利です。
エアタイプのマットレスで、厚さが19cmもあります!ふわふわした寝心地で、もはやベッドのような存在感です。PVC素材でコンパクトに収納可能。サイズも複数のバリエーションがあるので、スタイルに合ったマットを購入することができます。
LOGOS(ロゴス)55セルフインフレートマット

厚さ55mmの「ロゴス」のセルフイオンフレートマット。優れたクッション性で快適な寝心地を確保でき、バルブを開けることで空気が自動で注入され、マットが膨らんでいきます。好みに合わせて表面、裏面どちらも使えるリバーシブルタイプ。
リバーシブルデザインでおしゃれな「ロゴス」のキャンプマット。バルブを開けば、自動で膨らむセルフインフレーターマットなのでセットも簡単。クッション性と弾力があり、快適な寝心地を手に入れることができます。
コンパクト
THERMAREST (サーマレスト) ネオエアーウーバーライト

サーマレスト最軽量のエアマットレス。ラージサイズは340g、スモールサイズが170gと超軽量で持ち運びにも便利です。効果的に断熱するトライアンギュラーコアマトリックスを採用し、快適性も追求したアイテム。

アルピニストからハイカーまで使える、「サーマレスト」の超コンパクトエアマット。手のひらに収まる程度の収納サイズで、コンパクトなモデルになっています。安定した面を作り、熱を逃がさない構造で、快適性も抜群です。
ファミリー向け
DOD(ディーオーディー) ソトネノキワミL

人気アウトドアブランド「ディーオーディー」の睡眠を妥協したくない人のためのキャンプマット。体を包み込むような伸縮性のある表面生地に、10cm厚のウレタンを採用。自動膨張式で、空気を入れると弾力のあるマットレスになり、しっかりと眠ることができます。高さ調整可能なウェーブ型枕付き。
ウサギのマークがかわいい「ディーオーディー」のキャンプマットは、自動膨張式のインフレータータイプ。10cmほどのウレタンを採用しているので、ぐっすりと眠ることができます。うれしいことにシーツと枕が付属しているので、初めてキャンプマットを購入する人や、ファミリーキャンプをしたい人にぴったりです。
折り畳み
THERMAREST(サーマレスト)Zライトソル

アコーディオンのように折りたためる、春~秋の3シーズン用クローズドセルマットレス。表側にはアルミを蒸着し、アルミが蒸着していないタイプと比較すると断熱性が20%アップ。セットアップも収納もしやすいアイテムです。
マットの表面にアルミを蒸着しているため、断熱性がよく、アコーディオンのように折り畳んで収納することができます。半分だけ広げれば、座る時のクッションとしてや荷物を地面に置きたくない時の敷物としても使える定番マットです。
コスパがいい
BUNDOK(バンドック)フォールディングマット

片面を断熱性の高いアルミでコーティングした折り畳みのキャンプマット。軽量な発泡製で、クッション性があるため、キャンプ以外にも、行楽・レジャーなどでも活躍してくれます。
キャンプビギナーでとにかく安価に済ませたい人におすすめのキャンプマット。軽量EVAの発泡クッションで、折り畳み式のスタンダードなアイテムです。
R値が高い
EXPED(エクスペド) ダウンマットXP9

寒さに対応する高品質のダウン断熱材を使用したキャンプマット。暖かく快適で、コンパクトに収納可能です。
登山家からも信頼を得る人気ブランド「エクスベド」のキャンプマットで、中にダウンが入ったスリーピングマットタイプ。厳しい環境にも対応できるように作られたダウンマットなので、非常に快適で暖かく、R値は「7.8」と高い数値を誇っています。
寝心地がいい
THERMAREST(サーマレスト)モンドキング 3D

「サーマレスト」の中でももっとも高い断熱性を誇るキャンプマット。地面からの冷気を中央のフォーム層で断熱し、上面の凹部に体から出る熱を溜め込んで保温してくれます。ツインロックバルブで、セットアップも収納もあっという間に行うことが可能。
「アウトドアで最高の眠りを提供すること」をコンセプトにしている「サーマレスト」のキャンプマット。断熱性が高く、11cmの厚さがあり、表面はビロードのような肌触りのストレッチニットを採用しています。「キング」の名に恥じぬよう、ホテルのベッドで寝ているかのような快適な眠りを叶えてくれます。
6 .キャンプマットのQ&A
Image: GettyImages
キャンプマットを購入したり、使用したりする時の疑問を市之瀬さんが詳しく解説。ぜひ参考にして、快適なキャンプを楽しんでください。
マットとコットの違いは?
一般的にマットは地面に敷いて、その上に寝袋を乗せて使うものです。コットは、簡易ベッドのような形をしていて、フレームに生地を張った状態で使用します。
マットを使っても寒い時は?
基本的にマットは寝袋と一緒に使います。マットが敷き布団だとしたら、寝袋は掛け布団のような役割を持っています。
断熱効果を高めたい時には、マットの下に断熱効果のあるアルミシートやレジャーシートを敷くとよいでしょう。さらに、一番下に銀マットやクローズドセルを敷き、その上にエアマットやコンフォートマットといったタイプを重ねて眠るといいと思います。
また、ブランドによっては、マット用のカバー(シーツ)のようなものも発売されているので、サードパーティが充実しているブランドを選んでおくといいかもしれません。キャンプマットにも「向き」があるので、アルミの断熱面は暖かい方に向けましょう。
<キャンプマットの向き>
冬場 | アルミの断熱面が上向き(保温性が高まる) |
夏場 | アルミの断熱面が下向き(地表の熱を遮る) |
キャンプマットの代用品は?
ホームセンターなどで気軽に購入できる災害用の銀マットで代用可能です。また、キャンプのインナーマットにも分厚いタイプのものがあり、それでも一応代用可能です。しかし、あくまで「テント用」のインナーマットでしかないのでご注意ください。断熱性を気にしないのであれば、ヨガマットでもなんとか対応できると思います。
ツーリングやアウトドアでおすすめのマットは?
mont-bell(モンベル)タタミパッド150

少し変わり種ですが、薄く硬いフォームでできていて、「畳」で寝ているような寝心地を再現してくれるスリーピングマットです。コンパクトに畳めて、携行性に優れているのが特徴。座る時の敷きパッドや、簡易的なレジャーシートとしても代用できます。
構成・文/相馬香織
Top Image: Amazon.co.jp