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犬を飼い始めるときに検討したいもののひとつが犬用トイレトレー。そもそも犬用のトイレにはどのような種類があって、何を基準に選ぶのがよいのでしょうか。

獣医師でもあり、犬の幼稚園やしつけ教室を主宰する村田先生に、犬のトイレのしつけはなぜ必要なのか、しつけを成功させるコツについて伺いました。

これから犬との生活を始めようと考えている方や、犬用トイレの買い替えを検討している方にぴったりの商品をかいサポライターがピックアップしてご紹介します。

■ この記事の監修者

村田香織
獣医師。神戸市・もみの木動物病院副院長。イン・クローバー代表取締役。
公益社団法人日本動物病院協会で「こいぬこねこ教育アドバイザー」の養成に取り組むほか、犬の幼稚園やしつけ教室のイン・クローバーを主宰するなど、獣医学や動物行動学にもとづく正しい知識を広め、人と動物が幸せに暮らせる社会に向けて幅広く活動する。
もみの木動物病院
イン・クローバー
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■ 目次

犬にも人にもメリットが多いトイレのしつけ

犬用トイレのタイプ
–フラットタイプ
–壁付き・L字型タイプ

犬用トイレの選び方
–体格や性別に合わせて選ぶ
–子犬、高齢犬など年齢に合わせて選ぶ
–使い勝手で選ぶ

かいサポおすすめ犬用トイレトレー14選

トイレのしつけを成功させるコツ

犬にも人にもメリットが多いトイレのしつけ

Image: GettyImages

犬は散歩に行くときに屋外で排泄をすることが多いので、基本的に排泄は外でさせているという方も多いかもしれません。

しかし、室内犬が主流になった現在、室内で排泄ができないことは、犬にも人にも負担となってしまう可能性があります。

日中家を空けることが多いと、留守番をしている犬はその間一切排泄ができず、排泄を我慢するようになってしまいますし、飼い主も帰宅時間を常に気にしなくてはいけません。

暴風雨や大雪など天候の影響で必ずしも散歩に連れていけない日もありますし、飼い主が体調不良で外に出かけられないこともあるでしょう。

トイレのトレーニングをして、室内でのトイレ習慣を身につけておくことは、犬や飼い主が快適な生活を送るために必要なことなのです。

犬にとって排泄は単に膀胱を空にする行為ではなく、マーキングも兼ねています。マーキングは犬にとって一種のコミュニケーション手段。トイレのしつけができている犬でも、不特定多数の犬がいる場所ではマーキングをしてしまいます。

カフェや動物病院、犬の訓練をする場など複数の犬が来る場所ではマナーウェア(犬用オムツ)をつけておいた方が安全でしょう。

マナーウェアは避難所など犬が自由にトイレに行きづらくなる災害時にも役立つので、準備しておくことをおすすめします。

犬用トイレのタイプ

フラットタイプ

Image: Amazon.co.jp

ベーシックなタイプの犬用トイレトレーで、トレーにペットシーツを敷いて使います。シーツの上にメッシュやスノコのようなカバーがついているタイプは、犬のペットシーツへのいたずら防止に効果的

ケージや出先で使える持ち運び可能な携帯タイプのトイレもあります。

壁付き・L字型タイプ

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入り口以外が壁に囲まれて高くなっている壁付きのものや、90度折り曲げて壁に立てかけて使うL字型のトイレトレーは、足を上げて排泄をしたときのおしっこの飛び散りを防いでくれます

犬用トイレの選び方

体格や性別に合わせて選ぶ

Image: GettyImages

犬用トイレトレーは複数のサイズ展開がされているものも多いので、犬がトレーからはみ出さないように、余裕をもって排泄ができるサイズを選びましょう

オスの犬で足をあげて排泄する場合は、壁に囲まれたものやL字型のタイプを選ぶとよいでしょう。

子犬、高齢犬など年齢に合わせて選ぶ

Image: GettyImages

子犬の場合、刺激が少なく退屈な環境にいると周りのさまざまなものを噛んでしまうことがあります。ペットシーツは特に柔らかく噛みやすいので、ペットシーツの上にメッシュやスノコ状のカバーが付いたトレーなどを選ぶのがよいでしょう。

ペットシーツを噛まないようにおもちゃや段ボール箱のような紙製品など、子犬が噛んでも問題ないものを周りに置くことも一つのやり方です。段ボールでできている猫の爪研ぎは犬が好むことも多く、おすすめです。

歳をとると足腰が弱って段差が登りづらくなるので、高齢犬の場合は極端な段差のない、フラットなタイプのトイレトレーがおすすめです。

高齢で腎臓を悪くしている犬は、水をたくさん飲むため排尿量が増え、トイレを我慢できなくなってしまいます。

防水シートの上にペットシーツを敷いて移動しやすい場所に置くなど、なるべく失敗しにくい環境を整えてあげましょう

使い勝手で選ぶ

丸洗いしやすいものや、洗って乾かしたあとに組み立てやすいもの、トイレシーツのセットがしやすいかどうかなど、飼い主にとっても手入れがしやすいトイレであることも大切です。

かいサポおすすめ犬用トイレトレー14選

フラットタイプ

リッチェル お掃除簡単ステップトレー レギュラー

8kgまでの超小型犬・小型犬向け
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ペットシーツの引っかきや噛みちぎりを防止するメッシュつき。必要に応じて取り外して使うこともできます。メッシュと枠の間に隙間がないので、コーナー部分に汚れが溜まりにくいのもうれしい。

アイリスオーヤマ フチもれしにくいトレーニングペットトレー レギュラーサイズ

シーツのいたずらが気になる犬に
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シーツをセットしたとき、シーツのフチが立ち上がる構造になっているので、おしっこがシーツの外へ漏れたり、シーツの裏側へ回ったりしづらく、お掃除が楽に。

メッシュスノコがついているので、シーツの引っかき防止と足裏の汚れを防いでくれます。スノコは取り外し可能で外した状態でも使えます。

ペティオ 片手でらくらく ドッグトレー レギュラー

汚れた面だけシーツ交換が可能
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シーツの交換時、片手でフレームが開閉できるのでお手入れが簡単です。

中央にもシーツを固定するパーツがあるので、レギュラーサイズのシーツを2枚敷くことも可能。汚れた部分だけを交換できるので経済的です。

アイリスオーヤマ シーツぴたっとトレー ダブルワイド

フラットでもL字型でも使える
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トレーの特殊な粘着部分にペットシーツをぴたっと固定できるトイレトレー。シートを置いてはがすだけでシート交換が手軽にできるのが魅力です。

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本体は水洗いできるので、粘着部分も洗って繰り返し使用できます。ワイドとダブルワイドサイズは半分に折って壁に立てかけ、L字型トイレとしても使用可能。犬に合わせて形を変えて使えます。

ボンビアルコン しつけるトレー XLメッシュタイプ

ゆったりサイズをお探しの方に
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中型〜大型犬にぴったりの、ゆったりとしたサイズのトイレトレー。メッシュカバーがついているタイプなので、いたずらやシーツの破れを防止します。

リッチェル おでかけシーツトレー レギュラー

丸めて持ち運びができる
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シーツをつけたまま丸めて持ち運べる、シリコーンゴム製のトイレトレー。出かけた先で使ったり、持ち運び用ケージの中に敷いたりすることもできます。

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シーツの固定は、ストッパー部分に差し込むだけと手軽で、丸洗いも可能。高さのあるヘリで尿が床に漏れ出ることを防ぎます。

壁付き・L字型タイプ

ボンビアルコン しつけるウォールトレー Sサイズ

足をあげるオスの犬に
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高さのある壁がついたトレーで、おしっこが周囲に飛び散るのを防ぎます。片側のロックを外すだけでシーツの交換ができるので便利です。

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壁部分にシーツを固定するクリップがついているのでシーツを取り付けることも可能。取り外しできるメッシュ部分が付いています。

リッチェル しつけ用ステップL字型トレー レギュラー

8kgまでのオスの犬におすすめ
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L字型に壁に立てかけて使うトイレ。高さのある壁面が尿の飛び散りを防ぎます。取り外しのできるメッシュ1枚付き。使わないときはコンパクトに折りたたんで収納できます。

アイリスオーヤマ トレーニング犬トイレ レギュラーサイズ

飛び散りが気になる超小型犬・小型犬に
Image: Amazon.co.jp

シーツを破ったり食べたりするという悩みに応える、取り外し可能なスノコ付きトイレ。おしっこ後の足裏の汚れも防いでくれます。

フチが高い壁付きタイプなので、おしっこの飛び散りを防ぐ効果も期待できます。トイレトレーニングにも◎。

リッチェル お掃除簡単ステップ壁付トイレ ワイド

12kgまでの飛び散りが気になる犬に
Image: Amazon.co.jp

取り外せるメッシュが付いた三面の壁付きトイレ。メッシュと壁部分が一体化しているのでゴミが溜まりやすい隙間がなく、お手入れしやすくなっています。

やわらかプラダントイレ 90cm角

とにかく大きなトイレをお探しの方に
Image: Amazon.co.jp

国内最大級サイズの壁付きトイレ。入り口を端に寄せているので、犬が中でくるくると回って排泄することを誘導します。軽量で耐水性に優れたプラスチック段ボール製。

またぎやすいフラットなつくりなので高齢の犬にもおすすめです。

デザインや機能性で選ぶ

iDog HACK 愛犬のためのインテリアトイレ CONTAINER ワイドサイズ

インテリアに馴染むトイレをお探しの方に
Image: 楽天

インテリアに馴染みやすい、ストレージボックスのようなトイレ。床はなだらかな傾斜がついていて、中央に尿が集まりやすい構造になっています。

折りたたみ式なので使わないときは畳んで収納することができます。

ペティファーム オアシスドッグトイレ レギュラー

ポップでかわいいトイレをお探しの方に
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マーキングポールにもなる、取り外し可能なサボテン付きのトイレ。メッシュトレーとトレーの間には隙間が空いているので、犬の足が濡れず、お手入れもしやすくなっています。

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OFT ブリリアントパッドスマート 犬用自動トイレ

留守番の中の犬が気になる方に
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犬の出入りをセンサーが感知し、犬が降りるとシートを巻き取って排泄物を処理してくれる自動トイレです。

専用アプリ(表示言語:英語)を使ってトイレの回数の記録を記録したり、外出先からスマホで操作したりすることも可能。カメラ機能もあるので、犬がトイレを訪れたときの写真を確認することができます。

トイレのしつけを成功させるコツ

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失敗しにくい環境を整える

大切なのは、犬が失敗しないような環境を飼い主側が作ってあげること。犬は本来眠ったり、食事をしたりする場所の近くで排泄をしたがらないため、そういった場所から少し離れた場所にトイレを置くようにします。

トイレの場所としては、部屋の隅や、外気が入る掃き出し窓の近く、ベランダの手前などを好む傾向があります。

トイレとしての場所と眠る場所、食事をする場所は別々にあった方がトイレのしつけに成功しやすくなります。

犬は屋根があって囲まれている狭い場所では排泄を我慢するので、トイレのほかに犬が中で方向転換できるくらいの狭さの屋根付きのクレートを準備し、気温に合った敷物などを敷いて安心して眠れる場所を作ってあげるようにしましょう。

トイレ以外にトイレになり得る場所をなくしていく、ということも大切です。犬は匂いだけでなく、足の感触でもトイレの場所を認識します。

例えば畳やじゅうたん、フローリングの上に置かれたラグやマット類など、足の感触が周りとは違うもので、排泄後の尿が体につかない、液体が染み込む素材のある場所では排泄の失敗をしてしまいがちです。

自分の排泄物の匂いが残っていることで失敗を繰り返してしまうので、トイレトレーニングの最中は犬がトイレと勘違いしやすいラグやマット類を外しておくか、犬がそういった場所に近づけないようにしておきましょう。

「ここで排泄してはいけない!」と犬に伝えることは難しいので、飼い主が排泄することができないような状況を作ることで失敗を防ぎましょう。

よく観察してトイレへ誘導し、報酬を与える

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犬が排泄をするタイミングはだいたい決まっています。主に寝起き食べたり飲んだりした後遊んだ後外出から帰ってきたときなどです。

なかでも一番確実にわかりやすいのが寝起き。朝起きたときや、子犬の場合は昼寝の後などのタイミングを狙ってトイレに連れて行ってあげるようにしましょう。

他にも遊びの途中でウロウロしながら匂いを嗅ぎ出したり、そわそわした様子を見せたりしたら、最初のうちは抱っこしてトイレまで連れて行きます。

トイレで排泄をするようになったら、トイレから少しずつ離れた場所に犬を連れて行くようにし、犬が自発的にトイレに行けるように誘導してください。

犬が排泄をし始めたら犬を褒め、終わったらすぐにご褒美をあげます。そもそも犬にとってはトイレで排泄をする必要がないので、人間側がトイレで排泄をすることのメリット(ご褒美がもらえること)を示し、犬側のモチベーションをあげて習慣づけていく必要があります。

ご褒美のタイミングは非常に重要です。遅すぎると何のご褒美か理解できませんし、早すぎるとご褒美目当てに排泄を切り上げてトイレから出てしまうこともあります。

ご褒美として与えるものは、あらかじめ犬に届かない、トイレの近くに準備しておくことをおすすめします。

トイレのしつけでやってはいけないこと

Image: GettyImages

トイレで排泄させるために犬を叱ることは、犬に嫌な思いをさせるだけでなく、効果的なトイレトレーニングの妨げになってしまいます。

・排泄してしまった場所に鼻を近づけてお尻を叩く
昔から言われてきた方法ですが、犬は排泄すること自体を叱られたと感じてしまい、排泄と叱られることとを関連づけてしまいます

そうなると飼い主に見つからないように隠れて排泄をしたり、飼い主の前では排泄を我慢したりするようになってしまいます。

・排泄を失敗した後に「ここでしなさい!」とトイレに連れて行く
排泄した直後は排泄の可能性が最も低いタイミングですし、後から言われても犬は理解できません。

トイレで叱られたという経験からトイレが危険で嫌な場所だと認識するようになってしまいます。危険な場所には近づかなくなるので、トイレを避けるようになってしまいます。

成犬の場合

長いあいだ外で飼われていた犬が室内飼いになり、トイレでの排泄を覚えていくことは、なかなかハードルが高いようです。

保護犬などを引き取られるケースも増えていますが、犬にとってストレスのある環境にしないためにも、その犬がそれまでどのような環境で過ごしてきたか情報収拾をした上で、ある程度近い環境を用意できるのかどうか確認しておくことをおすすめします。

子犬の場合、ブリーダーさんに母犬のおしっこのにおいのついたトイレシートをもらってトイレのしつけをすることがあります。

成犬になると他の犬のおしっこのにおいのあるところに上から自分のにおいをかぶせてコミュニケーションするというカウンターマーキングの習性があるので、トイレに他の犬の匂いをつけておくと排泄をしやすいかもしれません。

失敗しても、悪いのは犬ではなく人間

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トイレのしつけをするときは、犬に期待するのではなく、飼い主側が環境を精一杯整えて、犬を観察し、失敗しないように導くことが大切です。正しい方法で根気強く続けると必ず成功します。

犬を叱っても空気が悪くなるだけです。気持ちにゆとりを持って取り組むようにしましょう。

膀胱炎や腎不全などの病気、認知症などが原因で排泄を失敗することもあります。なかなかスムーズにいかない場合は、一度かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

TOP Image: Amazon.co.jp

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