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ROOMIEでもこれまで何度か魅力的なお住まいを取り上げてきた北海道・札幌市。

中心街からもアクセスがよく、近くにはスーパーやコンビニなどが多く、生活のしやすいエリアに、今回ご紹介するOさんのお住まいはありました。

Oさんご自宅
Oさんご自宅

お名前(職業):Oさん(建築士)
場所:北海道札幌市
広さ:1R(25㎡) 
家賃:持ち家のためなし
住宅の形態:築46年 マンション
間取り図:
間取り図

編集部作成

 

キャンピングカーや小屋暮らしに憧れがあったと話すOさんが、住まいについて考える中で行き着いたのは、ご自身のコンパクトなワンルームを活かしたリノベーション。

約5年の月日をかけて考え抜かれた設計は、最小限の空間で最大限の住まいの価値を引き出すものでした。これまで見たことのない創造性豊かな住まいをつくられた背景と込められた思いやギミックについてお話を伺ってきました。

Oさんご自宅
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お気に入りの場所

シーンに応じて変幻自在のメインルーム

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お部屋に入ってすぐ目の前に現れたのは、クローゼットが正対するメインルーム。じつは、このクローゼットがお部屋の根幹でもある“可動式かつ拡張できる造り付けのインテリア”なのです。

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まるでキャンピングカーのようなギミックで、扉を開いたり、引き出したり、スライドさせたりと自由自在な空間は理論上、108通りのお部屋作りが可能なのだそう。

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クローゼットの下部を引き出して早速現れたのはベンチ。両サイド合わせて6名掛けとのことで、ご友人を招いても十分な大きさです。

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さらに、そこから各収納の間に位置する天板をスライドさせるとデスクが現れました。

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Oさん宅をご担当された工務店の方も同席してくださいました。

「大人数でたこ焼きパーティーできるお部屋が憧れだったんです」と話されるように、あっという間に開けた空間は十分な広さのダイニングに大変身

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食事後はデスクを片付け、ベンチを中心に寄せるとベッドルームに

ベンチ下にも収納があり、そこに寝具を収納することで日中、布団が目に入ることもないのだとか。ここまででも十分に考え込まれた構想の跡が見られますね……。

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ギミックの詰まったお部屋にするにあたり、そのきっかけはどのようなものだったのでしょう。

「昔の四畳半一間の住まいが理想にありました。ちゃぶ台をおけばダイニングになり、布団を敷けば寝室になる、ひとつの空間でも生活の場面に応じていろんな使い方ができれば、お部屋としてはそれで十分だと思ったんです。

ただ、生活をしているとどうしても、同じような景色に飽きてしまって。お部屋の中で変化を楽しむことができ、昔の和室やワンルームのネックである収納から物を出したり、片付けたりの切り替えの面倒さが解消できる。そんな空間にと考える中で生まれたのが今のお部屋でした」

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構想期間は約5年。ひとりで思考を凝らし、図面にまで落とし込まれたというのだから驚きです。思考を形にするまではどのように考えを進められたのでしょうか。

自分にとって何が必要で、何が必要ないかを改めて考え直したんです。

その時にまずクローゼットは必要で、大きなテーブル机とベッドも欲しい。なおかつ、ちょっと人がきた時にパーティーっぽくできたり、泊まれるようにできたりと要素を洗い出しながら、本当に必要なものを整理していきました」

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そして、変化する空間は中央部だけではありません。Oさんの話にもあるように、お客さんが訪れた時にもゆっくりくつろいでもらえるような空間も確保されているのです。

メインルームに向かって左のクローゼットを部屋中心にスライドさせると壁側にスペースが完成する変幻自在っぷり。

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一人分のベッドを用意できるのはもちろん、Oさん自身が作業に集中できる“籠り部屋(書斎)”としても使えるようになっていました。

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より作業に集中、客人が宿泊の際はプライベートが保たれるように、引戸を利用することによって空間は完全な個室にすることも。

一見、区切ることによって窮屈な印象を持つことになりそうですが、ここにも一工夫。部屋奥の姿見にもなる鏡が、空間に奥行きを出し長く続く廊下のように計算されていたのです。Oさんのお気に入りの景色のひとつでもありました。

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話を伺えば、止めどなく現れる仕組みの数々。Oさんの考えられた構想の深さとともに、それを実現させた会社にもまた驚かされます。

こうした考えを汲み取ってくれる良いパートナーと出会えるかも住まいづくりには重要だとよく話を伺うのですが、その点、Oさんも相談先には当初悩まれたのだそう。

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「構想をかなり練り上げていた分、実際の施工をどこにお願いするか、またイメージ通りのものが作ってもらえるのかというのが不安でした。

そんななか、ネットで見つけたリノベスさんの住まい作りへの思いや施工例を見て、ここなら実現してもらえるかもと思いご相談しました」

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Oさんの熱い思いをしっかりと受け止め、その実現へミリ単位でサイズを議論、調整しながら作り進められたのだそう。

「可変式、可動式のインテリアはもちろん、左右対称の画になる住まいにしたいといった思いがあって、その点でも微調整しながら進めていきました。

打ち合わせの時間はイメージが具現化していく感覚が味わえて、とても楽しかったですね。できあがった後になって、もう打ち合わせができないことに寂しさすらありました」

景色としても和む窓辺

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引き戸でメインルームと区切ることも可能な窓辺の空間は、Oさんがほっと一息つきたいときに使われる憩いのスポット。使うだけでなく見ているだけでもうっとりするのだそう。

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「夜にメインルームから見える窓辺が、ワンルームのはずなのに、雰囲気が異なる良い空間が別にあるように見えて好きですね。

籠り部屋もそうですが、区切って生まれる空間が集中するためはもちろん、飽きずに部屋を楽しむ上で良い役割を果たしてくれています」

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窓にもまたひとつ工夫ありました。

夜など外からの目隠しも兼ねて、ご自身で作られた本のボードを差し込むことでまるで本棚のような見た目に変身。暮らしの中でも住まいを楽しもうとする考えが見えて、ほっこりしますね。

コンパクトにまとめられたサニタリー

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空間に対して各スペースを最大限に使用するためのギミックはメインルーム同様に、サニタリーにもありました。

浴室は湯船とシャワーが一体型に、まるでホテルのバスルームのようです。

「こんな浴室だったらいいなと思っていたものが、リノベに着手する段階で見つかってまさに理想の浴室になりました」

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その隣にあるのは、なんと可動式の洗面台! 使用しない時は閉じて壁際に収まりの良いように。

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開くとしっかり洗面台。1畳半弱の空間にサニタリーのほとんどが収まっているのにも驚きですが、こうしたギミックと合わせて見ると、十分な空間が作れるんだなぁと関心させられます。

この部屋に決めた理由

中心街までのアクセスの良さ

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リノベ前から現在のお部屋で暮らしているOさん。住まいの決め手はずばり、その立地の良さでした。

「駅近で地下鉄に乗れば中心街まで5~6分のアクセスの良さに加えて、スーパーや図書館、病院などもおうちの近くにあり、その利便性の良さが何よりも決め手になりました」

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こうした立地のおかげもあり、冷蔵庫もコンパクトに。食料品をはじめ、家にあるものは使う分だけ。

必要になったら買いに行くことでストックのためのスペースを取らずに、スッキリとした空間維持されていました。

残念なところ

置けなかったドラム式洗濯機

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コンパクトに居心地の良い空間を目指されているOさんが唯一、後悔していると話されたのが洗濯機。理想のドラム式は住まいへの搬入時に難が有り、泣く泣く諦められたのだそう。

「本来はドラム式洗濯機にすることで乾燥機を兼ねていることはもちろん、洗濯機上のスペースも有効活用できると考えていたのですが、搬入の際にサイズがギリギリになってしまうことが分かり、諦めて通常の洗濯機にしました」

お気に入りのアイテム

1つで料理を万能にこなす電気調理鍋

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リノベでガスコンロも無くされたOさんが調理に使われていたのが、電気調理鍋のレコルトポット1つで4役(煮る・焼く・蒸す・揚げる)の工程をこなせる便利なアイテムです。

「ひとり分の料理から友人を招いてのパーティ料理やタコパもこれでできました。ガスはもちろん鍋も必要ないですし、手入れも楽なので購入してから料理をする機会も増えましたね」
 

市内を探し回って見つけた理想のイス

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お気に入りの窓辺スペースで寛ぐ時間から書斎での作業時間まで万能に活躍していたのがCRASH GATEのファソラチェア

「全部造り付けだとつまらないという思いもあってイスは最初から購入しようと考えていました。ただ札幌中の家具屋を回っても、中々良いものに出会えず1年が経ったころに近くのお店で偶然出会ったのです」

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「部屋のスペースに合うように、小ぶりなサイズでおしゃれな椅子。座面は丸く、背もたれは有りで肘掛けはなし。そのうえ、回転させることで高さを調節できるといった機能性も兼ね備えた理想的なデザインで、窓辺の時間をより良いものにしてくれていますね」

光の模様が美しい照明

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窓辺の空間をよりあたたかく包み込んでくれているのが照明。このスペースにふさわしい“こじんまりとしたもの”を探されていたのだそう。

「札幌市内で探していた際に出会った照明なんです。椅子のように丸いデザインと、点灯時の光の模様がとても綺麗で気に入っています」

暮らしのアイデア

場所とアイテムを決めて考える収納

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収納はシンプルな箱の住まいで効率的にを確保、活用するために、リノベ前から使っていた収納アイテムを活かす設計と運用に。

「とりあえず収納スペースを作って後で考えるというよりは、スペースに制限があるからこそ、失敗しないように“どこに何を入れる”というのはしっかり考え、それに合わせて最小限の収納スペースを用意してもらいました」

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クローゼットは無印良品の収納ボックスを活用。

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キッチンやリビングは100円均一のアイテム。小物類は中身が見えすぎないよう、ご自身で一工夫することにより使いやすい収納に変えられていました。

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ミニマリストを目指しているつもりが、物数が多くて……と話されるOさん。

「それでも、収納の設計をしっかり考えていたので収まったときもすごく綺麗で、物数も多く見えない収納が作れたと思います」

住まいについて伺う中でも十分、最低限使うものに絞り込まれていると思いますが、それに加えて収納まで考えられているとより整ったお部屋に見えますね。

空間をシンプルに見せるための玄関収納

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念入りに収納について考えられていたのは、生活空間だけではありません。玄関は、靴をそのまま床下に収納できる設計

両サイドのスペースを合わせると十分な数、靴が入れられるのだそう。

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「急に人が来るとなっても、どこかに靴を運ぶ必要がなく、サッと収納が出来ます。収納も十分な幅があって靴が目につかないので本当に作って良かった収納スペースです」

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同じく玄関ドアも必要に応じて、空間をシンプルに見せる仕掛けがありました。

室内にいる時はロールスクリーンを下ろすことで玄関ドアのデザインや傘立てなどの収納アイテムが見えないように。

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周りの壁と同系色にすることで、ドアの存在が全く気にならなくなりました

リノベの場合だと玄関ドアなどの建具は手を付けるのが難しいため、こうした一工夫で空間の完成度が高められそうですね。

これからの暮らし

暮らしを丁寧に、住まいを楽しむ

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昔からいわゆる「丁寧な暮らし」が理想にあると話されるOさん。

物件の出会いからリノベーションを経て、一歩一歩、理想の暮らしに近づいていると感じられているのだそう。今後も日々の生活に意識を注いでいきたい、と話します。

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「暮らしは変わらず丁寧に、住まいは今の雰囲気も好きなのですが少し木目が多いと感じています。

落ち着いた空間は保ちつつ、壁紙なども活用しながら、海外のようなカラフルな住まいを楽しめたら良いですね」

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日々の暮らしを、住まいを楽しむのに何かを足して最大化させるのではなく、今あるものを大切に、最大限可能性を広げて楽しもうとされているOさん。

変幻自在な住まいの中で、変わらず求め続けられている理想の暮らしが、今後どのように表現されていくのか。また改めてその変化を伺いに行きたいお部屋でした。

Photographed by tsubottlee

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福岡県出身。海を渡ったポートランドで活動を始め、京都・東京・福岡を中心に全国を巡るフォトグラファー。僕と出会ってくれた素敵な方々の時間と想いをボトルにキープしてまだ見ぬ誰かに想いをシェアしていきます。

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