料理の下ごしらえの時短ができるキッチン家電、フードプロセッサー。大量の野菜をみじん切りにするときや、離乳食やお菓子作りのときに便利。幅広い用途で使えるため、購入する際は何をしたいかを明確にすることが大切です。
一度に5人以上のハンバーグのタネを作りたいなら、容量は1L以上必要。離乳食作りは衛生面への配慮が大切なので、容器の素材は色やニオイが移りにくいガラス製がおすすめ。パーツを細かく分解できるものほど洗いやすいですよ。
今回は、フードプロセッサーの選び方やおすすめ簡単レシピを調理道具研究家の北山みどりさんが解説。また北山さんにお聞きした選び方のポイントを参考に、おすすめのフードプロセッサーをタイプ別に厳選して紹介します。
■この記事の監修者
料理・調理道具研究家 北山みどりさん
昭和30年6月1日東京生まれ。1985年から料理教室を主催。単に分量・手法を伝えるだけではなく、「食」に対する魅力を幅広く伝える講習を行う。故事来歴にも通じ、季節や文化を大切にする一方、料理を科学的にとらえ、食材を最も生かす調理器具と調理法の紹介、レシピ開発など、多角的に奥深く掘り下げた内容に定評がある。講義・講演等、多方面で活躍中。
フードプロセッサーの魅力
– ハンドブレンダー・ミキサーとの違い
フードプロセッサーの選び方
– 容量
– 容器の素材
– 洗いやすさ
– アタッチメント
– その他注目すべきポイント
フードプロセッサーおすすめ10選|タイプ別に紹介
– 人気メーカーのフードプロセッサー
– リーズナブルなフードプロセッサー
– 洗いやすいフードプロセッサー
– 1人暮らしにおすすめのフードプロセッサー
フードプロセッサーの魅力

Image:Shutterstock
「フードプロセッサーは健康志向の流行にもマッチしたアイテム。魚の小骨ごとすり身にしてカルシウムが摂れたり、果物の皮を剥かずに刻んでビタミンが摂れたりします。
カレーの具材もまるごと刻めば時短になります。きゅうりやレモンなど、普段は入れない食材を混ぜるのもおすすめ。いつもと違うカレー作りが楽しめますよ」
・刻む:タマネギ・キャベツ・ニンジン・パン粉
・練る:クッキーの生地・ハンバーグや餃子のタネ
・潰す:ひき肉・ペースト・すりごま
ハンドブレンダー・ミキサーとの違いは?
種類 | 粗みじん![]() Image:Shutterstock |
ペースト状![]() Image:Shutterstock |
液状 or スープ状![]() Image:Shutterstock |
フードプロセッサー | 〇(大量にできる) | 〇 | × |
ハンドブレンダー | △(少しコツがいる) | 〇 | △ |
ミキサー | × | △ | 〇 |
「仕上がりの細かさが違います。フードプロセッサーは粗みじんのような細かい形が残ります。ハンドブレンダーは液体状やペースト状の流動性のある状態に。ミキサーはさらにきめ細かい液体状になります。
フードプロセッサーは大量に刻むときにも便利。ただ、基本的には密閉ができないため、液体状にすると溢れます。液体状にしたいのならハンドブレンダーかミキサーを選ぶとよいでしょう」
フードプロセッサーの選び方

Image:Shutterstock
「目的によって必要な性能は変わってきます。ハンバーグを大人数向けに作りたい、お菓子を作りたいなど最初にやりたいことを決めると、買いたい製品を絞りやすいですよ。
常に衛生面に気を配る必要があるため洗いやすさも重要。いつでも使える場所に置いておかないと、使わなくなります。どこに置くかも考慮して選んでみてください」
以上のことを意識しつつ、選ぶときは「容量」「容器の素材」「洗いやすさ」「アタッチメント」の4つのポイントに注目してみてください。さらに「パワー」「コード/コードレス」「安全機能」も気にしておくと、より自分の目的に合った一台が見つかるでしょう。
容量
調理容量が大きい機種ほど、一度に刻める食材も多くなります。ただ大きいとそのぶんスペースを取るので、使う人数などを考慮して選ぶとよいでしょう。
容量の代表的なラインナップは「0.5L」「1L」「1.9L」の3種類。容量0.5Lあれば500gのハンバーグのタネを攪拌できます。
「0.5Lは4人家族、1Lはそれ以上の人数で使う方向き。1.9L以上は業務用で、家庭用ではできない硬さの食材にも対応する機種も多いです。ただ大きくて重たいので洗うのも大変。家庭用なら1Lまででよいでしょう」
容器の素材
容器の素材は大きく分けると「ガラス」「プラスチック」「ステンレス」の3種類。
ニオイや 色移りのしにくさ |
中身の 見えやすさ |
軽さ | 丈夫さ | |
---|---|---|---|---|
ガラス | ◎ | ◎ | △ | △ |
プラスチック | △ | ◎ | ◎ | △ |
ステンレス | ◎ | △ | 〇 | ◎ |
・ガラス:割れやすいが、衛生面は◎

「ガラスは全面透明で中が見えやすいです。ニオイや色移りがなく、油も洗剤で落ちやすいですよ。着色しやすいニンジン使うときも安心。衛生面に優れるため離乳食を作りたい方にもおすすめ。
重量があるのがデメリット。硬いもの入れると割れる可能性があるので、使える食材の幅はやや狭まります」
・プラスチック:軽量なので気軽に使いたい方におすすめ

「軽量で取り出しやすいため、気軽に使いやすいです。中が見えるのもメリット。
二オイや色が移りやすいのはデメリット。餃子を作ったときに、ニンニクのニオイがなかなか取れないことも。洗剤を使っても油汚れが落ちにくく、ヌルっとした感覚が残ることがあります」
・ステンレス:慣れは必要だがメリットが多い!迷ったときにおすすめ

「ステンレスはニオイや色が移りにくいのがメリット。丈夫で割れにくいため、使える食材の幅も広いですよ。
側面から中が見えないので初心者の方は不安に思うかもしれません。ただ上からなら中を見られますよ。また、食材は細かくなると『ガガガッ』という音から『チチッ』という音に変化します。少し使えば慣れてくるでしょう。
メリットが多い素材なので迷ったらステンレスを選ぶのがおすすめ」
「お菓子作りは温度変化しないことが重要。温度変化があると、バターが溶けてパイ生地が作れません。そのため素材は温度変化しにくいガラスやステンレスがおすすめ。容量は少し大きめにするとよいですよ」
洗いやすさ
常に衛生的に使うためには洗いやすいことが重要。アタッチメントなどのパーツが細かく分解できるものは洗いやすいです。食洗機対応かもチェックしてみてください。
「まず大前提としてアタッチメントはすべて外れることが大事。フタに切れ込みがないものはおすすめ。食品は上に飛ぶのでフタに切れ込みがあると、溝に汚れがたまり汚れが落ちにくいことがあります」
▼フタに切れ込みがなくシンプルな形状で、洗いやすい製品の例
アタッチメント

基本装備があれば「刻む」「練る」「潰す」の工程ができます。付属のプレートがあれば大根をおろしたり、クリームを泡立てたりすることも可能に。付属のプレートが増えるほど高価になり、収納スペースを必要とします。
「アタッチメントは数が多ければよいわけではなく、何をやりたいかを中心に考えて選ぶことが大切。基本装備を使うのが主で、付属のアタッチメントを使う回数はあまり多くないですよ。アタッチメントがあると一見なんでもできそうですが、同じスライスできるものでも、製品によって性能に差がありますよ」
その他注目すべきポイント
・パワー
パワーが強いと硬い食材を砕けたり、よりスピーディーに刻めたりします。消費電力(W)が大きいものほどパワーが強い傾向にあります。なかには消費電力が500Wで氷が砕けるモデルも。刃の数もパワーに影響しますよ。
「パワーが強いものは土台のモーターが大きいのでそのぶん重量があります。普通のご家庭で使うならそこまでパワーは強くなくてよいでしょう。パンや高度なお菓子、大量のひき肉を作りたいと思ったときにパワーを大きくしていくのがおすすめ」
・コード/コードレス
コードは短いものは1m未満で、長いものは1m50cm以上あります。短いものほど安価で、長いものほど場所を選ばず使いやすくて便利。コードリール式だと本体にコードがしまえるので片付けも楽。なかにはコードレスの製品もあります。
「コードレスはパワーが少し弱めなので、調理の幅が狭まるのはデメリット。ハンバーグ4人分(500g)を一度に作るなどは難しいです。一方で、卓上で使いやすいのはメリット。テーブルで調理することの多い介護食や離乳食を作るときはコードレスが便利」
・安全機能
安全機能が搭載されている製品は、ケガや故障の心配が減ります。「フタがしっかり閉まっていないと動作しない」「容器に食材を入れすぎると動作しない」などの機能があります。
「一度に大量に作る方は、量を入れすぎたときに止まると安心。調理中のケガよりも、洗うときに刃で手を切ってケガをすることのほうが多いです。安全機能の有無に関わらず、気を付けてくださいね」
フードプロセッサーおすすめ10選|タイプ別に紹介
人気メーカーのフードプロセッサー
パナソニック フードプロセッサー MK-K81-W

Amazonランキングで1位獲得! パナソニック製の高性能なフードプロセッサー。一台で幅広い用途で使えるのが魅力。
3種のカッターと「パン羽根」が付属。また粗くおろせる「鬼おろしカッター」搭載で、長芋やりんごをおろすときに便利。シャキッとした食感を活かした料理にもおすすめですよ。
野菜のみじん切りからパン生地作り、かぼちゃのペーストなど一台で幅広いシーンに活躍しますよ。高速・あらびき・低速の「3段階切り替えスイッチ」搭載で、仕上がり具合の調整もしやすいですよ。
容量 | 500g(ハンバーグのたね) |
できること | 刻む、する、混ぜる、おろす、粗おろし、こねる、スライス、千切り |
重量 | 約2.8kg |
容器の素材 | ガラス |
食洗機 | ー |
コード | ー |
コードレス | ー |
タイガー魔法瓶(TIGER) フードプロセッサー SKU-A100WM

運転音が静かで食洗機で洗えるのが特徴のフードプロセッサー。第14回キッズデザイン賞「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」受賞の一品。
「良い音設計」で運転音を約40%低減。食材同士の衝突音・モーターの振動音などが抑えられているので、子どものお昼寝中でも使いやすい仕様。
カップとフタは食洗機で洗えるのでお手入れもラクちん。安全機能も搭載されているので、誤って操作する心配がなく安心ですよ。
容量 | 約500g(ハンバーグのたね) |
できること | ミンチ、ペースト、おろし、生地、ホイップ |
重量 | 3.2kg |
容器の素材 | プラスチック(トライタン) |
食洗機 | 可 |
コード | 1.2m(コードリール式) |
コードレス | ー |
クイジナート フードプロセッサーDLC-191J

人気キッチン家電メーカー「クイジナート」のフードプロセッサー。1.9Lの大容量なので一度に、タマネギ2個分を刻めて食パン1斤分こねられますよ。
「インダクションモーター」採用でパワーと耐久性が抜群。毎日使っても壊れにくい業務用仕様で、スピーディーに仕上げたい方にもおすすめ。
容器は食洗機で洗えます。また耐熱温度120℃なので、食材が冷めるのを待たずに入れられますよ。「3段式安全構造」で正しくセットしないと動かない仕様なので安全面も優秀。
容量 | 1.9L |
できること | 切る・刻む、こねる、薄切り、細切り、おろし |
重量 | 約5.1kg |
容器の素材 | ポリカーボネート(熱可塑性プラスチックの一種) |
食洗機 | 可 |
コード | 約1.5m |
コードレス | ー |
リーズナブルなフードプロセッサー
山善 フードプロセッサー YFA-201

容量350mlの小型のフードプロセッサー。コンパクトで軽量なので気軽に使いやすいですよ。1人暮らし用にも向いています。
操作は食材を入れてスイッチを押すだけのシンプルな設計。パーツを細かく分解できるので洗いやすさも優秀。
一度に調理できる量は少ないですがリーズナブルな価格は魅力。最低限の機能だけで十分な方におすすめ。ハンバーグや餃子のタネ作ったり、ニンジンやタマネギを刻んだりできますよ。
容量 | 350ml |
できること | 刻む・混ぜる |
重量 | 0.8kg |
容器の素材 | ー |
食洗機 | ー |
コード | 約1.2m |
コードレス | ー |
テスコム コードレス フードプロセッサー TKX500

コードレスなので場所を選ばず使えるフードプロセッサー。キッチンの近くにコンセントがない方や、卓上で離乳食を作りたい方にもおすすめ。
パッキン付きのフタで液漏れを防止しているので、スープやドレッシングも調理できますよ。「転倒センサ」内蔵で本体が一定以上傾くと動作が止まる仕様なので安心。
アタッチメントは本体にすべて収納できるので、省スペースで使えるのも魅力。取っ手付きで持ち運びもしやすいです。一回の充電で約40分間動きますよ。
容量 | ー |
できること | 刻む、混ぜる、おろす、泡立てる |
重量 | 約1.7kg |
容器の素材 | ガラス |
食洗機 | ー |
コード | ー |
コードレス | 〇 |
アイリスプラザ フードプロセッサー PEFC-60

1台3役のフードプロセッサー。スピーディーに下ごしらえしたい方はあると便利。ニンジン1本も約8秒で刻めて、食パン1枚を約5秒でパン粉にできます。
スッキリとした形状なのでキッチンにも置きやすいです。ホワイト・レッド・イエローとカラーバリエーションが豊富なのも魅力。
食材に合わせてアタッチメントを替える必要もなく、思い立ったらすぐに使えるシンプルな仕様。リーズナブルなので、フードプロセッサーを試しに使ってみたい方にもおすすめ。
容量 | 400ml |
できること | 刻む、ミンチ、挽く(パン粉) |
重量 | 1.4kg |
容器の素材 | ー |
食洗機 | ー |
コード | 1.2m |
コードレス | ー |
洗いやすいフードプロセッサー
フィリップス(Philips)マルチチョッパー HR2507/05

フローズンフード・氷用ブレード付属で氷や冷凍フルーツも砕けるのが特徴。フローズンカクテルなどを作りたい方にもおすすめ。
「チョップドロップ用ブレード」は食材の水分を多く残せる仕様で、シャキッとした食感に仕上げられるのも魅力。ちょうどよい大きさに仕上がるため、細かくなりすぎるのは困る……という方にはぴったり。
すべての付属品が食洗機対応。パーツも少ないため洗いやすいですよ。2年間の保証付きなので安心。
容量 | 1.1L |
できること | 刻む、混ぜる・ミンチ、砕く |
重量 | ー |
容器の素材 | ー |
食洗機 | 可 |
コード | ー |
コードレス | ー |
ティファール フードプロセッサー ミニプロ ルビーレッドプラス

1台7役で使えるコンパクトなフードプロセッサー。キッチンのスペースをあまり取らないのが魅力。容器は215gと軽量なので、気軽に使いやすいですよ。
耐熱温度は85℃。熱い食材を冷まさずに入れられるため、待ち時間が短縮されますよ。食洗機使用可能で、簡単に洗えるのも魅力。
消費電力は350Wとパワーが強いので、スピーディーに刻めます。60レシピを記載したレシピブック付きなので、さまざまなメニューにチャレンジできますよ。
容量 | ー |
できること | 刻む、潰す、混ぜる、スライス、せん切り、泡立てる、おろす |
重量 | 1.65kg |
容器の素材 | プラスチック |
食洗機 | 可 |
コード | 約1.2m |
コードレス | ー |
1人暮らしにおすすめのフードプロセッサー
レコルト(récolte) カプセルカッター ボンヌ

おしゃれで人気のキッチン家電メーカー「レコルト」のフードプロセッサー。
コンパクトで軽量なのが特徴。見た目もかわいいのでキッチンに置いておくとインテリアになりますよ。カラーはクリームホワイトとレッドの2種類から選択可能。
1台7役とマルチな用途で使えます。メレンゲやクラッシュアイスもできますし、大根おろしは20秒で作れますよ。スペースもそれほど取らないので、1人暮らしの方はあると重宝するでしょう。
容量 | 500ml |
できること | 刻む、混ぜる、潰す、砕く、練る、泡立てる、おろす |
重量 | 1.1kg |
容器の素材 | トライタン樹脂 |
食洗機 | 不可 |
コード | 約1m |
コードレス | ー |
山本電気 MICHIBA KITCHEN PRODUCT フードプロセッサー MB-MM56

1台8役の幅広い用途で使えるフードプロセッサー。他のフードプロセッサーでは使えない食材にも対応しているのが特長。山芋や納豆、氷やコーヒー豆も使用OK。
毎分800回転から3000回転までの間でスピード調整ができるのも特徴。低速で粗みじんにしたり、高速でペースト状にしたりと好みに合わせた仕上がりにできますよ。
「自社製高性能DCモータ」採用で音が静かなのも魅力。ステンレス製なので丈夫で、清潔に使いやすいですよ。
容量 | 500ml |
できること | 刻む、混ぜる、する、砕く、泡立てる、こねる、おろす、挽く |
重量 | 3.1kg |
容器の素材 | ステンレス |
食洗機 | ー |
コード | 2.0m |
コードレス | ー |
Q&A|お手入れ・簡単レシピなど
Q.フードプロセッサーのお手入れのポイントは?
A.「使ったらすぐに洗うことが大事で、後から洗うと意外とこびりつきますよ。使ったらすぐに刃のパーツを取り外して、具材を取り出してください。取り出したらサッとでよいので、水をかけて表面の汚れをとっておきましょう。調理を終えたあとに丁寧に洗うとキレイに汚れが取れますよ」
Q.入れてはいけない食材は?
A.「製品ごとに入れてはいけない食材は異なるのでチェックしてみてください。一番多いのは氷。氷は硬いので刃が割れてしまったり、ボウルにひびが入ったりします。フードプロセッサーは密閉性がないので、山芋のようなカサが増える食材は溢れるのでNGが多いです」
Q.簡単おすすめレシピは?
A.「フードプロセッサーは工夫すればより便利に使えます。ハンバーグや餃子も簡単に作れますが、いくつかおもしろいレシピを紹介しますね」
以下が北山さんにご紹介いただいたレシピです。フードプロセッサーに材料を入れて回すだけで「バター」「すぐ固まるムース」などが作れますよ。
メニュー | レシピ(材料) |
---|---|
バター | 生クリーム+塩 |
ナンの生地 | 小麦粉+オリーブオイル |
ムース | 牛乳+ゼラチン+アイスクリーム |
味噌 | 大豆+麹(しばらく寝かす) |
お豆腐アイス | アイスクリーム+水切りした豆腐 |