髙阪正洋(CORNELL)

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ZOZOで働く林夫妻の住まいは、幕張付近を拠点とするハウスメーカー「カネマツ」が手がけた一風変わった住宅

スキップフロアと吹き抜けを駆使した構造は、一見すると複雑そのもの。細かく分かれたドアのない部屋も、使い勝手がいいようには見えません。

千葉県千葉市の一戸建てに住む夫婦の家

ところが、そのじつ。生活と仕事がわけへだてない新しい暮らしにフィットする柔軟さを、どうやら持ち合わせているようです。

名前(職業):林 真美さん(株式会社ZOZO営業) / 林 健太さん(株式会社ZOZOテクノロジーズ Webデザイナー)
場所:千葉県千葉市
面積:100㎡(延べ床)
築年数:築6年
間取り図:

編集部作成

千葉県千葉市の一戸建てに住む夫婦の家
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お気に入りの場所

吹き抜けになったリビング

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ふたりがもっとも長い時間を過ごすのは、玄関からスキップフロアを2フロア上った先にあるリビングスペース。

リビングが地上階ではなく階上に設定されているのは、この住宅を手がけた「カネマツ」のこだわりのひとつ。日当たり良好で、外からの視線も気になりにくいんだ!

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じつは、吹き抜け部分の梁に床板をわたせば部屋を増設できる設計になっている

リビングの天井は吹き抜けになっているので、なおのこと開放感たっぷり!

大きめのテレビと外付けスピーカーを置いています。せっかくゆったりとしたリビングなので、いい映像やサラウンドを味わいたくて」(健太さん)

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「ここはわたしの友人たちの溜まり場にもなっていて、定期的にK-POP会が開かれます(笑)。そんなときにも、テレビとスピーカーは大活躍なんですよ」(真美さん)

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ソファは、ランドスケーププロダクツのもの。その横に置かれているスタンドライトはとくに真美さんのお気に入りで、パシフィックファニチャーで購入したJIELDEのものだとか。

「これを置いたことで、リビングの雰囲気がぐっと締まりました。そもそものリビング用ライトは吹き抜けの天井部についていて不便なので、夜はこちらのライトを使ってソファで漫画を読むことが多いんですよ」(真美さん)

リモートワークにも対応する、変幻自在の小部屋

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「2020年から、うちの会社でもリモートワークがはじまって。最初は一時的なものだろうと思っていましたが、もはや、これがスタンダードになっちゃいましたね」(健太さん)

多くのひとが直面した、暮らしと仕事の大きな変化。そのうねりにさらされて、林夫妻がまず取り掛かったのは、それぞれの仕事部屋を確保することだったとか。

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リビングからワンフロア上がった小部屋。もともとは客間として、友人や家族が遊びにきたときに泊まれるように空けておいたその場所を、真美さんの仕事部屋に。

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さらにワンフロア上がったさきには、もともと物置として使っていて、いまでは健太さんのワークスペースとなった小部屋が。ちなみにキッチンの直上にあたるこの部屋も、じつはもとは吹き抜けで、梁のうえに床板を渡すことで増設された部屋なんだって!

「デスクとオフィスチェアは、数ヶ月前に新調しました」(健太さん)

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なかでもハーマンミラーの「エンボディチェア」は、健太さんが調べに調べ尽くして行き着いたオフィスチェアの最適解。

「リモートがはじまった当初は、ダイニングチェアで仕事をしていました。でも、長時間仕事をしているとお尻が痛くなるし、なにより不便なのが、キャスターがついていないこと。ちょっとトイレに立つときや、喉が渇いてキッチンに行くとき、そのたびにガタガタと椅子を引く動作が、地味にストレスだってことに気づいて……」(健太さん)

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物置部屋に、客間に、ワークスペースに……、と使い分けが利く変幻自在の小部屋がいくつも用意されているスキップフロアの利点を、フル活用してるな〜! リモートワークがスタンダードになったいま、共働きや子どものいる家庭には、ぜひおすすめしたい設計かも!

この家に決めた理由

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株式会社ZOZOで働くふたり。これまでも、本社に近い幕張周辺で引越しを繰り返しながら暮らしてきました。購入するなら一軒家とはかねてから考えていて、千葉であることも、お互いのなかでやはり自然と決まっていたとか。

「住宅サイトをくまなくチェックするのが彼の趣味みたいなものなのですが(笑)、あるとき、カネマツが手がけた築2年の中古物件を見つけたんです」(真美さん)

ほとんど新築にして、中古物件。当然、なにか裏があるんじゃないの?と最初は疑いの眼差しを向けていた林夫妻。

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ところがじっさいは、それまで住んでいた夫妻が大のサーフィン好きで、東京オリンピックのときにどうしても間近で競技観戦したいと、思い切って海沿いに移り住むことに決めた。というのがコトの顛末。

かくして、ほとんど手つかずに近い一軒家を、中古で手に入れるにいたったというわけ。

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「最初は新築を建てようと考えてもいました。でも、おもしろい住宅ってほんとうにイチからの注文住宅じゃないとつくれないじゃないですか。しかも、毎日仕事も忙しいなかで、地盤のことや周辺環境を考えながら土地を探すことすら、かなりの時間と手間がかかってしまう……。心が折れかけたときに、この物件に出合った。巡り合わせを感じちゃったんです」(健太さん)

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カネマツは、幕張付近を専門にしているハウスメーカー。そのためZOZOの社員でカネマツの住宅を選ぶひとも少なくないんだって! じっさい、健太さんの先輩のひとりもそうで、かねてからカネマツの住宅についての話を聞いていたぶん、決断は早かったのだとか。

「スーモで見つけて内見に行って、ほとんど即決でした」(真美さん)

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スキップフロアと吹き抜けを駆使したユニークな構造を採用しているのはさることながら、無垢の床材やコットンクロスの壁紙など、基本的に自然素材しか使わないことも特徴のひとつ。アレルギー体質である健太さんにとっては、そうした配慮も決め手になったみたいです。

残念なところ

スキップフロアと吹き抜けの、大きな落とし穴

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住宅のもうひとつの特徴に、電気蓄熱暖房が挙げられます。割安な深夜電力を使って床下空間に蓄熱し、日中の空調をまかなうという仕組み。

家全体を空気が循環しやすいようにするためのスキップフロア&吹き抜けでもあり、ドアが最小限しか取り付けられていないのも、そのためなのだとか。

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「吹き抜けの住宅によくある悩みかと思うのですが、理想の暖かさにするにはまだまだ課題があります……」(真美さん)

そう話すように、じっさいのところは、冬場は暖かな空気が最上階に溜まってしまうので、健太さんの仕事部屋だけがうだるような暑さに。そして、リビングは極寒に……。

「真冬は電気毛布にくるまって過ごしています(笑)」(真美さん)

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ユニークな住宅構造の、思わぬ落とし穴。オール電化なので、強力なガスストーブも利用できない。となると、さすがに打つ手なしか……。

「吹き抜けの住宅に住む友人に、どうしているのか訊いてみたこともあります。でも、電気代を気にせずエアコンをガンガンに効かせるしかない。それが答えでした(笑)。引き続きベストな手法を模索していきたいと思っています」(健太さん)

増築が追いつかない本棚

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ふたりとも、大がつくほどの漫画好き。というのは、リビングからワンフロア降りたさきの小部屋を見れば一目瞭然です。少年漫画、青年漫画、少女漫画までがわけへだてなく、本棚にも床にもぎっしり

「ふたりとも子どもの頃から漫画好きなんです。段ボールに入ったままの漫画は、実家から送ってもらったもので」(真美さん)

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壁一面を覆い尽くすほどの本棚は、健太さんがDIYしたものなんだって! これだけの漫画本を収納できるサイズだけあって、かなりの迫力だ!

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「本棚は増築を繰り返しているんですが、漫画を買うペースにどうしても追いつかなくて……。それに、ふたりとも雑なので、読んだ漫画は本棚に戻さず、つい床に積み上げちゃうんですよね……。この家のなかでも、もっとも僕らふたりを象徴してる場所と言えるかもしれません(笑)」(健太さん)

お気に入りのアイテム

コーヒーメーカーは、リモート生活を救う!

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真美さんが一人暮らし時代から使っているという冷蔵庫は、世界各地のマグネットで埋め尽くされています。「ほとんどが、友人たちからのお土産なんです!」

ふたりとも、料理をすることはあまりないのだとか。それでもキッチンには、こだわって選ばれたことがわかる家電が揃っています。

「いちばん最近買ったのは、ツインバードのコーヒーメーカー。1日のほとんどを家で過ごすようになったので、生活のレベルを上げたくて。ならコーヒーメーカーはどうだろうと、選んだのがこれなんです」(健太さん)

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狭いスペースにもきゅっと収まるコンパクトさと、主張しない静謐なデザイン、そしてオールブラックのカラーリングがあいまって、家電然としていないのがいいね!

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「これまでコーヒーは、『飲めればなんでもいい』と思っていました。でも、いまは幕張にあるエトナコーヒーという問屋でおいしい豆をわざわざ買って飲むまでに」(真美さん)

「ご飯を炊く回数も増えたので、炊飯器も新調して、象印のSTANシリーズに。徐々に暮らしが充実していくのを感じています!」(健太さん)

たかがコーヒー1杯、ご飯1杯、でも、されど。暮らしの豊かさって、案外、そんなところに詰まっているのかも!

臼歯のキューシーちゃん

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ぬいぐるみ、ソフビ、マグネット、スケートボード、ブランケット、ラグ……。そこかしこに個性的なキャラものが散りばめられた林夫妻の家。とりわけ“顔”をモチーフにしたアイテムが大好物ということで、たしかに見渡せば、いたるところに顔、顔、顔!

なかでもいちばんのお気に入りは?と訊くと、最近買ったばかりだというパシフィックファニチャーのガラスケースの中を指差す健太さん。

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「これは、西荻窪の歯医者さんがつくっている『キューシーちゃん』というソフビ。おもちゃ好きの歯医者さんが自身でデザイン、原型、ワックス制作を手がけてつくり上げているみたいなんです。

その上の段に飾っているキャンディーラボのミニカーもお気に入り。どちらもインスタで偶然見つけたものですが、わりとそうやって見つけて衝動買いすることが多いですね」(健太さん)

夫婦円満の秘訣は…

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キャラクターグッズがいたるところに置かれたリビングとは打って変わって、余白のあるシンプルな寝室。それにしてもすっきりしているな、と思ったら、あれ? このベッド、シングルサイズじゃない?

「そうなんです。とくに理由はないのですが、もう長いことシングルベッドを使っています。ふたりとも寝相が悪くないので、これで問題なく眠れちゃうんですよね」(真美さん)

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このサイズに慣れすぎて、旅先で広いベッドに寝たりすると違和感を覚えることすらあるんだって! むしろシングルベッドだからこその良さみたいなのも、意外とあったりして?

ケンカしても寝るときにはかならずくっつかなきゃいけないっていうのは、逆にいいのかもしれませんね(笑)」(健太さん)

「たしかに、夫婦円満の秘訣かも!」(真美さん)

暮らしのアイデア

物欲のままに。整えようとしなくても

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ところで、キャラもののアイテムを筆頭に、どちらかというとモノに溢れた林家。「わたしたちって、ほんとうに生活に不必要なものを買うのが得意なんですよ……(笑)」と、真美さん自身も自負するほど。

「買い物をするのがストレス発散にもなっているし、不要なアイテムに囲まれて暮らすのは、むしろ贅沢かなと思っています」(健太さん)

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収納スペースが少ないことを割り切って、全開の趣味は、仕舞わず、あえて見せていくスタイルに。にも関わらず、どうしてか雑然とした印象は受けないんだよな〜。そこにはきっと、ふたりにしかわからない整理整頓術が隠れてるんじゃないの?

「小物が多くてごちゃごちゃしがちなので、大きめの家具はなるべくシンプルな色や素材を選ぶようにしています。なかでもパシフィックファニチャーのステンレス系は、好きで集めちゃう家具かも」(真美さん)

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「といっても、大型家具も無駄に買っちゃうことが多いですよ。前に住んでいた部屋なんか、ソファを3つも置いてましたから(笑)」(健太さん)

「たぶんふたりとも、古着屋みたいにモノが多くてぎゅっとした部屋が好きなんだと思います。思えば実家の部屋もそんな感じだし、それが居心地いいのかも」(真美さん)

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言われてみると、リビングのラグの使い方にも、その片鱗が垣間見えます。

「下に敷かれているのはランドスケーププロダクツのもの。それを買ったあとで、上に敷いてあるのを見つけて欲しくなっちゃって……。『どうする?』って彼女に訊くと、『重ねちゃえばいいんじゃない?』って(笑)」(健太さん)

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「どこに置こうとか、そういう計画はいつも後回しなんです。とにかくモノ先行で、どこにはめ込むかは買ってから考える」(真美さん)

「そうしていても、ふたりの好きなものっていう共通点があるから、自然とトンマナが整うのかもしれません。迷いのない買い物をしていれば、好きなものに好きなものが混ざるだけなので」(健太さん)

物欲のおもむくままに、素直に買い物する。それが、ふたりの整理整頓術の極意ってわけ。ちょっと買い物の言い訳感もあるけど、言い得て妙だな〜! 

これからの暮らし

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これからの暮らしについて訊いてみると、「そうですね、次は何を買おうかな……(笑)」と向かうところはやはり物欲な健太さん。

「本棚もそうですが、見せる収納にするにせよ、整えることにもう少し力を入れていきたいです(笑)。リモートワークになって家にいる時間が長くなったぶん、この家も、より“自分のもの感”が強くなった気がしていますから。手付かずだった部分も、きちんと見つめ直していきたい」(健太さん)

「たしかに、優先度が高いのはやっぱり漫画本の収納だよね。読みたい漫画を見つけるのも、探すというより、いまはむしろ漁ってるような状態だし……(笑)」(真美さん)

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収納やレイアウトにことさらとらわれることなく、物欲のままに、全開の趣味に包まれて暮らすふたり。いっぽうで、生活と仕事がわけへだてない暮らしの新機軸のなかで、家のポテンシャルにもつぶさに目を向けるように。

その二軸が作用しあって、ふたりの住まいが、いまゆるやかに変わろうとしているようです。

Photographed by Masahiro Kosaka

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衣食住にまつわるもの、こと、ひとを、取材・執筆します。CORNELL。

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