電源不要で使える暖房器具、石油ストーブ。暖をとるのはもちろんのこと、照明器具や調理器具としても使えて便利。キャンプで大活躍のアイテムです。燃料にはリーズナブルに手に入る灯油を使用しているため、燃費にも優れます。
ただ、対流式に反射式、トヨトミ・フジカ・アルパカなど種類やメーカーもさまざまでどれを選んでいいか迷ってしまいますよね。
今回は、キャンプ用の石油ストーブの選び方を、フェールラーベン公式アンバサダーのアウトドア女子ヒミカさんに解説いただきました。「大きいテント用なら対流式がおすすめ」などお聞きした選び方のポイントを参考に、おすすめのキャンプ用の石油ストーブを目的別に紹介します。
アウトドア女子 ヒミカさん
石垣島出身。スウェーデンの国民的アウトドアブランド「フェールラーベン」の公式アンバサダー。大手キャンプメディアで連載多数。2017年4月より人気アウトドア系YouTubeチャンネル「ヒミカチャンネル」運営開始。2019年夏より山暮らしをしている。
石油ストーブの選び方
・まずは対流式と反射式のどちらにするか考える
・選ぶ際に注目すべき3つのポイント
キャンプ向けのおすすめ石油ストーブ12選!目的別に紹介!
・軽量&コンパクトなおすすめ石油ストーブ
・リーズナブルなおすすめ石油ストーブ
・機能に優れるおすすめ石油ストーブ
・おしゃれなおすすめ石油ストーブ
ヒミカさんが語る石油ストーブの魅力・メリット
「石油ストーブは、調理をしながら暖まれるため、冬キャンプのときに利用される方が多いです。焚き火ですとテント外で行っても、火の粉がテントへ飛んで穴が空いたり、引火したりする危険性があります。石油ストーブはその点で安心感がありますね。
天板の上にお鍋を置いてスープを作ったり、アルミホイルで包んで焼き芋を焼いたりできます。焚き火やガスコンロの方が早く調理できますが、じっくりと時間をかけた分、より美味しく感じますよ。暖まりながら、ゆっくり完成を待つのも楽しみの一つ。
薪ストーブも暖かいですが、石油ストーブのほうが火のつけ方が簡単ですね」
石油ストーブの選び方
■まずは対流式と反射式のどちらにするか考える
石油ストーブの種類は「対流式」「反射式」の2種類に分かれます。まずは用途に応じて、どちらを選ぶか決めましょう。
・対流式
対流式は、部屋全体をじんわりと暖める用途に向いています。レトロでおしゃれなデザインが多く、アウトドア用としても人気。取っ手やハンドル付きのモデルは持ち運びしやすいです。反射式より高価な傾向にあります。
「対流式は空間全体を暖めるのが得意なので、テントの中心に置いて使うとよいでしょう。大きなテントやワンポールテント用に向いていますね。
熱が上の方に行くため、足元がすぐに暖まりにくいことも……。そういうときは、エコファンを回せば、下の方も暖まりますよ。
炊き出し用の調理器具としても使われていますね」
▼Amazonベストセラー商品のエコファン「Signstek エコストーブファン EF-145」
・反射式
反射式は、熱を前方に放射し、直接的に暖めます。壁際に置いて使用するのが主。安価で手に入り、四角い形状で車にも置きやすいのが特徴です。
「輻射熱を利用して、空間を暖める反射式。空気も乾燥しづらいため、加湿がいらないのが魅力の一つ。室温が低くても暖かさを感じられるのも特徴ですね。
テント内全体を暖めるのに少し時間がかかるため、大きなテントには不向き。少人数の小さなテントで使うのに向いています」
■選ぶ際に注目すべき3つのポイント
・サイズ
サイズが大きいほど暖かさは増す傾向にありますが、その分、持ち運びが大変だったり暑すぎたりしてしまうことも……。商品説明に記載されている「適応畳数(コンクリート/木造)」に合わせて選ぶのが基本です。
「キャンプ用では、木造7畳程度のストーブを利用している方が多いですね。キャンパーに人気なアルパカ・フジカ・レインボーストーブなども、木造7畳程度です。
コットを置くなどして、テント内のスペースにあまり余裕がない方は、サイズが小さくて置きやすいものを選ぶとよいでしょう」
・デザイン
石油ストーブは、レトロでおしゃれなデザイン性も人気です。とくに対流式は、ランタン調のものや、七色に炎が光るものなどおしゃれなラインナップが豊富。よりキャンプを楽しむために自分の好みのデザインかにも注目して選ぶとよいでしょう。
「道具のレイアウトはキャンパーにとって楽しみの一つ。全体に統一感を持たせたいときなどに、デザインを重視する方もたくさんいます。
SNSとかYouTubeを観ていると、この人のスタイルかっこいいな……自分もこの道具を使ってみたいな……と憧れのキャンパーさんに影響を受ける部分はありますね。購入して実際に使うときがくるのを待つのも楽しみです」
・安全面
安全面を重視するなら、地震や転倒などの衝撃で自動消火する機能がついているモデルがおすすめ。なかには給油口を締め忘れても油漏れしないモデルや、転倒時に灯油漏れしないモデルもあります。
「一酸化炭素中毒を避けるために、定期的に換気が必要です。必ず寝るときの使用は控えてください。代わりに、電気毛布とかヒーター付きのシュラフを使用するのがおすすめ」
▼人気の電気毛布「コイズミ 電気毛布 KDK-6061」
▼おすすめヒートシュラフ「ニュートラルアウトドア NT-SH04 ヒートシュラフ」
人気ブランドの特徴
・トヨトミ
トヨトミは暖房器具の国産ブランドで、リーズナブルで機能的なのが特徴。おしゃれな対流式石油ストーブのラインナップが豊富なのも魅力。
「トヨトミのレインボーストーブは、火が虹色に光り女性キャンパーに人気ですね」
・コロナ
新潟県に本社を置く老舗の暖房機器ブランド。リーズナブルな反射式の石油ストーブのラインナップが豊富。
「コロナは暖める範囲が広い商品が多い傾向にあります。大きなテント向きですね」
・アラジン
1930年代から愛され続ける、個性的な青い炎が美しいアラジンの人気商品「ブルーフレームヒーター」。高価ですが、どことなく無骨でレトロなデザインが支持されています。
「火が揺れているのを観ていると、まったりとした癒しの時間が過ごせます。普通のオレンジの火も素敵ですが、青い炎はやっぱり特別感がありますよね」
・フジカ
高性能が魅力で、キャンパーから絶大な支持を集めるフジカの石油ストーブ。調理用のアイテムとしても活躍します。
「フジカは入手まで何ヶ月とか待たないといけない人気モデル。中心部分がドームっぽくなっている個性的なデザインがおしゃれですね」
・アルパカストーブ
コンパクトでありながら、火力がパワフルなのが特徴。燃焼時間も長いです。
「軽量で持ち運びも楽です。こちらもキャンパーからの人気が高い一台」
・スノーピーク
日本を代表するアウトドアブランド。石油ストーブの品揃えは多くないですが、キャンプに特化したモデルは人気商品。
「スノーピークは値段が少しお高めですが、機能や性能に優れるため人気のメーカーですね。使い勝手がよくて、見た目もおしゃれですよ」
キャンプ向けのおすすめ石油ストーブ12選!目的別に紹介!
■軽量&コンパクトなおすすめ石油スト―プ
newアルパカストーブコンパクト TS-77JS-C
6.6kgと軽量! 大きめのハンドル付きで持ち運びしやすいのが特徴。その上、火力が強く使い勝手がよいため、多くのキャンパーから人気の一台です。
天板の上には、網を置いてパンを焼いたり、シェラカップでホットワインを作ったりできますよ。暖まりながら調理したい方にはおすすめのモデル。
コンパクトなのでどこでも置きやすいのも魅力です。ヴィンテージ風のレトロなデザインがおしゃれで、価格もリーズナブル!
サイズ | 350mm×350mm×405mm |
重さ | 6.6kg |
タンク容量 | 3.7L |
適応畳数(コンクリート/木造) | – |
燃焼時間(h) | – |
スノーピーク グローストーブ KH-100BK
シンプルな形やシックな色合いが、キャンプグッズやインテリアに合いやすいと好評。サイズもコンパクトで持ち運びに便利。別売りスノーピークストーブバックに入れれば、運搬はさらにラク。
側面方向への遠赤外線放射で、360度しっかり暖めてくれます。パワフルな暖房性能に加えて「耐震自動消化装置」搭載で安全面も◎。
価格は高価ですが、リビングでもキャンプシーンでも場所を選ばず活躍する一台。スノーピークの製品なので、耐久性も安心できますね。
サイズ | 388×388×474mm |
重さ | 5.9kg |
タンク容量 | 4.9L |
適応畳数(コンクリート/木造) | – |
燃焼時間(h) | 約20 |
■リーズナブルなおすすめ石油ストーブ
PASECO(パセコ)対流型 石油ストーブ WKH-3100S
1974年より続く韓国の老舗メーカー「PASECO」の屋外専用の石油ストーブ。人気殺到で売り切れ続出の一台です。1万円台と高コスパで、機能性が優秀なのが魅力。
高火力で暖かさもバッチリ。タンク容量は5.3Lと大容量で、18時間連続で使うことが可能です。重量は1.3kgと軽量。持ち手もついているので片手で持ち運べますよ。
操作性もシンプルなので使いやすさも◎。石油ストーブを使ってみたいけど価格が高い……とお悩みの初心者にもぴったりの一台。
サイズ | 直径325×441mm |
重さ | 5.2kg |
タンク容量 | 5.3L |
適応畳数(コンクリート/木造) | – |
トヨトミ 対流形 石油ストーブ ホワイト RB-2500(W)
高機能な対流式の石油ストーブ。かわいいデザインで女性キャンパーからも人気の一台。
外筒の特殊ガラスコーティングにより、燃焼中は炎の輪が七色に輝きおしゃれ。40Wの明るさがあるので、ナイトキャンプの照明代わりにもなりますよ。
つまみを回せば点火でできる「電子点火」採用で、着火が簡単。ニオイを抑える「ニオイセーブ消火」、転倒時に油がこぼれにくい「2重タンク構造」も採用。天板の上にやかんを置いて湯沸かしもできますよ。
サイズ | 388x388x475mm |
重さ | 6.2kg |
タンク容量 | 4.9L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 9畳/7畳 |
トヨトミ 対流型石油ストーブ RL-251(G)
本物のランタンのように周囲を優しく照らし、キャンプをムーディーに演出してくれる一台。カラーはダークグリーンのほか、レッドとホワイトがあります。
総重量は約6kg。軽量ですが「タンク容量4.9L」「燃焼時間は20時間以上」と総重量7kg以上のものと比べて性能は引けを取りません。給油回数が少なく済み、燃費に優れるのは魅力。
レインボーカラーの炎の明るさは40W。傘の形をした反射板がついているので、足元も明るく照らしてくれますよ。
サイズ | 388x388x486mm |
重さ | 6.2kg |
タンク容量 | 4.9L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 9畳/7畳 |
適応畳数(コンクリート/木造) | 約20.2~40.2h |
トヨトミ 石油ストーブ RS-H29M(W)
リーズナブルで多機能な反射式石油ストーブ。キャリングハンドル付きで持ち運びしやすいのも魅力。テント内でもスムーズに移動できます。
燃焼筒についている消臭リングが、いやなニオイを防止します。タンクの口金は締まる際に音が出るので、うっかり締め忘れる心配もなし。「こぼれま栓」採用で、タンクを倒してしまったときにも油漏れしにくい仕様で安心。
さらに「でるでる芯」搭載で、芯をこまめに交換する必要がなく、最後まで使いきれるから長持ち。2万円前後で購入できるので、反射式の最初の一台にもおすすめ。
サイズ | 312x356x460mm |
重さ | 7.5kg |
タンク容量 | 3.6L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 10畳/8畳 |
コロナ ポータブル石油ストーブ(ダークグレー)RX-2220Y(HD)
1万円程度のリーズナブルな価格が魅力! Amazonベストセラー1位獲得の人気の反射式石油ストーブ。
天板が横に広いため、小さめの鍋やスキレットを並べて置くなど、同時に複数の調理ができるのも魅力です。給油タンクには「よごれま栓」機能を搭載し、給油時に手を汚す心配がなく快適に使えます。
「ニオイカット消火」採用で、ゆっくり消火させることで、未燃焼ガスを燃やしきります。ニオイの原因を断ち切ることで、テントやタープ内で不快なニオイを感じなくてすむのは、うれしいですね。
サイズ | 452×324×475mm |
重さ | 7.4kg |
タンク容量 | 3.7L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 8畳/6畳 |
燃焼時間(h) | 約17 |
コロナ ポータブル石油ストーブ SL-5121(W)
グッドデザイン賞受賞のシンプルでおしゃれなフォルム。2万円程度で購入できる人気の対流式ストーブ。「とにかく冬キャンプで寒い思いをしたくない!」という方におすすめの一台。
約10kgと重さはあるものの、豊富な遠赤外線を放射する燃焼リングを採用し、燃焼性能がバツグン。広いテント用にもぴったりです。タンク容量は6kgと大容量のため、給油回数も少なくて済みラクちん。
点火ボタンは視認性の高いオレンジ色。さらに消火ボタンは凹凸がついているから、日没後でも操作しやすいですよ。
サイズ | 460×460×553mm |
重さ | 9.9kg |
タンク容量 | 6.0L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 18畳/13畳 |
燃焼時間(h) | 12.0 |
■機能に優れるおすすめ石油ストーブ
フジカ ハイペットKSP-229-21C-J2型(反射板なしモデル)
アメリカや中国、ブラジルなど世界各国で愛されている石油ストーブ。着火にはマッチやライターを使用します。
高度3,000mでも燃焼するようなハードな環境の使用でき、耐久性に優れるのが魅力。5.5kgと軽量なのも人気の理由の一つ。
直接暖まりたい方は反射板ありのモデルがおすすめ。テント内全体を暖めたいときは、反射板を取り外して使用するとよいでしょう。
カラーはブラックとホワイトがあります。ホワイトモデルに使用されている天板は、さまざまな風合いに発色する「テンパーカラー」を採用。照明や角度によって見え方が変化して素敵ですよ。購入方法は、メーカーへの電話注文が基本になります。
サイズ | 310×310×432mm |
重さ | 5.5kg |
タンク容量 | 3.6L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 10畳/8畳 |
燃焼時間(h) | 約10~12 |
■おしゃれなおすすめ石油ストーブ
PASECO(パセコ) 対流形石油ストーブ CAMP-25
ミリタリー感のあるカラーリングで無骨なデザインの屋外専用の石油ストーブ。おしゃれなだけでなく、小型で高出力と性能面でも評判の高い一台。
本体が収縮してコンパクトになるのが特長。使用時には高さ57cmで、収納時には44cmに。車で持ち運ぶときに積載スペースを圧迫しにくいです。
高出力の6.4kWで、大型のテントも暖まると話題。ワンタッチで点火も簡単。連続燃焼時間も10時間と長いですよ。
サイズ | Φ445×440~570mm |
重さ | 約11.5kg |
タンク容量 | 7.0L |
適応畳数(コンクリート/木造) | – |
適応畳数(コンクリート/木造) | 約10 |
アラジン ブルーフレームヒーター BF3911(G)
90年以上にわたって愛されてきたイギリス発祥のメーカー、アラジンのロングセラー。高価ですが、クラシックでおしゃれなデザインが大人気!
「ブルーフレーム」の名前の由来である青い炎は、よい燃焼状態であることの証。テント内で幻想的な青い炎をぼーっと眺めていると、これまでの人生を振り返ってみるなど、自分との対話が捗りますよ。
デザインはそのままに長年の改良で耐震自動消火装置、ニオイの抑制機能などが追加され、安全性能も高まりました。キャンプだけでなくお部屋のインテリアとしても活躍しますよ。
サイズ | 388×405×551mm |
重さ | 8.5kg |
タンク容量 | 4.1L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 10畳/7畳 |
燃焼時間(h) | 15 |
アラジン 石油ストーブ CAP-U289(G)
クラシックでかわいい佇まい。置いているだけで、空間をおしゃれに演出してくれる、ハイセンスな石油ストーブ。反射式ですが上部からも熱を放出する仕様で、部屋全体を暖められます。
業界初の自動消火タイマー付き。3時間、5時間、8時間ごとに消化時間が設定できるため、消し忘れて寝てしまう方には非常に便利です。「耐震自動消火装置」も搭載されているので、安全面は優秀。
幅40cmのスリムなボディで、どこにでも置きやすいのも魅力です。反射式でもおしゃれなモデルが欲しい方におすすめの一台。
サイズ | 345×327×496mm |
重さ | 7.6kg |
タンク容量 | 4.4L |
適応畳数(コンクリート/木造) | 10畳/8畳 |
燃焼時間(h) | – |
利用する際の注意点
「石油ストーブを利用するにあたっては、一酸化炭素中毒を避けるため、こまめに空気の入れ替えをしてください。グランドシートを敷かずに床の方から空気の入れ替えをしたり、こまめにテントを開けたりしてくださいね」
テントで石油ストーブ使用する際は、一酸化炭素警報器を置いて、しっかりと安全対策をしてください。また、灯油を満タンの状態にして、車で持ち運びをするのは危険ですので、避けるべきでしょう。
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