スズキタクロウタ

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10年という月日が経つと、いま住んでいる部屋も、立場や環境も大きく変わってきます。ただ、たとえ環境が変わっても「これだけはずっと持っていたい」というモノが、ひとつはある……。

そこで、さまざまなジャンルで活躍する方々に「10年後も手放さない」思い入れのあるモノを、31×34.5cmという限りのある『ROOMIE BOX』の中に詰め込んでもらいました。

なぜ、「10年後も持っている」と考えるのか―――。大切に持ち続けるモノについて語る姿から、その人の暮らしが徐々に見えてきます。

アーティスト TENDRE

TENDREさん
河原太朗のソロ・プロジェクト。2017年12月にTENDRE名義での6曲入りデビューEP「Red Focus」をリリース。2018年10月には、tofubeatsによるリミックスも話題となった配信限定シングル「RIDE」を含む1stアルバム「NOT IN ALMIGHTY」をリリース。2019年はARABAKI ROCK FEST、VIVA LA ROCK、GREENROOM FESTIVAL、FUJI ROCK FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SWEET LOVE SHOWER、COUNTDOWN JAPANなど国内の主要フェスにも軒並み出演を果たした他、同年6月に開催された東名阪のワンマン・ツアーは追加公演を含む全公演がソールドアウト。続く新作「IN SIGHT – EP」のリリース・ツアーも同じく追加公演を含む全公演がソールドアウトを記録。Charaや堀込泰行、三浦透子といったアーティストへの楽曲提供・プロデュース、SIRUPや日本でも人気を集めるオランダのSSW|BENNY SINGSとのコラボレーションなどを行う他、J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」では別所哲也氏の代打としてナビゲーターを務めるなど、その活動は多岐に渡る。

Instagram:@tanaakin

TENDREさん

10年後も手放さないモノ

ポラロイドカメラで撮影した、なんでもない写真

TENDREさん

右側の写真は「レーベルのボスと撮った謎のツーショット」なのだそう

ある企画に出演したときいただいたポラロイドカメラで、ちょこちょこ写真を撮るようにしています。いまの時代、写真はスマホに全部収まるじゃないですか。僕も昔はフィルムカメラとかちょこちょこやってたんですけど、最近はあまり触れてないなぁというタイミングで、ちょうどそんな企画があって。

ポラロイドカメラって、「スマホで撮る」「写真を現像する」この2つの狭間みたいな感覚があって。すぐに写真が出てくるけど、ちょっと時間がかかる。その絶妙な感じがすごくおもしろいなと思っています。

常にカメラを持ち歩いているわけではありませんが……それこそスマホで撮っちゃうときもあるし。でも旅行やイベントへ行ったり、ここぞってときに持って行きます。

TENDREさん

昨年はたくさん使いました。これはワンマンライブのときの写真ですが、図らずも自分の誕生日に開催されて。その日、身近なスタッフに人生で初めて大掛かりなサプライズがありました。

サプライズだし、なんかもう、それだけでおもろいじゃないですか(笑)。これはどうしても残しておきたかったんです。一緒にバンドをやってる人だったり、スタッフ含め、ここには信頼できる人しか写ってないので。

収めておきたいものは、ここにすごい詰まってると思います。収めておきたいというか、自分の思い出としてちゃんと留めておきたい。写真はこういう「モノとして残せる」のがいいですよね。

TENDREさん

他には地元の公園とか……他愛もない写真ばかり撮っていますね。そういうのが意外と楽しい。地元も別に遠くはないけど、そんなにしょっちゅう行けるものでもないので。「何気なく窓の外を眺めるぐらいの感覚」というか。

こういう景色があったということを、人が写ってるもの・写ってないもの含めて思い出します。

子供の写真を入れたりする、分厚いアルバムがあるじゃないですか。ああいうモノもずっと残してあることにはすごい意味があるだろうし。自分はそういう大きな冊子を作ろうと思っているわけじゃないけど、一枚一枚なんとなく気に入ったものが増えていけばまとめるかもしれないですね。

TENDREさん

自宅の棚に何気なく置いたり、壁にテープで貼ったり、思い出したときに見ることが多くて。今日は持ってきていませんが、実は、無駄にでかい額縁に一枚だけ飾ってる写真もあります

今年の1月、北海道へ一人旅したとき泊まったコテージが、ひと気の少ない、しんしんと雪が降り積もる音しかないような場所だったんですよね。そこで撮影した一枚です。

自分の中で、一番うまく撮れた写真なんです。“これは覚えておきたい景色”として、うまく写真に収めることができました。写真自体は、シンプルな雪景色。でもこんなに白い景色は見たことないほど、水平線の奥まで雪が積もってるような景色だったんです。

そういう、なんとなく印象深いものを残しておくようにしてます。やっぱりいろいろ撮ってみると、どの写真も捨てられないですよ。

初EPのジャケット制作時に生まれた“失敗作”

TENDREさん

2017年に初めて出したEP『Red Focus』。そのジャケットの撮影で使ったプラバンです。厳密に言えばプロトタイプみたいな感じなんですけど。

デザインに関わってくれていたかつみ君の事務所で、他のグラフィックデザイナーの方がおもちゃ買ってきたと言っていて。何買ったんですか? って聞いたら、「レーザーカッターを買ったんだよね」って。見たら結構デカいプリンターみたいなものがあって(笑)。そのまま「やろうぜ」って。僕、ちょうどこのとき、ジャケットの写真は何がいいかなと考えて始めていたんです。

TENDREさん

このイラストは、norahiっていうすごく仲のいいイラストレーターが描いてくれました。それをデータ化して、たまたま事務所にあった赤いプラバンでやってみたんですけど……言うなれば失敗版なんですよね

本当は顔の部分を全部くり抜く予定だったので。失敗したからこれは捨てようかって話していたけど、僕が貰ってきたんです。実際にジャケットに使用した正規版のモノは、かつみ君の事務所に飾ってあるんです。

でも、失敗したものって逆に一生手に入らないと思うんです。「TENDRE」というアーティストを始める上で、大切にしていたこととして、実験的な意味合いというか、いい意味での遊びというか。やっぱりアイデアっていうのは遊びながら作っていくもんだっていうのを、強く実感できたと思いましたね。

生業としてる「TENDRE」の根源に当たるものが、こういうものなのかなぁと感じています。

TENDREさん

いま僕は3年目で、この短い期間でも昔と今とではアイデアが違うし、今後は自分の感覚がさらに変わっていくかもしれない。『Red Focus』のときって、感覚的に何かをすごく主張したいというよりは、まずは自画像をモチーフにして、最初から顔を晒していきますよっていうなんとなくの意味合いしかなくて。

『Red Focus』ってタイトルも、当初そんなに深い意味はなかったんですよ。「赤色」の服だって、基本的にあんまり選ばない人間だったので。でも、逆にそういう避けていたところに目を向けるって、自分の感覚を変える上で大事だなぁと。

元々パキッとした色はあんま好んでは選んでなかったので、そういうものを見ることで、自分が見えてくる。それを見つけるために、あえての「赤」ってこともありましたね。

TENDREさん

その次に(ジャケット用に)作った銅像も、時間なくて。顔の前面は立派にできたんですけど、後頭部はぐっちゃぐちゃなんです(笑)。でも、それもまたいいなあと。しかもタイトルが『NOT IN ALMIGHTY』っていう、不完全の肯定といったテーマだったので、別に完成してるものなど、そもそも世の中にないというか。油絵などもそうじゃないですか。つけ足そうとすればするほど、いくらでもやれる。

音楽も、ふざけて録った歌のパートが実は1番よかったり、そういうことがたくさんあって。そこで「失敗した」と決めつけちゃうよりは、1つのアイデアとして残しておいたほうが、後々のクリエイションにおいては開き直ったり、立ち戻れたりするので役立つと思います。その失敗を見ることで、いろいろ思い返せますからね。

TENDREさん

家具などのモノ選びなどもそうだと思います。のっけからちゃんとしたもの買った方がいいとか悪いってことよりも、買ったら買ったでいいやって思える範囲のものを自分に取り入れる、みたいな。ある種、開き直りが大事だと思っています。

「判断は柔軟に」ってことですよね。何に対してもそう。人に対しても、あいつは○○だから絶対に近寄らないは、違うと思うし。みんな考え方は違って当たり前だから。肌が何色でも、どこか1つでも心を通わせられる部分があるなら、ちょっとずつ、ゆっくり探していけるかなとか。そういう感じで生きてます。

アーティスト・TENDREさんの10年後

TENDREさん

10年後、僕は42歳になってるんですね。立派な大人になって……まあ、「大人」っていう基準もよく分からないんですけど(笑)。でも、あんまり変わってないんじゃないかと思いますね、ライフスタイル的には。

大きい家に住めたらいいなぁとか思いますけど、別に豪遊とか考えてるわけでもないし。自分の今のルーティンを作れてると思うので。10年後からしたら、今現在のルーティンが根源になっているのだろうと。また違う形になってるかもしれないですけど、考え方は別に変わらないだろうし

強いて言えば、「田舎に暮らしたい」とは思います。田舎というか、“湖畔に住みたい”っていうのはずっと言っていて。氣がよさそうというか……静かなところはいいなって。

意外と10年後って、あっという間ですからね。たぶん10年後にはどこかの湖畔に家建てるだとか、スタジオを作るとか、そういう展望がちゃんと見えてたらいいな

そこまでにもし寿命が縮むことがあればもうちょい急いでいることもあるかもしれないけど。そういう展望が、ちゃんと見えてたらラッキーだなと。あとは、自分が好きな人たちと、おいしいご飯をずっと食べられてたらいいですね。

12月28日は素敵な夜になる予感しかしないオンラインライブ「KEEP WALKING 200 YEARS SPECIAL LIVE supported by J-WAVE」を開催

2020年はいろいろあった1年でしたが、終わり良ければすべてよし。ということで、12月28日(月)20時より、ジョニーウォーカー主催のオンラインライブ「KEEP WALKING 200 YEARS SPECIAL LIVE supported by J-WAVE」を開催します。
出演者はメインアクトのKREVAさんをはじめ、インタビューさせていただいたTENDREさん、ALIさんなどの豪華キャストに加えて、Nulbarichさんも追加出演決定!
無料のライブイベントですので、ぜひご覧ください。

ジョニーウォーカー
「KEEP WALKING 200 YEARS SPECIAL LIVE supported by J-WAVE」
日時:12月28日(月)20時~
料金:無料
配信先:YouTube J-WAVE CHANNEL

Photographed by Kaoru Mochida

スズキタクロウタ

スズキタクロウタ

ROOMIE編集部員。平成元年生まれ、都内でゆったり暮らしています。

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さまざまなジャンルで活躍する方々が「10年後も手放さない」思い入れのあるモノをご紹介。大切に持ち続けるモノについて語る姿から、その人の暮らしが徐々に見えてきます。

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