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うだるような残暑が続き、まだまだ熱中症と夏バテ対策には気が抜けません。そこで取り入れたいのが、江戸時代から夏場に好んで飲まれ、点滴に匹敵する効能をもつという「甘酒」です。

日本の調味料研究の第一人者である東京農業大学応用生物科学部醸造科学科の前橋健二(まえはし・けんじ )教授によると、甘酒には2種類あり、疲れたときに頼るべきは「糀(こうじ)甘酒」とのこと。「糀甘酒」の特徴や、ダイエットにも役立つという絶妙な栄養バランスについて、『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』(アスコム)からご紹介します。

熱中症予防、疲労回復、便秘改善、美肌にも「糀甘酒」

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甘酒というと寒い時期に飲むもの、お正月に神社でふるまわれるもの、といったイメージがあるかもしれません。しかし、俳句の世界で「甘酒」は夏の季語。体力の減退を抑え、暑さに耐える体をつくるために、昔から好んで飲まれていた栄養ドリンクでした。

東京農業大学で発酵食品の研究に携わる前橋教授は、そんな「甘酒」の健康パワーにおおいに注目。ただ飲むだけではなく、甘酒を砂糖がわりの発酵甘味料として食生活に取り入れることで、疲れがとれ、肌がきれいになり、便秘が改善され、免疫機能がアップするなど、さまざまなメリットが得られると語ります。

「糀甘酒」と「酒粕甘酒」の違いとは?

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本書のなかで、前橋教授は単なる「甘酒」ではなく、「糀(こうじ)甘酒」という言葉を使っています。それは、「酒粕(さけかす)甘酒」という異なる種類の甘酒があるからです。

「糀甘酒」は、米こうじに炊いたご飯と水を混ぜて発酵させたもの。発酵の過程でうまみが増し、自然のやさしい甘みが備わります。誤解されがちですが、「酒」といってもアルコールは0%。お酒が飲めない人や子どもも安心して口にすることができます。

これに対して「酒粕甘酒」は、日本酒を製造する過程で派生する酒粕を水で溶き、砂糖を加えて甘みをつけたもの。1%未満と微量ながらアルコールを含み、香りにも少しクセがあります。

甘酒のクセが苦手という方は、ぜひ酒粕甘酒ではなく糀甘酒を試してみてください。糀甘酒の甘みは、こうじが発酵する際に生まれるブドウ糖がもとになっています。天然の甘みなので、くどさやしつこさがなく、味わいはマイルド。砂糖の代わりに調味料として使えば、糖質をなんと約80%も下げることができるのだそう。

疲れたとき頼りたいのは「糀甘酒」

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糀甘酒の長所はたくさんありますが、とくに差があるのが、疲労回復に関してです。

一方の酒粕甘酒は、あとから加える砂糖によって甘みを持たせています。

ブドウ糖は砂糖の成分であるショ糖に比べて分子構造がシンプルで、分解されることなく速やかに脳にとり込まれるのが特徴。砂糖は分解される過程が必要なぶん、脳に届くのが遅れてしまいます。つまり、即効性という点においても、明らかに「糀甘酒」に軍配が上がるのです。

(『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』41ページより引用)

糀甘酒の即効性は、甘酒好きなら覚えがあるはず。とくに効き目を感じるのが、猛暑の日中の帰宅後や、労働のあとです。疲れていて、小腹もすいて、なんとなくフラフラする……そんなときに糀甘酒を飲むと、体に吸い込まれるように染み渡り「元気になった!」という感じがします。その秘密は、ブドウ糖の分子構造にあったんですね。

ついた別名は「飲む点滴」

それだけではありません。糀甘酒は栄養価が非常に高く、必須アミノ酸、ビタミンB群、ブドウ糖、オリゴ糖、食物繊維など、体によい栄養素を350種類以上も含んでいます。糀甘酒が「飲む点滴」と呼ばれるのは、医療現場で実際に使用される点滴に匹敵する栄養価と即効力があるからです。

「飲む点滴」を構成する成分のなかでも、ビタミンB群の働きは優秀だと前橋教授。ビタミンB1は糖の代謝を促すので、豊富な糖とビタミンB1がセットで摂れる糀甘酒は理想的なのです。

中性脂肪とサヨナラ!? 驚異の脂肪燃焼力

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さらにうれしいのは、ダイエットにもメリットがあるというところです。

「糀甘酒」はペプチドを含みますが、米タンパク質からできるペプチドには、肥満抑制につながる効果があることが示唆されています。

さらに、マルコメによる研究で、こうじに含まれる成分が中性脂肪を燃焼させる働きがあることが示唆されており、月桂冠によるマウスを使った実験でも、脂肪組織の増加が抑制され、血清中性脂肪が減ったという報告もなされています。甘酒を与えられたマウスの体重が減ったのです。

(『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』43ページより引用)

ダイエット中はスイーツが欲しくなりますが、糀甘酒があればちょっと安心。食物繊維やアミノ酸、ビタミン類を一緒に摂ることができ、中性脂肪まで減らせるかもしれないとなれば、罪悪感なく自然な甘味を補給できそうですね。

本書の後半では、料理家のあまこようこさんによる「糀甘酒」を使ったレシピが50種類以上も紹介されています。試しに照り焼きチキンを作ってみたところ、糀甘酒2:しょうゆ1のバランスで味がぴたりと決まり、ジューシーさが増して照り感もばっちり。砂糖よりも溶けやすいので、調理も手早くできました。

夏バテ対策にもダイエットにも役立つ「糀甘酒」、今後の常備食材になりそうです。

甘酒レシピをチェック!

砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案

image via Shutterstock 、Photo by Getty Images

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