いずみかな

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人と製品をつなげるやさしいムードが特徴の家電ブランド「Kamome」。扇風機や調理家電など人の生活に寄り添うような、いわゆる白物家電を中心にラインナップしています。

キーワードは「愛着」「話しかけたくなる家電」。

名前をつけてあげたくなる、つい声をかけてしまう……といった、共に過ごすほど愛しくなるような「人と家電の関係性」を考えたものづくり。

そんなものづくりに至るまでの経緯や、「なんだかいい感じ」の秘密に迫るべく、ブランディングのキーパーソンにお話をうかがいました。

今回お話をうかがったのは株式会社ドウシシャで「Kamome」を手がけるブランドマネージャー、有末航太朗さん。それぞれのアイテムやブランドのメッセージについて聞いてみました。

「好きなもの」に家電を挙げる人は少ないけれど

—— まず「愛着家電」や「話しかけたくなる家電」といったコンセプトが誕生した経緯をお聞かせください。

「例えば、だれかに『好きなものはなんですか?』と聞いて、家電が挙がることって少ないと思うんです。特に冷蔵庫や扇風機といった『白物家電』と呼ばれるものを挙げることは、ほとんどないと思う。白物家電ほど生活に欠かせないアイテムってないんですけどね。

そんなことを考えているときに、ロボット掃除機や冷蔵庫に名前をつけている人たちをテレビやSNSで見かけました。

そこで、もしかすると『好きなもの』には挙げられづらい家電も、『生活に必要なもの』として擬人化をすることで、もっと身近に感じてもらえるのでは……と考えたのが最初でした」

高級路線として始まったKamomefanプロジェクト

—— それまでのコンセプトとはどのように違ったのですか?

Kamomefan リビングファン

「そもそも、Kamomeのブランド名は扇風機の『Kamomefan』というアイテムからとっているんです。2015年ごろまで、Kamomefanは高級感と技術力を全面に出すようなブランド展開をしていました。社内では『贅沢家電』なんて呼んでいましたね。

ただ、技術ってだんだん追いつかれるもの。プロダクトのデザインやスペックだけで売れる時代ではなくなっているんだな、その先が必要なんだな……と感じるようになっていました。そこで、2017年ごろから、だんだん今のコンセプトに近くなっていったんです。

2018年の秋ごろには、Kamomefanを含む、世界観を同じくするプロダクトを集めて、現在のKamomeというブランドに統一しました」

Kamomefan F series

—— Kamomefanについて詳しく教えてください。

「岡山県にある、世界トップシェアの船舶用プロペラメーカー『ナカシマプロペラ』に開発を依頼し完成した特殊な羽根がポイントの扇風機です。

自然界の生物の特徴や構造を模倣し新技術を開発する、バイオミミクリー(生態模倣学)という手法を用いて設計されました。スーパーコンピューターを使って、負荷を抑えて効率的に大陸間を移動する渡り鳥であるカモメの羽の形状を落とし込むことで、柔らかくて心地よい風を実現しています。音の静かさも大きな特徴です。

ユーザーの方たちの中には、『かもめちゃん』と親しみを込めて呼んでくれている方もいて。ここでも、家電への愛着のようなものが育っているのを感じました。

確かに扇風機の形状って、ファンの部分が顔に見えてちょっと生き物っぽいし、常に人の近くで動いている。これって愛着が生まれやすい特徴ですよね」

Kamomeブランドらしさとは? ファミリーの団らんをもっと笑顔に

—— ほかにKamomeでは、どのようなプロダクトを展開していますか?

「現在ラインナップには、扇風機のほかに、グリルパン、加湿器、ヒーターがあります。どのプロダクトも共働き家庭の限られた時間を豊かにしたいということは常に考えていて。ファミリーに向けたものづくりを心がけています。

自分の中で仮説として『愛着を育てるためにはたくさん触ってもらうことが必要』だと思っているので、そのためのデザインについても考えています」

—— それぞれの製品のKamomeらしさはどういった部分にあるのか教えてください。

グリルパンは、週7日使えること、料理におけるストレスを減らすこと、というコンセプトから考えました。まず、これ一台で下ごしらえからすべてまかなえるので、ひと鍋料理ができ洗いものが少なくなります。そして、厚手のアルミダイキャスト製で保温性があることによって、炊きあがったお米や料理が冷めないようにしています。とにかく、料理におけるストレスを減らしたかったんです。

自分の経験でもあるんですが、おかわりをするときって、お母さんでも自分自身でも、だれかが必ず一度席を立たなきゃいけないですよね。それって、小さいけどストレスになりうる。だから、グリルパンはそのまま食卓に置けるデザインなんです。

そして、いま毎月10日と20日にホームページinstagramでオリジナルレシピも公開しています。グリルパンを使おう、作ろうと思うハードルを低くできるように意識しています。それこそ『お父さんに作ってほしい』と題したものがあるぐらいです」

「次に加湿器。加湿器は、どちらかといえば乾燥をより気にされる女性向けの家電です。いろいろなデザインのものがありますが、女性らしさ、かわいさの表現手法なのか、丸っこいものが多いように感じていました。

でも、丸いものは無駄なスペースが多くて、部屋に設置するときに効率が悪いんです。だからスクエア型のデザインを採用し設置効率を高めることを目指しました。簡単にいえば、ちょっとしたスペースに置けるということですね」

「そこで、パッと見たら普通の四角形でも、蒸気が出る部分を煙突のようにしたり、脚をつけたりと細かく調整しています。スイッチ部分もあえてダイヤルタイプにするなど、ちょっとレトロなイメージもあって、海外からの問い合わせも多いアイテムです。

そして、小さいお子さんがいるご家庭にオススメなのが、水タンクの素材にSIAAという抗菌の基準を満たしたものを使用していることです。他のものと比較して、細菌の増殖割合が99%以上カットできます」

ヒーターは、お風呂と脱衣所の温度差によって起こるヒートショックや、そこまでではなくてもお風呂上がりのヒヤッとするいやな瞬間をなくせないかと考えたアイテムです。

基本は壁にかけて使っていただく想定です。専用の部品を使って簡単に壁掛けができます。薄さがわずか9.5cmなので、邪魔になることもありません。また床置きと違って、お子さんが触ったり引っ掛けたりという心配もありません。

人感センサーもついているので通りかかると自動でついてくれるし、送風モードもあって夏場は涼しさも得られます。

使用ケースがかなりピンポイントなアイテムなので、ほかの商品と比べるとちょっと特殊かもしれません。だけどこれもファミリーでの暮らしのストレスをなくしていくためのプロダクトです」

—— Kamomeの製品には、スイッチのオン/オフ時にカモメの鳴き声がするものがありますね?

「いまは、扇風機とヒーターにその機能をつけています。今後の展開商品にもつけていく予定です。せっかく愛着を持ってもらえる家電をつくっているのに、単純な『ピー』という音では味気ない。家族からの挨拶のイメージで、カモメの鳴き声を採用しています。

オン/オフのときだけなので、そんなに頻繁ではないですし、かわいい、リラックスできるという声もいただいています。

カモメって映画や歌の題材になっていたり、海外でも親しまれていたりします。私たちの製品にとっても、思っていた以上に重要なファクターになっていますね」

「ストレスをキャンセルする」暮らしについて

—— ROOMIEが目指す方向性の一つに「ストレスをキャンセルする」というものがあります。Kamomeブランドの製品と親和性が高いと感じていますが、いかがでしょうか?

「最初にその方向性を聞いたときに、ブランドを通じて表現したいと考えていたこととまさにピッタリだと思いました。

Kamomeは現在ファミリー層に向けて展開していますが、例えば、夜ゆっくりと眠りたいとか、家族の団らんの時間を大切にしたいとか。共働き世帯が増えている中で、ファミリーが求めることって、立場によっても生活スタイルによっても、いろいろあると思います。

Kamomeのプロダクトは、そういう人の願いに寄り添うことができるんじゃないかと考えています。

例えば、扇風機という家電は1年の半分も活躍しないし、あまり『愛着が湧かない』家電の一つです。だけど、そういう部分に、ちょっとでもかわいいなって思ってもらえたら」

今後のKamomeが目指すところ

—— 今後、Kamomeが目指す、人と家電の関係を教えてください。

「実は、今日お話ししたキッチンのシーンというのは、自分自身の子どものころの経験なんです。一人親だったのもあり、たまに一緒にごはんが食べられるのがうれしい時間でした。

なのに、おかわりのために席を立ったり、母親が一人で台所に立っていたりする時間があると、それが親にとってのストレスになってしまう。そして同時に、それは子どもにとってもストレスになると思うんです。

そんなストレスの連鎖をキャンセルしたいですね。きっとお子さんがいる親のほぼ全員が、たった一つ大切なものを聞いたら『子ども』って答えると思うんです。

なので、これまで通り、購入していただく世代の方へのアプローチは続けながら、デジタルネイティブ世代の子どもたちにも訴求していきたいです。

それこそ子どもにとって、『ライナスの毛布』(編注:スヌーピーのマンガに出てくるライナスは、いつも毛布を肌身離さず持っているのです)みたいな、よりどころになるようなものがつくれたらうれしいですね。

実際、自分も実家に帰ると、親と『扇風機、まだそれ使ってるの?』なんていう会話がある。もちろんリビングや寝室ではKamomefanを使ってるんですけど。ずっと長く愛着を持って使ってもらえることで、人と家電だけでなく、人同士の関係性もつなげる家電であればいいなと思っています」

愛着のある家電との暮らしを楽しむファミリー像が浮かぶ

Kamomeのプロダクト、そしてブランドが目指すものについてうかがったインタビュー。

共働き世帯が増える中で、生活の些細な部分のストレスが気になる家庭も多いはず。そのストレスをキャンセルし、愛着のある家電との暮らしを楽しむ、そんなファミリー像が浮かびました。

またファミリー世帯だけではなく、コンパクトでどんなインテリアにもなじむデザインは、シングルや二人暮らし世帯にもオススメしたいと思えるものばかり。使い方のシーンをもっと知りたくなりました。

今回のインタビューはKamomeのプロダクトを知るための第1弾! 今後Kamomeの製品を取り入れたファミリーにお話をうかがっていきます。

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Kamome

Photographed by Hiroki Obara

いずみかな

育児雑誌の編集から始まり、ライター・編集者として10年。大きく言うと“暮らし”について書いています。三十路を超えても七転八倒。少女漫画への愛は一生。最近はカレー作りに傾倒中。

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