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お祭りで金魚を連れ帰ってしまったらどうしてあげれば良いのか、大体わかりますね。

では、突然「盆栽」を連れ帰ったらどうしましょう?

そうです、盆栽とは、ある日突然連れ帰ってしまうものなのです。

お店で目が合ってしまい運命的に出会った、友人からプレゼントされた、田舎の祖父の形見などなどなど……。

こんな小さくて可愛い樹は、連れて帰りたくなりますよね。二度と出会えないかもしれないし

しかし、そのあとのケアや手入れのやり方はなかなか教わるものではありません。

最初の出会いを残念なものにしないために、まずは環境を整えてあげましょう。

もちろん盆栽は生き物です

元気じゃないと、美しく見えないものですよ。

盆栽は、水と日光と外気が大好きです。

室内に置けるのは、3日が限度です

ベランダや出窓で、日光と外気にあててあげてください。

水やりがポイント

樹木がお互いの環境となり、快適な森を作る。

盆栽が枯れる原因は、ほぼ100%水切れです、鉢土の表面が乾いたらたっぷり水をかけます。

水のやりすぎで枯れてしまうケースは数ヶ月かかりますので、表面が乾いてない状態で水をかけても大丈夫ですよ。

最初の1鉢は専用の置き場がなかったり、水をかける習慣がないなど、特に枯らしやすいです

安価な草花や盆栽素材で良いので、3鉢ほどの仲間を用意して、森のような置き場所を作りましょう

1鉢の盆栽を世話するのではなく、あなたのベランダに森を作ってあげるイメージです。

そして、自分だけの森の環境をコントロールする感じですね。(うーん、神の目線!)

森の土壌を作ろう

ケースのフタとして売っていました。似たものならOKです。

森の作り方もとっても簡単。100均で写真のようなトレーを購入し、端の方に穴を2つ開けます。

トレーの深さは、5mm程度の浅いものにしてください。

植物の根は、空気も大好きです

水に直接鉢を浸けてしまうと(腰水と言います)、根を傷めてしまいます。 

同じく100均で購入した小さなカーペット生地を、トレーに合わせてカットして敷きます。

カーペット生地が、湿った状態を保つ森の土壌になります。

カーペット生地でなく、土を入れる方法もあります

桐生砂、矢作砂などの硬い砂がオススメです。

トレーをベランダの日の当たる場所に置いて、盆栽を乗せたら森の完成

1つ200円のミニマムな森。

森に雨を降らせる

写真写りを気にした豪雨。もっと優しい雨が良い。

水をかけて盆栽も土壌も、びちゃびちゃにしましょう

カーペットや砂が、ゆっくりと乾いていく。樹に優しい環境です。

盆栽の土の表面が、何時間で乾くかを観察していきましょう。

季節、天候、鉢の容積、樹種、樹の状態など、たくさんの因子があるので、何回か試してください。

答えを得ると言うよりも、要因による変化とそのコントロールに慣れることです

乾きにくければ、穴を増やします。

乾きやすい場合は穴を塞ぐ、砂の量を増やす、鉢を少し砂に埋める、風が当たらない場所に移動するなど、工夫をしましょう。

この調整を通して、2日に1回の水やりで済むトレーと、1日に1回の水やりで済むトレーを作ってみましょう

あなたの環境は他所にはないものなので、その環境に則した水の管理を確立することが大切です。

自動潅水もオススメ

水かけの時間と量をタイマーで設定します。調整は大変ですが効果絶大。

今やロボットがレタスを生産をしている時代ですし、自動潅水もオススメですね。

水かけから解放されると、盆栽との向き合い方が変わり盆栽のアートの部分に集中できます

ベランダに水道栓があれば1万円台で設置できますよ。

快適な環境を工夫する

断崖に生息するゴヨウマツは、ワイヤーハンガーでフェンスに付ける。似た環境を作る。

家にいる時には乾きやすいトレーで管理して、小まめに水をかけてあげましょう。(日本の樹木は、水はけの良い土壌で多雨が良い。)

水かけの前後で、樹を観察してあげてください。葉の緑色が薄くなった時は、「日当たりが強すぎる」という合図です。

大事なことは全て盆栽自身が教えてくれます、耳を傾けてみましょう

素材はギュッと集める。乾きやすいものは中心部に置くと良い。

それでも、最初の盆栽は枯れる時もあることでしょう

しかし、あなたの森で元気に育っている樹や草があるはずです

それらの元気な植物のプロフィールを調べてみて、同様の環境を好む樹種を増やしてみましょう。

例えば、春夏に1日3時間以上日が当たらないところでは、マツは元気に育ちません。

植物用のLEDライトで日照を補うことも可能ですが、弱い日照を好むモミジなどを育てるのはいかがでしょう。

日照、風、温度など、多くの因子が、環境と植生を多様なものにしています。

あなたの森を理解して、適した樹種を探してみましょう。

手頃な素材で楽しめる草盆栽もあります。ワタスゲを石に植えて湿地の浮島風に。

最初の盆栽を枯らさないための環境作りの話でした。

これで、いつでも盆栽を連れ帰れます。

盆栽であなたの生活がより豊かになりますように…… あっ、盆栽の話にたどり着きませんでしたね。

大きくしないで持ち込む技術や、盆栽のアート性とどう向き合うのかは、またの機会に。

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