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就職、転職……新生活をはじめることになった場合、どんなお部屋に住みたいですか

今回ROOMIE編集部が訪れたのは、東京・代官山のサロンアイリストとして活躍する神山エリカさんのお部屋。

神山さんは、去年の10月から、東京でのひとり暮らしをスタート。同時に、美容師のアシスタントを卒業し、アイリストとしてデビューしたそうです。

住む場所も仕事内容も変化し、新生活がはじまって約半年

そんなはじめてだらけの環境で奮闘する神山さんが帰宅後、思いっきり寛ぐために作った空間には、忙しい日々をゆったり生きるアイディアが詰まっていました。

名前:神山恵里花(神山エリカ)
職業:アイリスト
場所:元住吉
面積:25m²
築年数:約20年
家賃:6万4千円

4月もはじめ。残り桜が散るのを肩に受け止めながら、駅からつづく商店街の喧騒を抜け、ご自宅のピンポンを押しました。

お気に入りの場所

ホームパーティの寛ぎタイムに最適な大きなソファ

LIVING HOUSE 廃盤モデルの2人がけソファ

「私は埼玉出身なんですが、去年の10月に大阪から東京に転勤が決まり、はじめて、東京でのひとり暮らしを始めることになりました。

もともと友人を家に呼んでもてなして遊ぶのが好きだったんですが、東京には昔からの友人が多くいるので、頻繁に呼べるようになるなと。

それで、家に来てもらった友人に、床よりも寛いでもらえる、大きなソファが欲しかったんです」

「背面を壁につけずに使いたかったので、背面のデザイン性が高いものを探しました。

価格は15~16万くらい。家の中では一番高い買い物でした(笑)」

2年ほどして引っ越す可能性も考えると、大きな家具は捨てられないため、多少予算は超えても、モノ持ちがいい丈夫なソファが欲しかったという神山さん。

職場から帰宅後、深夜2時くらいまで、このソファでなんだかんだとぼーっと寛ぐ時間が癒しになっているのだそうです。

自分の体をちゃんと労わる。自炊が楽しくなるキッチン

21歳のときに1回と、アシスタント時代に1回体調を崩してから、健康についてちゃんと考えるようになりました。

自分の体のことは、誰より自分が労わらないといけないんだと。それが空間づくりにも、食生活にも影響していると思います」

1人暮らしに多いコンパクトキッチンではなく、ちゃんと広さのあるキッチンで料理ができること。それが、自分を労わる暮らしで譲れない点だったと言う神山さん。

職場にいる時間が長い神山さんは、朝や帰宅後は手早く出来るものを作ったり、凝ったものはおやすみの日にまとめて作るようにして、無理のない自炊ライフを楽しんでいるそうです。

この部屋に決めた理由

大阪時代に通勤で使っていたという自転車は、今はディスプレイに

7畳以上あって、キッチンが広い場所というのが、住みたい家の条件でした。

引っ越すのに、とにかく時間がなくて、3~4軒しか見ることができなかったのですが、ここなら職場まで一本で行けて、治安も良いので。タイミングも合ったので急いで決めちゃいました」

残念なところ

大きすぎる電灯

「ここが本当にイヤ!(笑)」と、すぐに教えてくださったのがこちら。

統一された空間に浮かぶ大きすぎる丸い電灯に違和感たっぷり。

なんかはみ出てる…

そして、そのそばにも、インターホンのディスプレイがはみ出していますね……。

「急いでるときにぶつけると、もうっ! てなるし、痛いんです」

お気に入りのアイテム

乗せたい料理が浮かんで購入した器たち

食器が好きだと言う神山さんに、特にお気に入りの3枚を教えてもらいました。

ひとつは明るいペールブルーが爽やかな「HAY」のお皿。

最近健康のために、朝にフルーツを食べることにしているそうですが、このお皿は、フルーツやパンをそのまま乗せるのにぴったり。

残りの2枚は、毎年ゴールデンウィーク期間中に茨城県笠間市で開催される陶炎祭(ひまつり)で購入したモノ。

陶炎祭は、200軒以上の陶芸家・窯元・地元販売店が、立ち並ぶ陶器の祭典です。

茶色のお皿は洋食和食どちらにも使え、色が濃い方のお皿は、和食を盛り付けるのに最適なのだとか。

「お皿を買うときに、何を盛り付けたら似合うか想像するんです。

そして、買った後は、これを乗せたい! と思ったものを作られずにはいられないんですよね」

自炊のモチベーションアップに、料理欲を高めるお気に入りの器を購入するのは、一人暮らしの賢い手法かもしれません。

IHにもガスにも対応する野田琺瑯

もう使って長いと紹介くださったのは、ROOMIEでもおなじみの野田琺瑯のポット

保温性に優れるだけでなく、IHで使えないポットが多いなか、IHにもガスにも対応できて便利なのだとか。

暮らしのアイデア

緑を飾って、落ち着く空間づくりを

「もともと実家が山に囲まれていたこともあって、部屋に緑がないと落ち着かないんです」

そう話す神山さんの自宅には、いたるところに植物が。

特にROOMIEスタッフ全員が興味を持ったのが、こちらの「生け花スペース」

ドライフラワーや駅前の「青山フラワーマーケット」などで購入した花を、形や大きさの異なる花瓶に感覚で刺し、バランスを取るのが好きなのだそうです。

「前にチューリップを刺した時に、壁が寂しく感じたので、絵を壁面に貼りました

だから花が変われば、壁面のディスプレイが変わることも……常に更新中な場所なんです(笑)」

他にも、以前ROOMIEでも取材した植物店勤務の田中陸さんに、完全お任せでつくってもらったという可愛いらしいサボテンや、

IKEAで購入したという大きなモンステラも。

「購入した時は3~4枚の葉だったのに、2年でどんどん大きくなってしまって(笑)」

147cmの神山さんが「意外に軽いんですよ~」と持ち上げると、何かデジャヴな感覚……。

あ! この画は、マンガ『ハチミツとクローバー』のコロボックルそっくり……。そう口にすると、神山さんも少女のようにくすぐったそうに笑ってくれました。

なんとも微笑ましく、取材班が和んでしまった瞬間なのでした……。

雑誌の切り抜きをディスプレイに

他にも、部屋に入って最初に目にはいったのが、壁を飾るポストカードたち

……と思いきや、ほとんどが雑誌の切り抜きや、そのコラージュなのだとか。

友だちが誕生日にくれたというユニークなコラージュ

「足を運んだ美術展写真展のフライヤーなども、可愛いのがあれば持ち帰ります」

独特な個性を感じる、マネのできないお部屋のように感じますが、実は神山さんのお部屋、ほとんどが無印IKEAの家具なのだといいます。

ベーシックで手ごろな価格のインテリアで揃えた部屋も、そこにアイデアやセンスをプラスすれば、他にはない個性を感じさせる部屋になる好例だと感じました。

本の背表紙や、調味料のパッケージはストイックに剥がす

リビングにある本の背表紙や、台所にある調味料等のパッケージは全部剥がしたり、統一感のある容器に移し替えたりと、徹底している神山さん。

生活感を消して、不要な色を増やさないことで空間に統一感を出す。今すぐに始められる、簡単で便利な暮らしのアイデアですね。

収納ボックスや棚は追加購入しない

「服はクローゼットに入る分だけ。棚も追加で買いません

たくさん買ってしまうと、次に引っ越した部屋にはデザインが合わないかもしれませんし、棚を買うだけ、部屋の物も増えちゃうんです」

確かに、部屋にあった収納アイテムと言えば、HAYとIKEAがコラボした「YPPERLIG(イッペルリグ)」シリーズの「マガジンスタンド」だけ。

そもそも収納を追加で購入しないというのが、暮らしを身軽にする工夫になるんですね。

時計やカレンダーを置かない

帰宅したら、寛ぐことに集中するという神山さんのお家には、大きな時計やカレンダーがありません。(出勤時につける腕時計が玄関前に置いてあるのみ)

時間日付を気にするのは職場だけで十分とのこと。いさぎよい……。

片づけすぎない

寛ぐための工夫として、全体的に「片づけすぎない」ことを意識しているそう。

ごちゃつきが残る安心感で、友人たちが来た時に、雑誌などを勝手に取って読んでくれるような空間が理想なのだとか。

癒しの空間に香るフレグランスは「森の香り」

これからの暮らし

「この部屋に住み始めると同時に始めたアイリストのお仕事で、もっと色んな人とつながれるようになったら嬉しいですね」

「マツエクと聞けば、ギャルっぽいイメージを持つ人が多いと思うのですが、うちのお店のように、日常に寄り添った、ナチュラルなものもあると知ってもらうことで、そのイメージを拭いたいです」

「あと、ご注文いただいたら受けている絵のお仕事も増やしていけたらいいな……。

お店でも、新規のお客様には、似顔絵を描いてお渡ししているのですが、とても喜んでいただけるんです。

そういう風に、自分が好きだなと思うものに共感してもらえる機会を増やしていければ、すごく嬉しいですね」

「ナチュラルなまつげ」を知ってもらうためには、まずは、自分がどんな人かどうか知ってもらわないといけないという想いから、暮らしや食の情報を、Instagramで更新しはじめたという神山さん。

実際にインテリアに興味を持ってフォローした人が、まつ毛の投稿を見て、来店くださることも増えているのだとか。

新生活も始まって「少し疲れているかも……」と思い当たるならば、いっそ「寛ぎ」「癒し」「労わり」にこだわって、脱力できるお部屋づくりをするのもアリ。

そんな時、とことんマネをしてみたいアイディアが詰まったお部屋なのでした。

[神山さんのinstagramアカウント]

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Photographed by Kaoru Mochida

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