髙阪正洋

髙阪正洋

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植物とモノで溢れかえった部屋に暮らす田中さん。

個性的な髪型からもわかる通り、揺るぎない信念をピンと持ち、静かながら力強く語る姿が素敵な弱冠23歳です。

部屋は混沌としたジャングルさながらですが、田中さんのアタマの中みたいに、確たる“芯”が存在しているのでした。

名前:田中陸さん
職業:植物店勤務、役者、デザイナー
場所:東京都三鷹市三鷹台
面積:21㎡
家賃:5.5万円
築年数:築35年

お気に入りの場所

ソファエリア

部屋にソファが3つもある田中さん。一番大きなモノは、お気に入りの場所でもあります。

テレビや映画を観るのも、植物をいじるのも全部このソファ周りですね。」

「コレ自体はヴィンテージの大塚家具ソファで、定価は12~3万するモノです。

でも、西永福にある『もぐランド』というリサイクルショップで1万円で買えたんです。」

なんと、“オールドオオツカ”とは! 状態も悪くないのに定価の10分の1って、ちょっと破格すぎじゃありません?

「それで言うなら、こっちのソファは“オールドカリモク”ですね(笑)

近所にある『東京ガラクタ研究所』というリサイクルショップで、3千円でゲットしました!」

聞けば、部屋の家具はそんな風に、近所のリサイクルショップで買ってきたものが殆どなんだとか。

「土地柄なのか、とにかく安いんです。テーブルは2千円、テレビ台は3千円、DJブースに使っているこのデスクも5千円ですね。」

時間さえあれば観ているという映画も、最近はさまざまな映像機器で見比べるのにハマっているそう。

そのためのアナログ機器も、やっぱりリサイクルショップで揃えたモノ。

植物たち

リサイクルショップで価格を抑えた家具たちとは対照的に、決して値段重視で集めたワケではないことが窺える植物たち。

なかでも特に気に入っているものをひとつだけ選んでほしいとお願いすると、しばらく考え込んでからやおら示してくれたのがこちら。

勤めている植物店の初任給で買ったので、思い入れがあります。

パキポディウム・ゲアイーという種で、もともと過酷な環境で自生する種です。

なので、ほったらかしでも育つ、とにかく手間いらずな子なんです。」

この部屋に決めた理由

かの文豪を追って

三鷹台という土地を選んだワケは、かの文豪にあります。

「ハタチのときに初めて太宰治の『人間失格』を読んで、ズドンとやられました。

彼が三鷹に住んでいたことを知ってから、この付近が気になっていたんです。」

もともと名古屋出身の彼は、美容師を辞めたことをきっかけに上京。

それからは役者を志し、田中さんが出演する映画の公開も決まっているそう。

その傍ら、植物店にも勤務。植物熱は加速するばかりなんだとか。

残念なところ

雰囲気強すぎな照明

クラシカルな照明と天井の模様については、「もっとシンプルでよかった」と語る田中さん。

せめて照明だけでも好みのものに付け替えようと試みたものの、特殊な規格だったため、あえなく断念したそう。

お気に入りのアイテム

トルソーに植物を

植物や映像機器のほかに、さまざまなアートピースも部屋のいたるところで目を引きます。

なかでもトルソーは、念願叶って最近手に入れたお気に入りの品だとか。

「大袈裟ですが、トルソーを部屋に置くのが夢でした。

洋服をかけるためではなく、こんな風に植物や写真を飾ってアート作品のように使いたかったんです」

なんでそんな場所に⁉︎ 壁に貼り付いた意味深なアレ

と、このタイミングで部屋に入ったときから気になっていたアレについて訊いてみました……。

コレはまさか……?

壁面にあるはずのないソレは、数々のアートピースと並列に飾られるだけに、なにか特別な品に違いない。

きっと、現在の田中さんを形づくるうえで欠かせない、大切な思い出が詰まっているのだ。

あるいは、僕らの知らない前衛アーティストの作品だろうか……。

「いや、、あの、、、普通につかっ、たや、つです、、、(照)

と、あからさまな動揺を見せる田中さん。

想像のはるか斜め下をゆく解答に、取材陣も動揺を隠しきれない……。

とはいえ、田中さんの面目を保つために言っておくと……(笑)

キースヘリングとコラボしたTENGAなど、性をカルチャーやアートとして扱う姿勢に共感する田中さんなりのユーモアだったようです!

無印良品のスマホ防水ケース

毎晩、「オン・オフのために」必ず湯を張って風呂に入るという田中さん。

「湯船で動画を観るときは、無印良品のスマホ防水ケースがとにかく便利なんです!!」

そして、そんな癒しのひとときに欠かせないのが、ポケモン実況ユーチューバー・ライバロリさんの動画観賞なんだとか。

はしゃぎつつ(この日イチ、テンションが上がっていた瞬間でもあった)実際の入浴風景を再現してくれました。

「ポケモン誕生と同じ頃に生まれたということもあってか、小さい頃からずーっと好きなんです!

でもこの動画は、そんな風にポケモンをよく知るひとが観てもほとんど内容を理解できない。

次元が違うというか、とにかく面白い動画なんです!!」

風呂に浸かるあいだがむしろ「オン」になっているのでは……そうツッコミそうになるのをぐっと堪えるのでした。

暮らしのアイデア

あらゆる“面”は収納スペースである

ひとり暮らしとはいえ、20㎡弱という決して広くはない部屋。

でも、広い部屋が好みというのでもなく、限られたスペースを埋めていくのが好きなのだという田中さん。

その言葉の通り、壁を埋め尽くすように、ファッションブランドのルックやポスターなどが飾られています。

加えて、やはり収納面でのアイデアが豊富!

まずは、スペースに比して棚の数が異様に多いこと。

テレビ台の下部に板を載せて収納スペースを作り、64を置いたり……

ひな壇を作って、植物たちをディスプレイ収納したり……

キッチンでは、こちらもリサイクルショップで買ったという工業用スチールシェルフ&バンカーズボックスを駆使したり。

さらに、天井を見上げると……コウモリランたち!

天井はデッドスペースなので、いま攻めてますね。」

という名言(迷言?)も飛び出しながら、いやはやミニマリズムというワードにも飽き飽きしてきた昨今。

モノに溢れながらも、秩序ある田中さんの部屋が痛快に映ります。

これからの暮らし

自分のブランドや植物を扱う店舗を持ちたい

そう、実は去年の10月に、「elephant in the room」という自身のブランドを立ち上げた田中さん。

「美容師も役者も、根底には『表現したい』という気持ちがあって……。それは音楽も映像も、植物にも通じること。

だから、これまで自分がやってきたことを全部ひっくるめて表現できる場所をつくろうと、ブランドを立ち上げることにしたんです。」

こちらのシャツも、その一環としてつくったものなんだとか。

「洋服のブランドというわけではありません。植物に興味があっても自分で買って育ててみるまでに至らない人たちっていると思っていて。

そんな人たちに、少しでも植物を身近に感じてもらえるようにつくったものなんです。」

「そういうわけで、当面の目標は自分のブランドや植物を扱う店舗を持つことですね。」

部屋を形成するのは、主にリサイクルショップで揃えた家具と、雑多に溢れるモノたち。

それでも決して安っぽく見えないのは、植物をはじめ、自身を形づくる要素に決して妥協を持ち込まないからでしょうか。

田中さんのなかに植物の幹のようにブレない中心線がある限り、部屋もブランドも、健康的にすくすく育ちそうです。

田中さんのブランド:elephant in the room

人気連載「みんなの部屋」は今回でvol134。

部屋づくりのアイディア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスしています。

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Photographed by Shohei Noguchi

髙阪正洋

ファッション、ライフスタイルまわりで、編集・ライターのいろはを学び、ひた走る日々。いつの日かROOMIEアイス部員に抜擢されんと、就寝前のアイスが20年以上やめられないでいることをココにしかと明言しておく。

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北欧、ストリート、DIY、アウトドア。リアルでさまざまな「暮らしのあり方」にフォーカスすることで、「自分にとって、一番いい暮らし」を探っていく…。連載「みんなの部屋」はスタイルを探求する旅です。

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