「音が空間をつくるんです」
そう話すのは、設計事務所・SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)の共同代表・谷尻誠さん。
SUPPOSE DESIGN OFFICEは東京・渋谷の「hotel koe tokyo(ホテル コエ トーキョー)」や広島・尾道の「ONOMICHI U2(オノミチ ユーツー)」など、住宅から商業施設、オフィス、展覧会の会場構成まで、国内外の多岐にわたる分野で活躍する建築設計事務所です。
空間に音楽は欠かせない存在ながら、しばらく楽器そのものからは遠ざかっていたといいます。
今回は、谷尻さんにあらためて楽器の魅力を試してもらおうと、コンパクトなボディながらグランドピアノの演奏感を実現するYamahaの電子ピアノ『P-125』を、事務所へ持ち込んでみました。
楽器が弾ける人になんとなく憧れたまま、大人になった
まったく弾けない……といいつつ、谷尻さんは定番の「猫踏んじゃった」を黒鍵で弾きはじめてくれました。
「こんなのは弾けるといえないですよ(笑)。小学校のはじめまでエレクトーン教室に通っていたんですが、途中で辞めてしまったんです。
高校時代はちょうどバンドブームの時代でしたが、天邪鬼なぼくはブームに乗ることに反発もあったし、バスケット一筋。クラスメイトはみな、バンドをやっていました。
音感がある人に、いまもどこか憧れるところがありますね」
そんな憧れからか、自宅には古道具店で買ったトイ・ピアノがあると谷尻さん。
3歳になる息子さんがたまに音を鳴らして遊ぶそうで、「いつか彼が自然と音楽に興味をもてば、そのときは応援したいです」とのこと。
音楽が、事務所の可能性を広げるかも
SUPPOSE DESIGN OFFICEの東京事務所は、働く場所に食堂が併設され、一般の人に開かれたカフェ、ギャラリーでもある「社食堂」。
誰もが利用可能なここでは、アーティストや写真家の展示、貸切パーティーなどのイベントを行っており、『P-125』があると可能性はさらに広がりそうです。
『P-125』はシンプルながら機能が充実。
ボタンを押すとピアノの音は、オルガンやギター、サクソフォンなどに変化していきます。
伴奏の機能を使えば、ひとりでバンドサウンドを実現することもできるんです。
SUPPOSE DESIGN OFFICEの設計チームには、バンド活動を行うスタッフもいるといい、『P-125』があれば事務所のみんなで音楽を楽しめるかも、と谷尻さん。
「約6万円くらいで価格が抑えられていて、手軽にはじめやすいのもいいですね」
音楽で空間は変わるから…
事務所の音楽はサウンドディレクターが選曲
「そもそも人は、ピアノができる前から音の出るものを求め、楽しんできた」と谷尻さんは語ります。
楽器が生まれる前から、音楽は暮らしに欠かせない要素だったのかもしれません。
「たとえば、食を楽しむのに音楽は欠かせない存在です。
食事がとてもおいしいレストランで“BGMを変えたらもっと素敵なのに!”と思うこともあります」
「設計の打ち合わせでは、多くの人が形あるものに重きを置くんですが、形ないものこそ、空間の心地よさを決めると思っています。
僕は1日を通して事務所で流す音楽を、サウンドディレクターの友人に選曲してもらっていたりします。
どんな音楽がその空間を満たすかによって、雰囲気は大きく変わる。音楽が空間をつくっているといっても、いいかもしれませんね。
だからぼくも楽器が弾けたらと、いまも思うのかもしれません(笑)」
生活の中だからこそ、ピアノの音色がなじむ
これまで設計した住宅でも、ピアノを設置する建物は少なくない、と谷尻さん。
「実は音楽って、“常に音のある環境”だからこそ響くものになったりします。
防音できっちり音のない空間ではなく、多少の生活音や自然音があるなかでピアノの音色が流れるからこそ、そこに魅力が生まれたり。
それは、線路の目の前に建つ住宅を以前設計した際に、感じましたね。電車の音や暮らしの音にピアノの音が入ると、スッとなじむんです」
「ぼくたちの仕事のひとつには、音の環境をつくっていくことがあります。
たとえば、音があっても会話のしやすい空間を設計すること。
人の聴覚は優れていて、空間を認識するうえでも活躍しています。目をつぶっていても、手を叩くと音の響きで空間の広がり方を察することができるんですよ。
渋谷に最近オープンしたホテル・hotel koe tokyoでは、レコードショップなどが軒を連ねる、音楽カルチャーの街であることを意識して設計しました。
1階ロビーにはライブハウスやクラブをイメージした大階段を設け、いろいろなイベントに対応できるようになっています」
空間を設計する上で欠かせない“音のデザイン”。その街や人、その場所でどんな体験が生まれるか……といったことから、谷尻さんたちの建築は設計されているんですね。
音楽が、手軽に楽しめることの魅力
谷尻さんにお話をうかがう中で、音と空間の関わり方を、日常においても設計においても大切にされていることが伝わってきました。
『P-125』は、そんな音楽を手軽に楽しむのにピッタリな製品。
SUPPOSE DESIGN OFFICEが開発に関わったお菓子も、そんな手軽に楽しめる魅力を考えたものだといいます。
スナック菓子メーカーとともに開発した、野球場で販売する「ふるシャカ!」は、野球観戦中にこれを振って容器から音を鳴らすことで応援する……そこまでのストーリーを含めて提案したもの。
「これは、人を応援するまさに“楽器”といってもいいかもしれません」と谷尻さん。
「音楽は、体験として楽しめることが魅力です。
みんながひとつになってお菓子を振る音で、試合を楽しむ。音楽がもつ魅力の根源ってそういうことなのかな、と思うんです」
『P-125』もまた、ひとりで、そしてみんなで楽しめる電子ピアノ。
音楽は楽しく、そして空間をゆたかにする。そんな魅力を伝えるピアノを、あなたも生活に取り入れてみませんか?
1974年広島県生まれ。1994年穴吹デザイン専門学校卒業後、本兼建築設計事務所、HAL建築工房を経て2000年建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICEを設立。2014年より吉田愛さんと共同主宰。現在、穴吹デザイン専門学校特任講師、広島女学院大学客員教授、大阪芸術大学准教授。
sponsored by ヤマハ株式会社
Text by Yoshinao Yamada, Photographed by Norihito Yamauchi
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