毎日にクリエイティブをおくる、今月のうたと暮らしは、「短歌」の表現のおもしろさを知ってもらう企画。
「短歌」に意識を向けてみたら、140文字より圧倒的に少ない“31文字”のことばに、詰まっているものに驚いた。ハッとしたり想像が膨らんだりするのがとても楽しく、日々にクリエイティブな視点を与えてくれる気がしている。

その月に合ったテーマで月1本、リレー形式で毎月異なる歌人の短歌を、描き下ろしの10首連作でお届けする。
連作の中にある展開やストーリーを、まずは楽しんでみてほしい。

第6回目の歌人は染野 太朗さん、テーマは「眠り」。

すごいねえ

染野 太朗


検査所を抜けて買ふ水 空港のおほきな窓に秋があかるい


からだぢゆうに眠りゆきとどきめざめたる飛行機のなかぼくさへゐない


ストローでホットコーヒー吸ふやうなさみしい恋もとうに終はつて


福岡に引つ越していちねんが経ちひとりこの秋また食べた柿


感情がきみを求めてゐた頃にはじめて櫛田神社へ行つた


ひとを想ふことがすなはち罰だつたぼくを罰するために想つた


幾万の針降るやうなあをぞらのふかくふかくへ眼を投げ上げる


晴れわたる櫛田神社の喫煙所やたらひろくて平岡さんがゐさう


ふくをかの陽のやはらかく染みていく布団と枕 不安だよぜんぶ


そめのさん寝入りばなにきのふも言つてたよすごいねえつて大声で二回




染野 太朗(そめの・たろう)
1977年生まれ。茨城県出身、福岡県在住。短歌結社「まひる野」に所属。第一歌集『あの日の海』(本阿弥書店、2011年)、第二歌集『人魚』(角川書店、2016年)。近作に「恋」10首(『文學界』2017年7月号)、「挽歌」15首(『たべるのがおそい』vol.4)など。
twitter:@smntaro

illustrated by ki_moi

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