人気連載「みんなの部屋」vol.90。部屋づくりのアイディア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスする。

神奈川県、葉山の住宅地を走り、細い山道をぐんぐん登っていく。そろそろかなと思ってもさらに進むと、徒歩でたどり着くのはちょっと厳しそうな山の中腹に家々が立ち並んでいる。

その一角にあらわれる、青くメタリックな建物。鎌倉・葉山・逗子・湘南に特化した不動産会社エンジョイワークスで働く原伸一郎さんは1年前にこの家を建て、奥さまと小学3年生、高校3年生の息子さん2人と暮らしている。家の随所に家づくりを楽しむヒントが隠れていた。

名前:原伸一郎さん 奥さま お子さん2人 
職業:エンジョイワークス営業(伸一郎さん) カメラマン(奥さま)
場所:神奈川県三浦郡葉山町
面積:約100㎡ 6つのコーナー+DK
購入金額:非公開
築年数:築1年

葉山のおしゃれな一軒家
玄関がお洒落な葉山の家
アートが飾ってある階段

お気に入りの場所

ソファ代わりに使う本小屋

リビング代わりに使う本小屋
本棚に囲まれ、ソファにもなる本小屋
家の中心にあるリビング代わりに使う本小屋

外階段を上がった2階が玄関。部屋に入ると真ん中に現れるのが本小屋だ。本棚に囲まれた空間に置かれているのはベッドマットレス。ごろ寝しながら本を読んだり、ソファ代わりに腰かけたり、お子さんと柔術をしたり。くつろぎ&あそびスペースになっている。

一軒家にある暗室

カメラマンである奥さまの暗室

書斎スペース
書斎スペース

本小屋を囲むようにキッチン、ダイニング、書斎、暗室のコーナーが配置されている。

「ここに腰かけると、ちょうど海の向こうの富士山まで見渡せるんです。夜はここで寝落ちしてしまうこともよくありますね(笑)」(伸一郎さん)

こもれる寝室

明るいこもれる寝室
アートな寝室
明るい葉山の家

1階は寝室と長男の部屋、ウォークインクローゼット、バスルームなど。部屋といってもドアはなく、空間はゆるやかにつながっている。奥に進んだ一角がご夫婦の寝室スペース。寝転がると窓から空と緑が見えるそう。1階の床は、チェリーやオークなど4種類の木材を組み合わせてモザイク調に。

不動産業界に入る前は服を作っていたという経歴を持つ伸一郎さん、その頃の生地や服も置かれている。

海と富士山が見渡せるベランダ

海と富士山が見渡せるベランダ

キッチン横のベランダからは、豊かな緑の奥に葉山の海、晴れた日は富士山が見渡せる。しかも目の前の木々は桜。絶好のビューポイントだ。

「天気がいい日はここで朝食を食べたり、夕方はビールを飲んだりします!」(伸一郎さん)

色づかいが楽しい造作キッチン

色づかいが楽しい造作キッチン
可愛いガラスのグラス
葉山で暮らす夫婦

奥さまのお気に入りの場所は、絵本に出てきそうなキッチン。高さをミリ単位でオーダーした造作キッチンだ。チェチェの棚に合わせて壁の色を自分で塗ったこだわりも。

「味噌や梅干し、スモークベーコン、ヨーグルトなど自家製しています。食材は、隣の横須賀市にある安田養鶏場などの直売所で買うことが多いですね。間を介していない分、スーパーより直売所のほうがお得だし、新鮮でおいしいんですよ。料理は好きなんですけど、がんばる時と手を抜く時と、気分によってムラがあったりしますね(笑)」(奥さま)

壁紙と照明にこだわったトイレ

壁紙と照明にこだわったトイレ

自ら選んだというオランダとドイツの壁紙とエジプトの照明が、ファンタジックな雰囲気をかもし出している。

「壁紙は、銀座にある輸入壁紙のショールーム・WALPAに行って選びました。手間をかけたりこだわった場所は、後々もやはりお気に入りになりますね」(伸一郎さん)

この家を建てた理由

青い壁の家
葉山の見晴らしのいい家

鎌倉・逗子・葉山エリアの土地や物件を扱う不動産会社エンジョイワークスに勤務する伸一郎さん。葉山は庭と言ってもいいだろう。この場所に家を建てることになった経緯を聞いてみた。

「この土地はエンジョイワークスで扱っていて、最初はお客さまを案内したんです。以前とても大きな屋敷が建っていた場所で、土地を分けて売りに出ていました。眺望を見せるためにやぐらが建っていて、最初に上がったそのお客さまが『ちょっと原さん見てください!』と興奮していて。僕もこの景色をとても気に入ってしまいました。

とはいえもちろん、お客さま優先。この場所は坂のだいぶ上で少し不便だったこともあり、その方は結局迷っていたもうひとつの土地に決めました。それでこの土地を『買ったらどうですか』と言われまして。それでは、と購入を決めたんです。ずっと賃貸物件に住んでいて、いつかは買いたいなとは思っていたんです」(伸一郎さん)

葉山でサーフィンを楽しむ暮らし
壁にいろいろ飾るアートな部屋

仕事柄家を建てる人をたくさん見てきた原さん、実際に自分が家を建ててみて思うことは?

「あまり考えすぎないことが大事かもしれません。考えすぎて迷ってしまい、決められなくなっているお客さまの姿をたくさん見てきているので。もともと僕が即興好きなこともありますが……。でも直感で選んだものって、純粋にいちばん好きなものだと思うので、結果的に何年経っても好きだと思うんです。考えすぎたら、外壁を青にはできないですよね(笑)」(伸一郎さん)

残念なところ

壁は最初に塗っておけばよかった

ドイツ生まれの塗料・ルナファーザー
ドイツ生まれの塗料・ルナファーザーで描いたアート

寝室やリビングダイ二ングの壁に塗られているのは、ドイツ生まれの塗料・ルナファーザー。7~8回は上から別の色を塗り重ねることができる。暮らしながら少しずつ塗り変えていこうとセレクトしたもの。

「実際住んでしまうと、家具を移動させたり、他の場所に塗料がつかないようカバーしたり、いろいろと面倒で結局まだ手を付けられていません。やはり最初に塗っておけばよかったな……。全体を塗るのは大変なので、ところどころこうしてペイントしてあるんです」(伸一郎さん)

お気に入りのアイテム

69年のビザールギター「Guyatone」

69年のビザールギター「Guyatone」

地元の友人とバンドを組んでいる伸一郎さん。玄関を入ってすぐは音楽コーナーだ。好きなジャンルはダンスミュージックやロック、ジャズ、ワールドミュージック。

友人にもらったレコード

スフィアン・スティーブンスのレコード
レコード好きの家

伸一郎さんは、家にいる時は音楽をかけてビールを飲んでいることが多いという。最近よく聴いているのは、友人にプレゼントされたスフィアン・スティーブンス

「アメリカの風変りな音楽です。アウトサイダーアートのアーティストが手掛けたジャケットデザインも気に入っています」(伸一郎さん)

ステンシルでペイントしたレンガ

ステンシルでペイントしたレンガ
ステンシルでペイントしたレンガアート
手作りのハンガー

伸一郎さんのもうひとつの趣味がステンシル。レンガや家具などに、型紙の上からスプレーで吹きかけてペイントする。ハンガーはレースを型紙代わりに。帽子もスプレーでペイントしたものだ。

友人が刺繍したTシャツ

TORIOのTシャツ

TORIOという、好きなドイツのバンドの名前を、チャンピオンTシャツに刺繍したもの。下北沢でメキシコ雑貨屋を営む友人に刺繍してもらったそう。好きと好きのコラボレーションが実現している。

奥様が生地から縫ったカーテン

生地から縫った星柄のカーテン
壁に折り紙アートを飾る
生地から縫ったカーテン

カーテンはシンプルなものを選ぶ人も多いが、原さん家の窓辺はカラフルだったり、かわいらしかったり。一見個性的なカーテンだが、部屋にマッチしている。多くが鎌倉スワニーという生地屋さんで購入した生地を、奥さまが縫ったお手製だ。

暮らしのアイデア

家は建てた後も、自由に楽しく変えていく

家族でアートをつくる

この家は、エンジョイワークスが提案する新しい家づくり「スケルトンハウス」。2017年グッドデザイン賞を受賞した新しいスタイルだ。家の骨格(スケルトン)はエンジョイワークスがつくり、内装(インフィル)はやりたいと思った範囲で施主が家づくりに参加できる。

たとえば好きなデザイナーに頼んだり、できる部分はDIYしたり、どこからどうやって参加するかも自由にコントロールできる仕組み。伸一郎さんも友人たちと壁を塗ったり、パーツや壁紙を探したりと家づくりを楽しんだ。

調色と塗装の職人集団COAT KAMAKURAに

書斎へつづく壁は、調色と塗装の職人集団COAT KAMAKURAに色選びと塗り方を指導してもらい、施工時に自分たちで塗った。フランスの伝統色から選んだという。

明るい寝室

床、壁、仕切り壁、水まわりなどが簡単にリセットでき、家族構成や暮らし方に合わせて自由に変更できるのもスケルトンハウスの特徴。今はいちばん下の息子さんも同じ寝室で寝ているが、いずれは間取りを変えて部屋を増やす予定だ。

「スケルトンハウスは、全部つくって欲しいという人には向いてないけど、いろいろ自分たちで考えてつくりたい人にピッタリだと思います」(伸一郎さん)

家が建つまでの過程は、メイキングブログにて。

これからの暮らし

本棚に囲まれたソファ

「子どもたちがこれからもっと大きくなるし、間取りなどを変えながらここでの暮らしを楽しみたいですね。まずは長男の部屋にドアをつけないと。それとベランダを広くしたいですね。車庫の上の部分まで板を張って、スペースを拡張しようと思っています」(伸一郎さん)

子供のアート
コンポストから勝手に生えてきたというカボチャの驚きの生命力

コンポストから勝手に生えてきたというカボチャの驚きの生命力

家を建てる=10年、20年は変えられないイメージがあり、神経質になってしまいがち。そもそもそんな先のことは、正直予想ができない。スケルトンハウスのように「変化を前提」としたら、新築という一大決心感もやわらぐ気がする。

まずは今の暮らしに合わせて建てて、引っ越したり、リノベーションするような気軽さで家のカタチを変えていく。そんな楽しく自由な新築なら、ROOMIE読者の選択肢にも入ってくるのではないだろうか?

Photographed by Shinichiro Oroku

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