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人気連載「みんなの部屋」vol.86。部屋づくりのアイディア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスする。

繁華街まで地下鉄1本で25分という好立地でありながら、閑静な住宅街が広がる北ロンドン。築100年以上の歴史あふれる住宅が立ち並ぶストリートに、移民専門の弁護士として働くジュロン・ハートさんのお宅がある。4つのベッドルームを所有するシェアハウスで、現在ジュロンさんを含め5人が暮らしている。この家に10年暮らすジュロンさんは、日本の文化を心から愛する青年。今回は、そんな日本愛あふれるユニークな部屋にお邪魔した。

名前:ジュロン・ハートさん
職業:弁護士
場所:イギリス・ロンドン
面積:20平米(自室) 約154平米 (一軒家全体)
家賃:非公開
築年数:127年

イギリス、ロンドンのベッドルーム

お気に入りの場所

日本酒や焼酎などを取り揃えたバーカウンター

日本酒や焼酎などを取り揃えたバーカウンター
日本の焼酎
焼酎

このシェアハウスには、これまでたくさんの日本人が暮らしてきた。そのため、日本人のフラットメイトたちが一時帰国から戻ってくる際やロンドンに遊びに来る際に、日本のお酒が大好きなジュロンさんのために、お土産として日本酒や焼酎を持ってきてくれるのだとか。

「芋焼酎が好きで、その中でもこの『一刻者』がお気に入りなんだ」

畳が敷き詰められたスペース

イギリスで畳が敷き詰められたスペース
畳が敷き詰められたスペース

部屋に畳を敷きたいと思い、長年探していたというジュロンさん。数年前、オンラインショッピングサイト・eBayで、空手の先生をしている人がほぼ新品の畳6枚を出品しているのを発見。6枚300ポンド(約4万2000円)で購入したのだという。

「プラスチック製や薄い畳ではなく、本物のしっかりとした畳が欲しかったんだ。この家はとても古いし、僕の部屋は1階にあるから、冬はとても冷えて部屋がすごく寒いんだよ。畳を敷いてからは暖房をつけると部屋がすぐに温まるようになったね」

カラオケルーム

カラオケルーム

ジュロンさんは、自室でカラオケパーティーを開催するほど、大のカラオケ好き。カラオケセットを仕込めば、部屋は立派なカラオケルームに変身する。10年以上に渡って日本語の勉強に励むジュロンさんにとって、カラオケで歌を歌うことは楽しみでもあり、また勉強にもなるのだそう。

「BEGINがすごく好きなんだ。あとポルノグラフィティやCHAGE and ASKA、LUNA SEA、安全地帯も歌うよ」

この部屋に決めた理由

ロンドンの家のソファ

もともとこの一軒家は、ジュロンさんの大学時代の友人の持ち家。10年前、ジュロンさんが引越してきた頃にはその友人も一緒に暮らしていたが、現在その友人はカナダで暮らしている。そのため、現在ジュロンさんは住人兼管理人という役割を努めているのだという。

残念なところ

ロンドンの青年の家

窓の位置が低く、さらに部屋が道路に面しているため、部屋の中が丸見えになってしまうこと。ブラインドを下ろしていても中が見えてしまうので、窓辺に板を立てかけている。

お気に入りのアイテム

吉野家の模型

吉野家の模型

ジュロンさんは15年前に、1年間ほど日本に暮らしていたことがあった。来日したばかりの頃はどこで食事をすればいいのかわからず、毎日吉野家の牛丼を食べていたという。そのことを覚えていた友人が、イギリスに遊びに来た際にこの模型をお土産として持ってきてくれたのだとか。

和紙で作られたランプ

和紙で作られたランプ

和紙で作られたランプは日本の100円ショップで購入。シャンデリアが吊り下げられていそうな天井に、和紙のランプはなかなかシュールだ。

「もともとガラスのランプがついていたんだけど、友だちが僕の木刀で遊んでいたときに割ってしまったんだよ。その後このカッコイイ和紙のランプに変えたんだ」

葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』ポスター

葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』ポスター

昔からこの絵が好きで、部屋にいつもこのポスターを飾っているジュロンさん。ポスターは飾っていると日焼けしてしまうため、現在飾られているこちらは2代目だ。

日本語の学習教材

日本語の学習教材
自作の日本語の学習教材
DIYした日本語の学習教材

実はジュロンさん、この取材もすべて日本語で対応してくれたほど日本語が堪能。10年以上に渡って日本語を学んでいるジュロンさんは、現在も週に1回語学学校に通い、日本語に磨きをかけている。部屋には教材はもちろん、常用漢字がぎっしりとつまったポスターも。漢字を覚えるためのカードはお手製だ。

収納のコツ

イケアの収納ケースで、仕事の書類をまとめる

イケアの収納ケースで、仕事の書類をまとめる

イケアの棚や収納ケースを使って、仕事の書類をまとめている。ジュロンさんの暮らす住宅街ではしばしば「ご自由にお持ち帰りください」という紙が貼られ、家の外に不要になった家具が置かれていることがあるそう。

また、まだまだ使えるキレイな家具や食器が出ていることが多く、たまにシェアハウスの共有スペースで使うものを調達することもあるという。

これからの暮らし

焼酎好きの部屋

イギリスの街・オックスフォード近郊に3年前、弟と妹と共にに大きな家を購入したジュロンさん。平日はロンドン市内で仕事をしているため、このシェアフラットに住んでいるが、週末は郊外の家で過ごすことも多い。

ロンドン中心部に自身のマンションを購入することを検討する一方で、「海外で暮したい」思いもあるという。とはいえ、10年暮してきたこの家はとても住み心地がいいため、今すぐに引っ越すことはなさそうだと、ジュロンさんは語ってくれた。

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