桜が咲いて初々しい新社会人を街で見かけたら「春だなぁ」と、道すがら蚊取り線香の匂いがすると「夏だなぁ」と、なんとなく思うことがあるものの、僕らが日常生活の中で季節の変化を意識することはそんなに多くない。

今から約150年以上前に暮らしていた人びとは、1年の季節を24分割にした「二十四節気」と呼ばれる区分けと、そこからさらに細分化された「七十二候」を暮らしに取り入れていた。72個の季節というと、だいたい5日に1つのペース。そのときの旬の食材を食べ、旬の花木を愛でる生活をし、自然の移り変わりとともに今よりずっと細分化された季節の移ろいを感じていたのだ。

七十二候の「意味」や旬の食材を知ることで、普段よりも敏感に季節の変化を意識できる。季節の移ろいを感じ、取り入れてみて、暮らしに深みをもたせよう。

前回の七十二候:採れたてのトウモロコシにかぶりつこう|七十二候ダイアリー「蓮始開」

鷹乃学を習う(たかわざをならう)

七十二候:鷹乃学習(たかわざをならう)

7月17日~7月21日ごろ
四季:夏 二十四節気:小暑(しょうしょ)

夏のはじめ頃に孵化した鷹の雛が、飛び方を覚える頃。

日本全国に生息するオオタカの雛は、孵化してすぐはヒヨコくらいの大きさ。30日を過ぎると親と変わらないくらいにまで成長する。その頃には飛べるようになり、獲物を捕らえることを覚え、早いと夏の間に独り立ちする。

旬の食材

モロヘイヤ

モロヘイヤ

夏の代表的なネバネバ野菜のひとつ。

植物性食品がもつさまざまな栄養素をずば抜けて多くもつ非常に優れた野菜。栄養価の高さから、アラビア語で「王様だけのもの」という意味をもつほど。

普通それだけ栄養素が多いと独特の風味や匂いがして大量に食べられない事も多いが、モロヘイヤはクセもなくたくさん食べることができる。夏バテ対策に積極的に取り入れたい野菜だ。

うなぎ

うなぎ

土用の丑の日でもおなじみ。

「土用」というのは年に4回あり、立夏、立秋、立冬、立春の直前の約18日間の期間のこと。夏は立秋の前の18日間を指し、7月19日頃に土用入りする。暑い盛りを乗り切るため、精の付くものを食べようとうなぎを食べる習慣ができた。

ちなみに今年は、7月25日と8月6日の2回土用の丑の日がくる。行列に打ちひしがれて一の丑に食べそびれても、二の丑にはぜひリベンジを。

本日の一句

わぎもこのはだのつめたき土用かな

日野草城

「わぎもこ」は吾妹子と書き、妻や恋人などを指す言葉。今のように冷房などない時代、土用の蒸し暑い夜にふと触れた妻の肌が思いのほかひんやり冷たくて心地よかったのだろう。

男性に比べて女性のほうが体温が低く、暑い最中でも女性の肌はひんやりしていることが多い。冬は温もりが心地よく、夏は冷たさが心地よい。人の肌からも季節は感じ取ることができる。

次回は「桐始花結(きりはじめてはなをむすぶ)」。

illustrated by Kimiaki Yaegashi

参考文献:白井明大(2012)『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』東邦出版.
Nalta Jute via Shutterstock
Fish Ayu with Salt being Charcoal Broiled, Local Foods of Tochigi Prefecture in Japan via Shutterstock

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