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桜が咲いて初々しい新社会人を街で見かけたら「春だなぁ」と、道すがら蚊取り線香の匂いがすると「夏だなぁ」と、なんとなく思うことがあるものの、僕らが日常生活の中で季節の変化を意識することはそんなに多くない。

今から約150年以上前に暮らしていた人びとは、1年の季節を24分割にした「二十四節気」と呼ばれる区分けと、そこからさらに細分化された「七十二候」を暮らしに取り入れていた。72個の季節というと、だいたい5日に1つのペース。そのときの旬の食材を食べ、旬の花木を愛でる生活をし、自然の移り変わりとともに今よりずっと細分化された季節の移ろいを感じていたのだ。

七十二候の「意味」や旬の食材を知ることで、普段よりも敏感に季節の変化を意識できる。季節の移ろいを感じ、取り入れてみて、暮らしに深みをもたせよう。

前回の七十二候:「蚕起食桑」養蚕業の主、活動を始める

七十二候:紅花栄(べにばなさかう)

5月26日~30日ごろ
四季:夏 二十四節気:小満(しょうまん)

古くから栽培されていた、エジプト周辺が原産地といわれる「紅花」が多く咲く季節。紅花は黄色く咲き始め、次第に赤くなっていく花だ。

日本では江戸時代に紅花の栽培が増加してきた。紅花から抽出する赤色色素を加工して口紅を作り、中でも良質な口紅は「小町紅」と呼ばれていた。

旬の食材

クルマエビ

クルマエビ

茶褐色の縞模様が特徴のエビ。身体がくるまった状態だと車輪のように見えるため、その名がついたといわれる。

食用のエビの中でも特に味がよいとされており、漁業だけでなく蓄養や養殖も各地で行われている。

しそ

しそ

初夏から旬を迎えるしそは、主に薬味や天ぷらなどで調理されることが多く、特有の香りが夏らしさを演出する。

しそには「青じそ」「赤じそ」という種類があり、「大葉」と呼ぶ場合は一般的に青じその方を指す。

本日の一句

負馬の 眼のまじまじと 人を視る

飯田蛇笏

高浜虚子に師事し、雑誌「ホトドギス」でも活躍していた作家の一句。今では「競馬」は一般的だが、神事や朝廷の儀式として行っていたものもあり、1860年に日本で初めて近代競馬(洋式競馬)が開催された。

この句では負けた馬に焦点を当てているが、かつて正岡子規も「くらべ馬おくれし一騎あはれなり」と、勝負に破れた馬について目を向けている。

5月28日(日)は、競馬業界が大いに盛り上がる「日本ダービー」が開催される。負けた馬の姿にも、注目してみたい。

次回は「麦秋至(ばくしゅういたる)」。

illustrated by Kimiaki Yaegashi

参考文献:白井明大(2012)『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』東邦出版.
Fresh Kuruma prawn (Penaeus japonicus Bate) in cooling ice on shelf of restaurant at night market image via Shutterstock
The perilla leaves, also known as shiso leaf, oba leaf or beefsteak plant in wooden bowl over wooden background image via Shutterstock

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