もちろん、“人の部屋の香り”があるように、自分の部屋にも香りがある。部屋の香りは、そこに住む人のイメージや過ごす時間を左右する大事なポイントだからこそ、大切な誰かを招くときはもちろん、1人で過ごす時も楽しみたい。
連載「暮らしの香り学」では、香りをうまく使って、暮らしをもっと豊かにする方法を、香司・岡本英子さんに教わる。
いざ「香りを楽しもう」と思っても、アロマオイルやお香など、さまざまな種類があって、どう使ったらいいか分からないという声も多い。そこで今回の「暮らしの香り学」では、部屋で香りを楽しむ方法を紹介したい。
エッセンシャルオイルとアロマオイルの違い
エッセンシャルオイルは、花や葉、樹脂、樹皮など植物の芳香物質を抽出した100%天然のエッセンスのこと。精油とも呼ばれ、アロマテラピーで使われる。スッキリとリフレッシュしたい時にはペパーミント、緊張を和らげて気持ちを落ち着けたい時にはサンダルウッドなど、精油の特徴や目的にあわせて選ぶとよい。
一方アロマオイルは、合成香料を使ったもので、フレグランスオイルとも呼ばれる。アロマテラピーで使うエッセンシャルオイルとは違うため、まずは好きな香りを選ぶのがおすすめ。ただし、メーカーによってオイルの呼び方や表記が異なるケースもあるので、購入時に説明書きをチェックしよう。
アロマディフューザーの選び方
エッセンシャルオイルやアロマオイルを楽しむアイテムに、空間に香りを拡散するアロマデュフューザーがある。「買ってみようかな」と思ったものの、たくさんの種類があるため、どれを選んだらいいか分からない人も多いだろう。アロマディフューザーは大きく分けて次の4種類なので、購入する際の参考に。
超音波振動式アロマディフューザー
水にエッセンシャルオイルを数滴垂らして、超音波振動でミスト状にして香りを拡散するタイプ。買いやすい値段のものが多く、香りの広がりは比較的早い。私が持っているのは無印良品の「超音波アロマディフューザー(税込4,900円)」。香りに熱を加えないので、エッセンシャルオイル本来の自然な香りを楽しむことができる。
気化式アロマディフューザー
ガラス容器にエッセンシャルオイルを原液のまま入れて、振動で拡散させるタイプ。広範囲に香りが広がる一方、原液を使用するためオイルの消費量が多いのが難点。私が持っているのはスイスのStadler Form社の「LEAアロマディフューザー」で、オイルに直接風を当てて香りを広げる。
アロマポット
水にエッセンシャルオイルを数滴垂らし、キャンドルの熱で拡散させる。買いやすい値段なので、初めてアロマを楽しむには最適。火の扱いに注意しよう。
アロマランプ
電球の熱でエッセンシャルオイル(原液、または水で薄めたもの)を温め、拡散させる。フロアランプとしても使える。香りはゆっくりと広がる。
今回紹介した以外にも、加湿や空気清浄ができるアロマディフューザーや、木や造花などをアロマオイルの入った瓶に挿したリードディフューザー、手軽に使えるスプレータイプのルームフレグランス、アロマキャンドルなど、様々なタイプがあるので好みや部屋の広さに合わせてチョイスしてみよう。
お香を楽しむ
仏教の伝来とともに日本に伝えられたと言われるお香。お寺や供養のイメージが強いが、趣味のお香として香りを楽しむタイプもある。
インセンス
ルームフレグランス感覚で使えるお香。コーン型、線香タイプがあり、いずれも火をつけて漂う香りを楽しむ。最近は凝ったデザインの香立てや容器が出ているため、インテリアのワンポイントにもおすすめ。
匂い袋
袋に入ったお香のこと。カバンやクローゼット、タンスなどに入れて使う人もいるし、匂い袋をドアノブなどに掛けておけば、開け閉めする度にいい香りが部屋に広がる。ちなみに、海外ではポプリや石鹸などを入れたサシェがこれにあたり、匂い袋同様に使われている。
文香、名刺香
手紙に香りを添える文香(ふみこう)は、封筒を開けたときに広がる香りとともに、大切な人に思いを届けてくれる。お香の原料には防虫効果が期待できるものもあるため、本や書類と一緒に入れておくと、虫食い予防にも。
また、最近は名刺ケースに入れて使う名刺香もある。名刺交換をするときにほのかに漂う香りからコミュニケーションが生まれることも。
植物の香りが楽しめるエッセンシャルオイル、香水感覚のアロマオイル、和の香りに包まれるお香……。それぞれによさがある香り。手軽に始められるものをチョイスして、部屋のタイプや気分に合わせて気軽に楽しんでみよう。
TOP:Mint essential oil in small bottles, Photographed by Eiko Okamoto