ビジュアルアーティストのAugustin Doubletさんはフランス・パリ出身で、NYに移住して7年目。彼の家は、もともとは治安がよくないと言われていたブッシュウィックエリアにある、学校を改装した建物。これぞNYのアーティストの住まい! 「スクールハウス」と名付けられたこの物件には、なんと現在11人(くらい)が一緒に住んでいる。NYでポピュラーなクレイグスリストというコミュニティ掲示板でこの家を見つけたのが、7年前。それから彼はずっとここで暮らしている。
職業:ビジュアルアーティスト
場所:アメリカ・NY Brooklyn Bushwick
面積:8Bed room 325平米(全体)
家賃:非公開
築年数:築125年(1890年竣工)
お気に入りの場所
大きな大きな共有スペース
リビングというには、広すぎるスペース。元学校の建物だけあって、天井が見えないほどの天井高だ。ピアノがあったり、ルームメイトが作った作品が飾られていたり。ギャラリーのように外部へ開放するイベントに参加することもあるという。古いコンピューターはみんなの伝言板。ルームメイトが多いので、これで予定のアップデートを確認しているんだそう。
「ここは駅がすぐ近くにあって、普通はうるさいと思うのかもしれないけど、窓から見える電車が僕は好きなんだ」
DIYした天窓
この家の中で、2回引っ越したAugustinさん。最終的には、自分で作ったアティック(屋根裏部屋)に落ち着くことになった。自分で少しずつDIYしたスペースなので愛着はひとしおだが、特にお気に入りはベッドの上に付けた天窓。
ちなみに、家具はほとんど外から拾ってきたもの。人の出入りが多いNYでは、街を歩いているだけで宝物に遭遇するなんてことも多いのだ。
キッチンスペース
とにかく開放的で、すごいスケール感のキッチンスペース。Augustinさんは家で仕事をすることが多いので、自然と料理をするようになったのだとか。得意料理はインドカレー。
リビングの中心にある大きな階段
彼が引っ越してくるより前に、テレビの撮影でスクールハウスを使用した時にセットされた大階段。撮影後も撤去されなかったので、そのまま使うことに。Augustinさんは、部屋がある2階からの眺めが気に入っている。
この部屋に決めた理由
前述の通り、クレイグスリストを利用して見つけたこの物件。最初に見にきて、即決したそうだ。
「とにかく、NYにアートをやりにきたわけだから、こういうところに住んでいろんなアーティストと知り合いたかったんだ。ここで出会ったものは人生でかけがえないのないものになっているよ。何より、ここで広がっていくコミュニティが大好きなんだ」
先日開催されたAugustinさんの誕生日パーティの時の飾り付けの様子。夜になると、またグッと雰囲気が変わってワクワクする。
残念なところ
常時11人くらいがいつも住んでいるので、掃除が大変なんだとか。
「揉めごとになったことはないけど、やっぱり大きい場所だから1人じゃできないしね。週に1回の掃除サービスを頼むか検討中なんだ」
お気に入りのアイテム
父からもらった、ダルマのコマ
「日本のプロダクトだよ! 日本のプロダクトは完成度が高くて、本当に素敵だと思う」
そう言って見せてくれたダルマのコマは、お父さんがお土産にくれたもの。
ワールドマップ
キッチンスペースに置いた大きな世界地図は、最近Amazonで購入したお気に入り。今はどんな額に入れようか検討中だそう。
暮らしのこだわり
1日の始まりを大切に
「仕事も生活もこの場所が中心だから、1日の始め方を大切にしているよ。朝はコーヒーをゆっくり入れて、ニュースを読み、気分がいい日は水彩画を描くことを心がけてる。その日の自分の気分を視覚で捉えられるのは、1日の作業でとても重要だからね」
アトリエスペースでの集中方法
「実は日本人の友達が教えてくれたんだけど」と教えてくれたのは、フランスのラジオを聴きながら作業をすること。作業がすこぶるスムーズになるという。
これからの暮らし
「なんだかんだ7年もここにいるけど、やっぱりまだまだ飽きないね。やりたいこともたくさんある。ただ彼女との遠距離が問題だけど、彼女もここに住む予定だから、そうなったらもうすこしNYベースの生活を続けたいと思っているよ。最終的にはNYとヨーロッパを行き来できるようにすることが目標。NYを去ることになるその日までに、NYの生活を舞台にした映画作品と、僕が出会ってきた人に取材したものをまとめた本が出せたらいいな」
NYは移民の街なので、とにかくアグレッシプでポジティブ、そんな人に出会える街だ。ただ、物価も上がりアーティストがどんどん出て行ってしまっているのもまた事実。そんな中このスクールハウスは、アーティストがコミュニティを作り、NYをサバイバルする貴重な物件だと思う。