郊外型の住宅が流行した高度経済成長期からバブル期にかけて爆発的に増えた、同じような家が並ぶ「紋切り型」の住宅街。自分の家を間違うのではないかと思うほど、同じ見た目の家が並ぶ風景は、都市部周辺のベッドタウン出身者であれば想像に難くないだろう。

数十年前に流行したこのような住宅地は徐々に、2代目、3代目へ住み継がれたり、持ち主が変わったりすることで、新たな形を手にしはじめている。HIROSHI KUNO + ASSOCIATES(久野浩志建築設計事務所)による「KUMAGAI HOUSE」も、札幌の住宅地の一角で新たな形を手にした家だ。

HIROSHI KUNO + ASSOCIATES(久野浩志建築設計事務所)による『KUMAGAI HOUSE』の紹介。高度経済成長期からバブル期にかけて増えたベッドタウンに建つ、低層平屋と高い棟を組み合わせた住宅で、開放的で明るい家ができた。2

「KUMAGAI HOUSE」は規則的に切り分けられた区画に2階建て住宅が建ち並ぶ、ごくありふれた住宅地に建つが、少し違ったスケール感で設計されている。

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「KOUMAGAI HOUSE」は全2棟の構成で、1棟は地面に72cm埋まった平屋。ちょうどダイニングテーブルが地面と同じ高さになるよう設計されている。敷地と道路の境界を明確に分けないことで、部屋の中から見ると庭や前面の道路まで、窓の延長のように視界が広がり、開放感を感じられる。

地面に72cm埋まっていることで、建物を外から見たとき、1m87cmというちょっと背の高い人と遜色ない程度の高さに抑えられる。室内が地面と近いことも相まって、部屋の中には地面を反射した光が明るく差すようになり、豊かな空間を生み出すという。

また、建物が低い分、周囲に影を落とす範囲が狭いのも、周辺で暮らす人には嬉しいだろう。

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建物の高さが低いことで、屋上は庭の一部になる。普段はあまり上がることがない屋上が庭の一部として使え、敷地の自由度が高まっている。

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もう1棟は、3階建ての「塔」。平屋棟とは異なり、高さが8mもある。ただし、1フロアあたりの面積は3×3mの9㎡=約5畳ほどと、とても狭い。ただ、その狭さが棟の高さを強調し、平屋棟とは対照的な高さを感じられるのだ。

3階の窓は周りの紋切り型の住宅よりも高い位置にあるため、遠くの山や街並みを見渡すことができる。

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強弱の付いた2棟の構成によって、周辺の紋切り型の住宅とは明らかに違う豊かな空間が構築されている。ただ、主要なボリュームが地面に埋まって目立たないことによって、周辺の中で目立ちながらも異質な印象を与えることはない。

極端なほどに建物の高さを操作することで、周辺に違和感を与えることなく豊かな空間を作り出す。ベッドタウンにおける、新しい家のあり方かもしれない。

KUMAGAI HOUSE[homify]

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