小さなグラスのカップに注がれる、ネスプレッソのコーヒー。その贅沢さから、知らぬ間に「あれは高級品を嗜む人が飲むコーヒーだ」などと、距離を置いている人も多いのではないだろうか。

一般に市販されるコーヒーの多くは、1杯あたり140〜150mlほど。対してエスプレッソコーヒーは、40~110ml。ほんの数口で飲み切るこの量だが、目利きの大人たちはこの1杯に魅了されているのだ。

2本の指で持てるくらい小さな1カップの中に、一体何が隠されているのだろうか。

roomie_1215_1r2a6731

飲んでみると、なんとなく一般的なコーヒーとの違いは分かるが、「おいしい」のひと言で終えるのはあまりにももったいない。どんな豆が使われていて、どのように作られているのか、どんな味だと表現すればいいのか……。

まずは「味」について探っていきたい。

roomie_1215_1r2a6460

今年で30周年と、長くエスプレッソを始めとするさまざまなコーヒーを作り続けてきた「ネスプレッソ」。同社が毎年開催しているイベント「ゴールドカプセルコンテスト」は、もともとは社員のティスティングの質を高めるためのものだったが、日本では、2014年から一般の消費者向けに開催している。テイスティング・筆記試験をして、ネスプレッソのコーヒーに対する理解を深め、より楽しんでもらおうというイベントだ。

ここなら味の秘密がわかるかもしれない。

稀少な豆を使用したコーヒー「グラン・クリュ」とは?

roomie_1215_1r2a6480

世界で20名しかいないというネスプレッソのコーヒーアンバサダー、日本担当の上野里佳さんがネスプレッソで使用しているコーヒー豆について解説してくれた。

全世界で生産されるコーヒーの90%を占めるのは「通常流通品」と呼ばれる、一般的なインスタントコーヒーなどに使用されるもの。「グルメコーヒー」や「スペシャルティコーヒー」と呼ばれる残りの10%の中から、さらにネスプレッソが定めるアロマや味わいの基準を満たしたものの10~20%が、ネスプレッソのコーヒーとして使用されるという。

つまり、ネスプレッソでは全世界で生産される1~2%の高品質な豆しか使用していない。この稀少なコーヒーを、ワイン業界に倣い「グラン・クリュ」と呼んでいるのだそうだ。険しい道を辿って、選ばれた豆のみが使用されているカプセルコーヒー「グラン・クリュ」は全部で24種類。

「インテンソ」「ルンゴ」「フレーバーコーヒー」など、6カテゴリに分けて展開しているため、自身の好み・嗜好に合わせても選ぶことができる。

味を判断するための、3つの要素

roomie_1215_1r2a6549

今回参加したコンテストでは、その4カテゴリの中からそれぞれ1杯ずつ飲み、2~3つの選択肢のどのコーヒーに該当するかを判断するもの。さすがにほぼ情報がない中ではわからないので、テイスティングのコツと資料が与えられた。

roomie_1215_1r2a6639

テイスティングに大切なのは、視覚・嗅覚・味覚なのだそう。さっそく本格的になってきた。

まずは、クレマ(コーヒー表面に浮かぶ泡)の色とキメの細かさを見る。焙煎の度合いが強ければ強いほど、クレマの色が濃くなるそうだ。

roomie_1215_1r2a6637

次は香りだ。ひと言で香りと言っても、2種類あるのだとか。ひとつはクレマの上から感じる軽やかなアロマ、もうひとつはクレマの下から現れるしっかりとしたアロマ

その際、クレマの上からくるアロマからは、フルーツやジャスミンと形容されるような、繊細な香りを判断することができる。クレマの下からは、焙煎香が上がってくる。その香りの強弱を判断することで、焙煎具合を測ることができるのだ。

roomie_1215_1r2a6612

最後に、味覚。上野さんは「クレマの滑らかさやハーモニーに着目する」と話す。なるほど、ハーモニー……。ここでは合理的な判断は難しそうだ。

味覚の勝負は飲んだあと約20秒後。「アフターテイスト(後味)」の余韻の長さや苦みの度合いを確認し、判断していく。

roomie_1215_1r2a6664

この3つの軸に注意して受けた試験の結果は、4問中3問正解。

目と鼻と口で吟味・判断し、1杯のコーヒーが何ものなのかを探るのは、謎解きゲームのようで非常に楽しい作業だ。もっと経験を積めば合理的にコーヒーの味を判断することができるようになるだろう。

roomie_1215_nespressocherries1r2a6578

最後に上野さんが教えてくれた。テイスティングに大切なのは、日々飲み比べて練習することと、行う時間帯。朝の10時~12時くらいの頭がさえている時間帯に行うことが望ましいのだとか。本当に必要なのは、物事に集中できる貴重な時間をコーヒーに費やして、こだわりを追求していくことなのだろう。

生産者の生活向上を。1杯のコーヒーが、社会と繋がる

このイベントで聞いた話で印象的だったのが、ネスプレッソが行う1杯のコーヒーを飲むことで社会や環境に対しポジティブな活動をする「The Positive Cup」と呼ばれる取り組みのこと。

常に社会・環境・経済的変化を捉えながら、品質・生産性を守るため発展し続ける「持続可能なコーヒー産業」を創り上げることを目的とし、豆から1杯のコーヒーになる過程のすべてにおいて、持続可能な取り組みを組み込んでいくことを大切にしているのだ。

roomie_1215_farmer
roomie_1215_nespressocherries

その中には「生産者の生活向上」という側面もある。

ほとんどのコーヒー生産者が、保険などの福利厚生の対象ではなく、生産量と価格変動の影響にさらされているのが現状だ。そこでネスプレッソは、コーヒー生産者を救うため「小規模コーヒー農家向け退職基金」を作り上げた。このように生産者の生活を支えることで、若い世代へ続いていくような仕組み作りを行っているのである。

また、商品の高い品質を保つため、生産者に対するトレーニングも実施。プロジェクトのスタッフが生産者と緊密に連携し、互いにメリットがあるようなコーヒー作りに励んでいる。生活のフォローと、教育。まるで家族のように見守っているのだ。

Diego Jaramillo Diez, Farmer and Liliana Franco Rodriguez, Nespresso Agronomist, Jardin Colombia

他にも、日本国内では法律の関係上、カプセルのリサイクルはできないけれど、スイスでは1991年から使用済みカプセルの回収を始め、今ではネスプレッソの抽出に使用するアルミニウム製カプセルを100%リサイクル可能にしていく取り組みを始めているし、製造や流通の際に排出される二酸化炭素を減らしていこうというものも。

個人の生活を含めた生産者のフォローから、環境への配慮まで、その活動は多岐にわたっている。高品質な、1杯のコーヒーができ上がるまでの過程は、果てしなく長い。

ネスプレッソのコーヒーは、テイスティングにしても、生産者から始まるコーヒー作りの面でも、まだまだ掘り下げる事象がたくさんある。

まずは、ネスプレッソの「ゴールドカプセルコンテスト」で腕試しをしてみるのがいいだろう。初心者でも楽しみながら学べるのみならず、ネスプレッソコーヒーの奥深い世界にダイブするきっかけになるはずだ。

[NESPRESSO]

photo by Ryuichiro Suzuki

この記事を気にいったらいいね!しよう

ROOMIE(ルーミー)の最新情報をお届けします。

あわせて読みたい

powered by cxense