運命を変える1冊に出会えるかも?
インテリア事例でよく見かける、テーブルの上に平積みされた分厚いアート本や写真集。海外では「コーヒーテーブルブック」と呼ばれていて、もともとは訪問客が待ち時間に見たり、コーヒーブレイクのときにパラパラと楽しむために置いていたといいます。
現在はディスプレイとしての要素が強く、無造作に積み上げるだけで部屋に都会的なアクセントを与えてくれます。
コーヒーテーブルブックに明確な定義はありませんが、大判サイズで、できるだけ分厚く、写真やイラストを多く使ったもの、というのが一般的な見方。選ぶ本はどんなジャンルでもかまいませんが、できれば自分が興味のあるものか、見ているだけでワクワクしてくるようなビジュアル重視のものがおすすめです。
今回はぼくが購入したものから、友人宅で見せてもらったもの、本屋で発見するも値段を見て断念したものまで、様々なジャンルのコーヒーテーブルブックをご紹介します。どれもこれも知的好奇心をくすぐる、おすすめのものばかりです。
『川瀬敏郎 一日一花』
日本を代表する華道家、川瀬敏郎。幼少より池坊の花道を学ぶも、現在はどこの流派にも属することなく、独自の創作活動を続けています。
こちらの作品集は、2011年の東日本大震災のあと、花を手にすることができなくなっていた彼が、生者死者をとわず、全ての人への献花のつもりで「一日一花」ずついけはじめたときの記録です。
作品の横にはいけた日付と、彼による短いコメントが添えられています。美しくいけられた小さな花たちの生命力が、傷ついた人々の心に静かに寄り添っているようにも見えます。自分の誕生日にどんな花がいけられていたかも気になるところ。詳しくは出版社サイトから。
『Wonderwall Case Studies』
ワンダーウォールの代表で、今年50歳を迎えた片山正通。国内外の店舗や空間デザインを手がけ、現在は武蔵野美術大学で教授として勤務する日本を代表するデザイナーのひとりです。
今年8月に発売された『Wonderwall Case Studies』は、ドイツのゲシュタルテン(Gestalten)から出版され、ワンダーウォールがこれまで世界中で手がけてきたプロジェクトやプロセス、考え方などをまとめた総合的な書籍。
インテリア好きにとっては彼の作品を一挙に楽しめる待ちに待った1冊です。
『CHANEL Catwalk』
みんな大好き(?)カール・ラガーフェルドが、シャネルで発表した全コレクションを一冊にまとめた書籍『Chanel: The Complete Karl Lagerfeld Collections』。
ラガーフェルドのバイオグラフィーはもちろん、1983年のデビューコレクションから現在までに発表された150以上のコレクションが年代順に収録されています。クリエイティブに関わる人なら、喉から手が出るほど欲しい1冊。まさにインスピレーションの宝庫です。
『Modernist Cuisine : The Art and Science of Cooking』
元マイクロソフトのナンバー2を務めたネイサン・ミアボルド氏が、マイクロソフトを退社後に製作した料理科学本『Modernist Cuisine』。調理中におこるあらゆる事象を科学的、数学的にとらえたアート本のような革新的な1冊、というか全5巻セットの超大作です。
さすがにレシピ本として使うには内容が難しすぎますが、美しい写真を楽しむだけならまったく問題なし。ただし、価格も内容にふさわしく超ハイエンド…。詳しくはコチラから。
『Kishin Shinoyama. John Lennon & Yoko Ono. Double Fantasy』
ジョン・レノンとオノ・ヨーコが完成させた奇跡のような名アルバム『ダブル・ファンタジー』。ジョンはこの作品をリリースした1か月後に帰らぬ人となるため、それが彼の最後の作品になってしまいました。
そのジャケットで使われた2人のキス写真を撮影したのは、写真家の篠山紀信。この美しい1枚を撮るために、彼は800枚以上の写真を撮影したそうで、アルバムリリースから35年の時を経た昨年、それらの写真を収めた写真集『Kishin Shinoyama. Double Fantasy JOHN LENNON & YOKO ONO』を発売しました。
世界一愛し合っていた2人の何気ない1日。そこにはどんな風景が写されていたのか。TASCHENのサイトはコチラから。
『横尾忠則全ポスター』
日本を代表する天才、横尾忠則。生前にも関わらず、自分の名前が付いた美術館が建てられ、いまも多くの芸術家に影響を与え続ける生ける伝説です。
その才能に完膚なきまでにノックアウトされたいなら、兵庫県神戸市に建設された「横尾忠則現代美術館」に行くのがいちばんですが、それが難しい人は、彼の高校生時代の作品から最新作までを完全網羅した『横尾忠則全ポスター』で存分に体感してみてはいかがでしょう。これ、欲しいなぁ…。
『デザインを知る世界の名著100』
最後にご紹介するのは、メディアクリエイターのハイロックさんが運営するサイト「HIVISION」で紹介されていた『デザインを知る世界の名著100』というデザイン本です。
世界中から選りすぐったデザイン本を100冊紹介しているので、これをカタログ代わりにしながらお気に入りの本を探してみるのもおすすめ。グラフィックデザインのアイデアブックとしても大満足の1冊です。
ディスプレイアイテムとしてだけでなく、気が向いたときにパラパラとめくれ、いつでも目の保養になってくれるコーヒーテーブルブック。どの本も値段が高く、気軽に買えるものではありませんが、古本屋の洋書コーナーには意外と掘り出しものが眠っていたりしますよ。
さて、あなたはどんな本をテーブルの上に置いてみたいですか?
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