バリ島の人気スポットに「グリーン・ビレッジ」という場所があります。
東京ドーム2個分の広さを誇る「グリーン・ビレッジ」には、すべて竹によってつくられた建築群があり、学校、図書館、食堂、ゲストハウスなどがひとつのコミュニティの中に存在しています。
これらの建築を担当したのはエローラ・ハーディー率いるデザイン集団「IBUKU」。
2015年のTEDカンファレンスでは「魅惑のバンブーハウス 竹の建築」というスピーチを行い、世界中にその名を知られる存在になりました。
彼女がTEDの中で紹介した「6階建てのバンブーハウス」は、ほぼすべてが“竹”によって構成されたもので、竹が生み出す独特の有機的なフォルムは、これまで誰も見たことがない不思議な世界観を作り上げています。
深い峡谷や山腹など耕作に向かない土地でも育つ竹は、成長するスピードも早いのが特長。中が空洞で軽いにも関わらず、竹1本で4トンの重さに耐える強さを持ち、熱帯の地域では古くから建築材料として使われてきた歴史があります。
しかし、長年使用した竹は虫害を防ぐことが難しく、手入れを怠ると色あせてしまうこともあり、あまり積極的に使われてきませんでした。
「IBUKU」では、使う竹に安全な処理方法を施すことでそれらの問題を解決し、現地の職人技術と最新テクノロジーを組み合わせることで、熱帯の環境にもっとも適した方法で建築に落とし込んでいます。
竹しか使えないという制約は「IBUKU」にとっては大きなチャレンジでもあると同時に、あらゆる建築の常識を疑うきっかけになると語るエローラ・ハーディー。
例えば、ドアの形ひとつをとっても「長方形がいいのか、丸形がいいのか、はたまた涙型にしたらどうか」と試行錯誤を繰り返しながら竹と向き合っているといいます。
彼女のTEDでの日本語字幕付きスピーチは以下からご覧いただけます。
持続可能な資源でありながら、未知なる想像の可能性を秘めた“竹”という素材。
ただの意匠としてではなく、建材としての竹の魅力を世界中に知らしめた「IBUKU」の功績は計り知れません。
過酷な環境でも育ち、3日で1メートル成長することもあるという竹。未来の住まいづくりでは、竹を使ったものがいま以上に増えているかもしれませんね。