仕事をするうえで欠かせない、モチベーション管理。
モチベーションを上げる方法は人それぞれありますが、共通して言えるのは「モチベーションが高いとき、人は心地よさを感じている」ということ。
今回は、心理カウンセラーである私が、認知心理学をベースに「心地よさを呼び起こし、仕事のモチベーションを上げる」部屋づくりを紹介します。
心と空間はつながっている
心理学には「外界の出来事は、心の中の出来事を表している」という考え方があり、それは何気ない服装のチョイス、しゃべり方、好きな色、挙動など、いたるところに見られます。
インテリアなどの住空間もまた、例外ではありません。
精神的に疲れているときは部屋が荒れる。断捨離を行えば心がスッとする。このような、空間と心のつながりを感じる方も多いでしょう。
心の状態が変われば空間が変わり、空間が変われば心の状態が変わります。そのシステムを上手に使えば、心理的に快適な部屋をつくることができるんです。
姿勢によって気分が変わる
私たちは無意識のうちに「快感情と上」「不快感情と下」を結び付けています。
例えば「テンションが上がる」「志が高い」「落ち込む」といったように、上下概念と快不快は言葉にも表れていますよね。
ドイツの心理学者ストラックらが1993年に行った実験では、正立姿勢でフィードバックを受けたグループは、うつむき姿勢の状態でフィードバックを受けたグループに比べ、自身の成績に誇りを持つことが明らかになりました。そのほか、姿勢によって気分も変わることが、この実験で示されています。
うつむいた状態では呼吸が苦しくなり、脳の活動が鈍くなってしまいます。そうなると、気分が凹みやすくなるんですね。
スマホに集中していると、どうしてもうつむきがちになってしまいますが、たまには上を向くことが心の健康には大事、というわけです。
目線を高くする部屋づくり
上が快、下が不快を表すということがわかったところで、今度はそれを部屋づくりに活かす方法です。
部屋づくりでのポイントは「上に目を向ける」こと。上とは「目線以上」だと考えていただいて結構です。
例えば……
・床座をイス座に変える
壁に絵画を飾る場合は、全体を見たときに、少し顔が上を向く位置に飾るのがいいでしょう。風景画であれば、それ自体が快感情を呼び起こす刺激となるので、なおよしです。
床座をイス座に変えるのも効果的です。床座だとうつむきがちになってしまうので、ソファやチェアなどイス座を取り入れることで、姿勢から快感情を呼び起こせるというわけです。
片付ければ、物事がいい方向に向かう
部屋を散らかったままにしておくと、モチベーションの低下につながってしまうので注意が必要です。
当たり前のようですが、これは悪いことがさらに悪いことを呼ぶという「ブロークン・ウィンドウズ現象」に裏付けられていることです。
逆を言えば、片付ければいい方向に向かう、と言えますね。
事実、スティーブ・ジョブズ氏はアップル社に復帰した際、ブロークン・ウィンドウズ現象を利用して社風改革に成功したといいますから、効果は絶大です。
・少し顔が上を向く位置に、絵画を飾る
・床座をイス座に変えて、姿勢を整える
・部屋の片付けは定期的に
人が感じる「心地よさ」は、空間によって左右されます。空間を上手にアレンジして、モチベーションアップを目指しましょう!
Young Couple, working on a laptop computer,The closet, hanging picture image, cleaning kitchen via shutterstock