ペンキを何重にも塗り重ねた廃材を、個性として生かした家具。
絶妙な色合いのデザインは、デザイナーのPiet Hein Eek(ピート・ヘイン・イーク)さんによるものです。
Piet Hein Eekさんはオランダのデザインアカデミー出身。
スクラップ材木や工場廃棄物などの素材を利用して、リサイクルやサスティナブルなど、環境を意識したものづくりをされています。
1点1点手作りの表情豊かな家具は、大量生産品には生み出せない味がありますね。
今回は彼が製作したいくつかのシリーズを紹介します。
スクラップウッドシリーズ
Piet Hein Eekさんの代名詞的なシリーズ。
「スクラップウッド カップボード」は、1990年、卒業製作のために製作したもの。これが注目を集めるきっかけとなりました。
自然の中で拾った材木などでできた家具は、きれいで歪みがない工場でつくる製品とは、真逆の魅力があります。
40×40シリーズ
自身の家具作りから生まれる廃材をさらに活用した、モザイクタッチの家具。
漆塗りで、同じものは2つとないところに惹かれますね。
ワンプレート プリントシリーズ
1枚の板を無駄なく裁断したシリーズ。
作る過程で出た廃棄物は、ごく小さなネジ穴の部分だけ、というこだわりようです。
方眼紙のような細い青線には、キリッとした清潔感があります。
彼のつくる家具は「作品」と言ってしまいそうな佇まいですが、あくまでも実用を主眼に置いています。
人々が持つ「環境を考慮したい」気持ちと、消えない「消費したい」欲求。
そこからリサイクルという意識が生まれ、そこでもまた何かが破棄される。
そこでPiet Hein Eekさんが考えたのは、環境と欲求、その2つを同時に叶えるには「審美性」「機能性」「耐久性」を兼ね備えた家具を生み出す必要があり、それをサポートするのは、高品質の素材と職人の技であるということ。
それが彼の製品の根幹にある考えなのですね。
オランダ、アイントホーフェンにある彼のスタジオでは、ギャラリー、ショップ、レストランが併設されています。
所要時間2時間半のワークショップも行われていて、スツール、テーブル、ベンチの3種類から1つを選んで作ります。
70ユーロ(約8,200円)でPiet Hein Eekさんデザインの家具を手に入れられるなんて!
すべての製品はストーリーそのものである、と言うPiet Hein Eekさん。
経験や年月を経た素材が醸し出す美しさ、その背景にあるストーリーも知りたくなりますね。
日本では主にCIBONEで取り扱いがあります。
Piet Hein Eek[CIBONE]