動物たちが人間のように暮らす楽園、ズートピアには、それぞれの動物の異なる生態に合わせて6つのエリアが存在します。シリーズ第3回目では、ハリウッドで活躍する凄腕クリエイターたちに、ズートピアの都市計画について教えてもらいました。
roomieにお話を聞かせてくれたのは、プロダクション・デザイナーのデイヴ・ゲッツさん、環境担当アート・ディレクターのマティアス・リクナーさん、環境ルック・スーパーバイザーのランス・サマーズさん、そして撮影監督と照明を務めたブライアン・リーチさんです。ここでは彼らの解説と劇中からの写真やコンセプトアートと共に各エリアをご紹介します。
バニーバロウ
ズートピアから300キロ以上離れた片田舎の町バニーバロウは、ジュディの地元。一面ニンジン畑が広がり、何百万羽ものウサギたちがニンジン作りに励んでいます。ウサギは繁殖力が高いため、ジュディには275羽もの兄弟姉妹が。駅で見送っているのは、全員家族だったんですね……。
ジュディがこの町を出たいと思う理由が必要だから、バニーバロウはすごくシンプルな場所にするべきだと思った。ニンジンだけが大量に栽培されている農場を見れば、彼女がなぜ上京したかったのか分かるよね(笑)
サハラ・スクエア
電車に乗ってズートピアに入ったジュディが最初に目にするエリア。ラクダなど、砂漠の動物が暮らしています。
昼間は暑すぎるから、砂漠に住む動物の大半は夜行性なんだ。そこで、サハラ・スクエアはカジノやホテルがあるズートピアのナイトライフが楽しめる場所にした。僕らの全ての作業には必ずロジックがあり、裏話があるんだよ。
ツンドラ・タウン
サハラ・スクエアから気候の壁を通り抜けてたどり着くのは、北極の動物たちが暮らすツンドラ・タウンです。サハラ・スクエアとツンドラ・タウンの環境に関しては、NASAの気候学者を招いて勉強したそうです。
ここでは建物にロシアの影響が感じられる。何もかも雪と氷でできた世界なんだ。でも、電気や信号は雪や氷ではなく、ちゃんと作動している。この場所は実在するんだ、本当に訪れられるんだと、観客が感じられることが重要だった。
レインフォレスト地区
ヒョウなどが高地で暮らす熱帯雨林のエリア。滝や緑豊富な景観が美しく、ゴンドラや跳ね橋が活用されています。
他のエリアと同様、ここも人工的に作られた環境だよ。蒸し暑くてカラフルで、昼間に作動するスプリンクラーシステムで常に雨を降らせている。高低差があるから上下に物を運ぶために、小型飛行船が便利なんだ」
サバンナ・セントラル
ジュディが電車を降りる駅で、ズートピアで一番の大都会。あらゆる動物たちが集まってくるダウンタウンです。
1820年代に建てられた実在の駅をベースにデザインしたんだ。そこに動物らしい装飾を加えるために、角や動物向けの公共広告を作った。劇中に登場する車は有名なカーデザイナーのJ・メイズによる最高水準のデザインだよ。
リトル・ローデンシア:
ズートピアで暮らす最も小さな動物、ネズミたちが暮らす、ミニチュアサイズの特別地区。気候に基づいているわけではなく、ただただ小さいのです。
ブルックリンの街並などを参考に、ネズミたちが誇りに思っている美しい小さな街を作った。クリスマスライトを街灯にしていたり、細かいディテールが見られるよ。リトル・ローデンシアでのチェイスシーンもあるんだけど、『ゴジラ』や『キング・コング』のミニバージョンといったイメージなんだ。
主人公のウサギのジュディが上京するシーンでは、ズートピアへ向かう電車の車窓から各エリアが観られて圧巻です。実家を離れた時のことがフラッシュバックして、じーんと来る大人続出。
また、4人いわく、劇中にはたくさんの小ネタが隠されているそう。『アナと雪の女王』のエルサのような格好をしたゾウや、警察署の壁に貼ってある『ベイマックス』カレンダー、さらには隠れミッキーもいるのだとか。
「初見では気づかないようなサプライズ満載だから、もし子どもが100回観たいと言ったら、一緒に観て小ネタを探すといいよ。僕らは常に家族みんなが楽しめる作品にするべきだと考えているんだ」とマティアスさん。
ブライアンさんは、「キツネのニックがベビーカーを押しているシーンで、カバが逆方向に歩いて行くんだけど、注意深く見ると、カバが押しているベビーカーのどこかにミッキーが隠れているよ」と教えてくれました。
『ズートピア』は全国公開中。ストーリーのみならず、その壮大な世界観も大いに楽しめる作品です。
製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:クラーク・スペンサー
監督:バイロン・ハワード『塔の上のラプンツェル』/リッチ・ムーア『シュガー・ラッシュ』
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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大ヒット上映中
Photo: Kaori Kikuchi
取材協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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