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地方の町に行くと必ず迷子になる。

いまではスマホの地図アプリを見ながらということもあり、そこまでオオゴトになることもなくなったが、ときどきは天のいたずらなのか「ちょっとはこの町を楽しみなさい」と、スマホの充電が切れたり、GPSが正しく動かなくなるときがある。

そんなとき、東京ではあまり困ることがない。土地勘があれば大体の検討はつくし、迷ったところで、人が多そうな方へ歩き続ければ大通りに出るからだ。

しかし、地方ではそれが通用しない。これまでの経験もまるで役に立たないのだ。どこからともなく吹き込む潮風や、東京ではお目にかかれない裏山、地元の定食屋から漂ってくるノスタルジックな匂い、横断歩道の青信号を知らせるご当地メロディーも、体内GPSを狂わせるには申し分ない。

この瞬間、僕は地方のオリジナリティに敗北を感じながら、異邦人のような感覚を楽しむことにしている。

地方の町には、その土地ならではの文化や歴史が色濃く残っている。それは、関東大震災や東京大空襲、そしてスクラップ&ビルドを繰り返した「東京」が、唯一手にすることができなかった価値かもしれない。

そして、その価値に気づいている町はやはりおもしろい。

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大阪市の「北加賀屋」という町は、大正時代から“造船の町”として栄えた町である。ここのランドマーク的存在になっているのが、名村造船所の大阪工場跡地だ。

港に面したロケーションにたたずむ異様な存在感。中には原寸大の船の図面を作成していた巨大スペースまである。現在は「クリエイティブセンター大阪(CCO)」として生まれ変わり、イベントやパーティー会場として使用されているという。

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この建物がある「北加賀屋」という街は、いま、クリエイティブをキーワードに新しいコミュニティが誕生している。最近、そんな注目エリアに気になるプロジェクトが立ち上がった。

大阪R不動産を運営する株式会社アートアンドクラフトが仕掛ける「元鉄工会社社宅」のリノベーション、「APartMENT」プロジェクトである。

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このプロジェクトの事業主である千島土地株式会社とアートアンドクラフトが、8組のアーティストに声をかけ、旧社宅の一室をそれぞれリノベーションしてもらい、一般に貸し出そうというもの。大阪R不動産の公式サイトでは、このプロジェクトの連載コラムがスタートしている。

参加アーティストは、GREEN SPACE、スキーマ建築計画、電化美術×FabLab Kitakagaya、NEW LIGHT POTTERY、松延総司、松本 尚、吉行良平と仕事、Rhizomatiks。

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3月19日、20日、21日、26日、27日には、APartMENT一般公開(申込不要)、3月19日には8組のアーティストが集結するトークイベント&オープニングパーティー(要申込み)があり、ついに空間がお披露目となる。


社宅としての役目を終えた建物は、今後どんな姿に生まれ変わっていくのか。そして、どんな人がここに住み、どんなコミュニティが生まれていくのか。

どんなにクリエイティブで理想的なアイデアだとしても、ふたを開ければ誰にも見向きされない可能性だってあるし、そんな事例はいくつも知っている。

北加賀屋の未来は、果たしてどちらに転がるのだろう。連載コラムを読みながら、大阪の小さな町にこれからも注目しようと思う。

APartMENT
【連載】北加賀屋にアートな集合住宅登場! [R不動産]

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