関東でも雪が降ったりと、手袋やマフラーが手放せない今日この頃。そんな時にはやっぱり、恋しくなるのはアレ。
そうほっくほくのお鍋! せっかくだから、今夜はこんな個性的なお鍋でお料理を作ってみてはいかがでしょう。古くから伝わる伝統を大切にしながら、固定概念にとらわれないという沖縄の一翠窯 高畑さんの作品は、「土から生まれ、土へと帰る私が土を焼き、ものを作る」という創作視点で製作されており、斬新なデザインと味わい深い色合いが魅力的です。
そんな高畑さんの〈ねったいのよるのゆめのなべ〉は、そのインパクトあるネーミングもさることながら、特筆すべきは製法にあります。
実はこちらのお鍋、胴体部分をタイ王国ランバーン県モンカオケオ村にて、ふた部分を沖縄県読谷村の工房にて制作されており、胴体部分は現地に伝わる伝統技法である叩きづくりと野焼きにてつくられているそうです。
ろくろを使わず、ひも状の粘土を積み重ね、木のコテで叩き締めながら形成する「叩きづくり」、そして、窯を使わず地面に器を置き、その上に藁や薪などをかぶせて焼く「野焼き」という、原始的な制作方法で、縄文土器や弥生土器と同じような技法でつくられているのだとか。
手に取るだけで、土の温かみを感じることができそうです。
胴体部分はロクロを使わない叩き技法によってつくられていることから、形はひとつずつ違います。蓋との合間に隙間ができ、ぐらつきがある場合がありますが、それもアジのひとつ。使い込むほどに変化する土の表情を楽しむのがオツなのかもしれません。
その最大の特徴は、土器は金属に比べて温まるのに時間がかかりますが、その分冷めにくく、じっくりと煮込むことができ、素材そのものの味を楽しむことができるということ。
日々の生活で愛着を持つことで、鍋も育っていく。そんな風に長く使いたくなるお鍋で、冬の食卓にいかがでしょうか。