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©Jérémie Souteyrat

住む場所と地球に愛を込めて。

「コンクリートで内外部を包み込んでほしい。そして、そのコンクリートは挑戦的であり、環境的であってほしい」家にそんな願いを抱いていたのは、化学者であり、建築やアートが好きなご夫婦です。

山下保博率いるクリエイティブ建築集団アトリエ・天工人(テクト)は、2年半の歳月をかけてご夫婦の理想の家を完成させました。

R-Torso-C House by Atelier Tekuto
©アトリエ・天工人

R・トルソ・C」は、東京都の中心に位置し、敷地面積66㎡と小さめの住宅です。

大きな特徴は、自然と環境に寄り添う建築のあり方が追求されていること。

R-Torso-C House by Atelier Tekuto
©Jérémie Souteyrat

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©傍島利浩

東京の都心で、広大な自然を感じられる唯一のものは「空」。そんな空と建築の繋がりを意識した家をつくりました。

建物のコーナー部分を欠き取ることで、室内の空間をより広々と感じられるようになっているのです。

R-Torso-C House by Atelier Tekuto
©Jérémie Souteyrat

驚きなのが、R・トルソ・Cには100%リサイクル可能なコンクリートが使用されていること。

砂の代わりに、九州南部で多く採集できる火砕流堆積物「シラス」をコンクリートに入れているのです。

この素材、なんともいいことづくめ。ポゾラン反応という化学反応で強度が増し続けること、シラスに独立気泡があるため調湿、消臭効果が期待できるんです。

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©傍島利浩

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©傍島利浩

また、「コンクリート」はなんとなく冷たいイメージがありますが、環境エンジニアによる「循環する熱システム」が採用され、夏は涼しく冬は暖かくする工夫がされているんですって。

R-Torso-C House by Atelier Tekuto
©Jérémie Souteyrat

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©傍島利浩

R-Torso-C House by Atelier Tekuto
©Jérémie Souteyrat

R-Torso-C House by Atelier Tekuto
©Jérémie Souteyrat

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©傍島利浩

地下は防音性を考慮した音楽室、1階はゆったりとしたギャラリー・和室、2階はLDKと水回り。

建物の形状は、さまざまな三次元の模型の検討から導き出されました。平面的にではなく、断面的に空間を検討したため、光が建物の中に十分入るようになっています。そのため、すべてのスペースがとても開放的で、小さめの家にもかかわらず空間が広々と感じられるのです。

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©傍島利浩

建主と建築家のこだわりがギュッと凝縮された、個性あふれる魅力的な建築です地球へのあたたかい想いと、それを叶えるプロフェッショナル集団の匠の技は、見ていると心が躍ります。

ひとつとして同じ家はこの世の中に存在しない。だけどもここまで「オンリーワン」のお家は、なかなかないですね。こんなところに住めたら、毎日がとっても楽しいだろうなあ。

R・トルソ・C [アトリエ・天工人(テクト)]

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