吉祥寺というと、「住みたい街ランキング」の上位を常にキープしている街として有名です。

いちばん有名なのはSUUMOの住みたい街ランキングですが、上位ツートップは「吉祥寺」「恵比寿」というのが鉄板で、2015年ランキングでも同様でした。シングルにもDINKSにもファミリーにおいても1位というのですから、すべての層において吉祥寺が好きというわけです。

不動産大手7社が運営するMAJOR7というサイトでは「住んでみたい街アンケート」というのをやっていて、こちらの2015年版では吉祥寺を恵比寿が上回って悲願の1位になったと話題になったほどです。

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吉祥寺の人気要因は、緑の多さ(井の頭公園)、商業施設の充実(駅ビルから周辺でおしゃれショップが並んでいる)、交通アクセス(井の頭線と中央線がそれぞれ新宿と渋谷に接続)、飲食店の充実(おいしいランチ、夜の食事に困らない)などなど、理由を数えれば枚挙にいとまがありません。

ところがこのコミックの主人公たち、吉祥寺の地元不動産屋さんであるにもかかわらず「吉祥寺以外」をすすめていくのです。タイトルもずばり吉祥寺だけが住みたい街ですか?です! タイトルだけでも、おもしろそうな予感が伝わります。

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むしろ吉祥寺以外のほうがいい街かも

主人公は吉祥寺に古くからある不動産屋で働く、なぜかメタル好きの双子姉妹。地元の不動産屋ならではの物件を紹介するコミックかな、と思えばその逆で、吉祥寺に住もうとやってくる客を次々「吉祥寺以外」に連れて行きます。

主人公のふたりは吉祥寺に長く住みつつ、吉祥寺が変わっていく姿におもしろくないものを感じていて、「吉祥寺に憧れているの住んでみたいですー」みたいな客を、「吉祥寺以外」のおもしろさや良さがあるエリアに連れて行くのがこのコミックのおもしろいところです。

最初のエピソードはいきなり「雑司ヶ谷」に連れて行きます。雑司ヶ谷ですよ。山手線の内側に入ったうえに、アクセスは都電荒川線か副都心線しかないエリア。スタバもタリーズもなし!(笑) ある意味で吉祥寺より田舎感覚のあるエリア(これは褒め言葉)で、しかしお客さんの気に入ってくれる物件を紹介します。

それ以降もとにかく、吉祥寺に憧れて来たお客さんを「吉祥寺以外」に連れ出します。1巻のエピソードだけ取り上げても、五反田、錦糸町、駒澤大学、中野へと連れ出しますが、これがまた「吉祥寺へのあこがれ」とはまったく異なる雰囲気の街ばかり。しかし、そこにお客さんの本音の「住みたい街イメージ」に合うポイントがみつかり、初めて歩いた街に心引かれ、「吉祥寺以外」に住むことを決めていきます。

エピソードに出てくるお客さんが、初めての街を気に入った瞬間を見開き大ゴマで描くのもまた素敵な演出で、コミックの見所になっています。むしろ吉祥寺以外のほうがいい街がたくさんあるんじゃないのか、と思えてくる、とてもユニークなコミックです。

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部屋を借りるのは「街を選ぶ」ということ

筆者は街歩き好きで、東京スリバチ学会の会員としてブラタモリ的にいろんな街を歩いていますが、生活拠点としては神楽坂周辺に12年ほど暮らしています。

古い街並みに憧れて神楽坂を散策する人、飲み会の会場を探して街をうろうろする人は多いのですが、実は商店街が生き残っていて日常の買い物をするのにまったく困らないエリアでもあります。

個人的に気に入っているのは夜の道路の暗さで、郊外の住宅街から越してきたときは街路灯の少なさに驚いたものです。しかし神楽坂という街の雰囲気にはこれくらいの灯りの数がちょうどいい風情だなと思っています。

また神楽坂のおもしろいところは高低差で、タモリも大喜びしそうなアップダウンが街の特徴となっています。飯田橋駅前から神楽坂の奥にのぼると建物の3階に相当するくらいの高さを一気に上がるようなものですし、高低差が急すぎて人しか通れない階段が路地裏にはたくさん残っています。

私はそういう神楽坂が好きで、もう離れられないなあと思っていたりします。結局のところ、部屋を借りるというのは「街を選ぶ」ということなのだろうと思うのです。

「2016年は賃貸の更新が来るな-」「引っ越し(ないし一人暮らし)考えてみようかな」と思っている人はぜひ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』を読んでみてはいかがでしょうか。公式サイトでは第一話の試し読みができます。

なお、同じ著者の『いつかティファニーで朝食を』も合わせておすすめです(なお、タイトルからオードリー・ヘップバーンをイメージすると軽やかに裏切られます)。

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