帰りたくなる部屋、居心地の良い部屋、人を呼びたくなる部屋。いわゆる“いい感じの部屋”の条件って何でしょう? 広さ、家具やそのレイアウト、照明、自然光の射し込み方など、挙げればキリがありません。
リノベーションや家具を買い換えるとなると、かなりハードルが上がりますし、模様替えくらいなら、思い立った時にできそうですが、もっと手軽に雰囲気を変えられる方法がありました。例えば部屋に素敵なポスターが飾ってあったなら、今までよりずっと居心地が良くなって、大切な人を呼びたくなるかもしれません。
さて、飾るなら素敵なポスターが必須ですが、“インテリアとしてのポスター” を提案している「KNAPFORD POSTER MARKET」は、その名の通りポスターの専門店です。
こちらは世界中からデザインの質の高いものを厳選して集めた、日本でも数少ないポスター専門店。海外ミュージアムのエキシビジョンポスターや、ヨーロッパのデザイナーによるエビグラム・ポスター、ビンテージ・ポスター、バンドのギグポスターなど、希少なポスターを扱っています。
今回、東京・初台でショップを経営されている井上恭太さん・慶太さん兄弟にお話を伺いました。
—まずはじめに、店名の由来を教えてください。
KNAPFORD(ナップフォード)は、僕と息子が愛して止まない『きかんしゃトーマス』に登場する駅の名前です。いつかあのナップフォードの町にお店を出したい、そんな想いから名前をつけました。(弟・慶太さん)
—ショップは、いつオープンされたのですか?
2014年4月にECサイトを、その2ヶ月後の6月にこの初台のショップをオープンしました。「ポスター専門のショップをやろうかな」と思い始めて3〜4ヶ月でオープンしたので結構早かったですね!
僕はもともとウェブメインのデザイン会社を経営しているので、ウェブサイトを立ち上げるのは得意なんです。ですので、先にECサイトを開設しました。(弟・慶太さん)
—「KNAPFORD POSTER MARKET」では、様々なポスターを扱っていらっしゃるようですね!
海外ミュージアムのエキシビションポスター、ヨーロッパのデザイナーによるエピグラム・ポスター、ビンテージポスター、バンドのギグポスターなど、8種類くらいのカテゴリーに分かれています。
ライフスタイルに応じた空間演出ができる「インテリアとしてのポスター」をご提案できるようなものを海外から買い付けていますが、中には稀少性の高いポスターもあります。(弟・慶太さん)
—ポスター専門店は、日本にあまりないですよね?
そうですね。日本全国探しても数少ないかと。画廊や一部家具屋さんで扱っているところもありますし、最近はインテリアショップでポスターを販売もしていますが、ポスター専門のショップは非常に少ないと思います。(弟・慶太さん)
—実際にどのように買い付けされているのですか?
まずインターネットでデザイン性の高いポスターを探し、オークションなどで購入したり、またアーティスト自身にコンタクトを取るなどします。海外に買い付けに行くときはあらかじめ調べて行くところもありますが、バスの中からふっと目に入ったお店に立ち寄って購入したりもします。以前、フランスに行ってポスターを買ってきたことがあったのですが、店員に「このポスターはレアだ!」と言われて買ったところ、日本に戻ってきて調べてみたら、実際には買った値段の10分の1 で売られていたということもありました。(弟・慶太さん)
—ショップで扱うポスターの基準はありますか?
デザインはもちろん、年代や希少性、コンディションなど、それらのバランスを考えています。有名、無名(日本ではあまり知られていない)を問わず、アーティストのエキシビジョンポスターなど、家に飾った時に映える作品をセレクトしています。やはり展覧会のポスターや、日付や場所が印字されているポスターは人気がありますね。その期間しか開催されていない限定感が良いのかなと思います。(弟・慶太さん)
—ポスター専門店というと、ポスターを丸めて販売しているのかな?とイメージされることもあるかと思うのですが、「KNAPFORD POSTER MARKET」さんは販売方法もこだわりを持っていらっしゃいますね。
ポスターだけを売ることはせず、ポスターに合わせたフレームもセットで販売しています。ポスターにとって額縁は非常に重要な要素なので、こだわって選んでいます。(弟・慶太さん)
今、寄せアクリル工芸品を作っているDelivery Worksの俵藤ひでと氏とコラボレーションしてフレームを作ってもらっています。これは日本の伝統工芸品の寄木細工の技法を使ったもの。寄木細工は様々な種類の木材を組み合わせ、それぞれの色合いの違いを利用して模様を描く木工技術ですが、木材の代わりにアクリルを使ったのが「寄せアクリル」です。佐藤さんの作品に一目惚れして、特別にフレームを作ってもらいました。(弟・慶太さん)
「ここ数年でライフスタイルを表現するためのインテリアの質が高まってきていることを実感している」と兄・恭太さん。
そのためにもポスターを丸めた状態で単体で販売せず、ポスターに合った額縁をきちんと選び、額装した状態で販売するスタイルを取っているのだとか。
「ライフスタイルにこだわりを持っている方、これからこだわっていきたいと考えている方の部屋をもっと素敵な空間に演出するインテリアのアイテムのひとつとしてポスターを広めていきたいと思っています」(兄・恭太さん)。
「KNAPFORD POSTER MARKET」のウェブサイトにはポスターの掛け方を紹介しているページもあります。壁の材質ごとの掛け方や、穴をあけないでポスターを飾る方法など大変参考になりますよ。
たった1枚のポスターがあるだけで、お部屋の雰囲気は格段に良くなります。「KNAPFORD POSTER MARKET」なら、きっとお気に入り1枚に出会えますよ。
Photographed by KNAPFORD POSTER MARKET、岡本英子