11月半ばより、ルーミーのトップイラストを変更しました。
こちらのコラージュ画像を手がけたアーティスト、とんだ林蘭(とんだばやし・らん)さんをご紹介します。
とんだ林蘭さんは、東京を拠点に活動を行うアーティストで、イラストやコラージュなどの作品をインスタグラムを使って次々と発表しています。
とんだ林蘭 / RAN TONDABAYASHI オフィシャルサイト:
http://tondabayashiran.com/index.html インスタグラム:
https://instagram.com/tondabayashiran/ ツイッター:@tondabayashiranポップでかわいいビジュアルを得意としながらも、どこかに毒っ気を感じさせる作風が特徴。インスタグラムのフォロアーはすでに1万3千人を突破し、いま注目される次世代アーティストのひとりです。
今回のインタビューでは、彼女のちょっと変わった名前の由来から、創作活動の秘密まで、気になることをアレコレ聞いてみました。
アーティスト活動を始めたきっかけは?
ルーミー編集部・中島(以下、中島):もともとコラージュが好きで、偶然インスタグラムでとんだ林蘭さんの作品を見つけたときに、「あ、好きかも」って思ってすぐにファンになっちゃいました。
とんだ林蘭(とんだ林):ありがとうございます(笑)。
中島:まずは、アーティスト活動を始めた“きっかけ”を教えてください。
とんだ林:前の仕事が事務職で、夕方には退社できる職場だったんです。浅草に「THE THREE ROBBERS」という洋服屋があるんですが、多いときはそこに週5ぐらいで通っていました。
中島:古着屋さんですか?
とんだ林:古着もあるんですが、少し変わった服屋さんで…。こだわりをもった店主がいるんですが、そこにミュージシャンなどの著名人も集まってきて、店で遊んだり、ごはんを食べたり、ライブのリハーサルもやってましたね。
とんだ林:暇になるとノートに落書きをしてたんですが、店を訪れるある常連さんから「イラストレーターになったら?」ってポロッと言われたんです。
ホント、何気ない一言だったんですが「あぁ、なれたらいいなぁ」って考えるようになって、そこから絵を描き始めたのがきっかけですね。
「とんだ林蘭」の由来は?
中島:なぜ「とんだ林蘭」という名前になったんですか?
とんだ林:名付け親はミュージシャン「レキシ」の池ちゃんです。もともとは漫画が好きだったので、漫画家になろうと思っていたんです。漫画を完成させたあとに、池ちゃんに名前付けをお願いしました。
その場でいくつか候補があったんですが「どれも嫌だなぁ…」みたいな(笑)。そのときは決まらなかったんですが、後日会ったときにもう一度お願いしたら「とんだ林蘭」って言われて、「あ、それいいかも」って。
中島:どんな意味が込められているんですかね?
とんだ林:たぶん、意味はないと思います。最近、池ちゃんに「何でその名前にしたの?」って聞いたら「俺の中にある名前をポンポン出しただけ」って言ってましたから。
中島:言葉の響きや組み合わせみたいな?
とんだ林:池ちゃんが昔から考えていた名前のストックがいくつかあって、その中のひとつを私が気に入ったという感じですね。
中島:頭に残る名前ですよね。
とんだ林:最初は大丈夫かなと思いました(笑)。でも、いまとなっては、みんながすぐに覚えてくれるので気に入ってます。
中島:メールを打つときに一瞬迷いました。とんだ林さんって言えばいいのか、それとも、とんださんかな?って(笑)。
とんだ林:一応、とんだ林が名字で、蘭が名前になります。けっこう間違える人も多くて、とんだリンゴとか、とんだリンランとか(笑)。
影響をうけた漫画は「ちびまる子ちゃん」
中島:漫画が好きって言っていましたが、影響を受けた漫画ってありますか?
とんだ林:人生で一番読んでいる漫画は『ちびまる子ちゃん』ですね。小さいころから大好きです。セリフを全部覚えるぐらい、大人になったいまでも読んでいます。
中島:ちょっと意外ですね。いまのイラストやアートにも影響されているんですか?
とんだ林:作品に直接影響を受けたというのはないです。精神的にはあるかもしれませんが、作風も違うし、マネとかもないですからね。でも、人生には影響を受けていると思います。
中島:もともとは漫画家を目指していて、そこからイラストを描き、コラージュをつくり、最近では日用品を“いじる”ようなこともしてますよね。表現の幅って、自然と広がっていったんですか?
とんだ林:イラストレーターになろうと思っていたときは、知識がないこともあって線画しか描いていませんでした。でも、はじめて個展をするときに、イラスト以外も必要かなと思って、そこから絵の具を使うようになりました。
とんだ林:コラージュを始めたのは絵を描いてから2年ぐらいあとです。なんとなくやってみたかったけど、雑誌を買わないので材料がなかった。そんなとき、知り合いの美容師さんがお店で要らなくなった雑誌があると教えてくれて、それらを持って帰ってコラージュを作ってみました。
そこから手法が広がって、日用品でも何かつくりたいなと思うようになっていったという感じです。
中島:イラストがあって、コラージュがあって、そこから一気に広がった?
とんだ林:コラージュを始めたことで“イラストレーター”から、“アーティスト”という感覚に変わったんだと思います。イラストに限らず、なんでもやろうと自然に思えるようになりました。
インスピレーションの源は「おうち」?
中島:創作活動の場所はご自宅が多いんですか?
とんだ林:自宅がほとんどですね。
中島:おうちで創作するときに大事にしていることや、お気に入りの場所ってありますか?
とんだ林:最近引っ越しをしたんですが、引っ越しをしてから創作活動がはかどっています。ワンルームなんですが、なんでもすぐに手が届くというか、キッチンや冷蔵庫もすぐ近くだし、ペンも、小物もなんでも目に入る環境なんです。いろいろ見えた方が好きなので、部屋はけっこう散らかってます。
中島:いろいろなものが目に入ってきて、そこからインスピレーションが沸いてくる?
とんだ林:そうですね。
中島:そう考えると、住環境ってアーティストにとっては大切な要素なんですね。
とんだ林:すごく大切だと思います。前は一軒家に4人で住んでいたので、持っている遊び道具も見える場所に置くことができなかった。収納しちゃうと、自分で思い出さない限り使えなかったんです。
いまなら「あ、こんなのがあった」みたいに、目で見て思い出せる。だから創作の幅も広がったんだと思います。こうやって聞かれて、いま気づきました(笑)。
中島:ほぼ毎日のペースでインスタに作品をアップしていますが、それってすごいなって思うんです。なんで、そんなにいっぱいのことが思いつくのかなって。
とんだ林:そんなに時間がかかるものはないですから。あと、手を動かすのがクセになってるんだと思います。「何かつくろうとすれば、何かができる」みたいな。何もしないで寝るのがすごくイヤなんです。
例えば、仕事でコラージュやイラストをつくっていてもインスタには載せられない。そうなると、何か自分の作品つくりたくなって、何か探して、何か描いて、みたいなことをしています。
思いついたことをビジュアルにする
中島:作品をつくるにあたって、伝えたいメッセージとか、自分なりのテーマみたいなものってありますか?
とんだ林:まったくないですね。そのとき思いついたことを、ビジュアルにして残しているだけ。普段から考えている思想とかはありますが、それを作品に落とし込むことは、逆にあまりしたくないというか…。
とんだ林:例えば、マニキュアとか口紅とかってかわいいじゃないですか? 理屈じゃなくすごく気分があがる。その感じがすごく好きなんです。だからあまり意味はなくていいのかなと思っています。
中島:ルーミーというメディアも同じようなところがあります。あまり説明的になりすぎないように、直感的にハッピーになるものを紹介していたりします。
とんだ林:そういうところは似てますね。
中島:作品でピックアップするものも、直感で選んでいるのですか?
とんだ林:そうですね。昨日はバナナがかわいいと思っていたけど、今日は肉の方がかわいいとか。その日の気分ですね。
中島:とんだ林さんといえば、お肉やハイブランドのイメージですよね。
とんだ林:たぶん、そう見られるのは、お仕事のときに「お肉を使ってほしい」とか言われることが多いからだと思います。木村カエラさんのオフィシャルグッズをデザインしたときもそうですが、「肉のコラージュにしてほしい」とかはよく言われますね。
とんだ林:肉はすごく好きなモチーフなので使いたい気持ちはあるんですが、インスタにアップするときは全体のバランスも気になるんです。全体の流れを見て、最近お肉を使いすぎてるとか、青色がちょっと足りないとか、そういうところからアイデアが出ることもあります。
中島:やっぱりインスタグラムがメインの発信ツールなんですね。
とんだ林:インスタをやっていなくても作品はつくっていると思いますが、インスタはすぐに発表できるところが自分に合ってますね。あまり溜め込みたくないというか、すぐに出しちゃいたいので。
中島:ネット時代にぴったりですね。
とんだ林:インスタをやっていたから、作品に広がりが出たということもあるかもしれませんね。
今後やっていきたいこと
中島:いま、チームラボとコラボしてデジタルアートも手がけられていますが、その他に今後やってみたいことはありますか?
とんだ林:映像はすごくやってみたいです。映像表現はアイデアを思いついても、人を集めたり、場所を見つけないといけない。映像作品はすぐに表現できないところがあるので、いまつくっている作品とは違うものになりそうな気がします。
中島:いまも短い動画をつくっていますよね?
とんだ林:いまはすでにある映像をコラージュのように繋げているだけです。いつかは、自分が思い描いた映像をそのまま表現してみたい。でも、すごい勉強しないとダメなんだろうなと思っています。
中島:とんだ林さんの映像作品ってすごく気になります。インスタの世界観が動き出すということですからね。
とんだ林:ひとりだと限界もあるので、そういう人と出会えたら挑戦してみたい。長い目で見て、いつかやれたらいいなと思っています。
中島:今日はありがとうございました。
とんだ林:ありがとうございました。
(おわり) とんだ林蘭 / RAN TONDABAYASHIオフィシャルサイト:
http://tondabayashiran.com/index.html
インスタグラム:
https://instagram.com/tondabayashiran/
ツイッター:@tondabayashiran
Text by Goro Inazaki
Photographed by Kenta Terunuma
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