皆さん、こんにちは。
先日のTOKYO ART BOOK FAIR 2015レポートにて、ナビゲーターを務めさせていただいた小嶋真理と申します。
現場からレポート! ZINEの祭典「Tokyo Art Book Fair」はこんなふうに楽しもう
https://www.roomie.jp/2015/09/289300/
レポートに続いて、TABFにて私と同じ『不幸の科学』ブースから作品を披露していた新進気鋭の女性アーティスト3名を紹介させていただきます!
最後のアーティストは、宮崎ともえちゃん。「stomachache.」というオルタナティブ姉妹アーティストデュオの妹のほうです。
近頃は、お洒落なファッション誌を開けば、ほぼともえちゃんの絵に出会えるというほどの売れっ子さんで、TVCMのアニメーション、ミュージシャンのアルバムやグッズのイラストなどを幅広く手掛けています。
stomachache.ウェブサイト:http://stomachache.jp/
ともえタンブラー:http://shokuninnhada.tumblr.com/
インスタグラム:https://instagram.com/myzktme/
ともえちゃんと私の出会いは、4〜5年位前の両国でした。大勢いたグループの中でのさっぱりとした出会いだったのですが、当時遠距離だったにも関わらず、ぐんぐんと友情が育まれ、一緒に旅行する仲となりました。
売れっ子になろうとも、ブレることのない”THEマイペースさ”で何でもサクサクっと作ってしまう、ナチュラルボーンなDIY精神と質素さとクリエイティブさを兼ね備えたスーパー人間だ、と私は思っております。
何故絵を描くようになったかを聞くと、「姉のマネをして絵を描き始めたんだ」と返ってきました。
ともえちゃんが属するstomachache.の相方は姉である、のぶえちゃん。のぶえちゃんも絵を描き、陶芸をし、刺繍を施し、柚子から酵母をとり美味しいパンを作る立派なアーティストさんです。
彼女達がゴリゴリのDIYアーティスト気質である理由は、どうやら彼女達のDNAにあるようです。
ともえファミリー大黒柱のお父さん(元牧師)は、何でも独学で習得してしまう良質スポンジのような方。フィンランドに住んでいた時に独学でフィンランド式建築を学び、日本へ帰国すると一人で教会を建て、家を建てたそう。とりあえず、なんでも一人でやってのけてしまうスーパー父さんなのです。
そして、そのスーパー父さんのもとに生まれた大兄妹ともえ達は、DIYは当たり前という父の背中を見て育ち、今に至るようです。その背景は、stomachache.の二人の日本人離れした作風にも影響しているようです。
10年以上遡る高校時代、ともえちゃんはカルチャー雑誌『relax』の全盛時代にジンを作り始めたそうです。
ともえちゃんのお気に入りのエピソードがあります。高校時代に大阪の阪急百貨店のイベントで、ショーウィンドウに外国人のアーティストが連日絵を描いていたそうです。高校生のともえちゃんはその絵を見るために、毎日そこに通い詰めました。
するとアーティストたちに顔を覚えられて、最終的にジンの交換を果たしたそうです。「ジン交換」。いわばお互いのクリエイティビティーとパッションの交換。それこそジンのあるべき姿!だと思われます。
さて、ともえちゃんが今回TABFで披露していたものは、新作ジン2作(写真ジンとドローイングジン)、Tシャツ(Over Work=働き過ぎ、などのナイスメッセージがプリントされたもの)、栓抜き機能付き缶バッジ(これが本当に使える!)でした。
新作ジン(両作品ともタイトルなし)のテーマはゴミ。まさかのゴミ。
ともえちゃんは少し前にカナダ旅行に行っており、カナダ滞在中、彼女のインスタにアップされるのがやたらとゴミの写真だなぁと思っていたら、ジンの内容もゴミ。国内外で撮り溜めたゴミの写真と、新たなゴミドローイングが集結されておりました。
しかし、ぐしゃりヌメヌメと汚いゴミではなく、命が抜けた粗大ゴミ、無造作ながらもスペースを取らないよう重ねられたゴミ、キチンとゴミ収集スペースに収まるよう並べられたゴミ達は、計算されつくしたような美しさを放っており、とても興味深いジンでした。
ともえちゃんの作品のモチーフは、身近にあるものが多いと彼女本人も言っていたのですが、ゴミもまた身近にあるもの。
シグノペンやGペンを使って絵を描くことがほとんどのようですが、今回のジンは太めのマジックペンを使って大胆に描いていました。
ゴミを描く彼女の力強い線が、今までにない真新しさを放っておりました。ゴミに息吹を吹き込む魔法使い!
さて、「TOKYO ART BOOK FAIR 2015」を通じて、芸術性も人間性もとてもリスペクトしている、私の大好きな3人のアーティストを紹介させていただきました。
愛があるからでしょうか。みんなの作品や、馬鹿みたいなおもしろい思い出話などが次から次へと湧き出てきて、ズラズラと書いてしまい、もったいないと思いながら何度も文章を削りました。だって、話がそれすぎちゃうんだもの。
https://www.roomie.jp/2015/09/290377/
https://www.roomie.jp/2015/09/290673/
あぐりちゃん、さっくちゃん、ともえちゃんの作品は、それぞれのウェブサイトやSNSで見ることができます。
3人ともコンスタントに様々な展示やイベントに参加しているので、皆様に是非とも生の作品をご覧いただきたいと思います。
それでは、また。
Text and Photograph by Mari Kojima