皆さん、こんにちは。
先日のTOKYO ART BOOK FAIR 2015レポートにて、ナビゲーターを務めさせていただいた小嶋真理と申します。
https://www.roomie.jp/2015/09/289300/
レポートに続いて、TABFにて私と同じ『不幸の科学』ブースから作品を披露していた新進気鋭の女性アーティスト3名を紹介させていただきます!
一人目は、日本ではまだ活発とは言えない”フェミニズムアート”をコミカルに発表しているPoem & Soapのあぐりちゃんです。
あぐりちゃんはとてもかわいくて華奢だけど、力強く格好いいという、まるでフランスの大御所女優のようなミューズ的存在であります。
ウェブサイト:http://poemandsoap.tumblr.com/
インスタグラム:https://instagram.com/merdeagr/
あぐりちゃんは、TABFブースで、不思議な記号や文字がちりばめられた手作りアクセサリー、バッジ、アンティークの花柄ハンカチにシルクスクリーンを施したもの、パッチなどを販売しておりました。
その他にも、ウィジャボード(アメリカの降霊術ゲーム)をモチーフにしたお皿、ソープのネックレスなども制作しています。
あぐりちゃんがデザインしたバッジやハンカチに記された文字に注目しますと、
『Girls Be Poetic & Dirty』 女の子達よ、詩的で大胆であれ
『I’m suffering from PMS right now』 ただいまPMS(月経前症候群)中です。
など、女性に関するメッセージ性の強いものが。
そこであぐりちゃんに、作品のテーマについて聞いてみると、以下のような回答が。
(性差別廃止や女性の権利を主張する)フェミニズムをそのままストレートに表現するのは苦手だから、フェミニズムにおふざけや皮肉を混ぜ込んだメッセージを作品にしているんです。
世界経済フォーラムのグローバルジェンダーギャップリポートの報告によると、日本人女性の社会進出度の評価ランキングは135ヶ国中なんと101位。先進国として日本は女性が社会でフェアに活動しているとは言い難い国なのです。
それを敏感に汲み取っているあぐりちゃんは、フェミニズムに関するギャグやジョークで笑い合えるような、”ジェンダーフリー”の意識がもっとカジュアルに根付いた社会になれば、という思いで作品作りをしているそう。
私事になりますが、シカゴに住んでいた2007年頃に、現在はもう発行されていない『VENUS ZINE』というフェミニスト&DIYを題材とした雑誌を発行していた出版社を訪れました。
『VENUS ZINE』創刊者のAmy Schroederさんからは、「たまたま女性として生まれた、その自分の限りない能力を十分に発揮できる環境を作ってやる!」という意欲がメラメラと伝わってきて、芯のある彼女のパワーに圧倒されました。
『VENUS ZINE』は、2007年当時はアメリカの大手書店で平置きにされているような雑誌でしたが、もともとは1995年頃にAmyさんが通っていた大学の寮の部屋で細々と切ったり貼ったりして作り始めたジンが始まりだったそうです。
彼女の思想や主張が広がり、さらには共感を得て、大衆文化の一部となったのはすごい!と感心するばかりでした。
さて、話がはずれてしまいましたが、あぐりちゃんは、
『Girls Be Politic & Dirty』 女の子達よ、政治的で大胆にあれ
という”Poetic”を”Politic”ともじって言葉遊びをしているパッチも販売しています。
今アメリカで最も注目されていると言っても過言ではない、若き女性監督(また、作家でも女優でもある)レナ・ダナムがそのパッチをインスタグラムで「パーフェクトイメージ!」と絶賛しておりました。(ちなみに、レナ・ダナムが26歳で製作・監督・脚本・主演を務めたドラマ『GIRLS』は是非とも全エピソード見てみたいもんです!)
こうして共感は共感を呼び、あぐりちゃんの遊び心のあるポリティカルな作品は、日本だけでなく国境を超え、彼女の願いを込めたメッセージはどんどん広がっていくのです。
まさに、Girls Be Poetic & Dirty!
Text and Photograph by Mari Kojima